挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
エルフ召喚士のNPC交流記 作者:藍玉

初めてのVRMMORPG

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

5/9

第4話 ログイン初日(2)

PVとブックマークの数にビックリしてます。
この話に興味を持ってくださって嬉しいです。
…どうしよう、迷った。

 最初にログインした広場は、オルデンの南側。東側に行くなら、街を南北、東西と十字に切っている大通りに沿って行くのが分かりやすいが、その道を使うと徒歩で30分以上はかかるようだった。

 ミニマップとコンパスがあるから、斜めにショートカットしても大丈夫だよね、と細い路地に入ったのがそもそもの間違い。石造りの街並みはよく似ていて、見分けがつきにくい。マップを見ながら適当に歩いていたが、気が付くとどの角を曲がっても袋小路ばかりになっていて、大通りに戻る道が分からなくなっていた。

 人通りが全くない訳ではないが、すれ違う人は緑の▼マーカー(NPC)ばかり。道を尋ねようと、近付くと表示されるNPCメニューから「話す」を選択しても皆「来訪者ですか?ようこそ、サードリアへ」と言うだけ。それ以上の会話ができない。

…この角を曲がったら、大通りにたどり着けるかな?

 少しの期待を込めて曲がった先は、またしても袋小路。ただ今までのものと違って、中央に井戸がある小さな広場になっていた。

 お母さん位の年代の、三人のNPCの女性が談笑している。いわゆる井戸端会議?
 期待を込めて「話す」を選択してみたが、何度も聞いたメッセージが返されただけ。

 これじゃ、いつまでたっても彷徨うばかりだ。再度表示されたNPCメニューの表示を無視して、ダメ元で彼女達に話しかけてみた。

「あのっ、すみません。大通りか図書館までの道を教えていただけませんか?」

 女性達は一瞬、吃驚した表情を見せたが、すぐに笑顔で「迷ったのかい」と応えてくれた。

「この辺は道が入り組んでるからねぇ。時々お嬢ちゃんみたいに迷う人がいるんだよ。道順を説明してもわからないだろうからウチの子に送らせるよ。ちょっと待っといで」

 三人の中で最も恰幅の良い、おかみさんって雰囲気の人がそう言って近くの建物の中に入っていった。

 良かった、NPCの人達とも会話は普通にできるみたい。…あれ?じゃあ何でNPCメニューってあるの?

 その件(NPCメニュー)についての疑問は残るが、今はそれよりも優先すべきことがある。

「お話し中、邪魔をしてしまってごめんなさい」

 残った女性達にお辞儀をして謝る。彼女達はいいのよ、と笑顔で返してくれた。

「世間話しかしてなかったから大丈夫。お嬢ちゃんは来訪者でしょ?丁度その話をしてたのよ」
「さっき広場を見てきたけど、一度にあんなに大勢で訪れて来たのは初めてだねぇ」

