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最果てのパラディン 作者:柳野かなた

〈第一章:死者の街の少年〉

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 不死神が去ったあと。
 ボロボロに痛めつけられ、昏睡状態にある3人を、僕は神殿の部屋に運び込んだ。
 不死者として活動できる限界ぎりぎりまで破壊されている。
 完全に破壊されなかったのは、不死神の目的が3人の魂の掌握だからだろう。

 3人とも、高位の不死者だ。
 多少の傷はすぐに復元するのだけれど、今回はそうもいかない。
 損傷があまりに大きすぎる。
 その上、傷をつけたのが不死の力の源である《不死神スタグネイトの木霊》だ。
 あっさりと復元するわけもない。

 あまりにも遅々とした傷の復元。
 恐らく、明日になっても、完治どころか重傷のままだろう。

「……――――」

 最初に腕が砕け、喉を抉られたマリーを担いで運んだ。
 その体はぐったりと力が抜けていて。細く、悲しいほど軽かった。

 次にガスを運んだ。霊体のガスには触れることができない。
 いくつかの《ことば》を使って移送しようとして、何度も声が震えた。

 砕けたブラッドの骨を一つ一つ、部位ごとに整理して運ぶ。
 何度も、何度も、歯をくいしばって涙をこらえながら、神殿と丘を往復した。

 ……僕のせいだ。
 僕が、ブラッドとマリーの執着を奪ってしまったのだ。

 ガスが僕を育てるのに反対した理由も、過度に知識を詰め込もうとした理由も、殺そうとした理由も、わざと負けろと言った理由も、やっと分かった。
 ブラッドとマリーの二人は、僕を見捨てられるような気質をしていない。
 でも僕を育てれば、執着を失うかもしれない。
 だから育てることに強硬に反対した。

 そしてそれが通らず、育ててみると、僕が……僕が前世の記憶から、良い子であろうとしたから。
 前世の記憶を利用して、それなりに理解が早いところを見せてしまったから。
 だから、ブラッドとマリーに熱が入ってしまった。
 ガスがあの頃、僕に物凄い詰め込みを課したのは、僕を潰そうとするためだったのだろう。
 沢山の無茶苦茶な課題で圧し潰して、学ぶことを嫌がるようになれば、と。

 それでも僕は潰れなかったから……ブラッドとマリーの二人が《上王》への執着を失って、僕に傾倒していくのが見えたから。
 だから、思い切って殺そうとした。
 あの時に《石人形の創造(クリエイト・ゴーレム)》や《石礫ストーンブラスト》で片付けようとしたのも、多分、たくさんの瓦礫の転がる地下街での事故死に見せかけるためだ。

 それを、酷い決断だと僕は思わない。
 200年以上も付き合ってきた友人二人の魂が悪神に囚われる可能性と、10年ちょっと前に拾った子供の命。
 両者を天秤にかけて、前者を選ぶというのは、それほどおかしな話ではないだろう。

 それでも、多分、ガスは葛藤していた。
 僕を殺すこともそうだし、ガスのことだ、僕が死んだことでマリーやブラッドが虚脱して、更に執着を失う可能性も考えていたのだろう。
 結局、問題は2人の心にある。ガスがいくら賢くても、論理的に正解が選べるわけじゃないことを、多分ガス自身、分かっていたのだ。

 だから、ガスは地下街ごと崩して潰すとかではなく、天運に決着を任せるように、僕に反撃の機会をくれたのかもしれない。
 ……あの時、ガスは、一体どれほど苦しんでいたのだろう。どれほど悩んだのだろう。
 どういう思いで、あの戦闘を訓練の一環だったなんてことにして、僕を見逃してくれたのだろう。

 わざと負けろ、なんて言った時もそうだ。
 あれは僕が勝ち、ブラッドが満足して執着を失わないようにするためだったのだ。
 ……僕が反発することだって分かっていたはずだ。
 でもガスは、理由について何も言わなかった。
 お前がブラッドやマリーを破滅させかけているのだと、言いたい気持ちもあったはずなのに。
 まだ子供の僕を慮って、なにも言わなかったのだ。

