崩壊13
シキは説明した。
オルレアン出身を名乗る少年の存在を。
その少年の話の辻褄が合わない事。
何故かシキとユイの名前を知られている事。
そして怪しさ全開なのに直感が信じても良さそうだと感じている事。
その話を聞いてから、リベールは大人しい、思いつめた動物のような表情を少しする。
「ふーん。なるほどねえ」
「なるほど、なるほど……ふーん」
顎に手を添えて、何かを必死になって考えている姿を見ると、心に何故か波風立つような、そんな心持ちになってしまう。
御神託でも乞うているつもりなのだろうか。
「あんたにとっちゃ、悪い話ではないかな……」
「どう言う事だ?」
「連れて行ってあげな。オルレアンに帰る頃までには、あんたが一皮向けた良い男になってる事を信じてあげるよ」
「だから、どう言う……」
夢の様な、精神内での会話はそこで途切れてしまった。
突き飛ばされたのだ。
リベールに。
まるで、三猿決め込んだように何も言わない彼女に少し怒りを感じつつも、後は自分で考えて答えを出せって事なのかと自分を納得させる。
でも、消える間際、あいつの手が電気に触れたように震えていた。
初めてだ。
何かを恐れているみたいな態度をするのを見るのは。
あいつは俺の話を聞いて何を感じたんだ?
何を見た?
ガキの目的、経緯、口調、印象、口調、全体の容姿。
実際に見て、実際に話をした訳でもないのに……
ただ、俺も同じなのだろう。
不安に駆られているんだ。
どうしようもなく。
連れて行くか否か。
決めあぐねている。
でもやっぱり、俺は男だった。
反骨精神が燻った。
「出来ることしかしてこなかった」
「良いだろう。ただし自分の身は自分で守ってくれよ。俺たち3人で、オルレアンに帰るとしよう」




