テディベア その15
前回投稿した『その14』の続きをお届けします。
それではごゆっくりご覧下さい。
モモが近付いているとも知らずにテディベアの背後にてモカはニヤニヤと不敵な笑みを浮かべるモカ。
「(ふふふ。モモってば、本当にテディベアが話してるって思ってる。あたしが声代えて喋ってるって気付かずに・・・。)」
思わずに吹き出しそうになるもその気持ちを抑えつつモカはモモへ向け再び語り掛けようとする。
片や既に傍まで来ているのにも拘らず一向に気付く素振りを見せないモカにモモはやや呆れながらもこの行為を止める事にする。
「モカ、もう気が済んだでしょ!?」
「ふにゃっ!モモ、何時からそこに?」
テディベアになったのを逆手に自画自賛とも取れる発言をするモカを窘めるべく大きな声を張り上げるモモ。
それを受け堪らず驚いた反応を示すモカに「ちょっと前から居たわよ。」と先の言葉の返答をした後、モモは途中から感じた『異変』について述べ始めた。
「最初はビックリしたけど段々『おかしいな』って思ったわよ。あと、後半の方でモカの尻尾がテディベアの後ろから見えてたわ。」
「え、そうだったの!」
役に入り込み過ぎるあまり夢中になったのが災いしてか隙を見せてしまったらしいモカはモモからの指摘にショックを受ける。
「モモが『お喋り出来たらな』って言ったもんだからつい・・・。」
「『つい』じゃないわよ。全くもう。」
たった今芽生えたばかりの感情の尾を引きずりつつ先の言動に至った経緯を話すモカにモモは眉を顰め腰の辺りに手を添えると『フンッ』と鼻から息を吐いた。
「でも、本当にテディベアと会話出来たみたいな気分になれて楽しかったでしょう?」
「はにゃっ!?ま、楽しかったと言えば楽しかったけど・・・。」
「だよね、だよね!?やっぱり、そうだよね?」
目の前に居る相棒の顔色を窺いながらも苦笑交じりのモカから問い掛けられたモモは頬を赤くしながらも満更でもなかった事を仄めかす発言をする。
するとその様子から手応えを感じたらしいモカは力強く相槌を打つもそんな三毛猫の魂胆を察したのかモモは主導権を維持すべく別の質問を投げ掛けた。
「それにしてもモカ、黙って聞いていたけどちょっと自分の事盛り過ぎじゃない?」
「ふにゃっ!?そ、それについては飽くまでもあたしが思っている事ではなくみんなの意見をまとめて言ったのであって・・・。」
「ジーッ・・・。」
核心を突くその質問に目を丸くさせてしまったモカは苦し紛れに何とか釈明をしようと試みるも思う様な言い回しが出来ず結果としてモモからジトッとした視線を向けられてしまうのであった。
宛ら自分が追い込まれているかの様な気がしてならなくなったモカは話題を変えるべくモモにこんな事を提案した。
「あ、そうそう!モモ、そう言えばさっきからあたし達、このクマのぬいぐるみに対して『この子』とか『テディベア』って呼び方、してるじゃん?」
「はにゃっ。モカ、いきなりどうしたの?それに何か誤魔化そうとしてるんじゃない?」
「ふにゃっ?そ、そんな事無いよ。」
冒頭、声が引っ繰り返ってしまうも懸命に語り掛けようとする装いから怪訝そうにするモモであったがモカはそれに怯む事無く続ける。
「あたし、この子に名前付けた方が良いと思うんだよね?」
「はにゃ?『名前』?」
「だってほら、ただ単に『テディベア』っていうのも味気無いなって思わない?」
「んん。まぁ、確かにそれは有るわねぇ。」
モカの言い分を聞いていく内にモモは徐々にではあるが理解を示したとも取れる反応を見せ始めた。
「じゃぁ、決まりだね。この子の名前考えよう?」
「分かったわよ。その代わり、あたしの意見もちゃんと聞いてよね?」
「勿論だよ。あたし、こう見えても柔軟なタイプだよ?」
「そうだったかしら?」
先の反応を受け自分の提案に賛同したと捉えたモカはふたりで一緒にテディベアの名前を考える事に決める。
そんなモカの心境を察しつつモモはそれに合意した上で他愛の無いやり取りを行った後、ソファに腰を掛け夫々、テディベアに適しているだろう名前を考えるのだった。
「う~ん、いざ考えてみると・・・。」
「中々、良いのが思い付かないわねぇ。」
時折、唸る様な声を出しながらも良い名前が思い付かずにいるふたり。
そんな中、モカが引き続き渋い顔をさせている横でモモの表情が一瞬明るいものへと変貌する。
「あ!あたし良いの思い付いたわ。」
「ええ?なに、なに?」
どうやら良い名前が思い付いたらしいモモ。
早く教えてほしいと言わんばかりにせがむモカにモモは少々、照れくさそうに自分が考えた名前を公表する。
「この子の名前だけど『スモモ』なんてどうかしら?」
「『スモモ』?う~ん、悪いけどあたし的にはちょっと頂けないなぁ。」
「はにゃ?どうしてなの、モカ?『スモモ』って可愛い名前じゃない?」
「確かにモモの言う通り可愛い名前だよ。だけどねぇ・・・。」
テディベアの為にと提示した『スモモ』という名前に対し微妙な反応を見せるモカにモモは意味が分からず戸惑いを覚える。
するとモカはせめてものフォローとしてモモが考案した名前自体について良しとしながらも先程の反応に至ったその理由ついて話し始める。
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