挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、学園祭に行く

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

271/427

267 クマさん、制服に着替える

 学園祭二日目。
 朝早くにお屋敷にお客様がやってきた。

「ノアお姉様、ユナさん、フィナちゃん、お久しぶりです」
「みんな、久しぶりじゃな」

 わたしたちにお客様が来たとスリリナさんが言うので、呼ばれて来てみるとグランさんとミサがいた。

「グランさんにミサ、どうしてここに?」
「王都に用事があってのう。それで、昨日、時間があったから学園祭に行ったら、クマの格好をした女の子が歩いていると聞いてのう」
「それでユナさんがいると思って、会いに来たんです」

 やっぱり、クマ=わたしの方程式が成り立つんだね。
 でも、シアからも聞いたけど、やっぱり昨日のことが目立っているみたいだね。

「でも、よく、わたしがここにいるって分かったね」
「わたしと同じぐらいの年の女の子が一緒にいるって聞いたから、ノアお姉様やフィナちゃんも一緒かと思って、尋ねさせてもらったんです」
「それで、もし、今日も学園祭に行くようだったら、一緒にミサも連れて行ってくれないかのう」

 もちろん、断る理由はないので了承する。

「ありがとうございます!」
「それじゃ、一緒に楽しもうね」
「はい!」

 ミサは満面の笑みで返事をしてノアたちのところに行く。

「あと、嬢ちゃんにはあらためて、お礼を言わないといけないとおもってな。あのときはミサを救ってくれてたことを感謝する。今、思い返してもミサに何かあったらと思うと、身震いすることがある」
「あのときも言ったけど、気にしないでいいよ。わたしが助けたかっただけだし、ムカついたから殴っただけだから、何度もお礼を言われることじゃないから」
「はは、そうじゃったな。でも、なにかあれば力になるから、頼ってくれ。と言っても家督は息子夫婦に譲ったから、それほどのことは出来ないがな」

 グランさんが笑い出す。
 エレローラさんに話は聞いていたけど、息子さんに領主を譲ったんだね。

「まあ、そのおかげで自由に動ける身になったから、自由気ままにあっちこっちに行けるから楽しいぞ」

 まるで、老後を年金で楽しむお爺ちゃんだね。

「今度、ミサを連れてクリモニアに遊びに行くから、そのときは遊んでやってくれ」

 グランさんはミサをわたしに託すとお屋敷を出ていく。
 わたしたちは学園に向かう準備をする。みんなの服装はティリアに買ってもらった服を着ている。アクセサリーは小さな物だけを付けることにした。あまり、目立つ髪飾りやペンダントは止めることになった。
 まあ、簡単に言えばわたしがゲットした物は付けないことにしたのだ。
 わたしたちは準備を整えるとスリリナさんに出掛ける旨を伝えて出発する。
 シアはすでにわたしが渡した綿菓子機を準備するため、今日も朝早く家を出ている。そして、シアとは学園の入口でなく、お店で会うことになっている。

 わたしを中心にチビッコが4人になった。ミサが増え、チビッコ度が増す。
「ミサはしばらくは王都にいるの?」
「明日には王都を出るようなことを言ってました」
「そうなの?」
「はい。だから、お爺様はわたしをユナさんたちと一緒にさせてくれたんだと思います」

 ミサの笑顔を見ると安心する。
 誘拐事件の被害者は恐怖で一人で外を歩けなくなると聞いたことがある。だから、誘拐されたミサが怖がって家に閉じ籠っていないか、少し心配していたけど、大丈夫そうだ。
 だから、ミサが笑顔で外出しているのを見ると、ホッとする。
 もし、ミサにトラウマを植え付けていたら、ミサのトラウマが無くなるまで、馬鹿貴族を叩き潰さないといけなくなるところだった。

 そんなわたしの心配を余所に、ミサは久しぶりに会えた、フィナとノアと楽しそうに会話をしている。そこに、初めて会ったシュリが入って一緒に会話をしながら歩いている。わたしは1人で寂しく歩いている。まあ、4人が楽しいなら、問題はない。
 そして、学園に着くと、昨日と同様に人気票の紙を貰う。一日一回貰えるみたいだ。昨日の用紙は、フィナたちに可愛い服を提供してくれたお店に3票入れておいた。同じ番号を書いても良いとティリアに教わったので同じ番号を3つ書いた。来年も来るようなことがあったら、今度はわたしが買ってあげたいと思った。そんな気持ちを乗せて投票させてもらった。
 投票箱は学園のいろんなところに設置してあり、好きなときに投票できるようになっていた。

