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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、従業員旅行に行く。

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368 クマさん、クラーケン三兄弟と戦う

 シュリとシアのことは事情を知っているフィナに任せ、わたしはくまゆるを連れて部屋から出る。そして、クマの転移門の扉をしっかり閉める。わたしがドアを開けなければ、3人はこっちにくることは出来ない。同時に3人の安全は保証される。
 フィナにはわたしが戻らないようだったら、隠しドアから部屋を出るように伝えてある。わたしが戻らないときは、本当に緊急の場合だ。
 でも、本当に対処ができないようだったら、逃げられなくなる前にクマの転移門で逃げるけどね。

 わたしはくまゆると一緒にクマハウスを出ると、万が一破壊されても困るので、クマハウスを仕舞う。移動用のクマハウスは必要最低限の物ぐらいしかないけど、大事な家だ。壊されたくはない。

 さて、どうしようか。
 まず状況を把握するため、探知スキルを使う。ヴォルガラスの数がかなり減っている。その代わりにワイバーンの数が増えている。やっぱり、ヴォルガラスと同様に桜の木に呼び寄せられたってことなのかな。
 空を見上げて桜の木の方を見ると、ここからでもワイバーンが上空を旋回している姿が見える。
 ワイバーンはドラゴンの一種。本物のドラゴンは見たことはないけど、ゲームならドラゴンの中では小さい部類に入る。強さもドラゴンの中でもどちらかと言えば弱い。だからと言って、普通の人が戦って、簡単に勝てる相手ではないと思う。ヴォルガラス以上にミリーラの町に近付けさせてはいけない魔物だ。

 ワイバーンは魔物一万を討伐したときに倒したことがあるが、あのときは寝ていたところを倒しただけだ。実際に戦ったことは無いから、実際の強さは未知数だ。今回は動いているし、戦うことになれば、初めての戦闘になる。
 それに厄介なことにワイバーンは一体じゃない。すでに三体のワイバーンが探知スキル内にいる。戦ったことがない魔物と戦うなら、一対一が望ましいけど、相手が気を使ってくれるわけでもない。
 問題はタールグイがワイバーンに対して、どのような対処をするかだ。
 できればタールグイがワイバーンを倒してくれるのが一番なんだけど。今のところ大きな変化は起きていない。
 ヴォルガラスと同じように魔力のこもったシャボン玉で取り込むのか、放置するのか、全てが謎だ。そもそもシャボン玉で取り込めるかの問題もある。
 もし、タールグイがワイバーンの対処ができないようなら、わたしが討伐するしかない。ミリーラの町が遠いとはいえ、ワイバーンが飛んでいけばすぐに町に来てしまう。

 それに問題はワイバーンだけじゃない。海岸沿いにいるクラーケンの存在だ。
 それにしても、クラーケンが三体もいるなんて、この辺りの海ってどうなっているのよ。こないだ倒したクラーケンを入れれば4体だ。この辺りにクラーケンの巣でもあるのって言いたくなる。

 わたしは自分がどうするか考えてみる。
その1、全ての魔物を討伐する。
その2、タールグイの反応を見てから行動する。
その3、逃げ出す。
その4、原因の桜の木を切り倒す。

 1はミリーラの町のためにも一番いい。逃がして、今後、ミリーラの町に来たら大変だ。
 2はクリュナ=ハルクによればタールグイが魔物を討伐すると書かれている。問題はどこまでの魔物まで倒してくれるかだ。クリュナ=ハルクがこの島にいたときは小さな魔物しか現れなかった可能性もある。大型魔物相手に、どこまで対処できるか分からない。
 3は個人的には良いが、ミリーラの町のことを考えるとこのままにしておくわけにもいかない。
 最後に4だけど、島から魔物を追い払うなら一番良い方法だ。でも、いろいろな観点から却下するしかない。
 まず、あの魔力の塊の巨木を切り倒せるかの問題がある。また、攻撃を仕掛けて、タールグイに敵認識をされる可能性。そんなことになればワイバーンやクラーケンだけでなく、タールグイまで敵になってしまう可能性も出てくる。怒ったタールグイがミリーラの町に上陸でもしたら、ワイバーンどころの騒ぎではない。
 それにタールグイと敵対でもしたら、クマの転移門を置く、わたしの計画が壊れてしまう。なによりも、あの桜の木を伐採するのは日本人としてしにくい。だから、桜の木を切り倒すのは最後の手段としておく。
 と、考えているとくまゆるが「くぅ~ん」と鳴く。この鳴き方は危険を知らせる鳴き声だ。わたしは探知スキルを見ると、新たに海からワイバーンがやって来る。
 いったい、どれだけ集まってくるのよ。
 ワイバーンが島に近づき始めたとき、クリュナ=ハルクの碑石がある海側から、何かが浮き上がってくる。
 なに!?
 海から浮き上がったものはビルのように高くそびえ立つ。

「……くび?」

 海から現れたのは首長竜のような長い首だった。海から首が出たことで、島が少し揺れる。

「もしかして、タールグイ?」

 タールグイはゆっくりとワイバーンの方を向くと、口からレーザーのように水を吐き出した。水は空を飛ぶワイバーンに命中して、海に落ちる。
 ちょ、そんなに簡単に倒すの?
 そして、タールグイは落ちたワイバーンに向けて首を伸ばすと、ワイバーンを食べる。さらに飛んでくるワイバーンに強力な水圧の水を飛ばす。ワイバーンは避けるがタールグイは連続で水を吐き、水面に叩き落とす。

