挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
アイコン三国志(一〇九~) 作者:小金沢
1/16

一〇九   斜陽

~~~魏 洛陽らくようの都~~~


挿絵(By みてみん)
司馬懿しばい
「ああっ! なんということでしょう!
陛下が重病のあまり見るも無残な総白髪に!!」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「ば、馬鹿野郎! 陛下はもともと若白髪だ!」


挿絵(By みてみん)
曹叡そうえい
「凱旋して早々にご挨拶だね司馬懿君。
でも君の低姿勢なくせに忠誠心の高くないところ、僕は嫌いじゃないよ。
君は嘘のつけない人だからね」


挿絵(By みてみん)
司馬懿しばい
「はあ……。私のような隅っこで雨とほこりだけ食べてかろうじて生きているような人間には、
嘘をつくなどという発想もできませんものでして」


挿絵(By みてみん)
曹叡そうえい
「君には保身はあっても野心がない。だから安心して後を任せられる。
曹芳そうほう君を頼んだよ」


挿絵(By みてみん)
盧毓ろいく
「へ、陛下! 弱気なことをおっしゃられますな!」


挿絵(By みてみん)
楊阜ようふ
「陛下はまだまだ36歳。これからですぞ!」


挿絵(By みてみん)
曹叡そうえい
「励ましはありがたいが自分のことは自分が一番よくわかっているさ。
父上のような人間にはなりたくないと思っていたが、父上と同じく若死にして、みんなに迷惑をかけてしまう。
血は争えないね。やっぱり僕は曹丕の子だったようだ」


挿絵(By みてみん)
孫礼そんれい
「陛下…………」


挿絵(By みてみん)
曹叡そうえい
「息子がいないから従弟の曹芳君に跡を継がせるしかない僕は、父上よりも甲斐性なしだね。
一族にもこれといった人物はいない。年長者は曹真君の跡を継いだ曹爽そうそう君くらいかな。そこにいるのかい?」


挿絵(By みてみん)
曹爽そうそう
「こ、ここにいますぞ!」


挿絵(By みてみん)
曹叡そうえい
「曹芳君はまだ幼い。数少ない親族の有力者として盛り立ててあげてくれたまえ」


挿絵(By みてみん)
曹爽そうそう
「心得ました!」


挿絵(By みてみん)
曹叡そうえい
「あの世では父上やお祖父様に怒られるだろうな……。
父上も憂鬱だったろうと、今ならよくわかるよ……」


挿絵(By みてみん)
司馬懿しばい
「! ヘ、陛下! しっかりなさってください!」


挿絵(By みてみん)
高堂隆こうどうりゅう
「は、早く典医を呼びゅのじゃ!」


挿絵(By みてみん)
孫礼そんれい
「陛下……。ガオォォォォォォォン!!」


~~~呉 建業けんぎょうの都~~~


挿絵(By みてみん)
呂壱りょいつ
「宇宙の本質は揺らぎです。ゆえにワレワレ人類は揺らぐものなのです」


挿絵(By みてみん)
顧雍こよう
「はあ。なるほど。
それで孫権艦長に取り入って宇宙を揺らがせたいと思ったのですか?」


挿絵(By みてみん)
呂壱りょいつ
「いいえ。ワレワレは裕福な家に生まれたので金銭感覚が庶民とは違うのです。
妻が太陽パクパクしたいと望んだから、ワレワレは地位を望んだのです」


挿絵(By みてみん)
顧雍こよう
「地位を得て、私や多くの重臣をいわれなき罪で投獄し、政治を混乱させましたね。
奥様もさぞ満足されたでしょう」


挿絵(By みてみん)
呂壱りょいつ
「ワレワレは妻に言いました。トラスト・ミー、ワレワレには腹案があると。
しかし国民は変わってしまった。ワレワレの言うことを聞かなくなった」


挿絵(By みてみん)
顧雍こよう
「民は変わっていませんよ。変わったとすればそれは孫権艦長です。
まさかあなたのような方の言葉を信じるとは……。
残念ですし、意外な気持ちでいっぱいです」


