挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、学園祭に行く

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

284/442

280 フィナ視点 クマさんが連れて行かれる

タイトルはユナがクマ姿では無いですが、ユナ=クマで連れて行かれます。
 ユナお姉ちゃんが大人の人と試合をすることになりました。
 相手の貴族様がシア様とノア様を結婚をさせようとしました。しかも、シア様の友人に怪我を負わせると脅迫までしてきました。それに対して、エレローラ様とユナお姉ちゃんが怒って、騎士様と試合をすることになりました。
 ユナお姉ちゃんが強いことは知っています。でも、試合の相手はユナお姉ちゃんよりも大きく、とても強そうです。
 不安だけど、強い魔物を倒してきたユナお姉ちゃんなら、きっと勝ってくれるはずです。

 試合は凄かったです。剣と剣が重なり合い、凄い速さで2人が動きます。

「ユナ姉ちゃん、危ない!」

 隣にいるシュリが叫びます。わたしの手を握る小さな手に力が入ります。
 シュリはユナお姉ちゃんが戦うところを見るのは初めてになります。だから、不安そうに試合を見ています。もちろん、わたしも心配しています。

 ユナお姉ちゃんが騎士様の剣を躱します。練習用の剣と聞いていますが怖いです。でも、ユナお姉ちゃんは楽しそうに笑っているように見えます。わたしにはどちらが優勢なのか分かりません。でも、ユナお姉ちゃんの笑っている顔を見ると安心します。

「ユナ姉ちゃん。頑張って」

 シュリがわたしの手を握って応援をします。
 大丈夫です。ユナお姉ちゃんは負けません。
 でも、なんでユナお姉ちゃんは魔法を使わないのでしょうか? もしかして、魔法は使ってはいけないのでしょうか?
 あっ、どうやらユナお姉ちゃんは魔法を使って良いことを知らなかったみたいです。
 最後はユナお姉ちゃんが騎士様の攻撃を魔法で防ぎ、勝利を得ました。良かったです。シア様もノア様も喜んでいます。
 そして、ユナお姉ちゃんが勝ったと同時に試合を見ていた人たちが騒ぎ出しました。

「すげええ」「あの、女の子は誰?」「あの美少女は誰だ?」「どこのクラスだ?」「学年は?」「あんな可愛い子いたか?」「格好良い」「誰だ。弱いなんて言った奴は」「最後の魔法も凄かったぞ」「国王陛下とも会話をしていたぞ」「あの剣の動き凄かった」「パンツは白か」「あの剣捌きも凄かった」「騎士が手加減したんだろう」「どこに目をつけている。今の試合を見て、そんなわけがないだろう」「俺、あの一撃受け止められる自信はない」「確か、あの子と話していたぞ」

 いろいろなところから試合の感想が聞こえてくる。
 ほとんどがユナお姉ちゃんに対する賛美の声です。
 たまに視線がわたしたちって言うか、シア様に向けられます。

 試合はこれで終わりかと思ったら、もう一試合するみたいです。
 今度は先ほど、エレローラ様にシア様の婚約を申し付けた貴族様です。
 周囲の声を聞くと、先ほどの騎士様の隊長みたいです。と言うことは先ほどの騎士様よりも強いってことでしょうか?

 わたしの不安をよそに試合が始まります。
 先ほどの騎士様と同様に、ユナお姉ちゃんの小さな体が動き回ります。右、左、後ろに躱し、剣を振るう。魔法もお互いに飛びあう。
 でも、試合の決着は簡単に付きました。相手の貴族様が躓いて、顔から倒れたのだ。
 その決着に周囲の皆は笑っていたけど。あれはユナお姉ちゃんの魔法だと思う。そのことに気付いたのはわたしだけでなく、何人か気付いているようだった。

「引き付けて、地面を浮かび上がらせるって、あの女の子。戦い慣れしているな」
「それもそうだが、あのルトゥム様を手玉に取っていたぞ」
「なんなんだ。あの小さな女の子は?」

 近くにいる騎士様の会話が聞こえてきます。
 なんか、ユナお姉ちゃんが褒められると、わたしも嬉しくなります。

「あれ?」

 これで、試合は終わりかと思ったら、もう一度試合をするみたいです。
 エレローラさんの開始の宣言で、今度の試合は魔法は無しだと言います。

「魔法無しじゃ、女の子の方は不利だな」
「ああ、前のフィーゴの試合にしろ。さっきの試合にしろ。女の子は魔法の使い方が上手い。それが魔法が使えないのなら、剣技だけの勝負なる」
「そうなればルトゥム様の勝ちだろうな」
「経験も違うし、ルトゥム様の実力は本物だ」

 わたしは近くで会話をする騎士を睨みつけます。
 ユナお姉ちゃんが負けるわけがありません。絶対に勝ちます。
 騎士がわたしの視線に気付いたのか、わたしを見るので、とっさに視線を外します。

