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召喚幻想紀 - 召喚魔法で作り上げた最強パーティーで成り上がり - 作者:花京院 光

第二章「ダンジョン編」

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第十四話「酒場での出来事」

 〈宿・酒場〉

 宿に戻ってきた俺達は、一階の酒場でこれからの冒険者としての生きた方について話し合う事にした。
 俺は酒場のマスターに葡萄酒と適当な肉料理を頼むと早速話し合いを始めた。
 俺の左側にはリーシアが、右側にはシルヴィアが座っている。
 ちなみに俺の足元ではフーガが眠たそうに寝転んでいる。

 まずはシルヴィアに、俺が冒険者を目指したきっかけや、得意な属性、戦い方等を詳しく説明し、次にリーシアとの出会いや、召喚した仲間の戦い方や癖を教えた。
 シルヴィアは俺の説明を静かに聞くと、一度で自分が置かれた状況を把握した様だ。

「私はレオンとリーシアをAランクの冒険者にするために生まれたのね?」
「まぁ……そういう事だよ。強い仲間が欲しかったんだ」
「それなら私は強くならなければならないわね」
「きっと今でも十分に強いと思うよ。これからダンジョンを探索するにあたって役割を決めようと思うんだ」
「私は何をしたら良い?」

 やはりシルヴィアは知能が高い。
 召喚されたばかりだというのに、俺達パーティーでの役割を考えようとしている。
 風を扱う幻獣なら、風の魔力で俺達パーティーを援護して欲しい。
 後方から魔法で攻撃をしてもらおうか。
 俺はまだ彼女の戦闘能力は知らないが、道具屋で感じた彼女の風の魔力は尋常ではなかった。

「風の魔力を使って俺達を助けて欲しい。一緒にザラスのダンジョンを攻略しよう!」
「わかったわ。頑張ってみる」
「ありがとう、頼りにしているよ」

 俺はシルヴィアを見ていると、改めてかなりの美人だという事に気づいた。
 色白の肌に緑色の目、銀と緑が混ざったような美しい髪。
 リーシアも相当美しい女性に成長したが、シルヴィアもまた美しい。
 酒場で酒を飲んでいる連中の中には、シルヴィアに色目を使っている者も何人か居る。
 男ならシルヴィアやリーシアの様な綺麗な女性に憧れるのではないだろうか。
 酒に酔った男達の中の一人が、立ち上がって俺達の方に近づいてきた。

「おう、兄ちゃん。良い女連れてるじゃねえか」
「え? 何か用ですか? 今忙しいんです」
「俺達は男だけで飲んでるんだけどよ、どっちか一人、女貸してくれねぇか?」
「面倒だな……」

 身長は俺より20センチ以上も高く、腰にはショートソードを差している。
 明らかに力の強そうな剣士風の大男は俺の肩に手を置いた。
 瞬間、俺の足元で眠たそうに休んでいたフーガは、全力で大男の左手に嚙みついた。
 大男は反応が間に合わずにフーガの一撃をもろに喰らった。

「いてぇぇぇ!」

 大男は咬まれた左手から血を流して俺を睨んでいる。
 なぜ俺が絡まれなきゃならないんだ……。
 しかし、フーガはよく反応したな。
 流石に毎日俺と訓練をしているだけの事はある。

 大男は腰に差していたショートソードを右手で抜くと、俺に向けて剣を構えた。
 大男が剣を構えた瞬間、シルヴィアは咄嗟に立ち上がって、両手から風の魔力を放った。
 シルヴィアが風を放つと、大男はいとも簡単に宙を舞った。
 風によって吹き飛ばされた大男は、店の壁にとてつもない勢いでぶつかると、一撃で意識を失い、力なく倒れた。
 シルヴィアってやっぱり強いんだな……。
 一瞬の攻撃に込められた風の魔力、魔法を発動するまでの速度、攻撃の正確さは、既に俺の魔法攻撃をも上回っているような気がする。
 これが魔獣クラスの魔物の更に上に君臨する幻獣の力か……。

「よくやった、シルヴィア!」

 俺はシルヴィアを褒めてから、無様に床に横たわる大男を叩き起こした。

「おい、こんなところで寝てたら風邪ひくよ。それから、もう俺達には構うなよ」
「ああ……すまねぇ。酒に酔っていたみたいだ……」

 もめごとが大きな問題にならなくて良かった。
 俺が席に戻ると、テーブルには既に料理が運ばれていた。
 三人分の葡萄酒と魔物の肉を使った鍋料理だ。
 店主の説明によると、レッサーライカンの肉なんだとか。

