崩壊24.4
『見つけたぞ!ガキだ!』
どうしてだ、街のどこかから声がする。
自分の事を付け狙う奴がまだいるのか。
何を喋っているのか理解できないので、声色で全てを察している。
殺意ある声は勢いがある、即逃げる。
心配そうな声は柔らかさがある、様子を見る、といった具合だ。
なぜ狙われている。
自分は何者なんだ。
分からない、何も分からない。
でも死ぬわけにもいかないので、走り続けた。
足裏がどんどん荒れ果てていく。
走り続けていると、次第に雨が弱まり、日が差し込み始めた。
まずい……視界がクリアになると簡単に見つかってしまう。
「く……そ……」
海は穏やかに揺れるのに、彼の心は激しくなっていく。
『あれだ!○○のガキだ!殺せ!』
海際まで追い詰められ、崖を背に何人もの大人が迫ってくる。
もうダメだ。
ふざけるな、力さえあれば。
自分に力があれば、こんな理不尽、殺せるのに。
しょんべんひっかけるぐらいが限界だなんて。
こいつらに捕まるくらいなら。
なんとなくそう思い、目を瞑り、ゆっくりと崖へと身体の角度を変えて行く。
死にたくなかった、怖かった。
涙が出る。
さようなら。
シキが勢いで行ったほぼほぼの自殺行為は、我ながら恐ろしく崖から落ちるすんでのところで気を失う。
そして、そのまま落ちていくかと思いきや。
その手を「誰か」に掴まれ。
そのまま静かに、優しく抱き寄せられた。
追い立てた大人達は、峰打ちを食らわせられたようにその場で倒れこんでいった。
まさに光が走ったように、全てが片付いていく。
満足そうに優しく微笑み、シキの顔を覗くのは、シキ自身から糞をぶつけられ、岩を押し付けられたユウゼンだった。




