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仲間

 俺がユミエルと名付けた少女はよく働くようになった。


 俺がすることを先回りするかのように、炊事洗濯、掃除に買い出しと、毎日毎日、せっせせっせとホントによく働くようになったんだ。


 こいつを買ってから早くも一ヶ月……あのマネキンみたいな少女がこれほどの働き者になるなんて、付きっきりで生活の術を教えてやった甲斐があるというものだ。


 これで、俺も元のように引き籠れる……んならよかったんだけど、まだまだ任せっきりにするには不安が残る。


 だってさ、この前なんて、「紅茶は濃い方がお好きだとおっしゃっていたので」なんて言って、茶葉を十倍にした紅茶を出されたんだぜ。


 それに、干した布団を叩いておくように頼んでおいたら、日が暮れても叩いていたし……こんな感じで、まだまだ加減がきかないみたいなんだ。


 だから、目が離せない。


 部屋に籠っていても、「失敗しないだろうか」、「度を超えたことをしていないだろうか」と心配になって、結局リビングのソファーでユミエルの仕事を見守ったりしてしまう。


 今も、足りない身長を補うための木箱に乗って台所の調理台に向かっているユミエルを、「落ちやしないだろうか」と、ついつい目で追ってしまっている。


 そして、そんな自分に気がついては苦笑するんだ。


 まるで心配性の親犬だな、って。


「……ご飯ができました」


 いつの間に近づいていたのか、ユミエルが昼飯が乗っかったお盆を持って傍に立っていた。相変わらず口も動きも静かな奴だ。


「お、おぉ、ありがと。じゃあ、食おうか」


「……どうぞ」


「ん? 一緒に食うんだよ。お前のも持ってこい」


「……ですが」


「いーから、いーから」


 渋るユミエルの背中を押して、一緒に台所へ向かう。


 ユミエルは、「奴隷だから」という理由で色んなことを遠慮する。飯の席を一緒にしたがらないのも、その一つだ。


 他にも、「主人より早く風呂には入れない」とか、「主人と肩を並べて歩けない」とか言うんだけど……まだ、これらも説得の最中です。


 そりゃあ、どこぞの金持ちに買われた奴隷ならそうしなきゃいけないんだろうけど、俺はユミエルを奴隷とは思っていない。


 成り行き任せで家に置くことになったから、奴隷じゃなければ何なのか、って言われても困るが……とにかく、俺はこんなちっちゃな子を奴隷としては扱いたくない。


 一緒に暮らしている以上、飯も一緒に食いたいし、風呂も買い物も、妙な遠慮は見せて欲しくない。


 経緯はどうであれ、もう赤の他人じゃないんだからさ。




 これが、出会ってから一ヶ月までの俺とユミエルの関係。


 気を使って、それが拒否される。交わってはすぐ離れる平行線のような関係。


 今みたいに、口を悪くして平気で言い合えるような仲じゃない。対等なパートナーってわけじゃなかった。


 今にして思えば、俺はユミエルをかまい過ぎていたし、ユミエルは俺を「奴隷の主人」以外の何かとは認識していなかった。


 主人らしからぬ俺と、生まれながらの奴隷のユミエル。どこかぎこちない関係になるのも当然だと思う。


 そんな関係に変化が起きたのは、やっぱりあれがあったからかな……。


 ……うん、それしか思い当たらない。


 しとしとと雨が降るあの日、俺がユミエルに「仲間」だと伝えたこと。


 そんな出来事があったから、今の俺たちがあるんだ。




 きっかけは、些細な事だった。


 俺が出かけている間に、ユミエルが俺の部屋の掃除をして……俺の私物を、いくつか捨ててしまったんだ。


 帰ってから、ちょうど俺の部屋から出てくるユミエルに出くわして……で、こいつも自発的に動けるようになってきたなぁ、と、その時は嬉しい気持ちだったんだ。


 それが、「リビングの掃除」という俺の頼んだことの延長でも、とても嬉しかった。


 だってさ、最初の頃は徹底的な指示待ち人間だったんだぞ。誰かがコマンドを入力しないと何もできない、ロボットのような少女……それが、言われた以上のことをしてみせたとなると、誰だって嬉しくなるもんだろう?


