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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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258.「これほどまでに心に響く歌があったなんて!」

 その後も色々な人が来ては僕の疲労を労った後、シャルさんやその他の人のお世話をくれぐれもよろしく、というような事を言って去った。

 僕、やっぱりそういう風に思われてるんだなあ。

 廃品処理係、というよりはもう危険物取扱責任者?

 いいけどね。

 僕、何もしてないし。

 あんまりそういう事が気にならない性格なんだよ。

 でなかったら美少女や美女と同居なんか出来ないって。

(確かに。

 矢代大地(ガキ)性的欲求(リビドー)の存在が疑われる状況だよな。

 ひょっとしたら矢代大地(ガキ)って性的不能とかじゃないのか?

 あるいは同性愛者とか)

 無聊椰東湖(オッサン)が露骨にディスってくるけど無視。

 僕は人並には美少女や美女に興味があるし、性的な欲求だってある。

 アニメは好きだけど別に二次元オンリーというわけじゃない。

 ラノベに出てくるみたいな○ナニーする時に部屋の鍵をかけ忘れて踏み込まれたりする事は絶対にない。

 ベッドの下にも何も隠してないよ。

 もっと厳重な場所に。

(ああ、確かにあそこは誰にも思いつかんだろうな)

 無聊椰東湖(オッサン)には知られているけどしょうがない。

 この話は忘れよう。

 僕に話しかけてくる人が途絶えた後、信楽さんと比和さんが戻って来て言った。

「ダイチ様!

 デュエットして頂けませんか?」

 比和さんが思い詰めた表情で懇願してくる。

「その次はぁ私とお願いしますぅ」

 信楽さんも真剣な表情だ。

 断れないよね?

 というわけで僕は2曲続けてデュエットした。

 演歌やアイドル歌謡を要求されたらどうしようと心配したけどそんなことはなかった。

 普通にアニソンで、しかもデュエット曲じゃなかった。

 スーパーロボットアニメの主題歌って始めて知ったけど、男女混声で歌うと独特なムードが出るんだよ。

「ダイチ様がお好きと思って」

「練習したですぅ」

 二人ともそんなの歌ったことないもんね。

 要するに僕と一緒に歌いたかっただけらしくて曲は何でも良かったと。

 でも僕だってスーパーロボットしか歌わないわけじゃないんだけどなあ。

 まあ裏声絞り出すよりはいいけど。

 歌い終えて満足そうな二人だったけど、問題はその後だった。

 なぜか僕とのデュエットを希望する人が続出したりして。

 無理!

 喉が潰れるよ!

 でも結局、高巣さんや(アキラ)さんとは歌わざるを得なかった。

 シャルさんは断った。

 「Why is it?」とか喚かれたけどパス。

「We can do it anytime in Hojin.」

「...OK. You did promise!」

 約束させられてしまった。

 まあいいか。

 それでも尚殺到してくる人たちには比和さんと信楽さんが防波堤になってくれた。

 だって何曲も続けて歌わされてマジでクタクタなんだよ!

 隅の方に逃げ込んで人が歌うのを見る。

 驚いた事に全員が歌っていた。

 こういう集まりの場合、大抵一人や二人歌わないでじっとしている人がいるものだけど。

 不思議に思って比和さんに聞いたら教えてくれた。

「それはないですね。

 ここにいるのは全員、歌いたいから来ている人です」

「そんなにカラオケが好きなの?」

「というよりはストレス発散の機会を逃したくないかと。

 歌う事自体よりは自分を曝け出せる場所がここくらいしかないのでは」

 なるほど。

 よく見てみれば厨二病患者しかいなかった。

 つまりここにいるのは全員が同士(タワリシチ)というわけか。

 十字架を背負った者同士だから隠し事もない。

 いや個人的にはあるだろうけどストレス発散のための歌唱を聴かせ合うくらいは平気だと。

「それにしてもみんな幹部なのに」

「だからですぅ。

 護衛兵やぁメイドの方はぁ適当に発散してますぅ。

 ですがぁ」

 それはそうだ。

 宝神や矢代興業では教授だったり役員だったりだもんね。

 社員や学生の前ではさすがに無理か。

 よし判った。

「そういう事なら僕も付き合うよ。

 とりあえず歌う」

「はいですぅ」

 信楽さんがリモコン持ってきてくれたので早速予約する。

 今の僕にぴったりの歌だ。

 さて。

 順番が回ってくるまで何か食べようかと思っていたら、いきなり聞き覚えがあるイントロが流れた。

 何で?

「順番をスキップしたですぅ」

 のほほんと(のたま)う信楽さん。

 心の準備が!

(ほら、始まるぞ)

 無聊椰東湖(オッサン)に急かされて僕は慌てて演台に上がった。

 スポットライトが眩しい。

 イントロが終わる。

 さあ!

「♪誕生日を迎える度に何を祝うのかがずっと謎だった...」

 女性ボーカルの曲なのでキーを落として歌う。

 好きなんだよね。

 ギャグアニメだけど。

 夢中で歌っていると何だか周りの様子がおかしい。

 静まりかえっているような。

 いや考えるな。

 今は歌うことだけが全てだ!

「♪君と生きてく明日だから這い上がるくらいでちょうどいい..」

 歌いきって息を吐き出す。

 そう、僕なんか這い上がるくらいがお似合いだ。

 やっぱグ○グルはいいなあ、と思った瞬間だった。

 突然の大歓声。

 拍手も。

「凄いです!

 ダイチ様!」

「素敵ですぅ」

 両側から抱きつかれてしまった。

 比和さんと信楽さんに押し倒されそうになりながら何とか踏みとどまる。

 何が起こった?

「これほどまでに心に響く歌があったなんて!」

「さすが矢代社長……いや理事長!」

「何という曲なんですか?」

「Wind Climbingですね。

 まさに我々にぴったりです」

 色々な人が叫び合う中を二人に引きずられて撤退する。

 ソファーに座ると美女と美少女が両側にぴったりとくっついてきた。

「私!

 ダイチ様と生きていきます!」

「私ぃもですぅ。

 一緒に這い上がるですぅ」

 いや君たちの事を限定して歌ったわけじゃないから(汗)。

(それは言うなよ)

 判ってるよ!

 まあ、あのアニメの主人公? のいい加減な勇者になりたいとは思わないけどね。

 でも僕の立場ってあの勇者に少し似ている気がする。

 やる気もないのに自意識過剰で適当で。

 ヘタレで。

 でもあの勇者よりはハーレム率が高いし魔王を倒せと言われているわけでもないから楽だ。

 這い上がる必要もないくらい恵まれてるし。

 でも。

 どうみてもあっちの方が気楽だよね?(泣)。

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― 新着の感想 ―
[一言] 時代設定がちょっと分かりませんが、2010年代想定だと、ダイチの年でWind Climbing知ってるって、生まれる前のアニメもフォローしてるのか、、、伊達にオッサンを守護霊につけていないな…
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