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最後に見たあの魔方陣が何なのか知らないが、実際私は関係ないんじゃないかと思うんだ。

袖を引かれた気がするし、そのまま離さなかったよねあの子。

下に引っ張られたと思った瞬間意識はフェードアウト。







***








「――――――ぁ――で―」

「――――っ――さ―」



ゴゥと空気の音が耳のすぐ近くで聞こえて、閉じていた目をあけた。

目に入ってきたのは真っ青な空に・・・二つの太陽。


「―――!――だッ」

「―――いい―――ーッ」


聞こえてくるのは轟々とした空気のきる音と背中に当たる筈の地面が――ない。

そして聞こえてくるのは、下からの人の声。


「ちょっまッ・・・・落ちてる!?!?!?!」


咽の奥が引きつり、空気しかつかまない手足を我武者らに動かすが、結果は虚しくバランスを崩すだけ。

私の身体は空にほっぽり出されたように、落下するだけ。

しかも先ほど目に入ったのは地上まで結構な高さと、乾いた地面だけ。

コンクリートじゃないだけ、と考えるがこれだけ高さがあればコンクリートも土も関係ない。

あ、私死んだな。



「俺らのことはいいですからッ」

「そうですっおやめください!」

「お黙りなさい!同胞を守護するのは―」

「ぎゃぁぁあああああああああああああああっ!?!?!」


「「「「!?」」」」



―――――――――――ドンッッッ!!!!!!!!!!!!!



凄い音を聞いて、次に襲ってきたのは全身の骨が折れるような衝撃と熱さ・・・・の筈だったんだけど。


「痛く・・・ない?」


背中に感じたのは体育で使うマットに当たったかのような感触。

無意識に縮めていた身体を伸ばし、上半身を起こした。


「・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」


目が合ったのは銀髪の綺麗な髪を持つ、超絶美人。

きっと莉宇にも負けない・・・いやそれよりも白い透き通るような肌。

昔の貴族が来ているような丈の長い上着に袖口にフリルが若干付いているシャツ。

そして・・・スッと高い鼻に、赤いストイックそうな唇に深い海を思い出す青色の瞳。

今はこちらを目を見開いて見ているが、普段はクールそうな雰囲気を多分醸し出してるんだろうなぁ。


「だ、誰だ貴様はっ」

「は?」

「何故空から降ってきて無傷でいられる!?まさかお前たちの仲間か!?」


美人さんに気を取られていたせいで、全く気づかなかったが後ろから声が上がり思わずそちらを向くと、RPGに出て来る下っ端の騎士ぽい人たちが5人と、

何だあれ・・・顔や胴体は人間に見えるが背中からは羽が生えていて、脚が鳥の足の人?が檻に入っていた。


「おいっどうなのだ!」

「え?・・・えーと」

「オイッ早く答えろッ貴様は何者だ!!」


よく見れば檻に入っている人?は所々傷つき血を流し、痣を抱え、翼は片方途中から不自然に曲がっている。


「・・・いえ、こちらの方は我々の仲間ではありません」

「何!?」

「では何故生きている!コイツも魔族なのだろうッ」

「違います」

「ええい!嘘をつくなああ!」


・・・さっぱり状況がつかめませんな。

私は地べたに座りながら、ぼーっと今の状況を見ていた。

いや、まずはここはどこでしょう状態だし、あんたら誰だよって感じだし。

いやー・・・うん。


ってかさ・・・。

さっきからどうも話がやめないんだが、あきらかに檻に入れられいる人?をあの銀髪の人が助けにきている雰囲気で・・・下っ端が敵国な気がする。

私がこんなに冷静なのは蚊帳の外にいるせいもあるんだが。

先ほどからどうも、神経が麻痺っているのか現実味を帯びている感覚だ薄い。

それでも銀髪の美人さんを目で追ってしまうのは、図太いせいなのか。

確かにいつも見ていた莉宇の可愛らしさよりも美人さんのような造形の方が好みではあるが。


「・・・予想外の事態ありましたが、当初の約束は守って頂く」

「ふん、魔族風情が。約束なんぞ破棄に決まっている。ただの人が空から落ちてくる訳がないし、よりによってコイツの色は魔族独特の色合いだ。『一人で交渉に来る』この条件を最初に破ったのは貴様のほうだろう」

