アルフレーガシ10
アルフレーガシは既に日が暮れていた。
現実世界の僕は多分眠りについて1分も経っていないだろう。
身体の感覚で分かるんだ、この世界は時間という概念がない。
疲れはするけど、眠たくならないから。
「とは言っても、これは……マジでキツイぞ」
どれだけ試してみても、水が僕のシンマネを通さない。
何度も汲み直し、霧散していくシンマネを補給しに氷の城のオブジェまで走った。
「くぅ……うおおおおおっ!」
「まだまだ、うおおおおおお……あっ……」
その度に頭がグラつき、倒れかけた。
「ちくしょう……」
倒れかかる度にミハヤの後ろ姿が頭によぎるので、堪えた。
「シンマネ……また貰いに行かないとな」
何度も繰り返し、水を汲み直し、シンマネを貰いに行った。
アルフレーガシが栄えた理由は無限に湧き出すシンマネを使って修行が出来るからこそであり、強いナイトメアやヒトがいるはずなのだと、シキは目論見を立てていた。
シキは無事話をつけられたのだろうか。
「出来たのか?」
「うわっ!」
背後から不意を突かれるようにシキの声が聞こえ、吃驚する。
ゆっくり振り向いた時の僕の顔は彼の目にはどう映っていたのだろう。
「宿が取れたから、今日はそこで休もう。こい」
お互いの結果はどうやら芳しくないみたいだ。