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戦国小町苦労譚 作者:夾竹桃

元亀二年 比叡山延暦寺

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千五百七十一年 十二月下旬

たこ焼きとたい焼き、大判焼きの大試食会を前に、静子は自身が権益を握る港街へ足を運んだ。
静子は牡蠣や海苔養殖、また一部の係留施設を管理・運営する権利を持ち、停泊する船舶から税を徴収できる身だ。
しかし、静子は税収の大半を養殖場の拡張へと再投資している。その甲斐もあって当初は牡蠣だけであった養殖対象は、アサリにホタテ、アワビ、サザエと手広く扱うことに成功していた。
余談だが淡水生の貝であるシジミも別途養殖場を設けて生産に乗り出している。
食用以外の品種では真珠貝として有名な阿古屋貝(あこやがい)にも手を伸ばし、真珠の養殖による安定供給を開始した。
大型の食用貝として見込んだサザエとアワビは飼育が難しく失敗の連続だが、アサリやシジミ、ホタテは養殖の目処が立ち、安定供給に向けてスタートが切れた。
資金源として見込んだ真珠養殖は天然の阿古屋貝も用いたため、真珠の質にばらつきがあったが大粒の物を多く収穫できた。
貝自身も揃えて養殖する来年や再来年には、粒の揃った8ミリサイズの真珠を安定生産できるようになる見込みだ。

「今回は甲の真珠が多いね」

「へいっ、今年の真珠は出来が良いようです」

静子の言葉に真珠養殖の頭である親方が、後頭部をかきながら愛想笑いをする。

真珠はその大きさでグレードが分かれる。静子は上から直径8ミリの物を甲、7ミリを乙、6ミリ以下を丙ランクとして定めた。
8ミリを超える大粒の真珠が得られる事もあるが、8ミリ以上は規格外として甲ではなく最低ランクの丁とした。
これは8ミリ以上の真珠を得ようとすると生育期間を延ばす必要があり、貝の死亡リスクが跳ね上がりハイリスクハイリターンの博打になってしまう事が一点。
その博打に勝利しても10ミリ程度が限度であり、おおよそリスクに見合わないのが一点。
これらの事から真珠養殖に携わる人たちが大きいサイズを得ようとする意識自体を抑制する狙いがあった。
生産された真珠はグレードによって用途が分けられる。
甲乙の上位ランクは宝飾品として装飾用に用いられるが、乙以下の下位ランクのものは薬用(真珠は良質のカルシウムであるため粉末にした散薬が解熱剤として用いられる)や化粧品などの材料とした。
また阿古屋貝自身も食用に適しているのだが、濫獲を防ぐため原則として捕獲を禁止した。
真珠を取り出す際に副産物として得られる貝柱は例外的に養殖業者と周辺住民に加えて、静子達管理サイドに属す者のみが食すことを許された。
貝柱以外の肉片は内臓を除く一部を新しい真珠の核材として再利用し、余った部分も有機物は肥料に加工する。
貝殻自身にも美しい真珠質を持つ阿古屋貝は、貝殻さえも磨けば美術工芸品として京や堺でもてはやされた。

「うっし、計算終わり。税を引いて大体これぐらいのお値段だね」

真珠に限らず養殖業に従事する者は、養殖が軌道に乗り質・量が安定するまで販路を持つことを許されない。
これは規定の品質に満たない物を市場に流した結果、養殖ものは天然ものに劣る二流品であるという固定観念を抱かれるのを防ぐためであり、また静子が管理する街全体の評価を保つためでもあった。
養殖業者も人間である以上は飯の種が無ければ飢えてしまう。そこで養殖が安定するまでの間は、全てを静子が買い上げて選別し御用商人に卸すという方式を取っていた。
安定した生産実績を積み上げた業者のみが、静子の手を離れ独自の販路を持てるようになる。
とはいえ、完全に自由な独自販路は許可されず、信長が管理する卸組合を通してのみ売買が可能となっていた。

「おお、ありがとうごぜえます」

静子が金子の入った木箱を真珠の親方に渡し、代わりに親方は一つ一つの真珠を木綿で包み、外壁や互いに接触しないよう配慮された木箱を静子の兵に渡していた。

「あ、そう言えば先日、近所の小僧が、何でもやたらくせぇ石を拾ったとか。確か、静子様はそういった石を集めておられると伺いましたが、まだお入り用ですか?」

8割がた積み終えた所で、ある事を思い出した親方がふいに呟いた。

「……ちょっと詳しい話を聞きたいな。出来れば現物があると助かる」

「へい、わかりやした。おい! 助んとこのせがれと、あいつが拾った臭う石、持ってくるように言ってくれ!」

近くにいた若い衆に親方は声を飛ばす。若い衆は背筋を伸ばすと、慌てて飛び出していった。少し間を置いて、長く漂流したのか角が取れて丸くなり白く変色した石と、14歳ぐらいの男子を連れて戻ってきた。

