崩壊19
「僕は、帰れなくても構わない……」
「なんだと……?」
「昔からの願いでね。あの子はパズルだよ。一欠片で揃いそうな、ね」
「お前がもう何者なのかなんて、俺はもう気にしてないけどよ、本当に大切な事さえ隠すのはやめておけよ。聞かなかった事にしてやってもいいから、ユイさんにだけでもいいから話せよな」
「心優しい君は一滴の水で泳ぐ可能性」
「聞いてるのか、」
「小便ってなんで出るのか、分かるかい?」
こいつ、いきなり何を話しだすんだ。
「いらないものを体外に出す為だろ」
「その通りだよ。今の僕には外に出せるものなんて何一つない。小便だって、言葉なんだよ。排泄行為に過ぎない」
「話すつもりはないって事かよ」
そうやって全てを飲み込むのか。
成る程こういう所は確かにユイに似ているな。
待てよ、なんで俺、今……このガキをユイさんと重ねた……?
旅は続く。
俺たちはひたすら歩き続け、ユイさんは少しずつ疲れていく。
グングニル習得の為の修行は、1日で何百人分ものシンマネを使うみたいだと、感知していたリベールが教えてくれた。
慣れない頃は、暴発するように、凍りついたシンマネがどこまでも広がり、その度に俺たちはその寒さに震え上がったもんだ。
対してユウゼンは、決して顔色は変わらない、相変わらずマイペースな奴だった。
休める場所は点在しているコースのようで、しっかりと俺たちは休息をとりつつ、ユイさんのシンマネのマネージメントも行っていった。
「出来た!」
「うん、いい感じ」
ユイの放つ氷弾は、確実に狙った場所へ当たるようになって言った。
暴発して大気が凍るなんて事も減った。
そうして次第にユイさんの顔色も良くなっていき、口数が増えていくが。
「大丈夫か?」
「え?平気だよ。どうして?」
「いつもの口数の多さは何処へ行ったよ?ってな」
「大丈夫さ、僕は強いんだ」
ユウゼンが反比例するように静かになっていった。