「・・・ッだからこの方は関係ないと」

「黙れ黙れ黙れ!!破棄と言ったら破棄だ!」

「下等な人間のくせにティアクレール様になんて口を聞いてんだっ」

「なっ何ォ!?貴様殺されたいのか!!!」

「おやめなさいっ」

「くそっ魔族めがぁああああああぁぁあああああああ!!!!!!」


5人の中でも隊長っぽい髭を生やした小太りな男が腰にあった剣を抜き、交渉していた美人さんに向けてそのきっさきを振り・・・・。








「あぁ、私には関係ないんだが・・・・その綺麗な顔に傷がつくのは頂けないかな」





ガッとつかんだのは振り下ろされた剣先。

美人さんの前に飛び出して、庇ったのはただの自己満足だ。

状況も何も分からないが、知らない土地、知らない人間。

そんな中で自分が好きだなと思った、美人さんを助けようとしてしまうのも良いんじゃないかと、言い訳が脳内に流れた。


「く、くそぉおおおおお貴様ぁぁあああああああ!!!」

「隊長をはなせ魔族めっ」

「ひぃっ」


「あなたは・・・・」

「あれ。痛くないな・・・・」


考えなしに剣先を握ってしまったが、血も出ていないし痛くない。

つかまれた隊長の人(本当に隊長だったんだね)は何やら一生懸命剣を取り戻そうとしているが、ふざけている様子はないのに全く動いていない。

・・・少し考えて、力一杯剣を握ってみる。


「なっ!!?!?」

「は、はなせぇっ」

「うっうわぁああああ」


まるで飴細工を触ったかのように、ぐにゃりと握る潰された剣先。

騎士たちはそれぞれ驚愕や恐怖に染まった顔色をみせ、こちらを見ている。

背中に庇った美人さんからも驚愕している気配を感じた。

っというか檻に入っている人・・・そんなにぽかんとした顔をしている暇があるならそこから逃げた方がいいんじゃないの?


「おっお前やはり魔族」

「貴様、私の剣をぉおおおおよくもっ」

「どうか!命だけは・・・・・ッ」


「お、おい。その色・・・まさか本物の・・・こく、黒色?」


顔を真っ青・・・いや真っ白にした騎士仲間が私を見て黒色?と言ったとたん、今まで騒いでいた他の騎士仲間が黙った。

そしてそれとともに美人さんと檻に入っている人からはヒュ、と息を吸う音が響いた。


「は?何言ってるのか分からないんだけど?」

「た、たすけ・・・・ッ」

「ぁ、ぁ、ぁぁ」

「ヒっ」

「・・・・ッ」

「どうか!命だけはっ」


最初は意気揚々と騒いでいた騎士仲間も隊長格も、嘘のようにがくがくと震え始めた。

私が握り潰した剣も身体の震えを伝い、がくがくと震え構えるというよりもこちらにただ向けている状態となっているだけだ。

意味も分からないしだんだんと面倒くさくなってきたなぁ。


「はぁ」

「う、うわぁあぁっぁぁあああああ」

「え?!」


なんと一人が大きな声を上げると脱兎のごとく背後にあった森の方へ駆け出していってしまい、それを追うように全員が逃げて行ったのである。

持っていた剣を地面に投げ捨てて、檻に入った人になぞ目もくれず。



「どういうことだ?」


「・・・うさま」

「あ、すみません。何か勝手に出しゃばっ」


「魔王様!!!」


とりあえず美人さんに謝ろうと向き合った瞬間に、片足をつけ頭を下げる美人さん。



「魔王様!!お待ちしておりましたっ」




どういうことですか?






ごっちゃごちゃである。

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