039 ダンジョンアタック3
初心者用ダンジョンに潜ってから3日、今日もダンジョンに潜るのだが、2回目なのでパーティー単位で1層の踏破を目指す。
今回は前回同様に複数のパーティーで潜っても良いのだが、ブルーム先生たち教師陣は同行しない。
俺たちのパーティーは力を付けるためにも早期に初心者用ダンジョンの完全踏破を目指しており、単独で1層の踏破を目指す。
単独で踏破しないと次の層にチャレンジする許可がおりないからだ。
単独行は俺たちだけではなく、ドロシー様のパーティーや他に3パーティーほど居ると聞く。
それと、学校内でブリュト商会のマジックアイテムの取り扱いは禁止されてしまった。
理由は至極単純で『自分たちでマジックアイテムを作れ!』とのことだ。
まぁ、そういう学校なので仕方が無いが、全員が全員マジックアイテムを作れるわけではないので、次の講座変更希望ではアイテム講座の人気が出そうな気がしないでも無い。
なんて納得なんかできるかいなっ!
うちの商品が不良品だったり能力が低すぎて役に立たないって言うなら諦めもつくが自作しろって言うのは無茶があるんじゃないでしょうかね?
だから色々食いついてやったら、ポーション類だけは何とか押し込むことができた。
因みにブリュト商会の商品は俺が開発しているので、俺や俺のパーティーメンバーであるカルラやペロンは使用を許されており、ペロンなどは同級生だけではなく上級生からも嫌味を言われたそうだ。すまん!
さて、改めて単独で1層に潜った俺たちは前回と違うルートでボス部屋を目指している。
出現する魔物は前回と同じブラックラビットだ。
ここで出現する魔物が変わっていたらビックリだけど、そんなことは無い。
そんな中、俺はあることを思いついてしまった。
俺たちのパーティーは女男の区別無しで剥ぎ取ったアイテムを平等に運ぶが、ダンジョンの奥に進めば進むほどこの剥ぎ取ったアイテムが多くなり運ぶのが大変になるので、これを改善できないかと思ったわけだ。
元々日本のゲームなんかでは収納ボックスだったりアイテムボックスだったりの概念がありイメージはしやすいので、今度収納用のマジックアイテムの作成をチャレンジしてみようと思う。
そんなことを思いながら持ちきれないアイテムを捨てつつダンジョンを奥に進んでいく。
「てか、クリストフの魔力量ってどんだけあるの?」
「ん~、たくさん?」
「たくさんなのは解ってるわよ! まったく・・・」
「仕方ないですよ、魔力量なんて多そうとか少なそうって感じでしか解らないんですから~」
ペロン君、しっかり数値化して分かりますよ!
でも教えると色々面倒だから教えないけどね。・・・今はね。
「まぁ、いいわ。ボクの魔術の威力も少しは上がっている気がするからね」
「あ、それ僕も感じています。少しですが威力が上がっている気がしました」
うむ、君たちの【知力】と【精神】は順調に成長をしているぞよ。
頑張りたまえ!
「休憩はもういいかな? ボスが待っているんだけど」
「うっし、行くか~ペロン!」
「はい!」
カルラ君、男らしいね・・・
ボス部屋の中は前回と同様にブラックラビット2匹とワーラビットが待ち構えていた。
2人が準備OKと頷いてくる。
「ダークバインド」
最近、闇属性は俺の代名詞みたいに言われている。
バカボンに御仕置きした時も闇属性のグラトニー・アブソープションだったし、前回のダンジョンアタックで使った魔法もこのダークバインドだし、皆には俺が闇属性メインの魔法使いだと思われているっぽい。
勿論、カルラとペロンには全属性のことは教えている。
だってパーティーなのに属性を知らないとか有り得ないじゃんね。・・・でも階級に関しては濁しています。すまん!
俺は毎回ダークバインドだけ。
魔物を倒すのはカルラとペロンの役目だ。
俺がダメージまで与えると2人の仕事が剥ぎ取りだけになってしまうのでそうしている。
「やっぱり自分で魔法陣を書けないといけないわっ!」
「やぶから棒に何を叫んでいるんだよ?」
「クリストフはいいわよ、自分で魔法陣を書けるのだから。でもボクとペロンは人が作った魔法陣を使っているから応用力が無いと言うか、使いたい魔術を使えないでしょ?」
「そうだね。僕も早く魔法陣を書けるようになりたいよ」
魔術は魔法陣に魔力を供給すれば発動するが、魔法陣に魔力を供給する仕方を工夫すると威力が上がることもある。
基本的には魔法陣の構成次第なのだが市販されている魔法陣ではあまり効率が良いとは言えないし、威力は最低限のものばかりなので自分で魔法陣を書けるようになると幅が広がるね。
それに魔法陣を書ければ魔術師として一定のレベルに達したと認めてもらえる。
「魔術に拘らず魔法を試してみたらいいのに」
「クリストフと違って魔法と魔術を勉強なんか簡単にできないわよ! ボクたちは一般人なんだからっ!」
何気に貶していませんか?
ねぇ、ねぇ、カルラ君は俺のこと人間扱いしてますか?
てか、カルラは一般人ではなく貴族です!
そして俺も貴族です!