 わたしたちはシアに会いに行くためにシアたちのお店に向かう。そして、歩いていると、すれ違う人がわたしを見ている。これはいつものことだけど。いつもと違う言葉が聞こえてくる。
「あれが昨日の噂のクマか?」「昨日のクマだ」「なんだあのクマは?」「知らないのか、昨日、凄かったらしいぞ」「ついて行こうぜ」「面白ものが見れるかもね」と聞こえてくると、わたしたちのあとを付いてくる。

「ユナお姉ちゃん」

 フィナが不安そうにわたしのクマさんパペットを掴む。
 ノアとシュリはそんなことも気付かずにミサと仲良くしている。

「ふふ、ミサ姉ちゃんって呼ばれるのは新鮮です」

 ミサはシュリにミサ姉ちゃんって呼ばれて嬉しそうにしている。
 初めはフィナと同じようにミサ様って呼んでいたけど。ノアのことをノア姉ちゃんって呼んでいるのを聞いて、ミサもミサ姉ちゃんって呼んでもらうようにお願いをしていた。
 それを聞いたフィナの顔が少し青ざめていたのはわたしは知っている。まあ、ミサも自分から呼ばせているんだし、グランさんも怒ったりはしないはずだ。だから、気にすることはないけど。貴族がノアたちみたいに優しいとは限らないことは教えないといけないね。
 なにか、やった後では遅いからね。

 とりあえず、現状に気付いているフィナの手を握ってあげて落ち着かせてあげる。まあ、付いてくるだけで何かをしてくるわけじゃない。シアの店まで行って、時間を潰せば居なくなると思う。
 でも、進むにつれて、人が増えている気がする。気のせいだと思いたい。

「ユナさん、なんなんですか!」

 到着すると同時に、シアに怒られた。
 シアの視線がわたしの後ろの人たちを見ている。

「ユナさん、今日は目立たないように約束をしましたよね」
「わたし、まだなにもしていないよ」

 歩いていただけだよ。
 勝手に付いてきたんだよ。

「ここ、なんのお店?」「クマ?」「関係があるのか?」「なにか面白いものを売っているぞ」

 わたしに着いてきた人たちはわたしから興味がクマの置物に移り、綿菓子へと目が移る。
 シアがわたしの服を掴むと店の裏に引っ張って行く。

「それじゃ、ユナさんは門からここまで歩いて来ただけですよね」

 わたしは頷く。なにもしていない。歩いていただけだ。
 シアは少し考えるとわたしの手を再度掴む。

「少し、ユナさんを預かりますね。みんなは綿菓子でも食べて待っていて!」
「お姉様?」
「すぐに戻って来るから」

 シアはノアたちに言うと、わたしの手を掴んだまま、早歩きで歩き出す。

「えっと、シア? シアさん?」
「ユナさんはこっちに来て下さい」

 わたしはシアにドナドナされていく。

「どこに行くの? みんなは?」
「すぐに戻って来ますから、大丈夫です」

 シアは逃がさないようにわたしの手を掴んでいる。そして、一番近い校舎に連れて行かれ、中にはいる。
 そして、キョロキョロと周囲を確認しながら、ドアの前で止まる。

「ここでいいかな?」

 シアはドアを開けて中を確認する。

「誰もいないね」

 シアは誰もいないことを確認すると部屋の中に入る。

「更衣室?」

 部屋の中に入ると更衣室みたいだった。
 シアはアイテム袋を用意すると何かを取り出す。

「ユナさん、これに着替えて下さい」

 渡されたのは服だった。

「えっと、これは?」
「学園の制服です。その格好は目立ちます。ユナさんがその格好を気にいっているのは知っています」

 別に気にいっていないよ。ただ、着ていないと安全が保障されないから着ているだけだよ。もしかして、わたしが好きでこの格好をしていると思われている?
 わたしだって、異世界チートが貰えるなら、着ぐるみではなく、わたし自身に欲しかったよ。そうすれば着ぐるみで異世界を暮らさないで良かったのに。

「でも、学園祭では目立つから、着替えて下さい」

 再度、制服を押し出してくる。

「制服はわたしの予備だから、少し大きいかも知れないけど。小さいよりは良いと思います」

 サイズとかが問題じゃなく、着替えるのが問題があるんだけど。

「みんな、待ってますから、早く着替えて下さい」

 有無を言わさずに、制服を渡してくる。断る隙をくれない。
 でも、学園祭で魔物が出てくることもないし、盗賊が出るわけもない。入場にはカードのチェックもあるから不審者は入り込むことが出来ない。問題はノアにちょっかいを出してくる貴族ぐらいだけど、昨日も平和だったし、クマの手袋とクマの足があれば、ある程度対処は出来る。本当に危険ならくまゆるたちを召還するって最終手段もある。
 なによりも、今のシアを見ていると断ることが出来そうもない。

