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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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250.「だから見習いというか仮というかで」

 須藤さんたちは宇宙人のネットワークでロンズデール姉妹と繋がっている。

 あの人たち(ロンズデール姉妹)母国(アメリカ)の大学に籍を置いて宝神(うち)に留学している形になっているからね。

 同い年なのに大学生やっていて羨ましかったの?

「それだけじゃありません。

 アレクたちは心理歴史学講座に所属していたでしょう」

「それはそうだけど。

 でもロンズデールさんたちは来年度から独自の講座を開設するはずだよ」

「それはいいんです。

 ていうか私たちもそっちには参加します。

 でも兼座で矢代教授の心理歴史学講座も受講したいので」

「確かに兼座は出来るけど。

 演習が二倍になるだけであんまり意味はないよ?」

 宝神(うち)のシステムというか体制はちょっと変わっている。

 前に信楽さんに教えて貰ったんだけど、普通の大学では学生は基本的に特定の学部学科に所属する。

 「○○大学○○学部○○学科」という感じで。

 途中で転部や転科することも出来るけど原則として一度に所属出来る学部学科はひとつだ。

 そしてその学科の中にある○○講座というか教授や講師の元で演習したり論文書いたりして学位を取る。

 兼部や兼科は出来ないそうだ。

 でも宝神(うち)の場合、もともと学部や学科というものがなかったり曖昧だったりする。

 学年もあってないようなものだ。

 学生は宝神総合大学という教育機関に所属して、それぞれ好きな講座で学ぶことになる。

 もちろん無制限に選べるわけじゃなくてその講座の主宰者が認めた者だけだ。

 心理歴史学講座なら教授()信楽さん(助教)だね。

 所属出来る講座の数には制限がないんだけど、まあ不文律として2つ以内ということになっている。

 例えば比和さんなんかは僕の心理歴史学講座の他に末長さんの経営学講座にも所属しているわけで。

 でもこれはあんまり意味がない。

 だって宝神(うち)を卒業するための単位ってひとつの講座での合計だから。

 比和さんの場合、このまま行けば4年間で心理歴史学講座と経営学講座の両方の修了資格を得られるんだけど、卒業に必要な学位は一つでいいんだよね。

 2つ以上とってもいいけど。

 それに実を言えば学位の名称はまだ決まってないらしくて(笑)。

 「専門職学士」みたいなものになるのかもしれない。

 僕はそういうことを説明したんだけど須藤さんたちは納得しなかった。

「でもアレクたちは心理歴史学講座の演習単位を貰ったって」

「確かにそうだけどね。

 あの二人は聴講生扱いだよ。

 宝神(うち)の単位持ってたって卒業も学位取得も出来ないから」

 そうなんだよ。

 アメリカの大学では正規の学生なんだろうけど、ロンズデール姉妹は宝神(うち)に留学というよりは聴講に来ているようなものだ。

 宝神(うち)とあの二人が在籍している大学は提携してないからお互いの単位は融通しあえない。

 宝神(こっち)は専門職大学だしね。

 色々システムが違う。

 それを聞いた須藤さんたちはがっかりしていたみたいだけど、4人で顔を突き合わせて相談を始めた。

「どうする?」

「確かに兼座はきついかも」

「でも」

「それよね」

 何やら陰謀が企まれているみたいだけど僕は放置した。

 あまり首を突っ込みたくない。

 何気ないふりをしてタブレットで宝神のサーバにログインして確認してみる。

 来年度、宇宙人の人たちは僕の心理歴史学講座所属学生リストに載っていなかった。

 もちろんこれはまだ仮のリストなんだけどね。

 変更は可能だ。

 でも須藤さんたちを所属させたら大変な事になりそう。

 だって宇宙人の人たちって結構人数がいるんだよ。

 静村さんに初めて会った時の泊まった旅館の看板娘ズ(違)も宇宙人だったし。

 あの二人も厨二病だから、確実に宝神(うち)に来るはずだ。

 つまり須藤さんたちの講座所属を認めてしまったら際限なく学生が増える可能性がある。

 よし。

 断固断ろう。

「あの。

 矢代教授」

 荒間姉妹のどっちかが言った。

 発言者(スポークスマン)が変わったのか。

「何?」

「聴講生扱いでもいいので、何とか心理歴史学講座に入れませんか」

 何を言っている。

「荒間さんたちは宝神(うち)の正規の学生になるんでしょ。

 聴講生じゃないし」

「だから見習いというか仮というかで」

「そんなの無理だし、大体そんなことしても単位はあげないから」

 言いながら判ってきた。

 宇宙人の陰謀だ。

 油断も隙もないな。

「「ええーっ」」

「「それは酷いです!」」

 ハモッた。

 本性が出たか。

「酷いも何も、君たちは自分の講座があるはずだよ。

 むしろ講師側なんじゃないの?」

 そうなのである。

 厨二病患者は原則として宝神(うち)の正規学生ではあるんだけど、優秀だったり技能に優れていたりする人は即講師側に回ることもあるのだ。

 変な話だけど、ある講座の講師や助教をしながらその講座の学生として単位を取る事も出来る。

 この場合、教える事が演習になるんだよね。

 もっとも教授や准教授になってしまったら駄目だ。

 管理職? が学生をやるわけにはいかないので。

 比和さんは自分の講座の教授だから清掃学(自分の)講座だか何だかには所属出来ないため、僕の心理歴史学講座に来たわけで。

 その後に経営学講座にも所属したから本当言えば心理歴史学講座は辞めてもいいんだけど、それを言ったら泣かれた。

 絶対に辞めないそうだ。

 別にいいけど。

「大体、宇宙人の講座はこれから大発展するんでしょ?

 君たちだって大忙しで自分の講座の事だけで手一杯なのでは」

「「それはそうなんですが」」

 煮え切らないなあ。

 しょうがない。

「ひょっとして心理歴史学講座の単位を切り札(ワイルドカード)として使おうとか思ってない?」

 言ってやったら全員がギクッと動きを止めた。

 やっぱりか。

 何か僕の講座って宝神(うち)の内部で特別視されているらしいのだ。

 未来人たちが何か言ってたっけ。

 心理歴史学講座の演習単位を持っていれば、それだけで学位を取れると。

 戯れ言だよ!

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