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絶対に働きたくないダンジョンマスターが惰眠をむさぼるまで 作者:鬼影スパナ

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DPの使い道とクリエイトゴーレム

「というわけで、【クリエイトゴーレム】を覚えようと思う」

 俺が目を付けていたのは、【クリエイトゴーレム】の魔法だった。
 ゴーレムを造る魔法……うん、いいな、ゴーレムを働かせれば楽できるんじゃないか?

「ええっ、それってゴーレム作れるだけの魔法じゃない。それならDPつかってモンスターのゴーレム呼んだ方がいいわよ。1体100DPで呼べるし、そこそこ強いし」
「つまり、【クリエイトゴーレム】で100体呼べば元が取れるわけだ。……101体目以降はタダ同然ってことだぞ」
「なにそれすごい!」

 うん、まぁそこまで呼べるのか、そもそも物資的にノーコストで呼べるのか、呼んだゴーレムがどれくらいの性能になるのかさっぱりだから、本当に100体で元取れるかとか分からないんだけどね。
 ぶっちゃけ自分で作ってみたいからという理由でもある……黙っとこう。

「というわけでさっそく【クリエイトゴーレム】のスクロールを注文っと。……お、出た出た」

 10000DPと引き換えに【クリエイトゴーレム】のスクロールを選択すると、紐で縛られた羊皮紙の巻物が現れた。
 残りDPが一気に三分の一以下になったが気にしないことにしよう……
 さっそく使ってみることにする。紐をほどき、中を見る。
 【クリエイトゴーレム】、と右端に書かれており、そのあとはなにやら魔法陣が描かれていた。

「……これ、どうやって使えばいいんだ?」
「魔法陣に向かって魔力を流せばいいのよ」

 ロクコに言われた通り、魔力を流し込んでみる。感覚的には生活魔法の『浄化』みたいなものだ。
 魔法陣に手をのせてぐぐっと力むと体内の魔力が手から滲むように出ていく。少し力が抜けていく感じだ。
 手から出た魔力が魔法陣に乗っかり、魔法陣の線に沿って回転するように流れる。
 なるほど……これが魔力を流すって感覚か。
 で、いつまでこうすればいいんだろう。とりあえずどんどん魔力を流し込む。魔法陣に流れる魔力がどんどん加速していく。
 臨界点に達したのか、フッと魔法陣の抵抗が消え、魔力が「パァン!」と弾けて俺に降り注いだ。
 魔力の雨を体に浴びると同時に、自分の中に魔法陣の構造が埋め込まれていく気がした。
 いや、実際に埋め込まれたのだろう、多分、俺はもう【クリエイトゴーレム】を使える。
 スクロールは……魔法陣の線が焼き付いて、火が出て、燃えて消えた。

「……へぇ、初めて見た。魔法のスクロールって使うとそうなるのね」
「えっ? ロクコ、スクロール使ったこととか無かったのか」
「無いわよ、そんな高いもの」
「それでよく使い方知ってたな……」
「ふふん、常識だからね。……89番姉さまに教わっただけだけど」

 さっそく【クリエイトゴーレム】を使ってみるとしよう。
 必要な素材は、ゴーレムの体を作る材料と、魔力だ。知識としてそれがわかる。これがスクロールの効果なんだろう。
 石を材料とすればストーンゴーレム、土を材料とすればクレイゴーレム。使う魔力は必要に応じて変わるようだ。
 俺はマスタールームから出て土でも掘ってこようか、と立ち上がり……いつのまに起きていたのか、所在なさげに部屋の隅で三角座りしているニクに気付いた。
 うん、俺が行くまでもないな。あるものは使うとしよう。

「……よし、ニク、ちょっと洞窟の外から土掘ってきてくれ。量はこれくらいでいい」
「は、い。ご主人様」

 サッカーボールくらいの量を持ってくるようにニクに命令する。
 何も持たずに外へ行こうとしていたのでスコップ(5DP)を渡すと、ニクは少し驚いた顔をした、ような気がした。相変わらず表情が死んでるなぁ……

 しばらくして、スコップと土を持ってニクが帰ってきた。小さな体で土塊を抱えていて、重そうに見える。いや、実際子供には重かっただろうか。
 うん、今更だけどマスタールーム出入りできるのね。

「よーし、よくやった。休んでろ」
「あ、ぅ」

 頭をなでて褒めてやる。ついでに、土を素手で抱えてきて汚れてたから『浄化』もかけてやった。
 なんか「ひゃふっ!」とか言ってたけど、『浄化』かけられるのってくすぐったいんだろうか?
 今度ロクコにかけてもらってみようかな。

「よし、それじゃあさっそく……【クリエイトゴーレム】!」

 土塊にむかって魔力を流し込む。魔力による回路をつくり、形を人型にする。
 スクロールの効果か、頭の中にしっかりと浮かんでる本来のゴーレム像……と比べてかなり小さいけど、まぁ大丈夫だろ、たぶん。きっと。おそらく。なんとかなるってイケルイケル。
 頭に浮かぶ手順の通り、土をこねくり回し、魔力をさらに注ぐ。
 ゴーレムのテンプレートの人型をそのまま小さくして再現だ。
 そのまま10分ほど魔力を注ぎ込んだところで、身長30cmくらいのクレイゴーレム(ミニ)が完成した。