「うわ、くせぇ! 確かに臭うぜ」

鼻をつまんで親方は手を振って臭いを追い払う。一方静子は若い衆から小ぶりな漬物石程もある石を受け取ると、入念にチェックを開始する。
漂流によって外部が削られた上に紫外線に晒され、酸化してはいるが表層に特徴的な嘴状の物が原型を留めており、例のモノだと判明した静子は笑う。

「これはまさに私が探しているものだね。とりあえず重さは……おおよそ700グラムかな。表面は削り取らないと駄目だけど、これほどの大物なら高く買い取るよ」

「買い取るって……その臭いのを? ちなみにいかほどで?」

「とりあえず60貫でどう?」

「60貫ッ!?」

60貫は現代の金銭価値にすればおよそ600万円だ。数万円で一ヶ月過ごせる彼らからすれば、600万は途方もない大金になる。

「隣国がこれを珍重して欲しがっているのよ。でも鯨が特定の病気にかからないと取れない代物でね。うちは捕鯨しているけど、未だに入手できていないから本当に君は運が良いよ」

そう言って悪臭を放つ白い石、もといマッコウクジラの結石である龍涎香りゅうぜんこうを指さす。
龍涎香は結石ではあるものの貴重な天然香料だ。マッコウクジラを解体した際に体内から得るか、排泄された結石が海岸に漂着したものを偶然拾う以外には入手方法が無い。
龍涎香は水よりも比重が軽く、海面に浮いて漂流するため運次第で一攫千金を実現できる夢の素材でもある。
現代の伊勢湾には魚貝類の棲息しか確認されていないが、20世紀ごろまではクジラやシャチと言った大型海棲哺乳類が生息していたという記録がある。
伊勢湾近くに偶然通りがかったマッコウクジラが居り、かつその個体が胆石を持ち、更にこのタイミングで対外に排泄した上で、外洋に流される事なく漂着し、波打ち際で砕かれる前に偶然にも子供が拾うという、天文学的な確率を潜り抜けたのがこの龍涎香だと言える。
龍涎香は単体だと悪臭でしかないが、他の香料を混ぜた上で焚き上げると、その香りを長く保ちつつふくよかで重厚な香りを加えるという、他に例を見ない効能を持っている。

「あ、どうぞどうぞ。60貫で良いです」

途方もない大金を提示され、これならもっと値を吊り上げられるかも欲が出かけた小僧だが、すぐに致命的な問題に気が付いた。
自分が臭い石を拾った事は親方や若い衆にも知れ渡っている上に、大金で売り渡した事も知られている。
今さら値をつり上げたら何と言われるか分からないし、静子は地域一帯に仕事を与えている人物だ。そんな人物から金子を巻き上げたと噂されれば、どんな目に遭うか分からない。
ここは静子が提示した言い値で渡すのが最も利口だと判断した。

「そう? じゃあ60貫を持ってこさせるよ」

兵士の一人に60貫を持ってこさせた静子は、助のせがれに木箱を渡す。そして龍涎香を大事に箱へ仕舞うと、傍にいた兵士たちに命じる。

「用事は終わり。居館へ戻るよ」






真珠が入った木箱を持ち帰った静子は、早速大きさでグレード分けされた真珠を更に細かく選り分ける。
チェックの基準は様々だが、基本は照り、傷の有無、形状、色味の四つで選別する。
まず真珠の形状が真球か歪みがあるかをチェックする。真球であるかを確認する理由は、真球は真円を描き、円を縁とかけて縁起物として評価されるからだ。
傷の有無や照りは見栄えに関係する。いくら真円であろうとも傷があったり、くすみがある真珠では価値が下がってしまう。
色味をチェックする理由は、真珠質は白色のみが形成されるのではなく、様々な要因で色味をおびて黒や赤い色味がついた真珠が出来上がることがあるためだ。
阿古屋貝から取れる真珠は白色を最上とし、色付きは下とみなされる。
こうしてチェックが終わった真珠は最高品質に特、高品質に上、低品質に下と更に細分化する。
真珠の中で最高品質が『特八甲(とくはっこう)|(8ミリの最高品質真珠)』及び『特七甲(とくしちこう(7ミリの最高品質真珠)』になり、続いて『上八甲(かみはっこう』、『上七甲(かみしちこう)』、『下八甲(しもはっこう)』、『下七甲(しもしちこう)』と設定される。
品質が良いものは宝飾品として扱われ、下のものは加工品に回される。