 そりゃあもう、顔をにやけさせながら自分の部屋に入ったね。


 でも、一瞬でその顔は凍りついた。


 ない。


 あるべき場所に、あるべきものがない。


 机の上に置いていた、親友たちとの思い出の品、旅先で購入したちょっとした小物なんかが……まとめて、消えていた。


 そして、呆然とする俺に向かって、ユミエルからの一言。


「……ゴミだと思ったので捨てました」


 確かに、ゴミみたいなもんだ。何の合成素材にもならないし、生活の役に立つようなものじゃあない。地中海で拾った貝殻なんて、見る人が見れば確かにゴミにしか見えないだろう。


 でも、俺にとっては大事なものだったんだ。それこそ、机の上に置いて目に入るようにするぐらいには。


 それをゴミと言って捨てた……あまつさえ、「……同じようなものがご所望なら、わたしが採ってきますが」と言ってのけるユミエルに、俺はカッとなってしまった。


 少しは人間らしくなってきた、少しはこの少女との距離が縮まったと思っていた。でも、そんなの、全て錯覚だったんだ。


 俺の中で怒りと、どこか寂しい気持ちが混ざり合って……ユミエルを、「出てけ!!」と怒鳴りつけてしまった。


 そんな怒声に表情一つ変えない少女が、とても憎たらしく思えた。「……申し訳ございませんでした」と言って退室するユミエルの後ろ姿を見ながら、「どうせ本心からの言葉じゃないんだろう」とも思ってしまったぐらいだ。


 でも、怒りなんてものはそんなに長続きするもんじゃあない。人はどうだか知らないけれど、俺は小心者でさ。感情に任せて怒鳴りつけたりすると、後になるほど罪悪感が湧いてくる。


 特に、今回のように俺にも非がある場合はそうだ。


 大事なものなら、自身のアイテム欄に閉まっておけばいいんだ。「アイテム欄に入れていたら、あのオーブみたいに消えてしまうかも」なんて臆病風に流されず、無造作に出しっぱなしにしておかなけりゃよかったんだ。


 そもそも、捨てちゃいけないものがある、だなんてユミエルには伝えてなかったからな。まだまだ常識に欠けるあの子が、飯を作ったときにも出る生ゴミとしての貝殻と、思い出が残る貝殻の見分けがつくはずもない。


 そう、今回は俺にも非があったんだ。なのに、一方的にお前が悪いと決め付けてしまうなんて……今からでも遅くはない、謝ろう。


 うじうじと悩んだ末にそう決めたものの……結局、俺は動けない。


 どうにも踏ん切りがつかないというか……あれだけ理不尽に怒って部屋から追い出したのに、どの面下げて会えるというのか。


 いや、でもユミエルはそういうの気にしなさそうだし……でも……いやいや……。


 そんなこんなで、俺は晩飯時になるまで部屋から出られずにいた。




「あれ? ユミエル、どこ行ったんだ?」


 晩飯にかこつけて、ユミエルに謝ろうと思って下まで降りてきたんだけど、肝心の相手がいないんじゃあどうしようもない。


 それどころか、もう暗くなっているというのに灯りすらついていない。リビングは真っ暗で、暖炉に薪もくべられていなかった。


「ユミエル? ユミエル~?」


 風呂掃除でもしているのか? それとも未だ慣れていない繕い物の練習かな、と思って家中見て回るが、影も形もない。


「どこに……もしかして」


 家にいないのなら、必然的に外にいることになる。でも、まさかこんなに遅くに、それも雨が降っているのに出かけるはずはないだろうと思ったけれど……ユミエルの靴は、玄関の土間から消えていた。


