表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフ召喚士のNPC交流記  作者: 藍玉
初めてのVRMMORPG
7/9

第6話 ログイン初日(4)

 ギルドマスター(中は運営の人)は、先程いた応接室を過ぎその後も幾つかのドアの前を通り、廊下の突き当りのドアを開いた。そこは屋外で、学校の運動場位の広さがある。


「ここは?」

「ギルドの訓練場だ。冒険者は申請すれば使えるぞ」


 訓練場に2、3歩入った所で目の前を歩いていたギルドマスターが止まったため、それに倣って立ち止まる。


「始めに視界に出しておいた方がいい物から教えておこうか」


 そう言ったギルドマスターに手順を教わって、HP・MP・SPバー、メッセージログを表示してロックをかけた。


「じゃ、次はメニューのショートカットだ。メニューを出して」


 [メニュー]と念じてメニューウィンドウを表示する。メニューの項目は上からステータス/装備/クエスト/コミュニティ/コンフィグ/ログアウトとある。


「ステータスは自分のステータスやスキルを確認したり、レベルアップ時に受け取るポイントを割り振るために使う。新しいスキルを追加するのもここだ。ちょっと開いてみろ」


 ステータスを選択し開く。閉じろと言われたのでそのまま閉じた。


「じゃ、次は[ステータス]と念じてみろ」


 [ステータス]と念じる。すると先程表示されたステータスウィンドウが表示された。


「今やった様に、メニューの項目にある項目は直接開ける。但しログアウトだけはメニューからでないと機能しない。次は[コンフィグ]を開いて。ああ、ステータスは閉じていい」


 ステータスを閉て[コンフィグ]と念じる。この中も幾つかの項目に分かれていた。上から初心者セット受取/感覚設定/対人設定とある。


「一番上に[初心者セット受取]ってあるか?あるなら選択してみろ」


 言われた通りに[初心者セット受取]を選択する。すると足元に大きな木箱が唐突に現れた。


「ここに入っているのは、ゲーム開始時に配布されるアイテムだ。取得スキルによって少々違うが、初心者セットとHPポーション10本、あと金だ。」


 木箱の蓋を開けてみる。中には棒、弓と矢筒、ウエストポーチが入っていた。まずポーチを身に着けた。ベルトをウエストより緩めに絞めて、ポーチ部分を後ろにまわす。付けてみた感覚は、見た目より思った以上に軽い。


「それはいわゆるアイテムボックスだ。中に手を入れてみたらわかる」


 ポーチの蓋を開け手を入れてみる。すると目の前に「剥ぎ取りナイフ/HPポーション×10/財布(5000G)」とリストが表示された。


「取り出したいものを念じるか、目線で選択すると取り出せるぞ」


 試しに[ポーション]と念じてみる。するとポーチに入れた手に何かが触れた。そのまま取り出すとドリンク剤サイズのガラス瓶が取り出せた。


 「【鑑定】持ってたよな?直接使うタイプのスキルはスキル名を念じると発動するからその瓶に使ってみろ」


 【薬】HPポーション〔品質:C〕 レア:1

   服用または体にかけることでHPを40回復する。

   クーリングタイム:8分


 【鑑定】を掛けた内容を確認し、そのままポーチにしまう。ポーチの中にHPポーションを入れると、ふっと指先の感触が無くなった。


 次に財布を出してみる。……何でがま口?口を開いてみると、中は真っ黒になっており、中に入っているはずの硬貨は確認できない。


「その財布もポーチと一緒だ。硬貨を入れても膨らまないし、手を入れると希望の金額が取り出せる。容量に制限は無いが、死に戻ったとき中の金額が半分になるから気を付けろよ。すぐに使わない金はギルドに預けておいたらいい」


 【雑貨】財布 レア:?

