挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

ねぇ、いきなり詰んでるんだけど?

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

2/302

働いたら死ぬ…?!

「メニュー! ちょっと?! 今のなし! キャンセル! とりけしして!」

 空中に半透明の窓を出して、それに向かって金髪ロリ……ロクコがわめいているが、特になにも反応がないようだ。ああ、耳にキンキンうるさいなぁもう。これだから子供は……

「おい、うるさいから声もうちょいおとして。むしろ黙って」
「な、なに、よ、命令してんじゃ……ッ………」

 黙った。
 うん、そうか、俺がマスターなのね。そしてマスターのいうことは絶対ってことね。ふふふ。
 はからずしも、『働かなくていい』という優雅な生活が俺のもとに来たのかもしれない。
 そう、俺が特に働く必要はないのだ。この金髪ロリ幼女に働かせ、俺は悠悠自適に寝て過ごす生活をするのだ!
 …………うん、想像したけどすっげぇクズだわコレ。

「……さすがに幼女っていうのがな。常識的に考えて……」

 せめて同い年か年上だってんだったらまだヒモとかいう感じで心からの寝放題生活を満喫できただろうに……年齢2桁いってるかどうか怪しいもんなぁ、こいつ。

「えーっと、メニュー? おっ、マジで出た。えーっと、何々……」

 俺の言葉に反応して出てきた半透明な窓……うん、メニューウィンドウだな。わかりやすくできることとかがまとまっている。大きく分けて3つだ。

 ・迷宮
 ・配下
 ・DP

 丁寧に日本語(と英語)だった。……いや、これも神様のおかげで言葉がわかるのかな? たぶんそうなんだろうな。

「…………ッ! ……ッ!」

 お、ロクコがなんかすっごい睨んでる睨んでる。ははは幼女が睨んでも怖くねぇぞー、かわいいかわいい。頭撫でてやろう。あ、ますます怒った。無言でなんか叫んでる。

「言いたいことがあるなら話せよ」
「クズッ! 馬鹿! っ、は、よ、ようやく声が出たわ、このすかたん! 何したのよ!」
「うん、馬鹿はロクコ、お前だ。 どうやら俺はお前のマスター、つまりダンジョンマスターになってしまったようだ」
「取り消しなさいよ!」
「なんで?」
「わた、私がっ 私がいちばんえらいの! だから! 従え!」

 顔を真っ赤にしてやや涙目で怒りながらこちらを見上げる金髪幼女……事案モノだな。
 分かった、こいつは馬鹿だ。

「誰が馬鹿よ!」
「おっと、声に出てたか。でも考えてみろ。……お前、俺を召喚したのはなんでだ?」
「そりゃー、ダンジョンのモンスターにするためよ」
「つまり、お前に従うとなると俺はダンジョンのモンスターとして戦わされるわけだ、下手すりゃ死ぬ。むしろたぶん下手しかしないで死ぬ。俺は寝るのは好きだが、永遠の眠りはまだまだ遠慮したいお年頃なんだ」
「ま、まぁダンジョンのモンスターってのはそういうモンだからね……それにあんた弱そうだし……」
「俺のことは桂馬でいいぞ」
「ん、わかったケーマ。……ぐッ、逆らえない……!」
「とりあえず、ダンジョンの確認をするとしよう。寝床は安全な方がいいからな」

 俺はメニューから『迷宮』を選んだ。タッチパネルで動かしたけど、音声認識とかでもいけるんだろうな。
 で、ダンジョンの状況が表示されて俺は固まった。

「…………おい、なんでダンジョンが入口と通路と一部屋しかないんだよ」
「うちはモンスターでやってくって方針なのよ! それが一番強いって聞いたわ」
「お、おう、つまりこのダンジョン内の……山賊がモンスターってことでいいのか?」
「あ、それは侵入者ね!」

 だよな、なんかダンジョンマップみてもエネミーっぽい表示になってるもん。

「つかここどこだよ! ダンジョン内じゃないの?!」
「ここはダンジョンコアの中にあるマスタールームよ。ま、異次元? ていうの?」
「おま……つまりここってロクコの中?」
「あ、うん。私の本体の中って感じ……て、なによ、卑猥な言い方ね、えっち」

 ロクコはほんのり頬を赤くしつつジト目でこっちを見てきた。とんだ冤罪である。謝罪と賠償を要求したい。が、先に大事な事を確認しておこう。

「俺が見るに、ダンジョンコアはその山賊がたむろしてる部屋に設置されてるようなんだが?」
「私がみてもそうねぇ」
「……なんで?」
「え、ダンジョンコアはダンジョンの中に設置しないと効果ないからよ? 常識よ」

 頭痛がしてきた。
 ダンジョンコアはダンジョンの中に設置しないと効果がない。
 ダンジョンは部屋がひとつしかない。
 だからダンジョンコアはその部屋に設置している。
 そしてそのダンジョンコアのある部屋には山賊が8名ほど侵入している。

「……えーっと? これ、詰んでない? 開始即乙?」
「だからなけなしのDP使って山賊を蹴散らそうとモンスター召喚したのよ。そしたらケーマが出てきた。弱いのが出てきたのが間違いね、今からでも交換できないかしら……」
「うん、俺、元の世界に帰りたいんだけどダメ?」
「無理。いや、召喚できるんだから絶対無理ってわけじゃないだろうけど、たぶんDPが圧倒的に足りないんじゃない?」

 DPってのはダンジョンポイントの略で、「いろいろできるのよ!」とのこと。
 まぁそれは今は良い。
 俺、ダンジョンマスターだけど、ダンジョンコアとか破壊されたらどうなんの?