 そして、ついに致命的な事態になった時。
 あの時ガスは、神の《木霊》と一人で戦う決意をしていた。
 僕も、ブラッドも、マリーも守るために。
 あの恐るべき存在と、たった独りで、戦ったのだ。


「………………」


 ブラッドやマリーはどうだろう。
 ……2人は多分、覚悟していた。

 僕を育てれば執着を失うことを。
 ひょっとしたらガスを独りで残して、破滅してしまうことを。
 全部分かった上で、僕を育てることを選んでくれた。

 赤ん坊一人を見捨てることなんて難しくもないはずなのに。
 適当に育てることだってできたはずなのに。
 ひたむきに、まっすぐに向き合って、僕のことを育ててくれた。

 多分、ガスとだって何度も揉めたのだろう。
 そのたびに、きまりが悪そうな態度で、でも譲らないブラッドが。
 申し訳無さそうにしながらも、僕を庇ってくれたマリーが。
 ありありと想像できる。

 僕は何も知らずに、ずっと、のうのうと過ごしてきた。
 ガスの苦悩と、ブラッドとマリーの自己犠牲の上にあぐらをかいて……

「う……」

 次こそちゃんと生きる、だなんて舞い上がって。
 いつか説明すると言われて、それを無邪気に信じこんで。
 外の世界にいくんだなんて希望を抱いて。

「うう…………」

 おぼろな前世の記憶が蘇る。
 モーターの回る音がする。目の前を、白い棺を載せた台車が進む。
 無機質な機械音とともに火葬炉の扉がゆっくりと閉まってゆく。

 前世の、両親の死。
 僕は迷惑をかけつづけて。何も返せないうちに両親は死んだ。

「う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛……」

 涙がぼろぼろと溢れる。
 昏睡状態の3人を前に、膝をつく。
 やり場のない、焼けつくような気持ちが胸の中をかきむしる。
 それが痛くて、あまりに痛くて、冷たい床にうずくまった。

「ごめん、なさい……」

 今度こそ? 
 何が今度こそなんだ。

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

 僕のせいで、また死ぬんだ。
 迷惑をかけて。
 何も返せず。
 どうしようもないまま。

「ごめんなさい、ごめんなさい……許して、ください……」

 ああ。
 やっぱり僕は、クズだ。
 生まれ変わっても、どうしようもなく無能なクズだ。

 何が、今度こそ、だ。
 今度もまた、同じだ。

 肝心な時に何もできず。
 暗い部屋に、うずくまって。
 やり場のない感情に、胸を焼かれて。
 どこにも届かない謝罪を繰り返す。



 ……生まれ変わったって、何も、変わらないのだ。





 ◆




「よぉ…………」


 声に、はっと気づいて目が覚めた。
 うずくまって、泣いて、呻いて、謝って、謝り続けて……
 気づいたら、途中から記憶が途切れていた。
 気を失ったのか、眠ったのか、それすら定かではない。

「ひっでぇ顔だなぁ……おい……」

 あちこち壊れたままのブラッドが、かたかたと顎を鳴らして笑っていた。

「あら、本当に……」

 喉を壊されたままの掠れ声で、マリーが言った。
 上半身だけのガスが、肩をすくめている。

「駄目ですよ、ウィル。真冬なのに床で眠ったりしたら」
「うむ。薬草茶でも沸かしてくるとええわな。……どうせ昨日から、何も食っとらんじゃろう」
「お、そいつはいけねぇな。きっちり食え、まずはそれからだ」

 みんな、いつも通りに。何もかも、夢だったんじゃないかと思うくらい。
 その暖かさに触れて。
 焼けつくような感情が胸の中をかきむしって。
 胸のなかから、何かがこみ上げてくる。
 呼吸がままならない。涙がにじむ。