 試合は騎士様と同様な試合になります。
 剣の一撃が重そうです。ユナお姉ちゃんは剣を躱し、避けます。

「おいおい、あのルトゥム様の剣を躱しているぞ」
「いや、あの一撃を受け流しているのが凄い。そのせいで、ルトゥム様の二撃目が遅れている」
「ヘタに受け止めでもしたら、バランスを崩されたところに重い一撃が来るからな」
「それにしても、ルトゥム様、手こずっていないか?」
「女の子の足の動かし方や、重心移動が上手いんだ」
「あの、黒と白の靴はなんだ?」

 ここからだと、ユナお姉ちゃんの靴は色しか見えず、クマさんの靴だと判断することは出来ません。

 騎士様の予想は外れ、試合は拮抗します。
 ユナお姉ちゃん、頑張って。
 誰もが息を飲んで試合を見ています。騒ぐ者はいません。その中、二人は剣を打ち合っています。
 そんな試合の中、貴族様が転びました。今度は魔法は使っていないはずです。貴族様は立ち上がろうとはしません。そして、貴族様が負けを宣言しました。ユナお姉ちゃんの勝ちです。

「やった~」

 シュリがわたしの手を離して、手を上げます。
 わたしは貴族様が勝つと言った騎士の方を見ると、驚きの表情をしています。
 わたしはユナお姉ちゃんが勝つと信じていました。
 シア様もノア様もみんな喜んでいます。

 周囲は歓声に包まれます。わたしも嬉しくなります。
 ですが、ユナお姉ちゃんが倒れている貴族様を殴りました。そして、吹っ飛びました。
 いきなりのことに、周囲は静けさに包まれました。

「…………」
「…………」

 近くにいた騎士様も開いた口が閉じていません。
 そんな中、ユナお姉ちゃんは倒れている貴族様に近づき、魔法で水をかけます。その行動でさらに、周囲は驚きの声を上げます。

「ルトゥム様に水をかけたぞ」
「それよりも、負けを宣言をしたルトゥム様を殴ったぞ」

 ユナお姉ちゃん。いったい何をやっているんですか!
 あっ、でも、貴族様が起き上がり、ユナお姉ちゃんと一緒に国王様のところに向かって行きます。
 そして、国王様と会話をしています。
 ちょっと、近寄ります。声が聞こえてきます。

「わたしは城に戻ることにする。エレローラ、ユーナ。2人は付いてくるように」

 ユナお姉ちゃんが国王様に連れて行かれてしまいます。
 ユナお姉ちゃんとエレローラ様が抵抗しましたが、駄目だったようです。ティリア様がわたしたちのことをお世話するってことで話が落ち着いたみたいです。
 ユナお姉ちゃんが悲しそうにわたしたちの方を見ます。

「ちょっと、国王様と一緒にお城に行ってくるから。みんなはティリア様と一緒に学園祭を楽しんでいて」

 楽しんでと言われても、遊べるのでしょうか?
 ユナお姉ちゃんとエレローラさんが、国王様に連れて行かれます。
 どこかに連れて行かれる子牛クマのように見えるには気のせいでしょうか。
 近くにいた騎士様も一緒に移動するみたいです。

「ユナの試合は凄かったわね」

 残されたわたしたちのところにティリア様がやってきます。
 はい、ユナお姉ちゃんの試合は凄かったです。わたしも頑張ればユナお姉ちゃんのようになれるのでしょうか? 想像してみますが、無理な気がします。

「シア! あの女の子はなんなの?」

 シア様のところに女の子がやってきます。たしか、シア様の友人と言っていた人です。

「なんなの。あの強さは? あの子は誰? どこのクラス?」

 シア様の肩を掴んで揺らしています。

「えっと、それは」

 シア様が答えることが出来ずに困っています。さらに人がシア様の周りには人が集まって来ます。みんなユナお姉ちゃんのことを尋ねて来ます。

「どこのクラス?」「あんな可愛い子いたか?」「シア、紹介して」

 シア様が見えなくなるほど、人に囲まれます。

「お姉様」

 ノア様が心配そうに見ています。
 ユナお姉ちゃんやエレローラ様に助けを求めたいですが、国王様に連れて行かれていません。
 困っていると、ティリア様がノア様に「大丈夫だよ」と声をかけます。

「みなさん。シアが困っているでしょう。それに騎士の練習が始まりますよ」

 その言葉に騎士を目指している学生が広場に目を向けると、先ほどの貴族様がこちらを見ている姿がある。それを見た生徒は駆け出していく。
 残った生徒もいますが、ティリア様が見ると離れて行きます。ティリア様、格好いいです。

「ティリア様、ありがとうございます」
「いいのよ。みんなのことはユナに頼まれたからね」

 わたしたちはティリア様に守られながら、この場を離れます。向かった先はシア様のお店です。
 綿菓子のお店はお客様がいて、繁盛しているみたいです。

「シア、戻ってくるのが早くないか?」

 マリクスさんが話しかけてきます。何度か挨拶をしていますから、知っています。

「ええ、ちょっと、いろいろとあってね」
「なんだ。面白いことでもあったのか?」
「ああ、そうだ。みんなにも言っておいた方がいいかな?」
「なんだ?」
「もし、ユナさん関係のことを聞かれても黙っておいてね」
「ユナさん、なにかしたのか?」