「あいつ……! マジかよ……」


 もしかして、ユミエルは海岸に行ったのかもしれない。捨ててしまった貝殻の代わりを、口にした通りに採りに行ったのではないだろうか。


 暦の上ではまだ秋だけど、最近はすっかり冷え込んできている。そのうえ、今日の天気に、海岸線の潮風だ。昼から今までずっと外にいたとなると……少女の細身には、負担が高すぎる。


「あの馬鹿っ……!」


 すぐさま、ジャケットを羽織って靴に足を突っ込む。雨の街は人通りが少ない。しかも、この時間に海岸なんて誰も寄り付かないだろう。


 それはつまり、ユミエルに何かあっても、誰かが助けてくれるという可能性が低いということだ。


 ユミエルは見た目通り、体力がある奴じゃあない。早く迎えに行かなくちゃ……。


 何かに急かされるように玄関のドアを開け放つ。途端に、流れ込んでくる寒気。しとしとと降る雨は、俺の予想以上に気温の低下を招いているようだ。


 海の傍なら、もっと冷え込むだろう。急がねば……。


 そして俺は、雨粒が落ちてくる曇った夜空に向けていた顔を下ろし、海岸へ急ごうとしたところで……探していた相手が、玄関脇に立っていることに気がついた。


「はぁっ!? ユ、ユミエル……なんだ、ここにいたのか……ん?」


 海岸で倒れているとか、俺の杞憂だったか、と、ほっと胸を撫でおろそうとしたが……どうにも、ユミエルの様子がおかしい。


 全身が雨にぬれて、いつも白い肌がますますその度合いを増し、病的な白さとなってしまっている。


 体はブルブルと小刻みに震え、目はどこか虚ろだ。五分や十分でこうなるとは思えなかった。


「お、おい、ユミエル。こんなとこで何してんだ……?」


「……ご主人さまが、出ていけとおっしゃられたので、家の外にいました」


「馬鹿っ……! あれは部屋から出ていけってことだったんだよ! 何も、家を出る必要なんてない! ほら、寒いだろ? 家の中に入りな」


 また、俺とユミエルとの認識の齟齬によるトラブルだ。でも、今回ばかりは笑い話では済まされない。下手をすると、風邪をひいているかもしれない。早急に温めてやる必要があった。


 だが、ユミエルはその場から動こうとしない。俺が手を引いても、頑として家の中には入ろうとしなかった。


「お、おい、何してんだよ? 風呂にでも入って温まれよ。ここにいたら風邪ひくぞ?」


 意図の分からぬ行動に、段々と焦ってくる俺。それとは対照的に、ユミエルの表情はどこまでも透き通っていた。


 そして、そんな揺らぎの無いユミエルは、口を開く。事務的に。機械的に。


「……ご主人さま、わたしは奴隷です。奴隷が粗相をしたのなら、罰せられるのが当然です。それは愛玩奴隷であっても変わりません。ご主人さまも、そのつもりで出ていけとおっしゃられたのでしょう? わたしは、悪い事をしたのですから」


 そうだ。


 この少女は、奴隷なんだ。


 俺だって散々見てきたじゃないか。何かを失敗し、鞭で叩かれる奴隷を。飽きて捨てられる愛玩奴隷を。面白半分に殺される奴隷がいるという話も、聞いた事がある。


 当然、俺には受け入れがたい話だけど……それは、この世界のルールなんだ。


 俺の国には奴隷がいないのが当たり前だったように、この世界では奴隷が手ひどい罰を受ける、理不尽に扱われるというのは、当たり前の話なんだ。


 俺は、この世界の人間じゃない。だから、そんな俺が「気に食わないから」という理由で現行の制度をひっくり返そうだなんて思ってはいない。だけど……だけどさ……。


「俺は、お前を奴隷だなんて思ってねえよ!」


 そう、「そんなものだ」と言われても、やっぱり俺には奴隷をどうこうするなんて無理だ。そもそも、同じ人間を奴隷として扱いたくない。


「……わたしは奴隷です。産まれながらの愛玩奴隷です。それ以外の何だというのですか?」


 だけど、こう言い返されると言葉に詰まる。奴隷じゃないと言っておきながら、じゃあ何なのかとは即答できない。


 俺にとって、目の前にいる妖精種の少女はどんな存在なんだ?


