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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

ねぇ、いきなり詰んでるんだけど?

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状況を把握しよう。

「ふぁあぁ、よく寝た……とは言い難いな。くそ、体が痛い」

 俺は目を覚ますと体を起こし、こきこきと肩を鳴らす。
 床は冷たくはなくほんのり温かいくらいだが、固いし、ぼんやり発光してるし、寝るにはあまりよくない環境だった。

「ぐ、よ、ようやく起きたわねケーマ!」
「おうロクコ、どれくらい寝てた?」
「知るか! 6時間よ! ああ口が勝手に」

 時間の流れが同じなのかはしらないが、とりあえず6時間寝られたようだ。
 DPを見ると寝る前は4DPだったのが34DPになっていた。
 ……山賊分のDP、時間割なのか。 強さもかかわってくるみたいだし収入を精確に計算するのは諦めたほうがいいな。

「外は今何時だ?」
「朝の7時よ! ちなみに1日は24時間だから! ってああなんで答えてんのよぉ私!」
「そうかありがとう。語尾にニャをつけろ」
「ふざけんにゃ!」

 1日は24時間。ちなみに1年は12か月、365日らしい。同じなのは分かりやすくていいな。
 それと念のため確認したが、命令は身体が勝手にレベルできいてくれるようだ。
 異世界且つなんでも言うことを聞く幼女とか、俺がロリコンだったら今頃R-18展開だな。
 語尾の命令を解除してやり、とりあえず現状を改めて確認する。

「山賊たちの様子は?」
「さっき起きて外に行ったわ。今は一人が留守番してるわね」
「ふむ……」
「んじゃ、ゴブリンでも呼んでやっちゃいましょ。召喚!20DPゴブリン!」
「は?」

 淡く光る床に魔法陣が現れた。
 魔法陣は光を強めて行き、一瞬フラッシュしたかと思うと、そこには緑色の醜悪な顔をした小人が一人立っていた。
 たぶん、俺の時もこんな感じで召喚されたのだろう。

「よし!」
「よしじゃねぇよ」「あだぁ?!」

 俺はロクコの頭をごつんと殴った。

「な、なにすんのよ! 耐久値減るじゃない! 壊れたらどーする!」
「何勝手にDP使ってんだ馬鹿!」
「はぁ? 私のDPなんだから私が使ってなにが悪いのよ」

 ああ、そうかこいつ馬鹿だった。

「もうお前のDPじゃない、俺のDPだ。どうしても使いたかったら俺に許可をとれ、死にたくなければな」
「なっ、なによ、脅迫?! 私が死んだらケーマも死ぬわよ!」
「そうだよダンジョンコアが破壊されたら俺も死ぬんだよ。だから勝手な事するんじゃねぇって言ってんだ!」
「うぐっ……じゃ、じゃあ、どーするのよ」
「とりあえずこのあたりの情報とかを教えてくれ。……このゴブリン、返品できない?」
「できないわ。あ、でもダンジョン内で殺せば2DPにはなるわよ」
「10分の1か……。わかった、今はまだとっておこう」

 とりあえずゴブリンには待機を命じて部屋の隅にいてもらうことにした。
 ……というか、この部屋結構広いな。今更だけど体育館くらいあるんじゃないか。
 いや、でもドラゴンとか呼ぶことも考えると当然なのか?

「えーっと、そうね、とりあえずここは『ツィーア山』ていうの。……ちなみにこのダンジョンは『ただの洞窟』とよばれているわ! 冒険者がそういってた」

 ダンジョンとすら認識されてねぇじゃねーか。おい。
 かとおもったら、そういう名前のダンジョン、って話らしい。紛らわしい。
 まぁ、確かに煉瓦を敷き詰めたような部屋ならともかく、どっからみてもただの洞窟だもんなぁ。

「冒険者ってのは?」
「ニンゲンがつくった冒険者ギルドっていうのがあるみたい。騎士団とどうちがうのかしらね、詳しくはわかんないわ」

 騎士団とかもあるらしい。違いってそりゃ、個人と治安維持組織の違いなんじゃなかろうか。
 ……これ、ロクコの知ってる情報を一通り聞いたらその時点で俺の方が詳しいことになるんじゃないか?

