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召喚幻想紀 - 召喚魔法で作り上げた最強パーティーで成り上がり - 作者:花京院 光

第二章「ダンジョン編」

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第二十話「ダンジョン攻略者の未来」

 朝起きるとゲイザーとフーガは部屋の中で楽しそうに遊んでいた。
 ゲイザーはフーガの体に器用に飛び乗ると、触手で指示した方向にフーガを進ませて遊んでいる。
 フーガに乗るなんて……。
 全く幻獣には毎日驚かされるな。

 俺は隣で寝ているリーシアとシルヴィアを起こすと、一階の酒場で簡単に朝食を済ませ、冒険者ギルドで報酬を受け取る事にした。

「レオン、まずは冒険者ギルドに行くんだよね? それからどうするの?」
「報酬を受け取ったらリーシアの魔導書を買いに行こう、それからシルヴィアの服を買いに行くつもりだよ」
「レオンは何も買わないの?」
「そうだね、特に欲しい物はないけど……火属性の魔力を強化する装飾品が有ればいいなと思ってるよ」

 俺の装備は十分とは言えないが、今の装備はまぁまぁ気に入っている。
 アッシュおじさんから貰った白銀の鎧、それから敵が落としたガントレット。
 オーガの店で買った火属性のブロードソード。
 しいて言えば全身白銀装備で揃えたい。
 そのためにはいくらお金が必要なのか見当もつかない。
 魔法学校に入学するなら学費も必要だろう。
 兎に角、色々考える前に冒険者ギルドで報酬を頂こう。
 俺達は朝の静かなザラスの町を歩いて冒険者ギルドに向かった……。


 〈冒険者ギルド〉

 今日の受付はいつもの雰囲気の良い男性だった。
 俺達がギルド内に入るや否や、彼は駆けつけてきて俺の手を握った。

「冒険者、レオン・シュタイン! 幻獣のゲイザーとキメラの討伐、おめでとうございます! このニュースはもう町中に知れ渡っていますよ!」
「え!? そうなんですか?」
「勿論です! それから、シュタインさんにお会いしたいという方がお待ちですよ」
「俺に会いたい人……?」
「はい。魔術師ギルドのマスター、レーネ・クラッセン様です」

 一体俺にどんな用事があるのだろうか。
 冒険者ギルドのカウンターの奥からは、ベルネットさんが爽やかな表情で現れた。
 手には小さな袋を持っている。
 ベルネットさんに続いて、魔術師ギルドのマスターであろう女性が出てきた。
 年齢は40代だろうか。
 いかにもベテランの魔術師といった雰囲気だ。
 銀色の髪を丁寧に後ろで編んで、手には長い木の杖を握っている。

「レオン、これが報酬だ! 十分な金額を入れておいたぞ。今回はご苦労だった!」
「ありがとうございます」

 小さな袋を受け取って、中身を覗いてみると、金貨がぎっしりと詰まっていた。
 凄いな……。
 魔術師の女性は俺に近づいて来て、深々と頭を下げた。

「レオン・シュタイン様、この度は魔術師ギルドの若いメンバーを救って下さってありがとうございます」
「いいえ……俺はクエストを遂行しただけです」
「若いのに謙虚で仲間を率いる力が有ると、ベルネット様から聞いておりましたが、これ程までに誠実な方だとは……」

 ベルネットさんは俺の事をそんな風に評価してくれていたのか。
 ありがたいな。

「私は魔術師ギルドのマスター、レーネ・クラッセンと申します。昨日、シュタイン様が救出して下さった魔術師の母です」
「俺は冒険者ギルドのレオン・シュタインです。それから精霊のリーシアと召喚獣のシルヴィアです」
「我が娘とギルドの若い魔術師の尻ぬぐいをして下さった事、大変感謝しております。これは私からの感謝の気持ちです」

 クラッセンさんは小さな宝石箱を懐から取り出した。
 宝石箱を開けてみると、中には豪華な首飾りが入っていた。
 白銀の鎖、首飾りの中央にはルビーの様な赤く燃えるように光る宝石が嵌っている。
 俺は宝石箱から首飾りを取り出して装備してみた。
 すると、首飾りからはとてつもない量の火の魔力が俺の体に流れた。
 今ならファイアボルトを無限に撃てるような気がする。
 もしかしてこの首飾りはかなり高価な物なんじゃ……?