   硬貨を保管する。他のものは入れられない。売却・譲渡不可。


 一応財布を【鑑定】して、ポーチにしまった。次に木箱の中から棒を取り出し【鑑定】をかける。


 【武器:棒】初心者の六尺棒 レア:1

   初心者用武器。木製。棒術の技能が使用可能。

   耐久値がゼロになっても壊れない。但しダメージを与えられなくなる。

   攻撃力:+10 耐久値:100/100 重量:2


 やたらと長い棒だと思ったら、六尺(約180cm)もあった。これが棒術の武器らしい。


「軽く体を動かしてみるか。棒術の経験は?」


 私が棒を手に取ったのを見たギルドマスターに聞かれたが、棒術の経験は全くもってない。いいえ、と言いながらる頭を振った。


「まあ、大体のやつはそうだよな。少しこっちに移動するぞ」


 ギルドマスターについて、訓練場の中に少し踏み込む。


「この辺でいいか。六尺棒を横に両手で持って、身体の力を抜いて。―そうだ」


 私に指示を出したギルドマスターは、こちらを向いたまま後ろに二、三歩下がり、いきなり鞘が付いたままの片手剣を私に向かって振り下ろした。


「!なっ…」


 何をするんですか!と言いかけた私の体が勝手に動き、カン、と剣をはじき返す。


「それが武器スキルの〔動作補助〕だ。スキルレベルが低いうちは防御とプレイヤーの攻撃操作をスキルが補助してくれる。この〔補助〕はスキルレベル5からだんだん弱くなって、スキルレベル10になると〔補助〕から〔補正〕に替わるから、レベルが低いうちに動作を身に付けた方がいいぞ」


 ちなみに訓練所の練習ではスキル経験値が加算されないので、操作に自信がないときはここで練習した方がいいと教えてくれた。


「こういう情報って、今日ログインした人達って知らないと不利ですよね?それは放っておいて良いんですか?」


 今日ゲームを開始した人達は、早速狩りに行っている人も多いと思う。狩りだとスキルレベルは上がるはずだ。


「実戦だって得るものはあるぞ?立ち回りやとっさの判断力は実戦じゃないと身に付きにくいからな」


 まあ、訓練所の存在を知ってても使わない人もいるだろうから、それはそれで有りなのだろう。


「この位知っておけば、困ることはないだろう。その六尺棒はアイテムポーチに収納できるから邪魔ならしまっておけ」


 確かに、この六尺棒は普段持ち歩くには少々…というか、かなり邪魔だ。ポーチの蓋を開け、六尺棒を持った手をポーチの中に突っ込んだ。六尺棒がふっと消えて収納されたようだ。リストを確認すると六尺棒が追加されていた。


 ついでに弓矢もしまっておこう。木箱が置かれている場所に戻り、弓矢を取り出す。すると木箱が忽然と消えた。


「箱が消えた!?」

「中のものを全部取り出したから消えただけだ。おっと、あと一つあったな。[装備]ウィンドウを出して」


 【装備】

  初心者の服〔防御:+10〕

  初心者のローブ〔防御:+5〕

  初心者の靴〔防御:+5〕


  アクセサリ:なし


  特殊:冒険者ギルド証〔装備解除・破壊不可〕

     アイテムポーチ〔破壊・売却・譲渡不可〕


 装備は現在身に付けているものらしい。防御力には関係無いが、ギルド証やアイテムポーチも載っている。このウィンドウ上で装備の確認ができるそうだ。但し装備の変更は、実際に着替える必要があるそうだ。


「キャラクターの攻撃力や防御力は、ステータスと装備で算出される。あと装備は物理的に着れるなら制限は無いが、重量が積算されていくからその分動作が重くなる。…大体こんなとこだな。あと聞きたい事ないか?」


 聞きたい事…一応聞いてみようか?でもこれは運営に聞いても駄目だと思う。


「私の職業が召喚士なんですが、これについて聞いても大丈夫ですか?ダメなら自分で調べます」


「…あー、申し訳ない。俺はそれについては言えない」


 ギルドマスターは、頭をがしがし書きながら苦笑いで断った。


「いいえ、ダメ元で聞いただけですから。そろそろ一旦ログアウトしたいので戻っていいですか?」

「じゃあ戻るか。あとは自分で調べてくれ」


 メラン君の所に戻る道すがら、最後にログアウトについて教えてくれた。


 フィールド上でのログアウトはできないことは無いが、キャラクターがそのままゲーム内に残り続けるので、よっぽど運が良くない限り死に戻るからやめた方がいいとの事。


 街中でのログアウトは3分間キャラクターがゲーム内に残り、その後消えるそうだ。部屋を借りた宿以外の、所有していない建物内でのログアウトは不可。

 また、ログアウト後の3分間は他のプレイヤーが盗難等を仕掛けても抵抗できないため、よっぽど急いでいる時以外は宿を取ってからログアウトした方がいいと教えてくれた。


 この街中でのログアウト制限は、今回の正式サービスから実装されたそうだ。βテスト時は街中だったらレンタル工房等、公共施設の中でも自由にログイン・ログアウトできていたため、何かとトラブルがあったらしい。



 その後、留守番だったメラン君に勧められた宿に部屋を取ったのは、サードリアの時間で10時過ぎ。ゲーム開始から4時間以上経っているし、澄兄達はもう一旦ログアウトしているはずだ。私も一旦戻ろう。


…結果、図書館にはまだ行っていない。


ここまで読んでいただいてありがとうございます。


色々と細かく書き過ぎてしまった感がありますが、〔TWO〕の基本設定を説明したかったのでご容赦ください。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