挿絵(By みてみん)
呂壱りょいつ
「そんなことより今日はいい天気です」


挿絵(By みてみん)
顧雍こよう
「そうですね。それでは最初の質問に戻りますが――」


~~~呉 建業の都~~~


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「……呂壱なんかを重用したオレを見損なったか?」


挿絵(By みてみん)
潘濬はんしゅん
「別に。オレはアンタらしいと思うよ。
面白そうなヤツがいるから重用したってだけだろ。ただ結果的に迷惑かけちまっただけだ」


挿絵(By みてみん)
陸遜りくそん
「呂壱さんは確かに面白い人だったね。ちっとも会話が成立しないし。
顧雍さんも取り調べに苦労してるよ」


挿絵(By みてみん)
潘濬はんしゅん
「あの人、自分も投獄されたくせに、よく冷静に聴取できるよ。
オレだったら余計に罪をなすりつけて処刑台に送っちゃうけどな」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「……張昭も呆れて隠居しちまった」


挿絵(By みてみん)
陸遜りくそん
「張昭さんは公孫淵への対応をめぐって艦長と意見が対立したのを怒って隠居したんじゃないですか。
呂壱さんは関係ないですよ~」


挿絵(By みてみん)
潘濬はんしゅん
「それなんの慰めにもなってねーぞ」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
「お前らがそばにいてくれれば、オレは道を誤らなかっただろうな。
どうだ? 栄転させてやっから都に来ねえか?」


挿絵(By みてみん)
潘濬はんしゅん
「やだよ。そんな退屈な仕事がしたくてアンタに鞍替えしたんじゃねえし。
それにオレも陸遜も魏や蜀ににらみを利かしてんだぜ。任地を離れらんないよ」


挿絵(By みてみん)
陸遜りくそん
「ボクらが行かなくても、すでに艦長の周りには優秀な人材が揃ってますよ。
何かあれば彼らに意見を聞いてください」


挿絵(By みてみん)
潘濬はんしゅん
「そうそう。顧雍とか諸葛瑾とか、口うるさいのがたくさんいるじゃん。
それにアンタも今回のことで頭が冷えただろ?」


挿絵(By みてみん)
孫権そんけん
(…………はは。こいつらにも嫌われちまったか)


~~~蜀 成都せいとの都~~~


挿絵(By みてみん)
郭攸之かくゆうし
「魏では曹叡が死に、年端もいかぬ曹芳が跡を継ぎました。
呉では奸臣・呂壱が専権をふるい、処罰されたものの孫権は著しく人心を損じました」


挿絵(By みてみん)
劉禅りゅうぜん
「ふーん。それでわしら蜀の様子は?」


挿絵(By みてみん)
蔣琬しょうえん
「特になし、です。現状維持を祝ってパーッと宴会でも開きましょう!」


挿絵(By みてみん)
劉禅りゅうぜん
「おっ、いいねえ!」


挿絵(By みてみん)
董允とういん
「よくありません! 魏と呉が国力を損ねた今こそ、我が国はそれを対岸の火事とせず、他山の石として一層の――」


挿絵(By みてみん)
蔣琬しょうえん
「しくしく。おじさんは丞相なのに老臣たちにないがしろにされてます……。
目から汁が止まりませんよ。あ、汁じゃなくて汗だった」


挿絵(By みてみん)
尹黙いんもく
「丞相だと言うなら、亡き武侯(諸葛亮)のように丞相らしく振る舞って欲しいものだな」


挿絵(By みてみん)
蔣琬しょうえん
「フハハハハ! 馬鹿め! 余は10万50歳であるぞ!
こんな感じですか?」


挿絵(By みてみん)
董允とういん
「ただの物真似ではないか!
お主は多少は兵法の心得があるからと消去法で丞相にされたとはいえ、もう少し自覚というものをだな。
くどくどくどくどくどくど――」


挿絵(By みてみん)
姜維きょうい
「陛下」


挿絵(By みてみん)
劉禅りゅうぜん
「うわっ! なんじゃ姜維。まだ諸葛亮の声のままなのか?
それもう術じゃなくて呪いか何かじゃないのか?」


挿絵(By みてみん)
姜維きょうい
「魏が曹叡の死で動揺する今こそ好機。
私が陸から、蔣琬殿が水路から攻めかかれば魏を一刀のもとに斬り伏せられること必定。
出陣の許可を」