「ごめん、なさい……」

 思わず、俯いてしまう。顔が上げられない。

「違うぜ、ウィル。俺たちは、昔のバカな真似のツケを払うことになっただけだ。お前のせいじゃねぇ」
「私たちは輪廻に背いて長く存在しすぎました。対価は支払わねばなりません」

 その言葉にも、僕は3人を見ることができない。

「……ま、ガス爺さんは契約ガン無視で、取り立て人を殴り飛ばそうとして失敗したわけだが! 相変わらず凄えよな」
「ふん。まさか《木霊》を二つに分けておるとはな。十年はこの次元に顔を出せぬよう、念入りに消し飛ばすつもりじゃったのじゃが」
「ふふふ。でも、こう言ってはなんですが……あの不死神の青白い顔が消し飛ばされる様子は、ちょっと爽快でしたよ?」

 マリーが珍しく物騒なことを言って、二人がどっと笑った。

「ええ。不死神の《木霊》の片割れが道連れなら、悪くはないではないですか」
「そうだな、ついでにもう片割れにも……3人がかりで痛い目見せてやっか?」

 流石に神には勝てるはずもねぇし、契約だから仕方ねぇと思ってたが、一体消し飛ばせたなら意外といけるかもな、とブラッドが笑う。

「うむ、その意気じゃ。この状態で放てるかは分からんが、《存在抹消》の《ことば》を派手に使って、奴も儂らもいっぺんに吹き飛ばすか?」
「そりゃいいな! 欲しがってた俺たちの魂ごと解体消滅か!」
「素敵な計画だと思いますよ、ガス」

 さっぱりした雰囲気だった。
 3人とも、きっと生前の現役の頃から、こんな風に話していたのだろう。

 ……空元気だ、とは流石に分かる。
 ガスは奇襲から、相手の予想していない札で一気に押しこむことでなんとか一度勝った。
 でも、流石に二度目はないだろう。3人は重傷だし、執着を失いつつあるせいか、ひどく消耗している。
 胸が痛い。

「つーわけで、ウィル。お前はほれ、もう成人して独立したんだ。とっとと出てけ」
「成人のお祝いも、儀式もしてあげられないのは残念ですが……」
「ま、今まで教えてやった心得の全てが贈り物ということで納得せい」

 胸が、痛い。
 焼けつくような感情が、胸の内側をがりがりと引っ掻いている。

「外に出て、たっぷり暴れて子分とか作って、悪い遊びもいっぱい覚えてこいよ」
「あっ、こら、ブラッド! そうやって変なこと勧めない!」
「ハハハ、まあ多少は目を瞑ってやることじゃ。男なんてのはそんなもんじゃ」
「悪い習慣に慣れちゃうと、ズルズル歯止めがきかなくなるでしょう!」
「ちょっと痛い目見るのも勉強のうちだって、なぁガス」
「うむ。……なに、ウィルなら問題なかろう」
「ああ、ウィルならな、うまくやる」
「それは私もそう信じていますけど……」

 胸が痛い。
 耐え切れないほど、痛い。 


「…………ちがう、んだよ」


 違うんだ。
 3人とも、違うんです。

「僕はそんな、3人が期待するような存在じゃないんだ……」

 血を吐くように。
 震える声で、そう言った。

「……ん」

 話してみろ、と促すようなブラッドの動作に、僕は堰を切ったように語りだした。
 自責とか、羞恥とか、悲嘆とか、負の感情でグチャグチャになりながら。

 前世の記憶があること。
 前世でどうしようもない人間だったこと。
 生まれ変わって、今度こそと思ったこと。
 何も気づかず3人を苦しめて、のうのうと生きてきたこと。
 結局、何も返せないこと。

 罪を告白する罪人のように、僕は胸のうちの全てを言葉にした。
 3人は静かに、それを聞いていてくれた。

「前世だって……さんざん迷惑かけた両親が死んだ時、泣いたかどうかも覚えてない」

 そうだ。
 あの時、僕は。
 僕は――なんて思っていたんだ?
 それすら、朧の向こうにある。
 そんな、僕は。

「僕は…………クズなんだよ」

 新しい環境に、やり直せるということに。
 ちょっと舞い上がっていただけの、どうしようもないクズだったんだ。
 外の世界なんて無理だ。
 それより、いっそ、あいつの誘いに乗って……

