挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
召喚幻想紀 - 召喚魔法で作り上げた最強パーティーで成り上がり - 作者:花京院 光

第三章「魔法都市ザラス編」

21/50

第二十一話「ザラスでのひと時」

 〈ザラス・市場〉

 まずはシルヴィアのための新しい服を買おう。
 彼女の美しさを更に引き立てる服が必要だ。
 俺達は常に冒険に行く時と同じ服を着ているが、普段着る服も必要だろう。
 市場を見て回っていると、市民達から随分多く声を掛けられた。

「幻獣のゲイザーと魔獣のファイアウルフを連れている冒険者……もしかしてレオン・シュタインさんですか!?」
「ザラスのダンジョン、攻略おめでとうございます!」
「ありがとうございます」

 これじゃゆっくり買い物も出来ないな。
 賞賛してくれるのは嬉しいが、俺は当たり前の事をしただけだ。
 ベルネットさんからクエストを受けて、クエストをクリアした。
 俺はリーシアとシルヴィアの手をとって、若い女性のための服が売っている店の中に入った。

「予算は十分あるから、二人共好きな服を買うと良いよ。冒険用じゃなくて普段着る服ね」
「本当!? ありがとう! シルヴィア、一緒に選ぼう!」
「うん!」

 二人共無邪気に喜んで店の中をゆっくりと見て回った。
 これまで彼女達には服も満足に買ってあげられなかったが、今はかなりお金に余裕があるから、こういう時にしっかり買っておこう。
 しばらく待っていると、彼女達は両手一杯に新しい服を持ってきた。
 俺は店の店主に代金を支払ってからすぐに店を出た。

 これで今日の買い物は終わりだ。
 また他に必要な物が有れば、随時買い足せばいい。
 お金に余裕が有ると精神的な余裕も生まれるんだな。
 俺達はBランクの冒険者になった事で、宿代が掛からなくなった訳だから、生活費には更に余裕が生まれる。

「リーシア、シルヴィア、せっかくだからもっと良い宿に泊まろうか。Cランク以上の冒険者は宿代が無料だからね」
「私はみんなと一緒ならどこでも良いよ……」
「全く、リーシアは欲が無いわね。せっかくタダで泊まれるんだから、もっと良い宿に泊まりましょう」

 リーシアはどこでも良いと言うが、シルヴィアはタダならなるべく良い宿に泊まりたいと言っている。
 今の宿より冒険者ギルドに近い場所で、立派な宿を探そう。

 小さな店が並ぶ市場を抜けると、雰囲気の良い宿が集まるエリアに出た。
 このエリアは比較的裕福な、高ランクの冒険者が滞在しているエリアだ。
 ある意味、ザラスで一番安全、かつ戦力が集中しているエリアでもある。
 俺達はゆっくりと、宿が立ち並ぶエリアを見て回った。
 魔法都市ザラスに来てから、クエストをこなす事だけに集中していて、ろくに観光も出来ていなかったからな。

「こうしてゆっくり休むのも良いものだね。俺達は今までちょっと頑張りすぎたのかもしれない」
「そうだね、でも私はレオンと出会ってからの毎日が楽しいよ」
「俺もだよ、リーシア。廃村でリーシアに出会ってから、俺の人生は動き始めたんだ」
「私も……レオンが来てくれなかったら、あのまま教会の中で死んでいたかも……」

 リーシアと出会った事が随分昔の事の様に感じられるのは、俺達が毎日濃い生活を送っているからだ。
 実際にはそれ程長い時間を共に過ごしている訳ではない。
 だが、彼女と一緒に、生きるために必死に生きてきた時間は、とても長かった様に感じられる。
 これからも俺が守ってあげよう。
 それが精霊王から加護を頂いた俺の宿命でもあると思う。

 俺はふとシルヴィアを見ると、少し寂しそうに俺を見つめている事に気が付いた。
 俺の召喚獣なんだから、シルヴィアとももっと一緒に居る時間を作りたい。
 魔物と戦う時間ではなく、普通の友達の様に一緒に居られる時間を。
 俺がシルヴィアの手を握ると、彼女は嬉しそうに微笑んで指を絡めてきた。

 それから俺達は、ゆっくりと宿が立ち並ぶ通りを歩いて、新しい宿を探した。
 しばらく歩くと、雰囲気の良い小さな宿を見つけた。
 二階建てで、部屋数が少ない宿だ。
 宿の前にはザラスの町が一望できる景色が広がっている。
 ここにしよう。
 俺達は早速宿に入る事にした。


 〈冒険者の宿・ベルネット〉

 宿屋の名前はベルネットだった。
 もしかしてベルネットさんの親戚が経営する宿だろうか?

