SS:ルルの害虫退治
※サトゥー視点ではありません。
リザ視点のSSです。
「うふふ、アナタがいけないんですよ? 人のモノに手を出したりするから……」
どうしましょう、ルルの様子が変です。
「さあ、大人しく退治されてしまいなさい」
包丁片手に暗い笑みをしているルルを見ると、少し背筋が寒くなります。
「あらあら、怖いのかしら? 手足を縮めて。それで隠れているつもりなの?」
追い詰めるような口調のルルに、声をかけるか迷いましたが、少し遅れてご主人様も来ると仰っていましたから、今の内に止めましょう。
「さあ、観念しなさい――」
「ルル」
私が声をかけると凄い速さで、ルルが振り返りました。両手で持つ包丁をみたら刺されそうで怖いですね。
「み、見てました?」
「いいえ、見てませんよ。それよりご主人様が来るので、小芝居はその辺にして葉野菜の害虫取りをさっさと済ませてしまいなさい」
「お、お願いリザさん、ご主人様には――」
焦ってつめよるルルは可愛いですが、包丁を持ったままなので、軽く摘まんで取り上げます。危ないですからね。
ルルに「私は誓って何も見ていません」と口外しない事を約束しました。ルルが秘密にしてくれるお礼に今日は厚切りのステーキを付けてくれるそうです。そういうつもりは無かったのですが、肉に罪はありません。美味しく頂きましょう。
「どうしたのリザ? 何か嬉しそうだね」
「いえ、なんでもありません」
これは乙女同士の秘め事ですから、ご主人様には秘密です。
※2013/08/29 の活動報告に掲載したSSの再収録です。