小説の基本4
小説の基本1,2,3を読んでいただいた前提です。
・意味が重複しないよう気をつけよう!
これは例をみると分かりやすいと思います。
例:○
1 投石した。
2 上る。
3 バックステップする。
例:×
1 石を投石した。
2 上に上る。
3 後ろにバックステップする。
これが意味の重複です。投石というのは単品で「石を投げる」という意味ですから「石を」という部分は必要ありません。
「上る」にしても、下に上るワケがありませんので「上に」は必要ありません。
「バックステップ」も同じです。後ろにステップすることを「バックステップ」と呼ぶのですから、「後ろに」は必要ありません。
同じように「馬から落馬する」もおかしいですよね? 気をつけましょう。
・擬音語は控えめに!
牙竜さんからのご提供です。
擬音語というのは「ドカーン」とか「バキューン」など言ったように、音を文字で表したものです。
なぜこれを控えめにしないといけないか? 普通に考えれば分かりやすくていいと思いますよね? 確かに分かりやすいですが、その反面、幼稚に見えてしまうのです。
例を上げてみると分かりやすいです。
例:○
直後、大気を震わせる爆発音が響く。
例:×
直後、ドカーンという爆発音が響く。
見れば分かりますよね? 下の方が子供っぽいです。ですので、このような表現は最小限に控えましょう。
でも、全くないというのも分かりずらいので、適度に入れましょう。「トントン」や「コツコツ」など、比較的小さな音に使われるものは、入れても違和感があまりないので使ってみましょう。
・最初に一人称と三人称を決めよう!
自分はたまにごっちゃにしてしまうのですが(お恥ずかしい)、気をつけましょう。これをしてしまうと一気に作品としての価値が下がります。
そもそも「一人称」と「三人称」が分からないという方のために、軽く説明します。詳しくはウィキペディアなんかで調べると分かりやすいです。
一人称とは? 「自分視点」の小説です。「自分視点」と言われてもピンと来ないかもしれませんが、簡単に言うと今のアナタの状態です。
つまり、主人公自身が何かを思い、考え、行動するのです。主人公の考えや思いがそのまま表れるのが「一人称」の小説です。
ですので、人の考えていることは分かりません。なんで? と思うかもしれませんが、考えてみてください。アナタは人の心が読めますか? 普通の人なら無理ですよね? だから、主人公が超能力を使わない限り、人の心に入ることは出来ません。それが、「一人称」です。
三人称とは? 「神の視点」の小説です。「神の視点」と言われても意味不明ですよね? でも、夢で考えると分かりやすいかもしれません。
大きく分けると夢には二パターンあります。「自分が何かをする夢」と「他人が何かをするのを見る夢」の二つです。身に覚えはありませんか? 自分は喋らずただじっと他人が何かをするのを見る夢。もしくは、自分自身が何かしているのを見る夢。三人称とは「他人が何かをするのを見る夢」に含まれます。
ですので、どこへでも行けて、誰の心でも入れるとても便利な手法です。
ですが、便利だけではありません。ちゃんと、悪い部分もあります。どこへでも行けるということは、誰の心でも入れるということです。でも、突然人の心に入ると「お前は誰だ?」ってことになっちゃいますよね? ですので、どこへでも行けるといっても簡単に行けるわけではありません。きちんと手順を踏んでから、飛んでいきましょう。
常に第三者として見ていないといけません。
では今から、メリット、デメリットを今から下にまとめてみます。
一人称
・メリット
主人公の考えをすぐに書ける
・デメリット
他人の心に入れない
・よく使われるジャンル
推理、サスペンス、恋愛 etc
三人称
・メリット
どこへでも行けて、自由がきく
・デメリット
常に客観視しなければならない
・よく使われるジャンル
ファンタジー、SF etc
「推理、サスペンス、恋愛」になぜ一人称が使われるか? 単純にこれらの小説は、他人の心に入ったら面白くないからです。考えても見てください。推理やサスペンス小説で怪しい人物の心に入ってしまえば、犯人かどうか一発で分かりますよね? 恋愛小説で好きな男の子の心に入ったら、上手くいくかどうか分かってしまいますよね? だから、三人称ではなく一人称を取るのが普通です。
「ファンタジー、SF」というのは、目まぐるしくシーンが変わるからです。これ系統の小説の大半が戦闘シーンが入っていますよね? これらの描写をする時主人公視点では、とても大変なんです。主人公というのも人間ですから、すべてをずっと見ていられません。途中倒れてしまったり、別の場所で別の戦いが起きていたりする中、主人公一人ですべての状況を見て、すべてを伝えるというのは至難の業です。ですので、三人称を取るのが一般的になっています。
~特殊な方法~
一人称でどうしても他人の心が書きたいという方、裏技があります。それは……章や話によって主人公を変えてしまう! という方法です。これなら、一人称のまま簡単に心情の描写が出来ます。
でも、ここで一つ気をつけなければならない点があります。それは、「記憶の共有」です。これはやってはいけません。「記憶の共有」とは、主人公1の記憶をを主人公2が知ってしまっていることです。あり得ませんよね? 他人しか知らないことを知っているなんて。ですので、この方法を使う場合、主人公1と主人公2が別人であることを常に頭に入れておきましょう。