「これが特八甲だけで作った真珠ネックレス。こっちは銀と真珠の(かんざし)かな」

首から真珠ネックレスを下げ、頭に繊細な銀細工に真珠が象嵌された簪を静子は指さす。
ネックレスは単純に8ミリ真珠をつなぎ合わせただけだが、簪は梅の花をモチーフとし、枝葉に花弁を繊細な銀細工で表現し、大粒の純白真珠を配して高級感を出し、敢えて色味をおびたコーラルオレンジの真珠を花芯に据え周囲に金の花柱をあしらったダイナミックで挑戦的な意欲作だ。
落ち着いた銀と白が高級感を漂わせ、大きすぎない装飾がしっとりとした大人の雰囲気を醸し出していた。

「は、はぁ。良くお似合いです」

しかし、彩と蕭の反応は微妙だった。だがそれは仕方のない話だ。
簪は様々な髪形が流行した江戸時代から流行りだしたもので、余計な装飾をせず長く艶やかな髪が美しいとされる戦国時代では微妙な反応になるのも仕方ない。

「反応が薄いね。やっぱりいまいちなのかな」

彩も蕭も髪飾りはつけているが、髪を結うことはしていない。対して静子は髪を結う、髪飾りをつけるなど戦国時代のファッションからすれば異端児だ。
いかに立場が上になろうと、奇異の目で見られるのは避けられない。

「いえ、そういう訳では」

「はっはっはっ、まぁ垂髪たれかみも悪くないのだけれど、私にはちょっと似合わないかな」

蕭が慌ててフォローするのを見て静子は苦笑する。垂髪がよしとされる戦国時代だが、いつの世も新しい流行とは奇矯な扱いを受けるものだ、と静子は前向きに考えることにした。

「ま、それは置いておいて。試食大会が数日後だけど、小豆や砂糖の運搬は完了しているかな?」

「あ、はい。食材は全て運び終えております。技術街からもご指定の道具類を一式、全て運び終えております。後は前日に五郎様が餡の調理に取りかかるだけです」

あんこは一晩寝かせると味がなじみ、まろやかな甘さになる。調理中にも寝かせる工程があるものの、完成後に一晩寝かせる作業は非常に重要だ。
時間と手間がかかる理由は、和菓子にとってあんこの味は命だからだ。あんこの味が悪ければ、どんなに高級食材を使おうとも菓子自体が台無しになる場合が多い。
今回作るたい焼きや大判焼きは、大ざっぱに言えば皮とあんこだけだ。あんこの味が全てと言っても言い過ぎではない。

「たこ焼き用の昆布と鰹節も問題ないようね。しっかし、こう見ると伊勢湾で昆布作りが出来ないのが悔やまれる」

昆布の養殖自体は可能だが、それをするには長島一向一揆衆が邪魔になる。長島一向一揆衆を排除しなければ、伊勢湾を完全に掌握できない。
しかし、静子はそこまで悲観していなかった。武田軍と同じく長島一向一揆衆を屈服させる作戦は着々と進んでいる。うまく行けば武田軍と長島一向一揆衆を一度に排除できる。
そうなれば伊勢湾は完全に信長が掌握することになり、静子は昆布養殖に取りかかれる。

(今のところ順調。予定通り信玄は徳川に難癖をつけて、遠江国とおとうみのくにを侵略している)

織田と武田、織田と徳川、武田と徳川は相互に同盟国だ。しかし永禄十二年(1569年)に武田から一方的に同盟を破棄され、武田と徳川(武田と織田は数年後に同盟破棄)は敵対関係となった。
以降、武田が滅ぶまで織田・徳川と武田の間に同盟関係が復活することはなかった。家康が浜松城へ居城を移したのも、武田家に対する防衛強化である。

(そんな時期にあの二人を置いてくるとは思わなかったわ。まぁ三方ヶ原台地調査後、帰っちゃったけど)

想定外の出来事ではあったが、静子の計画からすれば些細な問題だった。計画は狂わず簡単に軌道修正できた。

(予定では1500……いや、1300ね。弾は4万、あれは15発、発破は3000ほどだけど、使えるのは1500程度かな。いずれにしても、ランチェスターの法則で計算した結果は上々。後は計画通り、彼らが出陣すれば良い。そうすれば、8割方勝利を掴むことが出来る)

どれだけ歴史を知ろうとも、人が史実通り動くとは限らない。現に家康が予定外の行動を取ったため、静子は若干計画の軌道修正を余儀なくされた。
だが家康の行動は、むしろ静子にとって望ましい事だった。歴史を知っているという利点にあぐらをかき、無意識の内に油断しかけていた静子の心を引き締めたのだ。
心地良い緊張感を与えてくれた家康には感謝してもしきれなかった。