「レオン、早速料理を頂きましょう」
「そうだね」

 リーシアもシルヴィアも、何事も無かったかの様に食事を始めた。
 二人とも強いな……。
 俺も鍋料理を食べる事にするか。
 レッサーライカンの肉を一口食べてみると、口の中には香り豊かなスパイスの風味が広がり、肉を噛むとあっさりとした肉汁が出てきた。
 旨いな……。
 葡萄酒をゆっくりと飲みながら今後の事を考えよう。

 まずは今持っているお金で、俺とリーシア、それからシルヴィアの装備を買おう。
 そして明日はついにダンジョンの攻略だ。
 冒険者ギルドの情報だと、ダンジョンの地下二階までは冒険者ギルドのメンバーが攻略済らしく、地下三階はまだ誰も到達出来ていないらしい。
 ギルドマスターのベルネットさんの推測によると、地下三階にダンジョンを支配する魔物が居る可能性が高いというのだ。
 仲間を死なせずに、安全にダンジョンを攻略出来れば良い。

「レオン、難しそうに考えてないで一緒に食べましょう」
「そうだね、シルヴィア」

 シルヴィアとリーシアは既に親しくなったのか、リーシアがこれまでの冒険の話を楽しそうに話している。
 シルヴィアはそんなリーシアを優しい眼差しで見つめながら、嬉しそうに話を聞いている。

「レオン! 私も早く冒険に行きたいわ。すぐにでもダンジョンを攻略しましょう」
「勿論だよ。明日からダンジョンの攻略を始める! 俺達がザラスのダンジョンを最初に突破した冒険者として名を遺すんだ!」

 俺達はそれから夜遅くまで葡萄酒を飲み、これからの人生について語り合った。
 リーシアはしばらくは冒険者を続けたい様だ。
 俺と共にAランクの冒険者になるのが目標だと言っている。

 シルヴィアは俺とリーシアと一緒に居られるならそれで良いと言っている。
 勿論、彼女はまだこの世界に生まれたばかりだから、自分のしたい事は見つかっていないだろう。
 いつの日か、シルヴィアが本当に自分のしたい事が見つかった時は応援するつもりだ。
 俺の召喚獣だからな。

「レオン、そろそろ部屋に戻ろうか」
「そうだね。俺達の部屋に戻ろう」

 俺達はすぐに部屋に戻り、身に着けていた装備を置くと、やっとEランクになれたという実感が湧いてきた。
 今、俺の人生はゆっくりと、着実に進んでいる。
 この毎日前進している感覚が好きだ。

 魔物を討伐して冒険者ギルドに素材を納品する。
 討伐の報酬を貰って仲間と美味しい食事を頂く。
 俺が望んでいたのはこんな生活だった。
 今の生活をなるべく長く続けられるように、そして、仲間が俺の事を誇れるように、俺は立派な冒険者になりたい。
 必ずAランクの冒険者になるんだ。
 それから、あまり得意ではない魔法も練習しなければならないな。
 機会があれば魔法を専門的に教えている学校にでも通ってみようか。

「レオン、先にお風呂に入るね」
「わかったよ」

 リーシアはシルヴィアの手を取って浴室に入っていった。
 仲間同士が仲が良いのも嬉しい事だ。
 本当に良い仲間に恵まれたな。

 リーシアとシルヴィアが風呂から上がると、俺はすぐに湯に浸かった。
 魔物との戦いの疲れを癒すためにしっかりと湯に浸かり、筋肉をほぐす。
 体のあちこちが筋肉痛になっているが、タンパク質が豊富に含まれている肉や卵を食べていればすぐに回復するだろう。
 冒険の旅に出てから、俺の体も少しずつ筋肉が増えてきたな。
 筋力を増やすための特別なトレーニングはしていないが、毎日スケルトン達と剣を交えて鍛えている。
 実戦形式の訓練の方が、単純な筋力トレーニングよりも実際の戦闘時に使う筋肉が鍛えられると思ったからだ。

 ゆっくりと湯船に浸かってから部屋に戻ると、リーシアとシルヴィアは一つのベッドで既に眠ってしまった様だ。
 俺は空いているもう片方のベッドにフーガを入れて横になると、フーガの温かい火の魔力を感じながら眠る事にした……。
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