 奴隷? 違う、それは違う。そう扱いたくないと決めている。


 家政婦? 違う、それも違う。俺と一緒に家事をする家政婦がどこにいる。


 じゃあ、何なんだ? この少女は、俺にとっての何なんだ……?


 それを言葉に出来ない俺に、ユミエルは寒さに震える唇で……でも、俺に伝わるよう、確かな発音で自分の考えを述べてくる。


「……ご主人さま。貴方は、「いい人」なのだと思います。奴隷仲間に聞いていたような酷いことは何もせず、逆に、愚図なわたしに様々なことを教えてくれました。でも、わたしは奴隷なのです。一緒に街を歩けば、貴方は笑われます。わたしに作業着とはいえオーダーメイドの服を仕立てれば、きっと陰口をたたかれるでしょう。わたしは、「いい人」をそんな目に合わせたくありません。なので、これでいいのです。奴隷は、奴隷らしい扱いを受ける。それでいいのです」


 珍しい……いや、初めてのことだ。ユミエルが、こんなに長く喋ったのは。自分の心を見せてくれたのは。


 人形だなんてとんでもない。この少女が、いつもいつも奴隷であろうとしたのは、俺を思いやってのことだったんだ。最初は違ったのかもしれない。でも、語られた通り、俺が笑われる度に、この子は俺をそんな目に合わせたくないと思っていたんだ。


 そう理解した途端……この子は俺の何なのか。


 その答えが、すとんと腑に落ちた。


「いや、奴隷じゃない……仲間だ。お前は俺の仲間だ」


「……ご主人、さま?」


 気がつけば俺は、ユミエルの冷え切った体を抱きしめていた。そして、小さな少女の耳元で、「お前は仲間だ」と、見出した答えを囁いていた。


 そう、仲間だ。奴隷じゃない。一緒の家に暮しているけれど、家族でもない。恋人や夫婦のように、愛を囁くような仲でもない。


 赤の他人が、お互いのことを思いやるような関係になれば……それは、「仲間」なんだと、俺は思う。


 思えば、俺は仲間が欲しかったのかもしれない。れんちゃんと優介という仲間がいなくなり、寂しかったのだと思う。だから、無条件に傍にいてくれる人を……仲間を求めていたのかもしれない。


 でも、同時に臆病だった。引き籠る俺に親身になってくれる人も、いつかは離れていくんじゃないかと思っていた。


 だからだろう……あの日、衝動的に奴隷を買ったのは。「主人からは自由になれない」と教え込まされて育てられた、どこにも行かない奴隷を買ったのは。


 でも、この子は俺のことを思いやるようになってくれた。俺のために、最下層の身分である奴隷であり続けようとしてくれた。それが俺には、ただただ嬉しかった。


「……仲間。よく、分かりません」


「ん? そうか……じゃあ、これからゆっくり覚えていけばいいさ。まぁ、ちょっとだけ教えるとすれば、仲間ってのは、対等なもんだ。それと、黙ってどっかに行ったりしないし、仲間同士助け合うもんだし……」