「静子様、足満様がおこしになられました」

「おや、何か緊急の報告かな。あ、二人は仕事に戻って良いよ」

足満が向こうから訪ねて来る事に、何か緊急の報告があると理解した静子は彩と蕭へ席を外すよう言った。
二人は静子に一礼すると、部屋を後にする。入れ違うように足満が部屋に入ってきた。

「珍しいね、そっちから訪ねてくるなんて」

「ようやく最後の仕事が終わったからな」

その言葉に静子の表情が僅かに動く。現代の技術を知る足満に、静子は色々な仕事を極秘に依頼していた。その中で、最後の仕事と言えば非常に重要な意味を持つ。

「完成したの? あの難しい奴を」

「油圧システムと温度維持に苦労したがな。語るより現物を見る方が早いだろう」

懐から黒い塊を取り出すと、足満はそれを静子に向かって投げる。黒い塊を片手で受け取った静子は、感触を確かめるために何度か握った後、それを目の前に持ってくる。
じっくり検分した後、静子はにんまりと笑みを浮かべた。

「うん、間違いないね。私たちの時代で使われているバイオコークスと遜色ない代物だよ」

「流石にあの時代ほど材料は豊富にない。だが、これで燃料の問題はクリアだ。ようやく造れるぞ、高炉がな」

バイオコークスとは植物性廃棄物を材料に作られた石炭コークスの代用品だ。
大ざっぱに言えば天然の石炭が作られた時の圧力と温度を、植物性廃棄物に与えれば良い。だが規定の圧力を得るには油圧プレスが必要不可欠で、このシステムを作るのに多大な労力を費やした。
また熱は特定の温度を超えれば、材料になる植物性廃棄物が燃えて炭になり、下回ればバイオコークスを生成するための化学反応が発生しない。
だが規定の温度を維持するのは油圧ほど厄介ではなかった。単純に熱せられたものに水をかけ、そのときの水の反応で現在の温度は推測できたからだ。

「そうだね。後は南蛮から石炭を輸入してコークスを作る。副産物に硫酸やアンモニア、硫黄が手に入る。コークスが手に入れば鋼が精錬できる」

バイオコークスの欠点は、それ単体で石炭コークスの代用品とならない点だ。石炭コークスは1500度を超える熱量を出せるが、バイオコークスだけでは1400度が限界だ。
また石炭コークスと違って還元作用を持たず、それゆえ温度維持に必要な燃料としての役割しか果たさない。
しかし、戦国時代に石炭コークスは自前で作らなければ存在しない貴重品だ。可能な限り使用量を減らしたいという思いがある。

「ここまで来れば、もうこそこそする必要はないね。武田も着々と織田家を潰す準備をしているだろうしね」

「調べておいたが、本願寺のハゲが送った挙兵要請の書状に応じている。これから難癖をつけて武田のハゲは腹黒狸への侵攻を強めるぞ」

「いや、両人とも剃髪しているから髪はないけどさ。それは置いとくとして、良い傾向ね。出陣すれば、ほぼ勝ちは決定したもの。ま、油断は禁物だけどね」

静子の言葉に足満は静かに笑う。前久が見れば何度か見返すほど、普段の彼からは想像もつかないぐらい柔らかな笑みだった。

「補給ルートは任せろ。浜松城までピストン輸送出来るルートは幾つか把握している」

「いくさは最終的に旨い飯を沢山食っている方が勝つからね。特に最初は籠城と聞かされるから、どれだけ旨い飯を与えてストレスを感じさせないかが重要よ」

「缶詰は無理だが瓶詰なら可能だ。飯も瓶詰で保存が可能なのも検証済だ。ただ、やはり缶詰ほどの保存力は望めない。ま、すぐに兵の腹の中に収まるから、今回は気にする必要は無いな」

瓶詰とは酢や酒、野菜などを瓶の中に詰める行為と、瓶詰を湯煎して中の食べ物を長期保存する方法の二種類の意味がある。
後者は後に金属で作られた缶詰に変わるが、それは19世紀になってからのことだ。

「魚の煮付けや牡蠣のオイル漬けのように、海鮮類で作ったものが良いね。城の中に籠もるから、海の幸はご馳走に見えるだろうし」

「だし入り味噌キューブの量産をしなくてはな。普通の味噌汁自体、城内では贅沢品だが時期が時期だ、寒いときに飲む味噌汁は何ものにも代えがたい」

「おっけー、食料の問題はほぼ解決ね。ま、時期が時期だし腐敗は心配ないんじゃないかな。夏だとちょっと心配だけどね」

兵站の意味で静子は足満を頼っていた。戦国時代、否、日本人は兵站軽視の傾向が強い。
それは鮮やかに、短時間で決着が付く話を好むことが要因の一つと言われている。しかし、鮮やかな勝利も、地道な作業の積み重ねによって得た結果だ。
戦いで勝利を得るのではなく、戦う前から勝利を得ておく事が大事だ。