 綿菓子作りはティモルさん1人に任せ、マリクスさんとカトレアさんがやってきます。

「みんな~」

 ティモルさんを残して店の裏に移動するとティモルさんが叫ぶ。

「今はお客さんも少ないから大丈夫だろ」
「それで、なにがあったの?」

 シア様は簡単にユナお姉ちゃんが騎士様と試合をしたことを説明します。そして、国王様やエレローラ様がユナさんの偽名を使っていることをティリア様が話します。

「ユナさんがそんな試合をしていたのか」
「試合を見てみたかったですわ」
「でも、あのルトゥム様を倒すって、ユナさん強すぎだろう。くそ、見てみたかった」
「とにかく、ユナさんのことを聞かれても、黙っていてね」

 シア様の言葉にマリクスさんとカトレアさんも頷く。
 あとで交代したティモルさんにも同じ説明をする。
 そんな会話をしていると、店の外が騒がしくなる。

「ああ、シアいた!」
「リーネア?」

 先ほどのシア様の友人のリーネアさんだ。その後ろに他の生徒たちもいる。

「シア。さっきの女の子のことを教えてもらえる?」
「えっと、それは……」
「噂で聞いたの。あの女の子がわたしを助けてくれたって」
「それをどこで」
「やっぱり、本当なの?」
「女性騎士を反対するルトゥム様が、大人げ無いことをしようとしただけよ。それを彼女が助けてくれたの」
「その女の子の名前は? どこのクラス? 会ってお礼が言いたいの」
「それは……」

 シア様が困っています。その困ったシア様は助けを求めるようにわたしたちを見ます。でも、助けることなんて出来ません。

「彼女はわたしの友人よ」
「ティリア様!?」
「彼女はわたしの友人で、この学園には通っていないの」
「でも、制服を」
「あれは、理由があって、わたしが貸してあげたの」

 シア様がティリア様の言葉に便乗します。

「それじゃ、せめて名前だけでも」
「ユーナよ。でも、彼女のことは(おおやけ)に出来ないから広めないでね」
「ユーナちゃんですね。ティリア様、ありがとうございます。でも、それじゃお礼は言うことは出来ないんですね」
「ええ、それは無理ね。彼女がこの王都にいるのは学園祭のために来ているだけだから」
「残念です。それじゃ、お礼をお願い出来ますか。女子一同、感謝をしていると。あんな小さな女の子でも強くなれるって、自信が付きました」

 頑張って、ユナお姉ちゃんみたいになれるのでしょうか?
 わたしが知っている魔物だけでも、普通には倒せない魔物が多くいます。そんなユナお姉ちゃんみたいになることが出来るのでしょうか?
 ティリア様の話を聞いた学生たちは大人しく帰って行きます。大事にならなくて良かったです。

「ティリア様、ありがとうございます」
「ユナはわたしの友人だからね」

 お姫様に友達って言われるユナお姉ちゃんは凄いです。
 そもそも、わたしみたいな地方にいる平民が、国王様やお姫様に会ったり、話をするだけでも凄いことなんです。最近、ユナお姉ちゃんのせいで、その辺りがおかしくなっています。
 これが常識だとシュリが思ったら大変です。街に帰ったらお母さんと話して教えないといけません。
 それから、シア様はマリクスさんと店番を代わるために、お店に残るそうです。


「それじゃ、どこに行こうか? みんなのことはユナに頼まれているからね。学園祭最終日だし、楽しまないとね」

 そして、わたしたちはユナお姉ちゃんが残した言葉に従って、学園祭を楽しむことになりました。
 学園の中を歩くと、ユナお姉ちゃんの噂がたまに聞こえて来たりします。

「美少女が騎士を全て倒したとか」倒してません。
「美少女がルトゥム様を殺したとか」殺してません。
「美少女の綺麗な指先から魔法を出したとか」ユナお姉ちゃんの手はクマさんです。
「その美少女は王族の関係者みたいだぞ」これは合っているのかな?
「美少女と一緒にいた少女たちも可愛かったらしいぞ」ノア様とシア様のことでしょうか?

 美少女のところ以外、あまり合ってません。噂って、このように広まっていくんですね。ユナお姉ちゃんが聞いたら、困った顔をするのが思い浮かびます。
 そして、噂をする人はチラチラとわたしたちの方を見ます。

「わたしが一緒にいるせいで、見られているわね。昨日と同じところに行こうか? もう一回、合奏や劇でも見る? あそこなら周りを気にしないで見れるよ」

 それは賛成です。もう一度、見てみたいです。
 あの合奏も劇も素晴らしかったです。シュリもノア様も反対はしません。喜んでいます。
 そして、わたしたちは昨日と同じ、感動を得るために、あの大きな建物に向かいます。
 でも、ユナお姉ちゃんが国王様に連れて行かれたのに、わたしたちだけ、楽しんでも良いのでしょうか?

久しぶりのフィナ視点です。
ユナが周りから、どう思われているか、必要な話になります。

学園でクマの着ぐるみ以上に、制服が着れなくなりそうですw
これも、クマの着ぐるみ着ていない呪いかも?
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