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召喚幻想紀 - 召喚魔法で作り上げた最強パーティーがチートすぎる件について - 作者:花京院 光

第二章「ダンジョン編」

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第十五話「新装備とクエスト」

 朝、目が覚めるとリーシアとシルヴィアは部屋の中で魔法の練習をしていた。
 二人共朝から随分熱心なんだな……。
 リーシアは既にリジェネレーションを完成させた様だ。
 何度も楽しそうにリジェネレーションを唱えている。

 シルヴィアはオリジナルの魔法でも作ろうとしているのか、風の魔力で作った刃を使って、朝食用の堅焼きパンを切り裂いている。
 凄い魔法だな……。
 シルヴィアの風の魔力は、どうやら柔らかい物体なら簡単に切り裂けるようだ。
 ちなみにシルヴィアは風の刃を飛ばす攻撃を『ウィンドエッジ』と名付けた様だ。
 俺が寝ている間にオリジナルの魔法まで作ってしまうなんて。
 幻獣の力は素晴らしい。

「おはよう、レオン。目が覚めたの?」

 シルヴィアは俺のベッドに腰を掛けると俺の頭を撫でた。
 恥ずかしいな……。
 朝日がシルヴィアの髪に当たって美しく輝いている。
 この世の生き物とは思えない美貌だな。

「おはよう、シルヴィア」
「レオン、あなたを驚かそうと思って新しい魔法を作ったの!」
「さっき見ていたよ。風の魔力で物体を切るんだね」
「うん、攻撃魔法が必要だと思ったの」
「確かにね、しかし新しい魔法を作るなんて……シルヴィアは本当に凄いよ」
「ありがとう……」

 ベッドから起き上がってシルヴィアの体を抱きしめると、暖かくて柔らかい彼女の胸が俺の体に当たった。
 シルヴィアの銀色と緑色が混ざった美しい髪を梳かすと、嬉しそうに俺を見つめた。
 恥ずかしいな……。
 そんな様子を見ていたフーガは、ベッドの上に飛び乗って俺とシルヴィアの間に頭を突っ込んだ。

「よしよし!」

 俺はフーガの頭を撫でてから毛を梳かしてあげた。
 さて、今日は初めてダンジョンに向かう日だ。
 まずは朝食を食べる事にしよう。
 堅焼きパンを割いてチーズを挟む。
 パンに火の魔力を注いで中のチーズを溶かすと完成だ。
 パンの中に入っているチーズのとろりとしたコクが口の中に広がった。
 旨いな……。
 俺はリーシアとシルヴィアにも同じように堅焼きパンにチーズを挟んで温めた物を渡した。

「これは美味しいわ! 間に肉が入っていたらもっと美味しくなりそう」
「そうだね、柔らかい肉があったらもっと美味しいかも。今度試してみようか」

 リーシアもシルヴィアも美味しそうに堅焼きパンを食べている。
 俺達はシンプルな朝食を済ませると、すぐに宿を出る事にした。

 今日の予定は新しい装備の購入だ。
 まずは俺の新しい剣を買わなければならない。
 今使っているブロードソードは、魔物との戦いでかなりボロボロになってしまっている。
 それからリーシアのための防具とシルヴィアの装備を揃える必要がある。
 正直、シルヴィアにはどんな装備を使わせたら良いかわからない。
 風の魔法が得意だという事は知っているが、もしかすると接近戦闘にも適正があるかもしれない。
 盾と短めの剣を渡しておけば良いだろうか?