「食料の現地調達をしろ、と孫子には書いていると茶丸君に教えちゃったけどね。まぁロジスティクスは難しいよ。私も色々と調べたし、プロが書いた書物を幾つも読んだ。そんな彼らでも思いもよらない問題に直面するからね」

「まぁその辺の問題もわしが引き受けよう」

「分かった。兵站における全権は与えるから、足満おじさんの好きなように動いて。私への報告も事後で構わないよ」

「……言った手前だが、簡単に了承するのだな」

「即断即決が必要になる場面だってあるし、いちいち私に許可とって、なんてするのは時間の無駄。結果さえ分かれば問題ないよ。何かあって責任取るのは、私の仕事だしね」

静子の返答に足満は薄く笑う。下克上の時代に諸将へ権力を与え、あまつさえ報告を逐一上げなくて良いとの事なのだから、諸侯は大変混乱するだろうと彼は思った。

(静子という母体から蛇が何匹も放たれているようなものだ。蛇にばかり注視すれば静子に喰われ、静子だけに固執すれば蛇に喰われる。敵に回すと厄介な状況よ)

慶次、長可、才蔵、高虎、そして自分の5人。高虎はまだもう一つだが、それぞれが今や一端の武将にまで急成長している。更に宇佐山城の戦いで失った精鋭兵も取り戻しつつある。
後一年あれば十分武田軍に対抗できる軍へとなるだろう。

「分かった、兵站はわしに任せておけ」

一年後が楽しみだ、と心の中で思いながら足満は薄く笑った。






たこ焼きやたい焼きの試食会当日、信長の庭園周りは非常に騒がしかった。何しろ主要な家臣、彼らの正室や嫡子までを信長が招待したからだ。
何かにつけて家臣を呼んでのイベントを開く信長を見て、彼が祭り好きだという噂が事実であると理解出来る。
今回は人数が人数のため、正月元日と同じく出入り口からある程度の距離まで警護の兵士が配置されていた。

「静子様が参られました−!」

出迎え役の兵士が大声で来訪者の名を叫ぶ。端の兵士から差し渡し200メートルを、武装した足軽たちが肩を並べている。
静子はその様子を引きつった笑みで一瞥した。彼女はそこまで大それた催しになるとは思っていなかったので、この出迎えは過剰ではと思った。
しかし、曲がりなりにも招待客は重鎮ばかりと思い返し、過剰な警備ではないと思い直すことにした。

「コホン」

咳払いをして気分を変えた後、表情を引き締めて前へ歩き出す。
いつもの男装だが腰には大包平を携えていた。数打ちよりは箔が付くと思って久々に倉から出した逸品だ。腹前の短刀は常に持ち歩いているダマスカスナイフだ。
従者は馬廻衆である慶次と才蔵だ。才蔵は正装だが慶次はこの場においても自己流のスタイルを貫いていた。つまり何時もの傾奇者の恰好である。

(何というか……凄い出迎えだなぁ。やっぱり裏方でたこ焼き焼いていたかった)

表面上は平静を保っている静子だが、内心は早く帰りたい気持ちだった。それもそのはず、信長が折に触れて催している試食会はここまで大々的ではない。
いつもは家臣たちを労う際に、建前上は信長主催の試食会として目新しい料理でもてなしていた。
これほど多くの人を集め、警護も陣内と同じレベルにしてまで試食会を開いた前例はない。

(光忠作の刀を譲ってやるから顔を出せ、と言われたけど餌に釣られるんじゃなかった)

知行地は不要、報奨金も必要分以外は部下へばらまく、美食や茶道具に興味がない静子が唯一熱狂している趣味が名物蒐集だ。
流石に宗三左文字(そうざさもんじ)のような信長の愛刀は手に入らないが、それ以外で手に入るなら万難を排して手に入れようとしている。
それは信長が所有している光忠作の太刀が下賜される話だけで、普段嫌がるこの手のイベントにのこのこ顔を出した事からも明らかだ。

(流石に実休光忠じっきゅうみつただじゃあないよね。多分、後の世に燭台切光忠と呼ばれた方かな。いや義輝から下賜された最上光忠もがみみつただの可能性も)

