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箸休め 生物の毒について

 またもや番外編です。今回は生物の毒について紹介しています。

 ちなみに『亡霊葬稿シュネヴィ』のほうでは、植物の毒について語っています。

 アサガオとかイチョウとか、身近な植物が意外と危険で驚きました。


亡霊葬稿ぼうれいそうこうダイホーン』内で語った通り、アンボイナは全生物の中でも指折りの猛毒を持っています。悪いことに彼等は攻撃性も高く、触れただけで毒の銛を突き刺してくるそうです。一説には一回の攻撃で、成人の致死量の70㌫分に相当する毒を注入すると言います。


 アンボイナの他にも、自然界には毒を持つ生物が数多く存在します。

 では毒を持つ生物の中で最も危険なのは、一体何なのか?


 単純に致死量の多い少ないで言うなら、最も危険なのはマウイイワスナギンチャクです。

 彼等はハワイのマウイ島に棲息するイソギンチャクの仲間で、パリトキシンと言う神経毒を持っています。パリトキシンには心臓や肺の血管を収縮させる作用があり、僅か4μ(マイクロ)㌘(1μ(マイクロ)㌘は0.001㍉㌘)で人間を絶命させると言われています。ちなみに猛毒で知られるヤドクガエルですら、人間を殺すには0.2㍉㌘ほどの毒が必要です。


 では毒を持つ生物の中で一番危険なのは、マウイイワスナギンチャクなのでしょうか?


 実はこの問題、一概に言い切るのは難しいところがあります。

 まず問題になるのが、何を根拠に凶悪とするのかと言う点です。

 30分で命を落とすが、死の直前まで自由に動ける毒。

 死ぬまでに一時間掛かるが、5分で動けなくなる毒。

 どちらが凶悪かは、人によって意見の分かれることでしょう。また猛毒でも血清があるなら、血清のない弱い毒よりくみしやすいとも言えます。


 第二に争点となるのが、後遺症の有無です。

 確かにアンボイナの毒は強力ですが、適切な治療を受ければ、後遺症は残りません。一方、マムシやハブを含むクサリヘビ科には、壊死えしを引き起こす毒を持つものがいます。致死量自体はアンボイナより多いですが、最悪、四肢を切断することになる場合もあるそうです。特にインドに棲むラッセルクサリヘビは危険で、血清を打ったとしても一ヶ月近く激痛が続くと言います。


 第三の問題点は、一回に注ぎ込まれる毒の量です。

 デスストーカーの異名で知られるオブトサソリは、体重70㌔の人間を11㍉㌘程度で死に至らしめる猛毒を備えています。しかし一回に注ぎ込まれる毒の量は0.25㍉㌘程度で、数字だけ見れば10回刺されても平気なことになります。とは言え、危険なことに間違いはなく、体重の軽い女性や子供は充分命を落とす可能性があります。

 他方、クサリヘビ科のガブーンバイパーは、体重70㌔の人間を60㍉㌘で絶命させる毒を持っています。致死量だけ見ればオブトサソリより安全ですが、彼等は一噛みで350~600㍉㌘の毒を注入すると言います。単純に一回攻撃を受けた場合を考えるなら、前者より遥かに危険です。


 毒を持つ生物の性質、気質も論点となるところです。

 確かにパリトキシンは恐ろしい猛毒ですが、マウイイワスナギンチャクは自分で動くことが出来ません。不用意に触らない限り、まず被害を受けることはないでしょう。逃げることも容易です。

 かたやコブラの仲間であるブラックマンバは、時速16㌔ものスピードで人間を追い掛けると言います。また毒蛇の中には、ハブのように向こうから攻撃を仕掛けてくる種類もいます。例え致死量の面ではマウイイワスナギンチャクに劣るとしても、被害を受ける確率は彼等のほうが高いと言えます。


 このようにどの生物が一番危険かは、簡単に決められるものではありません。一つだけ確かなのは、不用意に生き物に触れるのはやめたほうがいい、と言うことです。身近なところでは、アマガエルも弱い毒を持っています。触れた手で目に触ると失明する可能性もあるそうですので、どうかご注意を。

(参考文献:猛毒生物最恐50 

      今泉忠明著 (株)ソフトバンク クリエイティブ)

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