「この首飾りは、装備した者の火属性の魔力を強化するマジックアイテムです。ベルネット様からシュタイン様は火の魔法の扱いに長けていると聞きました」
「こんなに立派な物を頂いても良いのですか?」
「勿論です。娘の命を救って頂いたお礼です。それから、魔法学校に入学を考えているとか……?」
「そうですね、攻撃魔法を覚えたいので……」
「それでしたら是非、ブライトクロイツ魔法学校に入学されてはいかがでしょうか。最高の魔法教育が受けられて、魔術師以外の生徒も多い学校ですよ」

 最高の魔法教育か。
 俺は魔法も使える戦士になるつもりだし、魔法が得意なリーシアの才能をもっと伸ばしてやりたい。
 俺とリーシア、それからシルヴィアが専門的に魔法を学べば、俺達パーティーが更に強くなれる事は間違いないだろう。

「シュタイン様、ブライトクロイツ魔法学校は魔術師ギルドが経営する魔法学校です。私は魔法学校の学長を務めているのですが、学長の権限により、シュタイン様の学費と入学金を免除する事も出来ます」

 学費と入学金が免除?
 無料で魔法の教育を受けられるのか?
 しかし、気になるのは一日にどれだけの時間、学校に拘束されるかだ。
 魔法を覚えたい気持ちはあるが、一日中魔導書と睨めっこしたり、長々と授業を聞いたりする気はない。
 それよりも、覚えた魔法を魔物相手に使ってクエストをこなしている方が楽しいに決まってる。
 俺が頭の中で色々考えていると、ベルネットさんがそっと近づいて来て耳打ちをした。

「魔術師ギルドはレオン達の力が欲しいのさ。学校に所属するのは悪くないと思うぞ。既にBランクの冒険者として功績をあげているんだ。つまらない授業なんてサボっても誰も文句は言わんだろう。魔法学校に入って学びたい事だけを学び、普段は冒険者ギルドのメンバーとして、いつも通りクエストをこなせばいい」
「そんな事も出来るのでしょうか?」
「ああ、勿論だ。Bランクの冒険者を三人も自分の学校で囲えるんだからな。それくらいは許されて当然だ」

 俺はリーシアとシルヴィアの方を見てみると、二人共目を輝かせて俺を見つめている。
 彼女達のためにも魔法学校とやらに入学してみるか。

「一つ問題があるんですが。俺は精霊のリーシアと自分の召喚獣であるシルヴィアとは常に共に行動をしたいんです。俺だけが魔法学校に入るのはちょっと……」
「シュタイン様のおっしゃりたい事はわかります。精霊のリーシア様と召喚獣のシルヴィア様の学費と入学金も全額免除致します。お金に関する心配はしないで下さい」
「ありがとうございます。それならまず見学をしてみても良いですか? それから入学をするかどうか決めます」
「勿論です。日にちはいつがよろしいですか?」
「そうですね、しばらくは休みたいので、一週間後でも良いでしょうか?」
「かしこまりました。それでは一週間後の朝に冒険者ギルドに迎えに参ります」
「よろしくお願いします」

 こうして俺達は今日から一週間後に、ブライトクロイツ魔法学校という、魔術師ギルドが経営している魔法学校の見学に行く事が決まった。
 俺は戦士を目指してアルシュ村を飛び出してきたが、よく考えてみれば俺の戦い方は魔法剣士そのものだ。
 魔法と剣術を駆使して戦うのが好きだ。
 この機会に魔法を学ぶのも良いかもしれない。
 俺は魔術師ギルドのマスターと、ベルネットさんに礼を言ってからギルドを出た。

 まずはリーシアのための魔導書を買わなければならない。
 魔導書を買う店は既に決めてある。
 ブルックさんの魔法道具専門店で魔導書を買おう。


 〈ブルックの魔法道具専門店〉

 俺達が店の扉を開けると、店主のブルックさんは嬉しそうに走ってきた。

「レオン達のニュースを聞いたぞ! ザラスのダンジョンの初攻略おめでとう!」
「ありがとうございます、ブルックさん!」
「朝から私の店に来てくれるとは光栄じゃな。今日は何を探しているのかな?」
「実はリーシアのための魔導書を探しています。以前売って頂いたアイスランスとリジェネレーションは既に覚えてしまったので……」
「なんと、これ程までに短期間で二種類の魔法を自分のものにしてしまうとは……」
「俺も精霊の力には毎日驚かされますよ。リーシアが居なければダンジョンでの勝利はありませんでした」