光忠作の太刀でもっとも有名なものが、信長から秀吉、秀吉から伊達政宗に持ち主が変わった燭台切光忠(しょくだいきりみつただ)である。

しかし、光忠作の刀は他にも何種類か存在する。その中で信長が異常に執着し、本能寺の変にて最後に振るった刀が実休光忠と言われている。

最上光忠は足利将軍家が所有していた名物だが、義輝が信長に下賜した。その後、信長は最上義光を「出羽守」に任命した時の土産として、彼に最上光忠を譲った。
喜んだ最上義光だが、その後様々な理由によって秀吉に最上光忠が没収されてしまった。
秀吉から秀頼の手に渡り、更に家康、秀忠と様々な人物の間を渡り歩いた後、最後に最上家へ戻ってきた。しかし、現在は刀と所有者は共に所在不明となっている。

その他の光忠作も信長は蒐集し、その数は合計で30(ふり)以上あったとされる。これほどまでに蒐集した理由は、信長が華やかな光忠作の刀に心惹かれたためだ。

(まぁいいか。多分、へし切長谷部とかは無理だろうし、釣られるのは今回ぐらいかな。それより外洋の事が知りたい、と言われた方が気になる。一応、色々な資料は用意したけどさ)

なお彼女は知らないが、どういう経路で入手したか不明な鶴丸国永つるまるくにながや正三位の位を持つ日本号(ひのもとごう)など、信長は静子をこき使う時用の下賜する名物は幾つも所有している。
単に出すのを控えめにして、静子には数がないように見せているだけだ。

庭園に入ると景色は一変した。枯れた木々という殺風景ではなく、緑溢れる風景が目の前に広がった。少ないながらも花が咲いており、それが冬景色として色を添えていた。

「おぉ、凄いね」

目の前の光景を見て静子は感嘆の声を上げる。庭園の所々に毛氈(もうせん)が敷かれた長椅子に、大きな妻折(つまおれ)傘(爪折傘とも言う)が立てられていた。
赤好きの信長らしく毛氈と妻折傘のどちらも赤色だった。既に多くの人間が冬の寒さなどものともせず、あちらこちらで談笑していた。

「何をいっとりゃー。粒あんの旨さを知らぬとは、大たわけじゃ!!」

「大たわけにど阿呆は貴様だ。こしあんの旨さを知らぬサルが、偉そうな口を利きおってからに!!」

「粒あんはこしあんの様に、味が最後まで同じじゃない。噛むたびに色々な味になるのに、それが分からぬとはな!」

「阿呆め。こしあんはこした後の残りを使って、もう一品作れるのじゃ。粒あんのように混ぜてしまうのは愚かさの極み!」

「なにおう!」

「やるかサル!」

散策している途中、柴田と秀吉がいつもの如く粒あんとこしあんで取っ組み合いをしていた。二人から視線を外した後、静子と才蔵と慶次は回れ右をして見なかったことにした。

あちらこちらで焼かれるたこ焼きやたい焼き、大判焼きの光景を見て静子は懐かしい思いにふける。流石に現代のようなソースはないため、たこ焼きは醤油出汁で食べることとなった。
他にもレモン醤油やマヨネーズ、ポン酢などもある。たこ焼き専用のソースがあれば一番良いが、ソースには香辛料やハーブがふんだんに使われている。
戦国時代の日本では香辛料やハーブを集めるのは困難ゆえ、今回は別の調味料で食べて貰う事になった。

「ほっほっほ、出汁で頂くたこ焼きは旨いのぅ。たい焼きも捨てがたいが、たこ焼きは色々な味を楽しめるのが良い。妾は何でも良いが、このぽん酢とやらが好みじゃ」

「妾は味噌がお好みです。ねね殿はやはり醤油ですかの?」

「ほほっ、醤油の匂いが堪りませぬ。最近では消費が偏って夫が困った顔をするので、たまには味噌も使おうとは思っておりまする」

「何、足りぬとあらば静子の倉から好きなだけ持って行けば良い。こんな旨いものを黙っていたのじゃ。それぐらいしても文句はなかろう」

(何か凄い会話しているけど……こっちに気付く前に逃げよう)

濃姫を筆頭に武将の妻たちも集まって会話に華を咲かせていた。
時折不穏な会話が耳に入った静子だが、絡んだら最後、どんな事を言われるかわかった物ではないので戦略的撤退をする。

「まるで縁日みたいな雰囲気だね」

そこかしこで楽しそうな会話が聞こえる。未だ油断ならない状況だが、それを忘れてみな今を楽しんでいた。

「縁日が何か分からないが、むぐむぐ……たい焼きは中々に旨い」

「慶次殿、両手いっぱいに抱えて頬張るのは武人として不用心ですぞ」

「口にネギつけてる奴の言葉ではないな」

いつの間にか慶次と才蔵は、両手にたこ焼きやたい焼きを抱えていた。庭園を満喫するのも飽きてきたと思った静子は、手頃な長椅子に腰掛ける。

「楽しんでおるか」

一息吐いた所でタイミング良く信長に発見された。彼は堀秀政と池田恒興、それから見るからに年若い小姓を連れていた。
時期からして森可成の子である森蘭丸(信長公記には蘭ではなく乱で記述されているが、分かりやすさを重視し蘭丸を使用)だろうと静子は直感的に理解した。