挿絵(By みてみん)
蔣琬しょうえん
「え? おじさんも出撃するの?
参ったなあ。どうしようかなあ。こんなこともあろうかと軍船は揃えておいたけど……」


挿絵(By みてみん)
郭攸之かくゆうし
「そ、揃えてあるのか。いつになく用意がいいではないか。
陛下、ワシも姜維の意見に賛成ですぞ」


挿絵(By みてみん)
劉禅りゅうぜん
「じゃあせっかくだから出撃しとこうか。気をつけてな」


挿絵(By みてみん)
姜維きょうい
「承知」


~~~蜀 漢中かんちゅう~~~


挿絵(By みてみん)
王平おうへい
「てやんでい! 姜維の出番はねえぞべらぼうめ!
てめえじゃ相手にならねえぞこの唐変木が! おととい来やがれってんだ!」


挿絵(By みてみん)
曹爽そうそう
「く、くそ! 王平ごときに遅れを取るとは……」


挿絵(By みてみん)
桓範かんはん
「ここは危険だ。後退し司馬懿の後続部隊と合流すべきだ」


挿絵(By みてみん)
曹爽そうそう
「しかしここでおめおめと引き下がっては私の面目が立た――」


挿絵(By みてみん)
廖化りょうか
「背後を取ったぞ! 魏軍を殲滅しろ!」


挿絵(By みてみん)
張嶷ちょうぎょく
「好機」


挿絵(By みてみん)
桓範かんはん
「面子にこだわっている場合ではない。
私の知恵袋その八十三によるとこのままでは全滅するぞ!」


挿絵(By みてみん)
何晏かあん
「じ、冗談じゃないわ。曹爽、私は先に逃げるからね!」


挿絵(By みてみん)
曹爽そうそう
「くっ……。姜維どころか先鋒の王平に負けて帰ってきましたなどと、どの面下げて司馬懿に言えばいいのだ……」


~~~魏 洛陽の都~~~


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「曹爽の馬鹿め。ろくに実戦経験もない取り巻き連中をつれて遠征なんかして勝てるものか」


挿絵(By みてみん)
劉曄りゅうよう
「軍権を任された司馬懿に対抗するため戦功が欲しかったのだろう。
彼は曹叡陛下の側近で、曹真そうしんの子だから出世しただけの人間だからな」


挿絵(By みてみん)
孫礼そんれい
「ウオンウオン!」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「しかもあいつめ、今度は政治的に司馬懿を追い落とそうとしてやがる」


挿絵(By みてみん)
司馬懿しばい
「いえいえ、そんなに曹爽様を悪く言ってはいけませんよ。
このたび私に太傅たいふという素晴らしい地位を与えてくださいましたし――」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「それが曹爽の陰謀だろうが!
お前を名誉職に追いやって実権を奪うつもりなんだ」


挿絵(By みてみん)
劉曄りゅうよう
「私も曹爽の画策で曹叡陛下には疎まれたものだ。
司馬懿を陥れることなど赤子の手をひねるようなものだろう」


挿絵(By みてみん)
孫礼そんれい
「ガルルルル……」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「ったく。さすがの俺も酔いが覚めちまうぜ……」


挿絵(By みてみん)
劉曄りゅうよう
「私もいい年齢だしこのあたりで隠居するとしよう。
司馬懿、お前もそうするといい」


挿絵(By みてみん)
司馬懿しばい
「へ? いえいえ私は劉曄様に比べればまだまだ働き盛りです。
曹爽様の御恩に報いるためにもますますはりきって――」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「このままじゃ暗殺されてもおかしくないから、いったん身を引けと言ってるんだ!
こんな時に限ってポジティブになりやがって!」


挿絵(By みてみん)
司馬懿しばい
「は、はあ……。政治は難しいですな」


挿絵(By みてみん)
劉曄りゅうよう
「しばらくは曹爽の好きにやらせよ。楊阜がいればこれ以上は滅多なことはさせまい。
隙を見て、後はお前たちでなんとかしろ。次の世代の仕事だ。
我らの守った魏を滅ぼすなよ」