「近くに人里はあるのか? 地図があるなら見せてくれ」
「メニューから見れるわ」

 メニューをみて確認する。
 どうやら山を降りたあたり、近くに街道があるようだ。山賊はそこを狙ってるのだろうか。
 倍率をいじると、この山周辺の地形情報が出てくる。……が、わかったのはせいぜいこの山の周りくらいか。近くに大き目の街がひとつあって、ツィーア山があって、山を越えたら海があるんだなって程度だ。
 ああ、それと街の他にもぽつぽつと村みたいなのがあるようだ。
 ……ちなみに、地図はかなりアバウトな感じだった。いや、もっと精密に出てほしかったよ、距離とか。いいけどね。このあたりで使われてる地図らしいし。

「ねー、あの山賊殺さないの? 殺せばDPいっぱい入るのよ? 今はいってる感覚だと、そうねー、200DPは入ってくるんじゃないかしら」

 丸々24時間滞在した場合の10日分が目安かな、とのこと。

「いや、山賊にはまだ手は出せない」
「なんでよ、山賊ひとりなら……ゴブリン10匹くらいいればいいかしら」
「200DP手に入れるのに200DPつぎ込むのか……そもそもDP足りてないじゃないか」

 というか、見た目通り弱いんだなゴブリン。10匹で山賊一人分か。

「もうしばらくDPは溜めとこう。無駄遣いはするなよ、できるときにいっきに使う方がいいし、今下手に動いて山賊を刺激しない方がいい。……下手にゴブリン出して、『ゴブリン出てくるしダンジョンコア壊そう』ってことになったらどうする?」
「……! その発想はなかったわ、ケーマ、頭いいのね!」
「ロクコが馬鹿なだけだ。わかったら俺の言うことをきけ、いいな」
「う、うん。わかった」

 さて、これでこれ以上は勝手なこともしないだろう。命令もあるわけだし。

「……えーっと、迷宮の方ではどうだ? 部屋作るのには……大きさにもよるけど、岩肌むき出しな小部屋なら200DPってとこか。通路は長さ次第、トラップはまた別途ってとこか」
「ええ! 部屋作るくらいならモンスター呼んだ方がいいってことよ。だからそっちは使ったことないわね」
「お宝もDPで手に入れて置いておけるわけか。……ああ、枕とかも一応お宝カテゴリなわけね」
「そーだけど、そんなの置いといてなにか意味あるの? そんなのにDP使うくらいならモンスター呼んで侵入者倒さなきゃ……って、なによその目は。気持ち悪いわね」

 おっと、馬鹿を見る生温かい目はこれくらいにしておいてやろう。

「……うん、まぁダンジョンといえばモンスターより、むしろトラップやお宝ってイメージがあるな」
「そうなの? 他のコアたちはそんなこといってなかったわよ?」
「……そういえばロクコは第695番ダンジョンコアとか言ってたな。他に少なくとも694個はあるのか」
「コアを壊されて死んだやつもたくさんいるからそれなりに減ってるとは思う……ダンジョンコアは私たちの心臓だからね」
「1部屋しかないダンジョンで心臓剥きだしってすごいリスキーだなお前」
「だって、いくつ部屋があろうと関係ないって他のコアたちが言ってたもの!」

 ふふん、と自慢げにない胸を張る金髪ロリ。撫でてやろうか、その平坦な胸を。

「他のコアと連絡がとれたりするのか?」
「えっと。集まりがあるのよ。今回私は侵入者があっていけなかったけど……1年に1回くらい召集がかかって……ま、パーティーみたいなもんね。貴重な情報収集の場よ」
「へぇ、それで色々話を聞いてきたんだ?」
「ええ、第89番ダンジョンコア姉様が言ってたの。89番姉さまは私と同じ人間型なのに帝都のど真ん中でダンジョンをやってるすっごいお方なんだから! ナンバーも2桁だし、DPランキングもトップ10に入るし、いつもかまってくれるし」

 なんか騙されてるんじゃなかろうかこいつ。

「ちなみに1000DPガチャでドラゴン出したことあるんだって、89番姉さま」
「そっかー。つーか帝都とかランキングとかいろいろ気になること言ってたけどまぁおいとこう。今は目の前の危機をどうにかしないといけないからな」
「そうね。山賊をどーにかしないと」

 ぐうぅぅ、と音がなった。
 ……そういえば昨日から何も食べてなかったな。

「おし、飯にするか……食べ物は?」
「え? あ、そっか。モンスターは食べ物いるんだったわねー。私はゴハン食べなくてもいいからすっかり忘れてたわ」

 ちなみにいつもは侵入者がきたら手持ちのDPをすべてつかってゴブリンを呼ぶらしい。1か月に1、2度くらい冒険者が来てはゴブリンを殲滅して、ゴブリンの死体を切り刻んで、帰っていくそうな。
 そして俺のことはモンスター扱いらしい。失敬な。
 俺は5DPを消費してパンと水を出し、部屋の隅でおとなしくしていたゴブリンに少しわけてやりつつ、仲良く食べた。

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