「はい。来訪者のリィンです」

 私が名乗ると、「私はフリーデよ。こっちはヘルマ」と名前を教えてくれた。

「そして、あたしはマルテ。この子はクルト。この子に大通りに出るまで案内させるから、ついてお行き」

 先程建物に入っていったマルテさんが、男の子を連れて戻ってきていた。私たちの会話が聞こえていたのか、二人の名前を教えてくれた。

「ありがとうございます。助かりました。今度またお礼に来ます」

 最後に深々とお辞儀をして、顔を上げる。そこで見た光景は、頭を下げる前と少し違っていた。

 マルテさんたちの頭上に付いていた▼マーカーが、それぞれの緑色の名前に替わる。そして視界の中央に表示された仮想ウィンドウ。


『NPCメニューの表示をオフに設定しますか? ― Yes / No ―』


 躊躇うことなくYesを選択する。そして待ってくれていたクルト君に声をかけた。

「ごめんね。どこか道が分かるところまで連れて行ってくれる?」

 クルト君は、10歳くらいのかわいい男の子。茶色の短めの巻き毛に緑色の目で、少しそばかすが浮いている。

「いーよっ。母ちゃんに頼まれたし、図書館が見えるとこまで連れてってやるよ」

 こっちー、と歩き出したクルト君を追いかけて歩き始める。最後にもう一度、マルテさん達に会釈をしてクルト君の後を追った。



「リィン姉ちゃん、あの建物が図書館だよ。じゃあ僕帰るねー」

 クルト君に案内されて、15分ほど歩くと街東の小さな広場に出た。最初にログインした広場の四分の一くらいの広さだ。図書館はその広場沿いに建てられていた。

「送ってくれてありがとう。マルテさん達にもありがとうって伝えてねー!」

 来た道を戻っていくクルト君に手を振りながら、その姿が見えなくなるまで見送った。

 やっとの事でたどり着いた図書館。その扉を開こうとするが…開かない。扉に掛けられていた札を見ると「閉館中 開館時間:9:00~18:00」と書かれていた。


 〔TWO〕の世界、サードリアはリアルの時間とマイナス6時間の時差がある。これは夜にプレイする人が多いことに対する措置であるらしい。リアルでの正午は、サードリアでは朝の6時になる。

 ちなみに時間の加速はない。技術的には可能であるらしいが、これを使うと体内時計が狂いやすくなるそうで現在は禁止されている。


 メニューの時計で現在時刻を確認すると、午前8時。ログインしたのがこっち(サードリア)の時間で6時だから、一時間以上迷っていたことになる。

「今の時間は8時か…。どこかで時間を潰すか、一旦ログアウトするかな?」

 とりあえず、広場沿いの建物を順に見て回る。一軒目、二軒目は何かのお店のようだがまだ開店してなかった。そして三軒目の建物に掛けられていた看板は…。

「冒険者ギルド?」

 冒険者ギルドっていえば、アレだ。物語の主人公が絡まれたり、可愛い受付嬢がいたりするアレ。ファンタジー小説にも時々出てくるアレだ。

 しかしこの建物、人の出入りが全くない。この広場にも何人かのプレイヤーがいるが、冒険者ギルドには全く気を留めていない。

 不審に思ったが、好奇心には勝てなかった。そっと建物に近寄り、ドアを押してみる。すると喫茶店のドアのようなチリリンッ♪って音が鳴った。

「ニャッ!ギルドマスター!来訪者サンだニャッ!来訪者サンがココ見付けてくれたニャッ!って、何寝てるのかニャッ!ギルドマスター起きるニャ……」

 そっとドアを閉めた。うん、何もなかった。次の建物を見てみよう。

 踵を返して次の建物に向かおう…としたら、背後のドアが開いた。

「ささ、入ってニャ!来訪者サン第一号だニャ!中で冒険者登録するニャ!」

 さっきの声の主がドアから出てきて私の手を取る。ギルドの中へグイグイと引っ張り込まれた。

「あっ。リィンだニャッ!オイラの事覚えてるかニャ?」

 そういって首を傾げた人物は、人間の男の子。身長140㎝くらいで黒髪に青い瞳、上下とも黒のシャツにズボン、そして白いベストを着ていた。

 そして、ネコミミ。尻尾もある。両方とも真っ黒だ。

「知り合いにネコミミコスプレの人はいないけど……」

 そう言うと、その子の耳と尻尾が目に見えて萎れてしまった。

…うん?でもこのニャーニャーした語尾と白いベストには覚えがある。確か十日前。

「……この子(リィン)のキャラクター作成のときの黒猫さん?」
「そうだニャッ!覚えててくれたかニャッ!オイラの名前はメラン、猫獣人だニャッ!」

 黒猫さん…メラン君は、耳と尻尾をピーンと立てて喜ぶ。

「あの時はまんま猫だったから、すぐに思い当たらなかったよ」

「それはゴメンニャ。リィンは、オイラの担当では唯一のランダムクリエイトの人だったからオイラは覚えていた「何自分で管理AIってバラしてんだっ!」ニ゛ャッ」

 ゴツッとこちらにも音が聞こえてきそうな勢いで、剣の鞘がメラン君の頭に落ちた。うわー、アレは痛い。もしかして頭蓋骨陥没?

「ったく。面倒増やしやがって」

 痛いニャー、死んじゃうニャーと頭を押さえてのたうっているメラン君を放置して、その原因を作った人は私の方を向いた。20~30代の、大柄な男性。濃い茶色の髪に黒色の瞳。革でできた鎧を付けている。

「ちょっと奥で話をさせてもらっていいか?」

……逃げていいかな?
メラン「頭割れたニャ……」

―――――
少し短いですが、切りが良いのでここまでにします。
次回は(多分)説明回です。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