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雑音ステップ 〜ALONE〜  作者: 白井 雲
20/140

アルフレーガシ20

「ここに飾りたいんだよね」



「ほお……」



ユイさんが手を添えて具体的に場所を指定したのは、屋敷の大真ん中の柱だった。



なるほどここなら沢山の人に見てもらえるだろう。



「動物……色々いるって聞いたんだけど何を書くのかはお任せするね」



「何かないんです?」



「強いて言うなら可愛い動物がいいなあ」



「なるほど……」



可愛いと言ったらアレしかないでしょ。



打ち合わせをしているその最中であった。



「つっ!」



柱の木材のささくれが、僕の指を切った。



じわじわと広げ出て行く血にユイさんは笑顔で、僕と真逆の方を向き、手招きをした。



「何じゃい」



げっ、あの爺さんだよ。



「腕のいい薬師なの。すぐに直せるよ」



「じーやん、傷に効く薬、塗ってあげて。ごめんね」









「すみません」



手に塗られた薬は、草の匂いが濃かった。



「のぅ……」



「どうされました?」



「お前もまた、あの娘から奪おうと言うのか?」



「何の事ですか?」



彼は、僕を睨みつけた時と同じ雰囲気で、僕に迫ってきた。



「はよう、帰れ。ここは部外者にとって立ち入るべき場所ではない」



「だから、何の事かって聞いてるんですけど」



「これ以上、あの子に近づく事は許さん。お前が何であろうと。帰れ」



敵意剥き出しの癖に動機を言いたがらない。



「どうしていきなりそんな事を言うんですか?」



「余所者には余所者の世界があるように、ワシらにはワシらの世界がある」



「へえ……そう言われたらどうにも暴いてやりたくなる」



イラつきにも似た感情を覚えながら、何気なく放ったこの一言が相手の敵意はガラリと変えた。



「ほお……」



「うぅっ!



シンマネが、溢れ出す……!



彼の周囲に漏れ出していくシンマネは、凄まじく奔流してゆき、この個室をいっぺんに満たした。



白き光。



「これは……ユイさんの力に似ている……!」



「いかんよ、身も弁えず、挑発めいた言葉を口にしては。この世界では長生き出来ぬ。どうせすぐ死ぬのならここで!」



「いきなりやる気か!?爺さんなんかに遅れをとるものか!」



真っ白なシンマネの噂は、まさか。



ユイさんが放っていた光に酷似している。



しかしこの気迫と明らかに感じるパワー。



噂の正体は、この爺さんなんじゃ……?



僕はすぐさま自衛のために身体に残っていたシンマネから短剣を創り出し、応戦した。



「若造ォ!」



「ぐぅううう!」



だが、彼は見た目の割にキレとスピード、パワーのある動きで忽ち僕を追い詰めて行った。



流石の気迫に気圧されまいと必死に立ち向かうが、近づくことすらままならない白きシンマネの奔流が、そうはさせない。



「そうまでして、守りたいものとは一体……!」



「赤の他人に教え伝えるものなど何もない!これ以上土足で踏み込んでくるのであれば、本当に!」



動きが一瞬鈍った。



すかさず起き上がり真横から攻撃を試みるが。



「甘い!」



「ぐぁっ!」



即座に反応され、蹴り飛ばされてしまう。



壁に打ち付けられた燦。



そこである事に気付く。




……視界が、歪み始めている。



爺の姿が捻じ曲がり、空間の歪みが次第に大きくなっていく。



「ワシは薬師、治す為の薬があるなら、毒を付与する事が出来る。故に、このシンマネは薬になり得るのだ」



まさか、あたりに展開していた白きシンマネを使って、先程の蹴りから毒を食らわせたとでも言うのか。



「さあ、聞こう。この場から離れるか?ワシらの平穏を脅かす愚か者めが」



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