 俺がリーシアを見つめて言うと、彼女は嬉しそうに俺の背中に抱き着いてきた。
 リーシアの心地の良い魔力が伝わってくる……。

「さて、実はもう既に新しい魔法については考えているんだ。氷属性の防御魔法、アイスウォールと聖属性の攻撃魔法、ホーリークロスじゃよ」
「アイスウォールとホーリークロスですか?」
「そうじゃ、アイスウォールは氷の壁を作り出して敵の攻撃を防ぐ、それから足場としても使う事が出来る魔法じゃ。ホーリークロスは聖属性の攻撃魔法で、闇属性の敵に抜群の効果がある」
「それじゃ、その二つの魔導書を買う事にします」
「30ゴールドだよ」

 魔導書は二冊で30ゴールドか、かなり高価な物なのだろう。
 だが、リーシアが新しい魔法を覚えられるのなら、俺はいくらでもお金を使うつもりだ。
 まずはベルベットさんから頂いた金貨の袋を開けて中身を確認する事にした。
 中には10ゴールド金貨が50枚入っていた。
 500ゴールド……。
 凄い金額だな。
 幻獣を二体討伐して女を一人救出した報酬としては十分すぎるのかもしれない。
 勿論、幻獣の討伐の相場は分からないが、今の俺達にはこれだけのお金が有れば、買いたい物は全て買えるだろう。
 俺はブルックさんに代金を支払うと、シルヴィアは店の中を回って一冊の本を持ってきた。

「ねぇ、レオン。私、この魔導書が有ればもっと強くなれると思うの」

 シルヴィアが持ってきた魔導書のタイトルは『魔導書・ゲイルランス』だった。

「ほう、その魔導書を選ぶとは……お嬢さんはお目が高いのぅ」
「ゲイルランスってどんな魔法なんですか?」
「簡単に言えば風の魔力で作った槍を落とす魔法じゃよ。威力は術師によって変わるが、なかなか使いどころの難しい魔法じゃな」
「そうなんですか?」
「まず敵に当てる事が難しい。使いこなすのは難しい魔法だが、一発決まれば弱い魔獣なんかは即死じゃろうな」
「即死ですか……この魔導書も下さい」
「20ゴールドじゃよ」

 俺が魔導書を買ってシルヴィアに渡すと、シルヴィアは嬉しそうに魔導書を抱きしめた。
 彼女も新しい魔法を覚えたかったのか。
 シルヴィアも風の魔法が得意な幻獣だからな。
 魔法の攻撃力ではリーシアと同等、もしくはリーシア以上だ。
 魔法学校に三人で入学したら、俺は確実に後れを取る事になるだろう。
 それだけは避けたい……。
 思い切って俺も新しい魔法に挑戦してみようか。

「ブルックさん、俺も新しい魔導書が欲しいです!」
「ほう! 三人揃って更なる力を求めるか! 幻獣との戦いでは炎の矢を飛ばしたと聞いたぞ。それならこんな魔法はどうかの」

 ブルックさんが持ってきた魔導書の名前は『魔導書・アローシャワー』だった。
 きっと炎の矢を降らせる魔法だろう。
 俺は今まで炎の矢を単発で撃っていたが、複数の矢を同時に放つのも良いかもしれない。
 魔力が足りるかは分からないが、毎日練習し続ければ魔力の総量も増える。
 魔術師ギルドのマスター、クラッセンさんから頂いたこの首飾りの力が有れば、複数の炎の矢を飛ばす事も出来るかもしれないな。

「これを下さい」
「30ゴールドじゃよ」

 俺は代金を支払ってから、ブルックさんにまた近いうちに来ると告げて店を出た。
 これからシルヴィアの服を買って、しばらくはザラスの町を満喫しよう。
 あと一週間はクエストをせずに休むつもりだ。
 俺はアルシュ村を出てから、毎日忙しく働きすぎた。
 たまには休むのも良いだろう。
 俺達は朝のザラスの町をゆっくりと歩き始めた……。
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