崩壊7
ユイは高速移動に費やすシンマネの放出を保ったまま、その速度を維持し続け、間も無く、敵の軍勢前にたどり着く。
街から少し外れた森の中、不気味にうごめく沢山のナイトメアが、ゴリ押すように木々と植物を掻き分け、集落の方まで押し寄せているのが見えた。
その重厚感溢れる騎士の甲冑を象るその姿は、彼らの脅威が健在であるのを感じさせる。
「何百体かな……後ろを見てもずぅっといる」
相対するユイは優しさから醸す雰囲気が一新、冷ややかな瞳でナイトメア達を見据える。
これから戦う相手に、容赦などいらないと、自身の身が知っているからだ。
さっそく、群れの中から先行してこちらに向かってくるナイトメアが、重鈍に、剣を構えながら突進して行く。
が、その身体はユイに近づけば近づくほど更に鈍く、そして止まった。
「まずはお前から、冷たくしてあげる」
幾百の人間やナイトメアアクセルとは似ても似つかぬ二足歩行のそれは、ユイが触れた数秒後、氷塊と化す。
この一連の流れが、まるで戦いの火蓋を切ったようにナイトメアがユイの元へ一斉に襲い掛からせる。
そんな群れの中心に、前触れもなく氷塊が出現する。
動きが鈍い彼らはどうすることもできず、砕くこともできず、その巨大さに押しつぶされる。
絶対的な密度で生成された氷の重さが、ナイトメアの頑丈な身体を砕け散らした。
その圧倒的な力が、次々とナイトメアを消し去って行く。
ユイに弾切れは、決してない。
それどころか、氷のシンマネが溢れて溢れて止まらない。
この力の奔流が周囲に拡散して行き、ナイトメアの体躯を凍りつかせる。
「こうして戦うの、本当に久しぶりだ……」
ユイが、急いで駆けつけた理由がこれである。
集落への被害が及ばない範囲で戦う事。
これを何より望んでいた。
離れていればいるほど、気兼ねがない。
巫女でも英雄でもなく、ただ一人の戦士として、全力を出しておきたかった。
滅多に使えないこの力を、しっかりと試し尽くせる機会がここで来るとは……
「はあああああっ!!」
遠慮はしない、たまたま私が居合わせたこの集落を落とそうとしたお前達の運の尽きだ!