「分かったよ。着替えるよ」

 仕方なく着替えることにする。

「それじゃ、あっちを向いててね」
「わたしは女の子ですよ」

 そういう問題じゃないと思うけど。
 わたしはクマ装備を全て外し、制服に着替える。
 でも、まさか、制服が着れるとは思わなかった。元の世界だと中学の時に数回着ただけで、引きこもってしまったから、少しだけ、制服を着れることに嬉しい気持ちもある。
 だから、シアの強引なことに従った自分がいる。

「ユナさん、違いますよ。これはこうやって、ここはこうです」

 シアが制服の着方を教えてくれる。なるほど、そうやるのか。そして、最後にネクタイを締めて完成する。
 そして、制服の確認をする。たしかに、シアの言うとおりに制服は少し大きいみたいだ。ウエストのところがユルユルだ。そして、胸のところは…………きつくて仕方ない。本当だよ。とってもきついよ。
 とりあえず、胸以外のところは大丈夫そうだ。

「ユナさんって、あらためて見ると可愛いんですね。でも、そんなに可愛いのに、どうしてあんな格好をしているんですか」

 世間一般的に言う、女の子が女の子を可愛いって言うのは当てにならないと言う。だから、シアのことはお世辞として聞いておく。
 ちなみにわたしは世間一般的の女の子とはずれているから、わたしが見た可愛いは本当のはずだ。

「ユナさん、そんなに可愛いのにもったいないですよ」
「お世辞はいいよ。シアの方が可愛いんだから」

 それにしても、スカートは落ち着かない。先ほどから足元がスースーする。とりあえず、クマの靴とクマさんパペットは付ける。

「それは付けるんですね」
「アイテム袋になっているし、くまゆるたちもいるからね」

 これが無いともしものときは困る。

「まあ、遠くから見れば、足も手も気付かないと思うから、大丈夫かな」

 着ぐるみはクマボックスに仕舞い、制服に着替えたわたしはみんなのところに戻る。
 歩くたびにスカートが揺れる。短くない?
 でも、シアを見てもそんなに短いようには見えない。ただ、スカートを穿きなれていないせいで短く感じるみたいだ。ずっと、着ぐるみだったから、どうも、スカートは落ち着かない。
 スカートを押さえながら戻ってくると、かなりのお客が並んでいた。

「シア、遅いぞ」
「ごめん」
「カトレア、ごめんね。変わるから、学園祭楽しんできて」
「もう少し、手伝ってからでもいいけど」
「そんなことを言っていると、行けなくなるよ。それに行く場所もあるんでしょう」

 シアはマリクスのところへ、わたしはフィナたちのところに行く。

「みんな、お待たせ」
「…………?」と首を傾げるノア。
「…………?」と考え込むミサ。
「…………!?」と驚くフィナ
「…………そのクマさんの手は?」と何かを感じたシュリ。
「みんな、どうしたの?」

 なんか、わたしを見て、考え込んでいる姿がある。

「えっと、ユナお姉ちゃん。その格好は?」
「クマの格好だと目立つから、シアに無理やり着せられたの。似合っていない?」

 軽く制服姿を見てもらう。やっぱり、似合っていないのかな?
 でも、みんなの目は似合わないから、笑うとじゃなく、不思議な物を見るような目をしている。

「いえ、とっても似合っています」
「ありがとう」

 褒めてくれるフィナの頭を撫でてあげる。お世辞でも嬉しいからね。

「もしかして、ユナさんですか!」
「……ユナさん?」

 何故か、ノアとミサが『?』マークになっている。

「えっと、そうだけど。もしかして、分からなかったとか言わないよね」

 ノアとは何度かお風呂に入っている。それに一度だけ、ミサの誕生日にドレス姿も見ているはずだ。

「そ、そんなことは……」

 ノアの目が左右に泳ぐ。
 ミサの方を見ると、

「すみません」

 謝罪をする。

「わたし、クマさんの手を見たら、わかったよ」

 わたしのことが分からなかったノアとミサ。
 クマさんパペットで気づいたシュリ。
 なにか、ショックだ。着ぐるみを脱いだわたしを判別出来るのがフィナだけなんて、みんなが何に基づいてわたしと判断しているかが分かった気がする。
 ちなみに、綿菓子を作っているマリクスたちの手が止まって、シアに怒られていた。


はい、ユナが制服を着ましたw
二回目の変装ですw

制服姿は3巻029先生のシアを参考に。
気になる人は本屋さんにダッシュw
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