「まずは武器を買いに行こうか。装備を新調しよう」
「楽しみだなぁ……新しい装備か」
「うん。お金にも余裕があるし、ダンジョンを攻略する前に新しい装備を揃えようか。シルヴィアのための装備も一式買うつもりだよ。早速出発しよう」

 俺はアッシュおじさんから頂いた白銀の鎧を装備し、腰にはブロードソードを提げた。
 背中には冒険に必要なアイテムが入っている軽い鞄を背負った。
 準備は万端だ。
 早速新しい装備を買いに行こう
 俺達はザラスの中で一番大きな武具屋に向かった……。


 〈武器、防具の専門店・オーガ〉

 小さな露店が立ち並ぶ商業区の中でも一際大きい建物を見つけた。
 露店ではなく、立派な店を構えている。
 二階建ての背の高い石造りの建物だ。
 店の看板には魔物の名前が書かれている。
 オーガか……。
 オーガと言えば幻獣クラスの魔物だったはず。
 勿論見た事は無いが、魔物関係の書物で見た事がある。
 頭には二本の角が生えていて、巨体。
 赤い皮膚で筋骨隆々の魔物だ。
 筋力では幻獣クラスの魔物の中でもトップクラスなんだとか。
 俺達は店の扉を開けると、中にはまさにオーガが居た。

「え……? 嘘だろう……」

 店の扉を開けた瞬間、3メートルを超える巨体のオーガが金槌を持って現れた。
 夢か?

「いらっしゃい、今日は何を探しているんだ? 武器か? 防具か?」
「え……はい。両方です」
「ちょっと待っているんだ」
「はい」

 俺がどんなアイテムを探しているかも伝えていないのに、オーガは勝手に俺達のアイテムを選び始めた。
 巨体のオーガは、広い店の中を歩き回って、一つ一つ丁寧に武器を確認すると、俺の元に戻ってきた。
 手には一振りの剣を持っている。

「火属性を強化するブロードソードだ」
「ブロードソード、しかも火を強化する……?」
「そうだ、お前さんの体から強い炎を感じたんでな。俺も戦闘の時は火の魔法を使って戦う」

 オーガから受け取った剣を鞘から抜いてみると、今でに感じた事もない程、強い炎を武器自身から感じた。
 これが武器の持つ力か。
 今俺が使っているブロードソードとは比較にならない程、強力な武器だという事は間違いない。
 果たして俺の手持ちの250ゴールドで買える物なのだろうか。

「いくらですか……?」
「150ゴールドだ」
「なかなか高いんですね」
「あぁ、最高の武器だからな」

 値段は高いが、物は最高に良い。
 俺自身の火の魔力を強化してくれる。
 装備しているだけで気分が良くなるような武器だな。

 それからリーシアのための軽くて丈夫な鎧とマントを選んで貰った。
 素材は俺が装備している白銀と同じ素材だ。
 だが、俺の鎧よりも更に薄く、非常に軽い。
 マントは防寒用でもあるが、火属性に耐性がある物だ。
 最後に、俺はシルヴィアのための装備をオーガに選んで貰う事にした。

「風の扱いに長ける幻獣か。まさか自分と同じランクの魔物に出会えるとは……」

 オーガは小さく呟いてから、シルヴィアのための武器と盾、それから鎧を持ってきた。
 武器は短くて軽いショートソードだった。
 力の弱い女性にはショートソードが良いだろう。
 片手で扱えて魔法攻撃もしやすい。
 シルヴィアがオーガからショートソードを受け取ると、店の中には心地の良い風が吹いた。

「やはりな。お前さんにはこのショートソードが合うようだ」
「そうみたい。ねぇ、レオン。私、この武器が気に入ったわ」

 それからシルヴィアはオーガから盾を受け取った。
 盾の形状はラウンドシールドだ。
 シルヴィアの新しい装備はショートソードとラウンドシールドに決定した。
 ちなみに、鎧は軽くて薄いライトアーマーだ。

 全部で220ゴールドだった。
 少しお金を使いすぎたかもしれないが、仲間のための装備はこだわっておきたい。
 全ての装備が揃ったとは言えないが、お金が貯まり次第、随時買い足せば良い。

「最高の装備をありがとうございます。また来ます」
「あぁ、いつでも来るといい。力を求める者よ」

 俺達はオーガに礼を言ってから店を出た。
 随分恰好いい店主だったな。
 シルヴィアと同じランクの幻獣が店を構えているなんて。
 知能が高い幻獣だからこそ可能な生き方だな。