「これはお館様。勿論楽しんでおります」

「そのままで良い。ふむ、わしの目には貴様より、後ろの二人の方が満喫しておるように見えるがな」

慶次は信長が現れてもさして気にせずたい焼きを食べていた。一方才蔵は直立不動で立っていたが、口の周りがたこ焼きの醤油出汁に入っていたネギまみれだった。
額を手で押さえた静子を一瞥した信長は豪快に笑う。その様子から今の信長は上機嫌だということが分かった。

「忘れない内に片付けておこう。付いて参れ」

何が、と一瞬思った静子だがすぐに光忠作の刀を下賜してくれる話だと気付く。歩き始めた信長たちの後ろに静子たちはついて行く。
たまに蘭丸が首だけ振り返って静子を見たが、何度目かで気付いた堀が蘭丸の頭を小突いた。
その後、二人は何度か言葉を交わしたが、それは言い合うと言うより堀が蘭丸を叱っているように見えた。
何をやっているか皆目見当も付かなかった静子は、後ろにいる慶次と才蔵に視線を向けるが、二人も堀と蘭丸のしている事が分からず肩をすくめた。

「ここから先は静子だけだ。他は控えておれ」

静子以外を一瞥、というより睨んで釘を刺した後、信長は他の者の返事を待たず部屋へ入る。
慶次は肩をすくめた後、近くにあった柱に背を預けると姿勢を崩した。慶次の自由さに才蔵はため息を吐く。
しかし、彼の傍に腰を下ろした所を見るに、慶次と同じく静子の用事が終わるのを待つつもりのようだ。堀と恒興も才蔵に倣って慶次の近くに腰を下ろす。

(これは良いのだろうか……?)

「蘭丸、立っていないでこちらに来なさい」

唯一、小姓の蘭丸だけがおろおろとしていた。そんな蘭丸を見かねたのか、堀がため息交じりに蘭丸へ声をかける。何度か視線をさまよわせた後、蘭丸も堀の近くに腰を下ろした。

(あ、やっぱり森蘭丸だったんだ)

そんな事を思いつつ静子も部屋へ入る。背後から蘭丸の強い視線を感じたが、襖を閉める直前頭に拳骨を振り下ろした音が静子の耳に届く。
敵意や殺気ではないが、なぜ蘭丸にあのような態度を取られるか分からず、静子は首を傾げる。

「(機会があれば、本人か森様にでも聞くかな)お待たせしました」

幾つかの空部屋を経由して静子は目的の部屋にたどり着く。セキュリティ上の都合とはいえ、出入りを繰り返すのはいくら静子でもげんなりする。

「遅いぞ、静子」

部屋に入るやいなや、上座の方から信長の声が飛んでくる。言葉ほど怒っている様子はなく、むしろ楽しそうな声色だった。

「申し訳ございません」

「別に責めている訳ではない。それと、わしは形式に拘泥する気はないから、貴様も気楽にして良いぞ」

言葉通り信長は非常にリラックスしていた。幾分だらしなく見えるが、それは静子に気を許しているとも取れる。
それよりも気になる事があるので、静子は信長が気を抜いている事を余り気にしていなかった。

「あの、所で目の前に並んでいる刀は一体……?」

信長と静子の間に、太刀掛に飾られた刀が10本並べられていた。下賜されるのは光忠作一本のはずだが、目の前に10本も刀がある事に静子は困惑する。

「ふっ、光忠作が欲しいなら自らの目で当ててみせよ。見事、光忠の刀を選んだならば、選んだ刀を貴様にくれてやる」

踏ん反り返りながら信長は静子の疑問に答える。コレクションを人に見せつけたくてしょうがない気持ちと、これだけ数を揃えた事を自慢したい信長だった。
コレクションを前にすると、人は誰でも子どもっぽくなるのかなと思いながら静子はマスクと手袋、それから刀剣を持つための布を取り出す。
マスクは刀剣に唾液をつけないため、手袋と布は刀剣にホコリやゴミが付着しないように、また付着した場合に汚れをぬぐう道具でもある。
その他にも刀剣油など刀剣用の手入れ道具を静子は取り出す。

「……随分と準備が良いな」

「万が一を考えて用意しておきました」

半分呆れている信長の呟きに答えると、静子は左から順に刀剣を見ていく。全てを見終えた静子は、光忠作が6本だけで残りは別の刀剣だということが分かった。

(大倶利伽羅広光に鶴丸国永、へし切り長谷部、宗三左文字だね。しっかし、なんで試そうと思ったのだろう。まぁいいか、これを頂こう)