 思考がぐるぐる回る。
 辛い。痛い。悲しい。恥ずかしい。
 3人の顔がまともに見られない。

「…………ウィル」

 マリーが僕を呼んだ。
 ……おそるおそる、顔を上げる。

「歯を食いしばりなさい」

 衝撃が走った。
 おもいっきり、頬を張り飛ばされたのだと、遅れて気づいた。
 マリーの復元しかけの腕が、更に捻れていた。
 ひ、と僕は悲鳴のような声をあげ、

「ま、マリ……」
「こっちを見なさい!」

 マリーはそれを無視して、僕の頬にがっちりと手を当て、僕と目を合わせる動作をする。
 僕の目の前には、眼球はない。
 あるのは、虚ろな眼窩だ。

 マリーの眼球は既に無い。
 いつも彼女は、目を伏せていた。
 淑やかで控えめというだけではなく、この目で、僕を怖がらせないように、ずっと目を伏せていた。


「ウィル。それ以上、自分を傷つけることは、母が許しません」


 ぴしゃりと彼女は言った。

「あなたがクズ? 冗談も休み休み言いなさい。貴方はいつも真剣で、ひたむきだったではありませんか。
 ガスにどんなに無茶苦茶な課題を出されても、ブラッドに何度棒で叩かれても、山野や地下街に放り出されても」

 マリーは静かに、しかし有無を言わせぬ勢いで言い募る。
 こんなに強い口調のマリーを、僕は一度も見たことがなかった。

「自分の成してきたことを見つめなさい!
 前世の記憶が何ですか!! たかが不死神に揺さぶられた程度で、何を動揺しているのですっ!!」

 がつん、と頭を殴られたような気がした。

「前世の両親が死んだ時、泣いたかどうかも覚えてない? 貴方は泣いたに決まっているでしょう!
 ただ記憶が曖昧だというだけで、それだけ後悔できる貴方が!
 今、私たちのためにこんなにも泣いてくれる貴方が!
 泣かなかったわけなど、どこにありますかっ!」

 がつん、がつんと、心が揺さぶられる。
 鈍麻していた感覚が、だんだんと鮮明になってくる。
 さんざん泣いたはずなのに、また、涙が滲んできた。
 冷えきっていた心のなかに、ゆっくりと、暖かい何かが灯り始めていた。

「ウィル、ウィリアム! いじけていないで、しゃんとしなさい!!
 ……返事はどうしました!」

 マリーの声に。
 僕は、一度、しゃくりあげてから、

「っ……はい、ごめんなさい!」

 背筋を伸ばして、まっすぐマリーを見て、答えた。
 胸の中をひっかく、どうしようもない感情は、すっかりどこかに消えてしまっていた。
 マリーの肩の向こうで、ブラッドとガスが苦笑していた。

