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それから

王のスキャンダルが明らかになり、

初めに動いたのは王の下で働いていた者たちだった。


「ゆ、ユリウス様!」

「ああ、それは後でやっておく。次に移れ。」

「ーーユリウス様!隣国の...」

「...それも既に手配されている。ああ、それはーーーー」


だが、元々王というより宰相の支持で動いていたこともあり、宰相やその息子の働きによって、すぐに静寂を取り戻した。


次に動いたのは他国の王族たちだ。


「あの国の王が代わるらしい。」

「ーーどうしてこれほど情報が手に入らないのだ....」

「あの王がいなくなり、弱体化するだろう。」

「ーいや、次期王も中々らしい...」


いつも少し上から偉そうにされてきた他国の王族たちは、これを機に反撃に出ようとした。

だが、そこにディオゲネス公が立ちはだかった。

元々王になると言われ、他国の王族とも繋がりがあったディオゲネス公。

彼の手腕により、他国は手出しを出来ない状態になった。

結局のところ、巨大な魔力の持ち主が王であろうとなかろうと、危惧すべき国力に変わりはないのだ。


「ーーさすがです、ディオゲネス公。」

「いや、宰相殿こそ。息子のユリウスくんも立派になった。」

「いえいえ、まだまだです。」

ディオゲネス公と宰相は穏やかに話をしていた。

「こんなに早く落ち着くとは思いませんでした。」

「そうだな、だがまだ問題は山積みだ...」

宰相も目の前の書類を見てため息をついた。


「それにしても、ディディオン様はここまでよんでいたんですね...」

ぺらりと、書類をめくった。そこにはディディオンの字が並んでいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そのディディオンは国境付近まで移動していた。

「さて、どの国へ行くか...」

ディディオンの中はレティシアのことでいっぱいだった。

もうこれでレティシアが傷つけられることはないだろうと....

ディディオンは最後に思い返した。

もう二度と会うこともない...愛しい人を.....


ーーーーーーー


「.......は?」

「そ、それが、ダニエル王子が婚約破棄を...」

「馬鹿な。王が許したのか!?」

「い、いえ、ダニエル王子の独断で...」

レティシアを見守っていたディディオンには、衝撃だった。

彼女はもう、幸せにならなければならない...


「そうか....。ーーならば、」

ディディオンはこのとき、復讐を誓った。

ーーこれが全ての始まりだった。


ーーーー


「北の国でも行くか...」

「ーー北?私は南が良いわ。」

「南?みなみは....」

ディディオンは、バッと後ろを振り向いた。


「な、え、ーーー!」

「南は美味しいものあるんでしょ?南に、」

「ーーなんで!」

「え?美味しいもの食べたいじゃない?」

「そうじゃ、なくて!ーー姫さん!」

ディディオンはレティシアの肩を掴んだ。


「今は姫じゃないわ。」

「何言ってんだ...ああ、もう女王になったのか?」

ディディオンがレティシアをこう呼ぶのは、ただの身分的な理由だと思っていた。

「違うわ。放棄して出てきたの。」

「は!?なんの、冗談だ...?」

レティシアは、ユリウス辺りと結婚して女王になっている...とディディオンは想定していた。

「私が今女王になっても、何も良い結果は生まないわ。だから、出てきたの。そうすれば自然と王になるのはお父様でしょ?」

いまや次期王に相応しいのはディオゲネス公のみとなっていた。


ディディオンはこの状況を直視できずにしゃがみこんだ。

「お前の父親は、お前を見捨ててたんだぞ!?そんなやつに....」

「あら?見捨ててなんかないわよ。聞いたわ、ディディオンが気をつけろって言ってたストー...後をつけてた人、お父様だったのね?ずっと仕事以外の時間は私を見守ってたって。それに、誕生日プレゼントまで毎年用意してくれてたんですって。でも、私受け取ってないのよね、おかしいと思わない?」

ディディオンは言葉に詰まった。

そのプレゼントがレティシアの手に渡らないように細工していたのは、ディディオンだったからだ。


「....そんなことで許すのか?」

「だって、仕方ないじゃない。偽の父親にちょっと邪険にされるくらい、王と継母に狙われるよりマシよ。お父様だって、私のことを大切に思っててくれるみたいだし...」

あの鉄仮面の父が内心レティシアにでれでれなことには気づいていた。


「そんな父親がなんでお前をここに来させたんだ...」

「王子様を迎えに来たの。」

「お、王子様?」

「そうよ、ディディオン王子。」

長年呼ばれていなかったので、ディディオンもこそばゆい気持ちになった。

レティシアはそれを見て、クスリと笑った。

「俺はもう、王族から抜けた身だ。」

今度こそ王族から抜けられるよう、ディディオンはディオゲネス公と約束していた。


「それが、まだなの。」

ディディオンは目を見開いた。

「だって、どうして王族から抜けるの?」

「どうしてって、」

「もう、ディディオンの嫌だった人もいないのに?」

確かに、ディディオンの父親もいなくなった。

「ーーお前が嫌なんだ。」

ディディオンは混乱して、上手い言い訳すら思いつかなかった。


「嘘よね?ユリウスから聞いたわ。」

「な、にを....」

「ふふ、色々!」

レティシアはにっこり笑った。

「ディディオンはどうせ王族に戻るんだから、籍を抜かなくてもいいでしょ?」

「ーー戻るつもりは、」

「ーーだって、私と結婚したら、どうせまた王族だもの。」


「ーーーは!?」


「ーー私のためにこんなことしてくれたんでしょ?」

レティシアは、ディディオンが王族から抜けた理由も、今回の騒動の真実も、もう全て知っていた。

「聞いたの。ディディオンの初恋って私なんでしょ?......年齢を考えると、ろーー」


「バカ!言うな!」

ディディオンは頭を抱えそうになった。

レティシアがどこから聞いたのかは分からないが、確かにディディオンの初恋はレティシアだ。

「別に、今はもう好きじゃなくてもいいの。ーーー今度は私がディディオンのために居たいの。」

レティシアはディディオンに近寄った。


「ーーいいのか?俺がこれから、どこへ行くかも分からないんだぞ?」

「いいわ。地の果てだってついて行くつもりよ。」

ディディオンはレティシアを眩しそうに見た。

ーーディディオンが守らねばと思っていた少女は、いつの間にか一人の女性に成長していた。


「....バカだな...お前を諦めたくてどこかへ行こうと決めたんだ。お前がいるなら、もうどこかへ行く必要なんてない...」


「ん?なんか言った?」

「いや、」

「あ、私のことはちゃんと名前で呼んでね?」

「ーーおま、聞いて、ーー!?」

くすくすとレティシアが笑った。


「ーー私もディディオンが好きよ。」


先手を打たれたディディオンは、レティシアを抱きしめ、長い間離さなかった。





終わりました。

みなさんのおかげで完結することができました。

長い間お付き合い頂き、ありがとうございました。

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