全てを見終えて道具を仕舞った後、静子は一度信長に礼をしてからある刀を手にとった。

「ではこの光忠作の一口を所望いたします」

最後まで言い終える前に信長の顔がみるみる変わる。それも当然だ、何しろ静子が選んだ光忠作は信長が愛してやまない実休光忠だからだ。

実休光忠には見分け方が存在する。名前の由来になった三好実休が最期に光忠で敵を斬りつけた時、刃が少しこぼれてしまった。これが他の光忠作と実休光忠を分ける方法だ。
この判定方法は静子が考えたのではなく、史実に似たような記録がある。
信長が堺の豪商たちに光忠作を並べて実休光忠を当てて見せろ、と言ったところ、鑑定人と名高い木津屋が見事実休光忠を当てた。
この時、木津屋が20口以上ある光忠作から実休光忠を当てた方法が、実休光忠にある刃こぼれの話だ。
安土城で行われた実休光忠当てゲームゆえ、それ以前の実休光忠にも刃こぼれがあり、かつ信長が所有している光忠作には、他に刃こぼれしている刀がない証拠である。

「そう急くな、静子。もう少し他の刀も見てみぬか。ほれ、これなぞ実に見事な拵えをしておる!」

そう言って信長は大倶利伽羅広光を手に取り、催促するように静子へ差し出す。誰の目にも信長が動揺しているのは分かるが、静子は至って冷静に言葉を返す。

「これ以上、お館様のお時間を取るのは失礼に当たります。私如き、この刃こぼれした一口で十分でございます」

「ぐっ……貴様、知っておるな」

「何の事でございましょうか」

普通の下賜品なら静子も手頃なもので終わらせたが、残念ながら静子も熱を入れる刀剣が下賜品だ。ゆえにこればかりは譲れなかった。

「くっくっくっ、静子も言うようになったな」

暫く慌てていた信長だが、ふいに不敵な笑みを浮かべる。落ち着いたのもあるだろうが、これほど我を通す静子に好感を抱いたのもある。

「だが、貴様には弱点がある。静子……命令じゃ。実休光忠をわしに献上しろ! 代わりに名物を二口くれてやる」

「うわ、卑怯ですよ!」

静子の弱点、それは信長の命令には逆らえない、という事だ。無理難題を何とか解決している内に、静子は信長の命令に対して無意識に反応するようになっていた。
静子は頭を抱えて考える。彼女の中では、忠犬精神と名物蒐集精神がせめぎ合っていた。暫くして静子はため息を吐くと同時に折衷案を信長に示す。

「でしたら……実休光忠を献上する代わりに、光忠作一口と他二口の刀を所望します!」

「うむ、構わぬぞ」

やけっぱちで言った折衷案だが信長はあっさり了承した。彼からすれば実休光忠さえ返ってくれば、他の刀は手放しても問題ないとの事なのだろう。否、少し違った。

「……って、いつの間にか刀が減っている!」

最初は光忠6本と他の刀4本だったが、今は大倶利伽羅広光に鶴丸国永、へし切り長谷部、光忠作が2本の計5本しか並んでいなかった。
いつの間にか信長が刀を片付けていた。さらに今、静子の目の前に並んでいる刀は、元から信長が静子に下賜する予定の刀だけだ。

「こ、ここにきて吝嗇さを発揮するとは」

「吝嗇とは失礼な奴じゃ。高度な駆け引きと言わぬか」

「ぬぐぐぐっ。で、では大倶利伽羅広光と長谷部国重(へしきり長谷部)、それからこの光忠作(燭台切光忠)を所望します」

「良かろう。三口とも持って行くが良い」

静子が降参した姿を見て、信長は勝ち誇った顔をする。勝てるかなと思った静子だが、流石に朝廷や将軍、国人たちと政治的駆け引きをし続けた信長だ。
静子程度の策では勝ち目はなかった。もっとも静子も本気で実休光忠が欲しかった訳ではないので、三口貰える事に喜ぼうと前向きに考えることにした。
流石に三口は手で持ち運べないので、燭台切光忠とへし切り長谷部を背負い、大倶利伽羅広光を手で運ぶ事にした。

「戻って家臣へ気を遣うのも億劫だ。暫くわしの話に付き合え」

「(一応、私も家臣なのだけど……)はっ、承知しました」

静子の返事に満足げに頷くと、信長は懐からたい焼きや大判焼きが入った袋を取り出し、自分の目の前に広げる。腰の竹水筒を外すと、蓋をあけて中のお茶を一口飲んだ。

「さて、何から話そうかの」

これは長丁場になる、そう思った静子は内心辟易しながらも小さく頷いた。
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