挿絵(By みてみん)
蒋済しょうせい
「……努力しますよ」


挿絵(By みてみん)
孫礼そんれい
「ウガアアアアアッ!!」


~~~山東さんとう~~~


挿絵(By みてみん)
関銀屏かんぎんぺい
「甘いぞ! 関索!」


挿絵(By みてみん)
関索かんさく
「ね、姉さん……。
俺の行く先々で助けてくれた謎の覆面忍者の正体が、まさか関銀屏姉さんだったなんて」


挿絵(By みてみん)
関銀屏かんぎんぺい
「私は亡き関平兄さんの指示で、呂常を追っていた。
ヤツは伝説の神獣・蚩尤しゆうを蘇らせこの世界を破滅させようとしている」


挿絵(By みてみん)
関索かんさく
「う、嘘だ……。あの平和を愛する呂常師匠がそんなことをするはずが――」


挿絵(By みてみん)
花鬘かまん
「まだ目を覚まさないの関索? 鮑三娘もあの男の手に落ちたのよ。
呂常はあたしたちの敵なのよ!」


挿絵(By みてみん)
関索かんさく
「…………師匠」


挿絵(By みてみん)
呂常りょじょう
「だからお前は阿呆なのだああッ!!」


挿絵(By みてみん)
関銀屏かんぎんぺい
「現れたな呂常!」


挿絵(By みてみん)
呂常りょじょう
「もはや手遅れだ。デビル蚩尤の復活は誰にも止められん。
あの娘を生体ユニットとして蘇ったデビル蚩尤が世界を変えるのだああッ!」


挿絵(By みてみん)
鮑三娘ほうさんじょう
「索にゃん…………」


挿絵(By みてみん)
関索かんさく
「三娘!? そこにいるのは三娘か!」


挿絵(By みてみん)
鮑三娘ほうさんじょう
「索にゃん! あたしのことはいいから逃げて!」


挿絵(By みてみん)
関索かんさく
「そんなわけには行くかああッ!
呂常! もう俺は貴様を師匠だとは思わん! 三娘を返せええッ!!」


挿絵(By みてみん)
呂常りょじょう
「ならばこのワシを倒してみよ!
喰らえ! ナイトメア・フィンガァァッ!!」


挿絵(By みてみん)
関索かんさく
「ばぁぁく裂! ホット・フィンガァァッ!!」


~~~鮮卑せんぴ~~~


挿絵(By みてみん)
軻比能かひのう
(何者だ)


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「何者でもないです。ただの刺客です」


挿絵(By みてみん)
軻比能かひのう
(無駄だ。心あるものに吾が結界は破れぬ)


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「なら心を捨てればいいです」


挿絵(By みてみん)
軻比能かひのう
「な…………ッ!? ば、馬鹿な…………」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「殺したです」


~~~鮮卑~~~


挿絵(By みてみん)
馬雲緑ばうんりょく
「お疲れ。さすが月英はんや。楽勝やったな」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
朶思大王だしだいおうより楽に殺せたです」


挿絵(By みてみん)
馬雲緑ばうんりょく
「ははは。鮮卑せんぴの王も形無しやな」


挿絵(By みてみん)
董夫人とうふじん
「さあ、一仕事終えたばかりで悪いけど、次の依頼が待ってるわよ」


挿絵(By みてみん)
馬雲緑ばうんりょく
「イキイキしとるな。やっぱり義姉さんは現役の軍師が似合っとるわ」


挿絵(By みてみん)
董夫人とうふじん
「いつまでも泣いてるんじゃないって馬超に夢枕で怒られたからね。
あの馬鹿に偉そうに説教されたらそりゃ発奮するわよ」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「いつまでだべってるです非実在未亡人ども。早く次の標的を殺しに行くです」


挿絵(By みてみん)
馬雲緑ばうんりょく
「あんたも未亡人みたいなもんやろが」


挿絵(By みてみん)
黄月英こうげつえい
「何か言ったですか」


挿絵(By みてみん)
馬雲緑ばうんりょく
「いんや。ほなはりきって行こか!
次はウチの弓で標的を仕留めたるで!」


~~~~~~~~~


かくして関索の旅は終局に向かい、黄月英らは新たな旅路についた。
一方で魏は幼帝が即位し、司馬懿は閑職に追いやられる。
呉は孫権が衰えを見せ、蜀は姜維がついに北伐に打って出ようとする。

次回 一一〇   姜維の北伐
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