 そして、今度はタールグイは首を回すと、桜の木の上辺りを飛んでいるワイバーンに向かって水を飛ばす。でも、今回は距離があったのかワイバーンはかわす。でも、タールグイは攻撃の手を止めない。タールグイが水を吐くたびに空から水(海水)が降り注ぐ。一体はタールグイの首の周りを飛び始め、残りは島のどこかに隠れてしまう。
 逃げればいいのに逃げ出さない。やっぱり、桜の木が魔物を惹き付けるみたいだ。

 だけど、本当にタールグイとワイバーンの戦いが始まってしまった。始まったと言ってもタールグイが一方的に攻撃をしているだけだけど。わたしが戦いに加わることはできそうもない。
 でも、タールグイがワイバーンを倒してくれるなら助かる。空を飛んでいる魔物って厄介だ。わたしかくまゆるが飛べれば良いんだけど、流石に空は飛べない。
 そうなると、タールグイの背中に上陸しようとしているクラーケンの相手はわたしがしないといけなくなる。タールグイが対処してくれる可能性もあるけど。その間にわたしの大事な果物が破壊される可能性がある。

 戦うのはいいが、問題はクラーケンの数だ。一体だけでも倒すのに苦労したのに三体もいる。本当なら戦いたくはないけど、ワイバーンと一緒で逃がすわけにはいかない。
 探知スキルを見ると、クラーケンはゆっくりと移動している。島に上陸している?
 初めは海と島の間にいたけど、島に上陸したみたいだ。それならなんとかなるかもしれない。
 いくら、クラーケンが強いと言っても陸の上に上がれば、前回の戦いよりも、楽に戦えるはずだ。
 問題はクラーケンの数だけど、微妙に離れた位置にいる。ゲームなら各個撃破だ。
 わたしは一番近いところにいるクラーケンのところに向かう。わたしが走り出すとくまゆるも後を追いかけてくる。
 わたしは走りながら違和感を覚える。
 おかしい。
 クラーケンがいるところに向かって走っているが、クラーケンの姿が見えない。クラーケンほどの大きさなら、見えているはず。でも、その姿が見えない。
 わたしはクラーケンがいると思われる場所に到着する。

 ニョロ、ニョロ
「…………」
「くぅ~ん」
 ニョロ、ニョロ
「…………」
「くぅ~ん」

 わたしは我に返る。
 一瞬、思考回路が止まってしまった。くまゆるが擦り寄って現実に戻してくれた。

「えっと、クラーケンなのかな?」

 わたしは探知スキルの反応位置を比べる。間違いない。クラーケンだ。目の前には3mほどのイカが島の上を歩いている。
 どう見ても、ダイオウイカにしか見えない。長い足をクネクネとさせて、ゆっくりと進んでいる。これも桜の木に引き寄せられているってことなのかな?
 わたしはクマさんパペットに魔力を集めると、大きなクマの炎を作りだす。そして、クラーケンと思われるイカに放り投げる。クラーケンはクマの炎に包まれると、クネクネと逃げ出そうとするが、消滅してしまう。
 探知スキルからもクラーケンの反応が消える。本当にあのダイオウイカがクラーケンだったみたいだ。もしかして、クラーケンの子供だったのかもしれない。次の場所に移動すると、さっきよりも大きなクラーケンがいた。でも、わたしの敵ではない。

「ベアーファイヤー」

 なんだろう。さっきまで悩んでいたわたしの時間を返してほしい。クラーケンが三体と思ったときは、ちょっと、ヤバイと思ったけど。クラーケンの子供とは思いもしなかった。
 ゲームでも子供のクラーケンなんて出てこなかった。
 この世界の魔物がどうやって登場するか知らないけど。いきなり大きなクラーケンがポッと現れるわけじゃないみたいだ。
 クラーケンも海の生存競争の中で生き残って、勝ち抜いたクラーケンが物語に出てくる巨大なクラーケンになるのかもしれない。
 あくまで推測だけど。

 わたしは三体目のクラーケンのところに移動する。
 おお、大きい。三体目のクラーケンは大きかった。でも、大きいと言っても、先ほどの二体に比べてだ。でも、成長するとどんどん大きくなっていくみたいだ。タールグイのおかげで、大きくなる前に討伐できることに感謝しないといけないかもしれない。

 わたしは陸上で動きが鈍っているクラーケンに数体のクマの炎を投げ込み。無事にクラーケン三兄弟を討伐する。
 これで終わりかなと思った瞬間、くまゆるが鳴く。くまゆるを見ると上を見ている。わたしも上を見ると、ワイバーンがわたし目掛けて滑空してくる。
 ちょ、どうして、ワイバーンが。
 ワイバーンが足から鋭い爪を出して、わたしに襲い掛かってくる。
 わたしは間一髪でワイバーンの攻撃を避ける。ワイバーンの相手はタールグイの役目でしょう。わたしは地面に降り立ったワイバーンと対峙する。


そんなわけで、クマさんは島とミリーラの町を守るため、ワイバーンと戦います。
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