「けけけ、ウジウジしてっから叱られるんだぜ?」
「どうやら、いじけの虫は去ったようじゃな」
「……はい!」

 もう迷わない。
 心に灯った暖かい何かは、だんだんとマグマのような熱を帯び始めていた。
 明晰になった思考が高速で論理を組み立て始める。

 大丈夫。
 僕は、もう、大丈夫だ。
 ……マリーが、僕を守ってくれたから。
 だから――

「その……お願いが、あります」

 今なら、たぶん、僕は、戦える。



「どうか、僕に皆を守らせてください」



 決意は、晴れ晴れとしたものだった。




 ◆



 日の出ているうちに調理して、暖かい食事を食べた。
 湯気の立つ暖かな食事は、冷えた身体に染み渡り、活力と勇気をくれた。

 装備を整える。 
 奴は夜に来ると言った。短槍の《おぼろ月(ペイルムーン)》は2mほどの長さにして、照明を最大範囲、最大輝度で。
 盾で殴ることも考慮し、ふちの部分を研いだ円盾を左腕に通し、ベルトで固定する。
 厚手の鎧下の上に、革製のソフトレザー・アーマーを着こみ、更に要所は金属製の首鎧、胸甲、篭手、脛当て。
 兜は視聴覚を阻害する可能性を考えて、あえてつけない。
 どうせ神を前に生半可な防具なんて気休めだ。
 汗が目に入る可能性と、攻撃の余波で額を割られる可能性だけは考慮して、代わりに鉢金を巻いた。

 そして、《喰らい尽くすもの(オーバーイーター)》を吊るした剣帯を確認する。
 《木霊エコー》にも通じるというこの剣が、すべての鍵だ。

 古代語魔法や祝祷術で可能な支援は、マリーとガスの協力を得て、既にありったけをかけてある。
 《全身体能力増強(フル・ポテンシャル)》《対魔力抵抗増強(カウンター・マジック)》《物理防御増強(プロテクション)》《凛然たる勇気の祝福ブレス・オヴ・ブレイヴァリー》、その他もろもろ……
 おかげで身体能力や魔法への抵抗性その他は、平素の3割増しだ。
 しょせん3割になるか、しかし3割になるかは、まだ分からない。

 ……3人にはさんざん止められた。
 せめて自分たちと共に戦おうとも言われた。
 けれど正直、現状のあの3人が参戦しても守る余裕はない。
 1人のほうが身軽に戦えるという確信があった。

「最初の町を出る前に裏ボスかぁ……」

 ふと、前世のコンピューターRPGを思い出して呟いた。
 これがゲームだったとしたら、とんでもなくろくでもない構成だ。クソゲーすぎる。

 でも、現実なんて往々にしてそうだ。
 ろくすっぽ準備の整わないうちから、いきなり無茶苦茶な相手にぶつかることもある。
 順番通りにザコ敵からステップアップできれば良いけれど、常にそうなるわけじゃない。
 いきなり絶望的で、どうしようもない相手に当たることだってある。
 なら、どうするか。

「……工夫して、ぶつかって、頑張るだけだよね」

 根性論で精神論だけど、愚直さが大切な時があると、僕は生まれ変わって学んだ。

 勝ち目が高いとか低いとか。
 勝てるとか勝てないとか。
 できるとかできないとか。
 パラメーターもないリアルじゃあ、ぶつかってみないと分からないことも多い。

 リスクを考えるのは大切だけれど、失敗を恐れてリスクを全て排除していたら、最後まで何の行動も起こせない。
 そうしてなれるのは、せいぜい薄っぺらな知識ばかりの賢しらな批評家だ。前世の僕のような。

 ぐ、ぐ、と念入りに身体の各所を柔軟をする。
 それから神殿の神々の彫刻の前に香を焚いて、膝をついた。

「善なる神さま。これから、僕は大切な父と、母と、祖父のために戦います。……邪悪な神と、たった一人で」

 手を組む。目を伏せる。

「その行いをみそなわして下さるなら、どうか少しなりとご加護を下さい」

 怯みませんように。
 竦み上がりませんように。
 ブラッドと、マリーと、ガスに恥じない戦いができますように。

 そう短く祈ると、立ち上がる。
 神殿の大扉を開く。
 闇夜の中に。
 外の世界に。
 僕は、自ら一歩を踏み出した。

 びょうびょうと、凍える風が吹き荒む夜の丘。
 その麓、墓地のほうからおぞましい不浄の気配がする。

【……さあ、心は決まったか?】

 ああ、決まったよ。

「不死神スタグネイト。悪しき神」

 歩き出す。歩きは徐々に速度を早め、早足から疾走へ。



「……おまえには何一つ、くれてやらないッ!!」



 僕は、神に挑む。


◆小説家になろう 勝手にランキング◆
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作品を継続するモチベーションとなっております。
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