 そして俺は、ユミエルの肩を引いて家の中に入っていく。


 これから、仲間とは何なのか、たくさん教えてやろう。もう、奴隷であり続ける必要なんてないんだと、この子に教えてあげるんだ。


 お前らも、賛成してくれるだろう? この子を仲間に入れることをさ……。


 玄関脇の上部に吊り下がった、「フリーライフ」と刻まれたプレート。それはまるで、返事をするかのように風に揺られて壁に軽くぶつかり、チン、と音を立てた。




 こうして、フリーライフのメンバーは四人になった。




 それからは、徐々に毎日が騒がしくなっていった。


 家事の邪魔になるからと、ユミエルに髪を切ってくれと頼まれた。結果、光を含んでいるかのように艶めく彼女の長い髪をばっさりと切り落とし、ユミエルはショートカットの女の子になった。


 この頃から、俺から遠ざかっていたご近所さんたちとの付き合いも、それなりに戻りつつあった。特に、ヴィーヴィル夫人はユミエルを気に入ったようで、小さな少女は猫かわいがりされていた。


 もしもの時にも一人で生きていけるように、そして何より、俺の役に立ちたいと言うユミエルの希望によって、彼女のレベル上げなんかもした。


 しばらくぶらぶらしていたら、妙に気負った感じのユミエルに「働いてください、働いてください」と防御貫通の鞭でしばかれて、楽そうな何でも屋を始めてみた。


 そして、日本米を食べさせる定食屋が近所にできたり。


 学校の講師になってみたり。


 わんこにやたら懐かれたり、アルティにストーキングされたり、廃人エルフにからまれたり……。


 本当に、色々あった。


 何でも屋を始めてからというもの、あっという間に時間が過ぎていったように思う。


 まぁ、悪くはない毎日だったよ。何だかんだで楽しかった。れんちゃんや優介がいなくても、色んな奴らと馬鹿騒ぎしていたせいで落ち込み直す暇もなかったさ。


 だから、別に先に帰ったことをあんまり気にすんなって。あれは俺が勝手にやったことなんだしさ。


 それに、こうして会いに来てくれたじゃないか。


 なぁ、れんちゃん?






「……と、まぁ、そんな感じで色々あったんだよ。いや~、大変だったんだぞ?」


「そっかぁ」


 帰り道にばったりと幼馴染と再会してから数時間……自分が思った以上に語ることは多く、それと併せて飯を食ったりなんだりしているうちに、気がつけば深夜にさしかかろうとしていた。


 れんちゃんは聞き上手だからな……いつも、ついつい喋りすぎてしまう。


 でも、そろそろ明日に備えて寝なきゃいけない。


 明日になったら、どうやってまた異世界に来たのかを聞かせてくれるそうだ。今日は時間も遅いからってことで先延ばしにされたけど……気になってしょうがない。


 まぁ、れんちゃんは明日話すって言ってんだ。それを信じて、さっさと寝よう。俺が寝ないと、寝ようとしない奴もいることだし、な。


「ユミエルも、給仕はもういいから寝ていいぞ。結構遅い時間になったからな……先に風呂に入れ」


「……ですが」


 う~む、お客さんの前だと、未だに俺を立てようとする。こうなったら、こいつは頑として譲らないだろう。さて、どうやって説得したものか……。


「ユミエルちゃん、ちょっといいかな?」


 ここで我らがイケメン、れんちゃんが立ち上がったー!


 よし、久々に女の子相手の巧みな話術を見せてもらおうか。


 お前なら、この頑固娘を説き伏せることができる! やったれ、れんちゃん! 地球男の意地を見せてやれ!


「あのね、ちょっと言いたいことがあるんだけど……」


「……はい」


 れんちゃんは、ユミエルに近づいて軽く肩に手を乗せる。


 そして、こう言った。




「【カウント・デス5】」




 スキルの発動宣言と共に、ユミエルの四肢から力が抜ける。崩れ落ちるかのように、その場に倒れ伏す……その数秒にも満たない時間が、やけにゆっくりと感じられた。


「…………え?」


 床にうつ伏せに倒れたままのユミエル。その傍らに立つれんちゃん。


 その顔は……俺の幼馴染の顔は、いつもと同じ爽やかな笑顔だった。






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