「うわっ、なにそれ……ゴーレム?」
「なんで疑問形なんだよ」
「だって、ふつうゴーレムっていったらニンゲンの大人より大きいじゃないの! これじゃ100体つくっても元とれるかどうか怪しいわね」
「いや、ふつうとか言われても知らんから困るけど……まぁ、それなら1万体作ればいいだろ」

 とりあえずゴーレムは命令すれば動くようだ。さっそく洞窟の拡張をさせることにした。DPの節約になるだろう。
 マップを表示して、ゴブリン部屋としていた離れの洞窟をどんどん奥まで掘り進めるように命令すると、出来立てのクレイゴーレム(ミニ)はスコップも持たずに歩いてマスタールームを出て行った。

「ゴーレムはほんと融通利かないのね。壁を掘るならスコップくらい持っていけばいいのに」
「いやいや何を言ってるんだお前は。俺は今、ゴーレムの可能性に感動してるぞ」

 ロクコの常識では「ゴーレムはあんまり複雑なことはできない」という感じらしいが、とんでもなかった。
 たとえば「穴を掘れ」という命令をすればちゃんと穴を掘ってくれるあたり十分複雑なことはできると思う。もし現代日本で同じことをさせようものなら、まずどうやれば穴を掘る動作なのかを体の動き単位で教えなければ実現しない。
 しかも場所についても、現代日本では「ここに行け」と命令したら何歩歩けばいいかとか、そもそも足の動かし方から教えなければいけないのだ。かつ、倒れても勝手に起き上ってきたりなんかしないし、途中で壁にぶつかったら壁に向かって歩き続けたりするもんだ。

 それがなんと「ここへ行って壁掘ってこい」でいいあたり、魔法ってすごい。感動した。

 しかし、魔法使って結構疲れたな……よし、寝るとしよう。
 あ、そうだ。ニクを抱き枕にしてみよう。そもそもそのために手に入れた気もするもんな。おいでー。……いや、いやらしいこととかはしないからおびえなくて大丈夫だよ? うん、今日はまだニーソとか履かせたりしないしっ、やっぱりそういうのはもっとお互いの信頼を培ってからだな……

  *

 さて、ひとつ言っておこう。
 人間は抱き枕に向かない。
 ニクを抱き枕にしてみたのだが……ああ、もちろん服はぬがせたりとかしてないよ? うん、純粋に抱き枕にしてみたんだ。
 最初はよかった。肌はすべすべのさらさらだし、髪もなんかいい匂いだし。
 でもしばらくして問題が発生した。
 熱いのだ。人肌あっつい。うん、冬でもないときついわコレ。雪山で人肌で温めあうのは納得の熱さだ。ってか子供ってそもそも体温高いとも聞いたことがあるな……さらに言うと犬も人間より体温高いと聞く。なら、犬耳の幼女が体温高いのは当然か。
 あと、なんかハァハァ息がうるさいと思ったら、布団の中でニクが酸欠になりかけてた。
 そりゃそうだ馬鹿か俺は。頭ちゃんと出さないと危ないわ。慌てて頭を布団の外に出してやる。
 そしたら今度は顔が真正面に来るのだ。酸欠で紅くなった頬と力なく半開きの唇がなんか色っぽい……いや! 俺はロリコンじゃない! ロリコンじゃないぞ?!
 吐息がくすぐったかったので反対を向かせた。断じてドキドキしたからではない、吐息がくすぐったかったのだ。……そしたら今度は髪がくすぐったいのだ。うおぉぉ、なんということだ。
 しかたないので、頭一つ分さげるようにして抱きつきなおす。今度は酸欠にならないように布団は腹にタオルケットをかける程度にしておく。熱かったのもこれでちょうどよくなったか。
 ようやくちょうどいい感じになったので寝ることができた。
 だがまだ問題があったのだ。それもかなり大きい問題だ。
 抱き枕にされたほうは動けないという問題だ。動きたければ抱き付いてるほうを押しのけるしかないが、奴隷なニクにそんなことはできない。その結果、何が起きたかというと、

 お も ら し しやがった……ッ!

 いや、俺が悪いんだけどね。起きたときなんかぐっしょりしてるなって思ったよ。
 ニクが腕の中でぐすんぐすん泣いててめっちゃ焦ったね。
 起き抜けに俺と布団とニクに向けて『浄化』つかって速攻で頭なでなで慰めてやったぜ……
 うん、俺が悪かった。今度からトイレにいきたかったら押しのけてでも行ってくれ。
 お詫びの意味も込めて、総菜パンをおなか一杯になるまで食べさせてあげようじゃないか。
 ほらほら、ハンバーガーとかもあるよ! おいしいよ! だから俺が悪かったって泣かないで!


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