 汚れ一つない大理石の床、壁にはいかにも高級そうな剣がいくつも飾られている。
 大きな暖炉の中では、火属性の魔物がスヤスヤと眠りながら、温かい火を体から発している。
 普通に泊まったら一泊いくらするのだろう。
 俺達が宿の中を見て回っていると、すぐに宿の主人が近づいてきた。

「もしかして……レオン・シュタイン様ですか? 私はエドガー・ベルネットの父、カール・ベルネットです」
「マスターのお父さんですか!? はい、レオン・シュタインです。実は宿を探していまして」
「すぐにお部屋にご案内します! シュタイン様パーティーはBランクの冒険者様だと聞きました。宿泊費は無料です」
「ありがとうございます!」

 俺達は宿の主人に案内されて、二階の一番眺めの良い部屋を使う事にした。
 部屋の扉を開けてみると、そこには以前俺達が泊まっていた宿よりも三倍以上は広く、清潔で、いかにも高級そうな天蓋付きベッドと、信じられない程フカフカしているソファとテーブルが置かれていた。
 見た事もない大きさのベッドは三人で寝るには十分な大きさだった。
 フーガとゲイザーも新しい部屋に感動しているみたいだ。
 ゲイザーはフーガの上に飛び乗ると、部屋の中を楽しそうに駆け回った。

 こんなに立派な部屋がタダで使えるのだから、討伐クエストは絶対に失敗出来ないな。
 俺達は宿の主人から宿についての説明を受けた。
 宿の一階は受付と食堂。
 食堂は夜になると雰囲気の良い酒場になるのだとか。
 主人が趣味で集めた、世界各地のお酒と最高の肉料理を食べられるらしい。
 ちなみに、普通に泊まれば一番安い部屋でも一泊8ゴールドだと聞いた。
 よし、この宿に決めよう。
 俺達は市場で買ってきた荷物を降ろすと、部屋の窓を開けてザラスの美しい景色を眺めた。

「レオン、冒険者って良いわね。私はレオンみたいな強い冒険者に召喚されて嬉しいわ」
「俺はシルヴィアとリーシアを守れるくらい強い冒険者になるよ、そのためには魔法も覚えなければならないし、剣術も更に磨かなければならないんだ……」
「私もレオンとリーシアを守れるようになるわ。ダンジョンでは皆に守られていたからね」

 シルヴィアは魔法攻撃力は高いが戦闘経験が少ない。
 俺達は幻獣を討伐し、魔術師をダンジョンから救出した事によってBランクの冒険者になったが、これからも積極的にクエストをこなして、ランクに見合った強い冒険者になりたい。
 それから、やはり宿をタダで使うのは気が引ける。
 食堂と酒場を利用してなるべくお金を使おう。

「リーシア、シルヴィア。今日から七日間、クエストを休もうと思うんだけど、何かしたい事はある?」
「私は新しい魔法の練習がしたいな」
「私も。すぐに魔法を覚えて強くなりたいわ」
「それじゃ午前中は魔法の練習をしようか。午後はゆっくり休もうよ」
「それで良いわ。早速魔法の練習をしに行きましょう!」

 俺達は新しく買った魔導書を持って町を出る事にした。


 〈ザラス付近・森〉

 魔法の練習は、ザラスのダンジョン付近の森の中で行う事にした。
 勿論ベヒモスとボリスも一緒だ。
 ベヒモスは、森の中に潜む魔物を見つけては、徹底的に叩きのめすが好きなのか、倒してきた獲物を自慢げに俺の元に運んできた。
 俺はベヒモスが持ってきた獲物を見て気が付いた。
 もしかして、ベヒモスが倒した魔物の素材から新しい魔物を召喚すれば、無限に仲間を増やせるんじゃないのか……?
 仲間を増やしてパーティーを分けて、クエストをこなすのも良いかもしれない。

 リーシアとシルヴィアは魔法の練習を始めているが、俺はどうも新しいパーティーを作るアイディアが最高の考えの様に思えた。
 早速試してみるか。
 俺は退屈そうにしているベヒモス、ボリス、ゲイザー、フーガに、森の中でなるべく強い魔物を倒して素材を持ってきてくれと頼んだ。
 俺は彼らの帰りを待ちながら、新しく買った魔導書に取り掛かる事にした……。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