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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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274.「それにしても何で隠れるような真似を」

 静村さんは5分ほどで着くと言って電話を切った。

 みんなで自転車(チャリ)を借りたそうだ。

 そういえば迫水くんと渡辺さん(新入の神様たち)は当然僕の心理歴史学講座に所属するから静村さんは先輩ということになる。

 つまり指導役か。

 その流れでこうなったと。

 僕は思わず溜息をついた。

(エン)さん」

「承知してます!

 食材追加ですね」

 (エン)さんは既にキッチンにいた。

 何て気が利く魔王(ぬらりひょん)なんだろう。

 イケメンのエプロン姿がどうしてもBLアニメのキャラにしか見えないけど(泣)。

 5分なんかあっという間だ。

 まだ信楽さんたちが戻ってこないうちにリビングのドアが開いて神様たちがゾロゾロと入って来た。

「今帰りました」

 先頭は静村さんか。

 静姫様じゃないことは口調で判る。

 他の二人は神様らしく無遠慮だった。

「こんにちわ。

 お邪魔します」

「いい家だな。

 しかも男は矢代一人か。

 ハーレムを現実(リアル)でやるとはさすが」

 迫水くん、露骨に言わないでよ!

 僕が毎日全力で現実逃避している事実なんだから!

 静村さんが「着替えてきます」と言って去った。

 無責任な!

 しょうがない。

「いらっしゃい。

 まあ座ってよ」

 ソファーに誘導する。

「珈琲でいい?」

「紅茶だ」

「出来ればソーダ系を」

 何て我が儘な人たち(神様)なんだ!

 イラッとしたときに救いの手が現れた。

 いつの間にかリビングにいた比和さんがエプロンを纏いながらキッチンに入ったんだよ。

「かしこまりました。

 迫水様が紅茶、渡辺様はコークでよろしいですね?」

 言葉は丁寧だけど凄い迫力だった。

 妖精(フェアリー)の本気?

「お……おう」

「何でもいいです」

 神様たちがビビッてる?

 何という恐ろしい家なんだ。

 (エン)さんが見えないので探したらキッチンの隅で震えていた。

 それでも魔王(ぬらりひょん)かよ!

 まあいいや。

 僕は思考を放棄して引き下がった。

 ソファーに座る。

 比和さんはキッチンを見回して一瞬で状況を把握したらしかった。

 ひとつ頷くと言った。

「ダイチ様?

 もう始めてよろしいでしょうか」

「うん。

 二人増えたから」

「判りました」

 ギン! と音がしそうな視線がサーチライトのようにリビングをなぎ払う。

 ソファーの神様たちは何か結界を張ってるらしくて微動だにしない。

 キッチンで忙しく働く比和さんを見ながら僕は言った。

「今日はうどんだから。

 パティちゃんのリクエストで」

 いいよね? という感情を込めてねめつける。

 僕だってこのくらいは。

「……構いません。

 急にお邪魔した私たちが注文をつけられるはずもなく」

「うどんは好きだからな」

 そうか。

 この人たちって神様だったっけ。

 少なくとも静村さん並には現実改変が出来るはずだ。

 例えば矢代邸の夕食のメニューを操作するとか。

 ていうかそもそもこの人たちに苦手な食事が出るはずがない。

 パティちゃんの発言自体、何か偏向(バイアス)がかかっていた可能性がある。

 疲れる。

(いちいち考えるな。

 虚しいだけだぞ)

 そうだよね。

 どっちにしても予定調和の世界なんだよ。

 僕が何考えようが物事はなるようになるだろうし。

 そういえば信楽さんはどうしたのかと思って見回したら何と僕の隣に座っていた。

 全然気づかなかった。

「いたの?」

「はいですぅ。

 気配消してましたぁ」

 そんな技を持っていたとは。

 隠行の術か。

「違いますぅ。

 面倒くさい会議の席でぇ存在感を消してやり過ごす方法ですぅ。

 経営者ならぁ誰でも出来ますぅ」

 まさか。

 経営者ってそんな特技(チート)があるのか。

「僕にはとても無理だ」

「そんなことないですぅ。

 矢代理事長こそはぁこの技の導師(マスター)ですぅ。

 取締役会での姿隠しは誰にも真似出来ないですぅ」

 いやそれは術とかじゃなくて(泣)。

 まあいいや。

「それにしても何で隠れるような真似を」

「隠れてないですぅ。

 ただここにいただけですぅ。

 それにぃ」

 信楽さんは囁く様に言った。

「静姫様はともかくぅ、私ぃはあの人たちが苦手ですぅ」

 何と。

 無敵の信楽さんの弱点。

 神様とか妖精(フェアリー)とか、そういう得体が知れないものには弱いというか強く出られないんだよね。

 本人が合理主義の権化だから論理(ロジック)に従わない存在は許容範囲外なのかも。

「静村さんはいいの?」

「あの方はぁなぜか理解出来るですぅ。

 日本の神様ってぇ本来はそういうものですぅ」

 あのお二人こそ異端ですぅ、と信楽さん。

 口調と内容は過激だけど極力隠れながらというのが悲しい。

 よし判った。

 ここは合理も不合理も全然判らない僕が盾になるとしよう。

「信楽さんは何も言わなくていいから。

 僕が何とかする」

「ありがとうございますぅ。

 さすがは矢代理事長ですぅ」

 囁き合っているとドアが開いてパティちゃんがリビングに入って来た。

「すみません。

 遅く、なりました」

 可愛いワンピースに膝上のスカート。

 フェミニンさが薄れて幼く見える。

 女子中学生くらい?

 でも本当は小学生なんだけど(笑)。

「パティちゃん、今日の夕食にこの二人が混ざることになったから」

 軽く説明するとパティちゃんは何とスカートの裾を摘まんでちょっと腰を落とした。

 (カーテシー)って奴?

 さすがはロンズデールのお姫様。

「いらっしゃい、ませ。

 ごゆっくりどうぞ」

 パティちゃんがそれ言う?

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