アルフレーガシ19
『ユイさん……ようおかえりなさった!さあさあ、お前ら、部屋にお連れして』
次々に使用人らしき者達が現れ、ユイさんを誘導していく。
「少ししたら迎えに行くから、燦くんも休んでて」
「はーい」
オイ、燦。
あのジジイ、テメエに敵意剥き出しだぞ。
あのジッと見てる爺さんか。
「あんた、早う出てけ」
な?
悪意丸出しのお前だから、悪意に気付くのも早いって事だな。
殺されてぇかお前は!
「突然なんて事言うんです?ユイさんのご友人ですよ?ささ、お上がりなすってぇ」
僕を庇うように小粋そうな男がユイさんの向かった先へと僕を誘導してくれた。
「あの爺さん、この屋敷のオーナーだったんですけどね。いやあ、何かを持ってるって事はそれを失わないようにしなきゃいけないって事なんですかね。他所者は受け入れたくないみたいでさぁ」
何も持ってないから寛容になれていそうな男だ。
周囲を一度見るだけで、この屋敷にて使える者達が目につく。
適当に小石を投げれば、誰かしら当たってしまいそうな程だ。
「本当に沢山いますねぇ……ユイさん。すごい人柄と人望なんだなぁ」
「あたぼうよ!たった一人でこの街を立て直し、一番の街にまで仕上げた最高のシンマネ使いだからよ!」
僕はそのセリフに、どことなく違和感を感じ取った。
そして爺さんが僕をガンつけてくる事、ウェザーを始め異常なまでの召使いの数と彼女に向ける眼差し。
ユイさんは周囲の献身に対して慣れていないからなのか、困ったように笑う。
何だ……何がこの屋敷で起きているんだ……