表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

241/386

240.「大丈夫だったの?」

 心の中で響き渡る無聊椰東湖(オッサン)の罵詈雑言を無視して僕は言った。

「でもそれって仕方がないことだよね。

 信楽さんの事だからとっくに解決策を実行してるんでしょ?」

 なぜそんなことを言うのかというと信楽さんが楽観的に見えたから。

 悩んでないというかむしろ解決済みの問題に思える。

「さすがですぅ。

 矢代先輩はぁやっぱり凄いですぅ」

 信楽さんは嬉しそうだった。

 比和さんや(エン)さんは首を傾げてるけど、これはしょうがない。

 だって僕は神楽さんとかクラリッサさんと知り合っているからね。

「判るよ。

 僕の護衛についてくれた神楽さんって人がいるんだけどメチャクチャ優秀だった。

 何というか優等生的じゃない出来る人って感じで」

「神楽。

 ……女性ですか?」

 いきなり比和さんが言った。

 何か食いつく場所が違ってない?

「うん。

 本人は隠してたみたいだけど僕の護衛隊のリーダーだと思う。

 最初は女子高生かと思ったんだけど、どうもクラリッサさんと友達(ダチ)的な関係みたいで」

「クラリッサ。

 女性ですね?」

 いや比和さん。

 男だったらクラリッサなんて名前じゃないでしょう。

 ていうか神楽さん、クラリッサさんの事をクリスとか呼んでいたっけ。

 まあどうでもいいけど。

「クラリッサさんは、ほら比和さんも知ってるはずだよ。

 前に矢代興業が証券取引の件だったっけで記者会見開いた時に来ていた外国人記者さん。

 なんでか僕の親父と知り合いだったらしくて」

「証券取引の……ああ、あの件ですか。

 確か赤毛の方でした」

「そう、その人。

 言っとくけどクラリッサさんはアラサーだからね?」

 何か言い出しそうになってる(エン)さんを牽制しておく。

 比和さんの方はブツブツと何か呟いていた。

「そのクラリッサとかいう女と友達(ダチ)ということは。

 ダイチ様?」

「うん。

 神楽さんは何か会う度に印象が変わるんだよ。

 女子高生から女子大生、総合職の会社員、最後は傭兵指揮官みたいな印象になっていた」

 あれには驚いた。

 偽装なのか役者なのか、姿形は変わらないのに印象が全然違ってるんだもんなあ。

 最初に会った時の神楽さんと最後とでは似ても似つかない。

 知らなかったら絶対に別人だと思っていたよ。

「なるほどぉ。

 神楽、という方ですかぁ」

「信楽さんは知らないの?」

「知らないですぅ。

 私ぃは現場の人事にまではぁ関わってないですぅ」

 それはそうか。

 将軍が最前線の小隊指揮官を知ってるはずがないもんね。

 ていうか知る必要がないし、知ったり口を出したりしたら組織が乱れる。

 王様が勇者ならともかく騎士団の小隊長を選ぶようなもの?

 そんなのはアニメでだって有り得ないよ(笑)。

「それでその神楽という女ですが」

 比和さんが言ってくるのを躱して僕は続けた。

「つまり信楽さんとしては矢代興業の中途入社社員の採用に踏み切ったと」

「私ぃじゃないですぅ。

 取締役会の決定ですぅ」

 そういうことを言っているんじゃないんだけどね(笑)。

 矢代興業は信楽さんの意志で動いているから。

 実際問題として僕はそんなこと知らなかったし。

 多分、経営計画のどっかにそっと書いてあるんだろう。

「でも合ってるでしょ?」

 畳み込んでやると信楽さんはちょっと苦笑した。

「矢代先輩にはぁ隠せないですぅ。

 ですがぁ別に今になって始まったことじゃないですぅ」

 信楽さんによれば、僕たちが如月高校を卒業するずっと前から問題が顕在化していたそうだ。

 人材不足。

 それはそうだよ。

 だって当時の厨二病患者(同類)は全部合わせても百人に足りない程度しかいなかったはずだ。

 それは今もあまり変わってない。

 全世界でポツポツと見つかってはいるけど矢代興業の発展速度には全然追いつかない。

 しかも厨二病患者だからといって全員が即戦力というわけじゃないからね。

 比和さん率いるメイド部隊はむしろ例外で前世の技能をそのまま現代日本で発揮出来る珍しい存在だ。

 それ以外の人たちは護衛兵だの超能力者だの碌な技能がない。

 まあ黒岩くんとか八里くんとかの有能な経営者がいるから何とか誤魔化していたんだけど。

 でも宇宙人が構築したネットワークによって海外の厨二病患者(同胞)とも連絡がとれて、副産物として国際取引が事業に組み込まれてしまった。

 もうどうしようもない。

 だから矢代興業は有能な普通人の取り込みに動いたと。

「危なくない?」

「ヤバいですぅ。

 有能過ぎる人を引き入れたらぁ事業ごと乗っ取られる可能性がありますぅ」

 だよね。

 何てったって矢代興業の経営陣は未だに全員が未成年だ。

 社長が僕ってのも辛い。

 実際、最初は侮って乗っ取りをしかけてくる連中もいたらしい。

「大丈夫だったの?」

 いや大丈夫だったから今の僕たちがいるんだけど。

「それがですねぇ。

 私ぃも予想外でしたがぁ、全然大丈夫でしたぁ」

 私ぃはずっとボッチだったのでぇ気づかなかったのですがぁ、と溜息をつく信楽さん。

 ああそうか。

 それはそうだよ。

 だって僕たち、厨二病患者の集団だよ?

 多分それって絆としては最強だ。

 普通だったら集団を形作るのは血縁、地縁、そして金縁だ。

 それによって信頼を育んで組織になる。

 そんなものは容易く崩せる。

 でも厨二病患者を裏切らせる事なんか出来るわけないでしょう。

 厨二病患者は普通人には従わないし信用しないからね。

(そこまではいかないだろうが。

 矢代大地(ガキ)だってご両親は信用しているだろう)

 それはそうだけど、そういう事を言っているんじゃない。

 ビジネス上でどんな好条件を持ちかけられても寝返る厨二病患者はいないってことだよ。

(なるほど。

 俺にはよく判らんが矢代大地(ガキ)が言うんだろからそうなんだろう。

 前世持ちの真性厨二病だからな矢代大地(ガキ)は)

 無聊椰東湖(オッサン)、あんたがその原因だよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 本当にコンスタントに面白い。 毎日楽しみにしてます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