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番外編 その25.秋を運んでくれた4種シチューパン。「シメジの恋は森の色」だった

 ■次の問いに答えなさい。


 1×ホクト= ? 

 

 (答え) パン!


 ババン!<効果音>


挿絵(By みてみん)


 ホクトは「きのこ♪」の歌でおなじみのホクト株式会社。「きのこの研究開発・生産・販売まで携わる日本唯一の『きのこ総合企業グループ』」(同社HPの社長メッセージを引用)です。スーパーでも地味なイメージだったキノコ売り場のスペースが、ホクト♪の登場でにぎやか、華やかになりましたね。



 

 陽光然としたスポットライトに包まれたひのき舞台。

 ブナピーは晴れがましくも、穏やかにしっとりと輝いていた。


 その傍らで、シメジはギリリと歯噛みする。

「キノコは、『木の子』なのだ」

 搾り出すように言い放つと、遠い空を見つめるように天井を見上げた。


 緑濃き静かなる森の奥深く。

 千年の木々がその身に蓄えた母なる水に育まれし命。

 万年を超え苔むした太幹の足元、日の届かぬ湿った陰の極みこそキコノが聖地。

 我らは「木の子」。陰なる者……


 だがしかし……

 

 どこまでも白く、柔らかく、そして艶かしくもあるブナピーの笑顔。

 

 シメジは思わず彼女に向かって、その彼女を包む光を掴まんとして手を伸ばした。

 ああ、俺は……

 シメジは今になって自らの想いが、もう、決して届かぬことに気がついた。

 

 じっと手を見つめた。

 掌に浮かんだ、悠久の緑を吸い込みし生命の珠を、じっと見つめた。


(「シメジの恋は森の色」から引用)





 うおっほん。

 さて、今回のパンは第一パンとホクトのコラボレーション、その名も「4種のきのこクリームシチュー」。


挿絵(By みてみん)


 パッケージに描かれています通り、ホクトのエリンギ、マイタケ、ブナシメジ、ブナピーの4種類のキノコ入りのクリームシチューが入っています。

 第一パン×ホクトのシリーズは、他に2種類あります(宣伝みたいになるので割愛しますが)。

 なんとなく季節的にシチューかな、と思いスーパーのカゴにインしました。


 いつもながら、台所にカメラと定規と重量計をスタンバイ。

 まずは袋空けの儀式で試食会は幕開けです。


 大きく息を吸い込んで、ビリリと開封。鼻を突きいれ、香りをチェック。

 少し酸味の効いた、ピザパンのような香り。

 この酸味は、ケチャップ? 原材料を見ても、それらしき名はありませんが。

 上面の皮にまぶされているキツネ色のパン粉の香ばしい香りが、ピザの焼き風味を醸し出しているのかも知れません。


 取り出そうとして、皮に触るとしっとりを通り越してペタペタしています。

 おおっ、ジメジメしたところを好むキノコを再現? などと一瞬考えましたが違います、よね。


 では、身体測定です。

 体重は85グラム。スリムですね。真上から見るとほぼ円形で、直径は約11センチ。

 皮の色は茶色の濃い部分と薄い部分に二分されています。

 なんとなく、濃い茶のところがキノコの傘をイメージしているような……ということで立てて写真を撮ってみました。どうでしょうか?


挿絵(By みてみん)


 視線を真横に移すと上面が傾斜していました。茶の薄い部分は3センチ程度と薄く、濃い部分は厚くなってゆき最大で5センチほどでした。


 レンジで温めてから食べるとおいしい、とのこと。


  温めてから斬るか、

  斬ってから温めるか、

  それが問題だ。


 しかし考えてみると、温めるとフィリング(詰め物)のシチューがとろけ出そうです。ということで斬りを先行させました。

 ギュギューゥゥゥゥ~~。刃先とドウ(パンの本体)の摩擦で聞いた事のない音が響き、驚くパン大好き。


 挿絵(By みてみん)


 土台部分はフィリングの水分対策でしょう。厚みが1.5センチ~2センチもあります。

 フィリングの香りは……むむっ、やっぱりケチャップの香りがします。そして、ピザパン感も濃厚です。Why?


 それではいただきま~す。

 あむっ。うおっ! 濃厚なシチューがねっとりまったり舌に絡みつきます。とはいえ、お味は控えめ。主役?の具材のキノコたちは小さいですが、コロッコロッと食感を楽しませてくれます。残念ながら、これがブナシメジや!などと弁別するのは不可能ですが。心なしかマイタケの香りがするようなしないような……


 生地の口どけも中々よろしいです。シチューとよく絡み、一緒に舌の上でとろけてゆきます。試しに生地だけを味わうと、これはバターロールの味。そして、こちらも薄味。シチューの味も薄めなので、もう少しシッカリ味があった方がよかったかも、などという思いがよぎりました。


 キノコなどの具材が密集している部分があらわれたので、思い切りほおばりました。

 ふわり。

 クリームだけでは出せない、深みのある風味に出会いました。



「星が輝いてきたわ。そろそろシチューの季節ね」

 風が啼き始めた深夜の街に、再びオリオンが輝き出す。



 天高き秋の香りを運んでくれるパンでした。そして願わくは、もう二周りくらい大きければ……大人男にとっては、少しもの寂しき秋でもありました。


 第一パン「4種のきのこクリームシチュー」大阪市内のスーパーで購入。105円(税込み)なり。


「シメジの恋は森の色」は架空の作品です。念のため。

とはいえ、このパートだけで2時間くらいかかってしまいました。


アシスのお話は執筆に手間取りすぎて……

別物にしてパンの連載に戻そうかと考えています。


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