「そりゃー死ぬわよ? マスターとコアは一心同体、一蓮托生なんだから」
「やべぇ死んだ……」
「大丈夫よ、マスターが死んでもコアは平気だから」
「一心同体とかいっといて一方通行じゃねぇか!」
「あー、うん、けどまぁ大丈夫よ、まだ死なないわ。うん」
「なんでだよ!」
「この山賊たち、ここの洞窟を根城にしてもう10日経つけど、ダンジョンコアを破壊しようとかしてこないもの」
「……え?」

 ちなみにダンジョンコアはバスケットボール程度の大きさがあり、しかもこの部屋の壁や床みたく常に光っているらしい。さらにダンジョンに対して露出していなければいけない都合上、見つからないということはまずない。というかすごく目立つように置いてあるのだ。

「……だから、大丈夫なのよ。それに、侵入者がいる状態だとDPも少しだけど入ってくるし」

 果たしてそれは大丈夫なのだろうか。
 いや、大丈夫じゃないんだろうけど。だからDPつかってモンスター召喚なんてしようとしてたわけだし。

「……わかった。ちなみに、DPはどうやって増やすんだ?」
「えーっとね」

 まとめると、
  1.地脈からの自然回復(ここでは基本的に1日あたり10DP)
  2.侵入者がダンジョン内にいる状態を維持。(侵入者の強さ次第)
  3.侵入者を殺す。(侵入者の強さ次第)
  4.死体をささげる。(死体の元の強さ次第)
  5.お宝をささげる。(お宝次第)
 となっている。
 ちなみにゴブリン1匹を召喚するのには20DPかかるらしい。
 いつもなら2日に1匹を召喚できるけど、ここ10日は山賊が8人もこのダンジョンで寝泊まりしているため、1日に+80DPとなっているらしい。

 で、山賊にこの洞窟を制圧されてからここ10日ばかり溜めた900DPに、もともと何かあった時のためにコツコツためて持っていた100DPとをあわせた全財産1000DPをつかって、モンスターガチャを引いたんだそうな。
 そうだね、ゴブリン50匹分ってなったらそりゃゴブリンの50倍は強いだろって期待しちゃうよね。でもガチャだからハズレもあるさ。つーか俺はガチャの景品かよ。いや、ガチャって自動翻訳されてるだけかもしれないけどさ、すげぇ複雑な気分。レア度いくつよ。
 尚、ガチャにはいくつかランクがあって、100、1000、10000……と、十倍ずつ増やせて、上限はない。俺が出た1000DPガチャは下から二番目だったわけだ。
 噂では10万DPガチャでゴブリンがでたり、1000DPガチャでドラゴンが出たり、なんてこともあるらしい。お値段が高いほどいいのがでる確率が高いだけで、基本運ゲーってことか。

「なんでドラゴンじゃないのよ!」
「いや、ゴブリンが出てもおかしくないんだろ、高望みしすぎだろ」

 この金髪ロリはどうにも自分勝手が過ぎるようだ。世界の中心が自分だとでも思ってるんじゃなかろうか? 世の中そう都合のいいことばかり起きたりはしないのだ。ただ寝てたいだけなのに異世界召喚されて働かされたりな。

「……で、現在の残りDPはっと……9か」

 ギリギリ1000DP溜まった時点でガチャを引いたのか、すっからかんの一文無し状態だった。
 メニューのDPからカタログを見ているが、9DPじゃゴブリンすら呼べやしない。
 ドラゴン? 一番弱いレッサー種でも10万DPからですってよ奥さん。ハハッ、そんなん1000DPで手に入るとか考えてるやつはよっぽどのバカだな。
 日用品のページを見ると、9DPでも出せるのが少しだけあった。

「よし、決めた」
「どーすんのよケーマ?」

 俺は、5DPを消費して『そば殻枕』を召喚した。

「寝る」
「え、ちょ?!」
「俺が寝てる間は静かにしててくれ、おやすみ」

 うん、じつに便利だな。次は50DPで『オフトン』を召喚せねば。
 1万DPの『天上枕』や10万DPの『極上オフトン』も気になるところだ。
 俺が横になって目を閉じると、キャンキャン声はゆっくりフェードアウトしていった。


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