 それから俺達はダンジョンに潜るための食料を買って、アックスビークのボリスの背中に積んだ。
 日持ちする堅焼きパンとチーズ、それから乾燥肉に調味料。
 瓶に詰まったナッツが一つにドライフルーツ。
 ダンジョン内での水分の補給に関しては、リーシアが魔法で作り出した氷を俺が火で溶かして水にする。
 そうすれば飲料水には困らない。
 最後に冒険者ギルドでクエストを確認すれば完璧だ。
 俺達は早速冒険者ギルドに顔を出す事にした。


 〈ザラス・冒険者ギルド〉

 俺達が冒険者ギルドに入ると、ギルドマスターのベルネットさんが慌てて近づいてきた。
 ベルネットさんの肩には見た事もない鳥類の魔物が留まっている。
 書物を送るための魔物だろうか。
 足には手紙を入れるための小さな筒が付いている。

「レオン! 突然で悪いが頼みを聞いてくれないか?」
「え? どうしましたか? 俺で良いなら何でも手伝いますよ」
「そうか、その言葉が聞きたかった! 実は今入って来た情報なんだが、魔術師ギルドの若い連中が、ザラスのダンジョン中で魔物に取り囲まれているらしい! かろうじて結界を張って魔物の侵入を防いでいるらしいのだが、一刻を争う状況だ。俺が直接救出に向かいたいのだが、俺も今から他の討伐クエストに出発しなければならない! 今うちのギルドで動けるのは君達だけなんだ!」
「え? 魔術師ギルドの連中が? 勿論良いですけど……他に魔術師ギルドで動ける人は居ないんですか?」
「居ると言えば居るんだが、駆け出しの魔術師以外は居ないんだ。魔術師ギルドのマスターも今は他の大陸に遠征に行っている。ザラスのダンジョン付近の魔物を討伐し続けてきたレオン達ならダンジョン内の魔物にも負けないだろう」
「分かりました。俺達が救出に行きます」
「レオン、これを持っていくと良い。魔術師ギルド製の最高級のポーションだ」

 ベルネットさんは懐から赤く輝くポーションを取り出した。
 彼の説明によれば、即死以外の怪我ならこのポーションで再生出来るのだとか。
 きっと目が飛び出るほど高価なアイテムなんだろうな……。
 ありがたく頂こう。

「これは正式なクエストだ! このクエストをクリア出来れば、君達は一気にCランクに昇格出来る! それ程までに高難易度のクエストだと思ってくれ! それから、助けになるかはわからんが、これも渡しておこう。強力な魔物の素材だ。俺がかつて倒した幻獣のベヒモスの爪! いざとなったら召喚を試みると良いだろう」

 幻獣の素材!?
 まさかそんなに高価な物まで頂けるとは。
 幻獣が居れば俺達の戦闘力は確実に上がるだろう、しかし、それは召喚獣が強い状態で生まれた場合に限る。
 アックスビークのボリスが生まれた時は、魔物と戦えるような強さでは生まれなかった。
 しかし、シルヴィアは生まれた時から、既に強い風の魔力を持っていた。
 きっと素材が持つ魔力が強かったから、強い状態で生まれたんだ。
 この爪に命を託す瞬間が来なければ良いが……。

「若き魔術師を救ってきてくれ! 精霊王の加護を持つ戦士、レオン・シュタイン! 精霊リーシア! それから……幻獣のウィンドデビルか? それじゃ俺は魔物の討伐に出発する!」
「わかりました! 必ずやこのクエスト、成功させてみせます!」
「期待しているぞ! では!」

 そう言うと、ベルネットさんはギルドの前に停まっていた馬に飛び乗ってザラスを発った。
 クエストか……。
 やってやる。
 俺達ならきっと今回のクエストも達成出来るに違いない。
 ギルドの前に待たせておいたボリスの背中に飛び乗ると、すぐに町を出た……。
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