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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、学園祭に行く

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251 クマさん、王都に行くプランを考える

 翌日、昼食の準備をフィナと一緒にして、ノアを待っている。

「ユナお姉ちゃん。お皿は並べたよ」
「ありがとう。あとはお茶の用意をお願い」
「はーい。シュリ、そろそろ、ノア様が来ますから、くまゆるとくまきゅうと遊ぶのもほどほどにね」
「うん。くまゆるちゃん、くまきゅうちゃん。また、あとでね」

 そんな話し声が後ろから聞こえて来る。
 フィナは昼食の準備を手伝ってもらい。シュリは子熊化したくまゆるたちと遊んでいる。
 そして、お昼の準備が終わる頃、ノアがやって来た。

「いらっしゃい」
「もしかして、遅刻しましたか?」

 フィナとシュリの2人が食事の手伝いをしているのを見て、尋ねてくる。

「時間通りだよ。2人は早く来ただけだよ。それで、お昼の準備を手伝ってもらっていたんだよ」
「そうなんですか。それならわたしも早く来れば良かったです」
「気にしないでいいよ。それじゃ、お昼でも食べながら話そうか」

 それぞれが席に付き、くまゆるとくまきゅうはわたしの側で丸くなる。
 今日のお昼はお米を使った料理、チャーハンにスープにサラダを用意した。

「それで、出発日を決めるんですよね」

 チャーハンを食べながらノアが尋ねてくる。

「そうだけど。ノアとシュリ、ちょっといいかな?」
「はい」
「なに?」

 2人はスプーンを持ちながら、わたしの方を見る。

「2人はくまゆるたちと一緒にお出かけがしたいんだよね」
「はい!」
「うん!」

 2人は迷いなく返事をする。
 やっぱり、そうだよね。

「一日中、クマさんと一緒にいられると思うと幸せです」
「うん」

 ノアの言葉にシュリが頷いている。
 もしかして、こっちの2人の方が姉妹って思うぐらいに息があっていない?
 もちろん、フィナもくまゆるたちが好きなのは知っている。召喚すると嬉しそうに撫でている姿がある。

「また、王都までクマさんと一緒に行けると思うと嬉しくなります」
「早く、クマさんに乗りたい」

 2人はすでにクマさんモードに入っている。
 これは面倒だけど、クマの転移門のことは黙って、くまゆるたちで王都に向かった方がいいかな?
 転移門を使えば一瞬で行けるから、時間の無駄のような気もするけど。

「ユナさん、どうしたんですか?」

 スプーンをくわえながら考えていたら、ノアが声をかけてくる。

「うん? ちょっと考え事をね」
「考え事ですか?」
「一瞬で王都まで行けたらいいなと思ってね」
「一瞬ですか? もし、そんなことが出来たら、いつでもお母様に会いに行けますね」

 クマの転移門を使えば、簡単にエレローラさんがいる王都に行くことが出来るよ。とは言えずに言葉を飲み込む。
 秘密を話すタイミングって難しいね。
 フィナのときは知っているものだと思って話しちゃったけど。
 まして、必要とされていない秘密を自分から言うのがこんなに難しいとは思わなかった。

「もし、そんなことが出来たら、ノアとシュリならどうする? それでもくまゆるたちで王都に行きたい?」
「くまさんと行きたい!」

 シュリは即答する。

「そんな物があるなら使ってみたいですが、わたしもくまゆるちゃんたちと一緒にお出かけがしたいです」

 シュリはクマさん。ノアは半々ってことかな?

「でも、どうして、そんなことを聞くんですか?」
「参考にね」

 2人の真意は分かった。教えても、クマの転移門は使えそうもない。使ったとしても、くまゆるたちと旅が出来なくなって悲しみそうだ。

「ユナお姉ちゃん、王都に行くのはクマさんで移動したらどうですか? 帰りは、その、使って帰ってくれば」

 フィナがクマの転移門を濁す言い方で話す。
 確かにそうだね。
 2人はくまゆるたちの移動を楽しみしている。
 それなら、行きはくまさん。帰りはクマの転移門でもいいかもしれない。
 長距離の移動に学園祭。帰る頃には疲れている可能性もある。転移門はそのときに使ってもいい。
 フィナのアイディアに賛同する。

「フィナはなにを言っているんですか?」
「その、なんでもないです」
「そうなの?」

 フィナはわたしの約束を守るためにクマの転移門のことは口にしない。
 ノアは疑うこともせずにチャーハンを口に運ぶ。

「それじゃ、みんなで仲良く、くまゆるとくまきゅうで一緒に王都に行こうか」

 学園祭が行われる予定日より、数日前に到着するように予定を立てて出発することになった。
 3人が喜んでくれるのが一番だ。今回はそれが目的だし。
 クマの転移門を教える機会は、今後もあるかもしれない。そのときに教えればいいし。フィナの言う通り、帰りに教えてもいい。なにごともタイミングが大事だ。
 好評だったチャーハンを食べ終わると、デザートにプリンを出してあげる。
 そして、3人は日が暮れるまで、小熊化したくまゆるとくまきゅうと遊んでいった。
 最後の方ではくまゆるたちと遊び疲れた3人はくまゆるたちを抱きしめるように寝ていた。


 翌日、わたしは学園祭に行くまでにいろいろと準備をすることにした。
 子供が3人もいるんだ。遊び道具も必要になる。
 リバーシもあるが、あれは長い間やっていると飽きてしまう。
 だから、旅行の遊び道具の定番であるトランプを用意することにした。
 時間があるときに、ちまちまと作ったトランプ。
 キング、クイーン、ジャックの絵柄は二等身キャラのミニクマになっている。
 キングは王冠を被り、クイーンは女王っぽく描き、ジャックは剣を持っている。もちろん、ジョーカーもクマだ。
 裏の表紙の絵柄は子供たちが喜んでもらえうようにミニクマにする予定になっているが、今は白紙のままになっている。
 流石に54枚も同じ物は描けないから、印刷がしたい。

 それにせっかく、描いたトランプが破れたり、無くなったりしたりしたら、絵を描いた苦労が水の泡となる。
 描いたトランプの絵がクリモニアでも複写できるか、確認するために商業ギルドに向かう。
 ミレーヌさんに会いに商業ギルドに行くと、クリフの言う通りに他の街から来た商人が多くいる。
 なんで、他の街の商人って分かるかって?
 だって、クリモニアの商人はわたしのことを一瞬だけ見ると、見慣れているのかすぐに目を反らす。
 でも、わたしのことを知らない商人はわたしの方に視線を向けると、視線を反らさずに不思議そうな物を見るような目で見てくる。
 ミレーヌさんが言うには、この街に住んでいる商人でわたしのことを知らない商人はあまりいないそうだ。
 ブラックバイパーの素材のときにクマが倒したと広まり、さらにクマがお店を出したことで話題になり、卵のことも広まっている。
 だから、この街の商人はわたしのことを知っているから、わたしのことを不思議そうに見つめたりはしない。必然的に不思議そうな目で見るのは他の街の商人となる。
 ちなみにこの街の商人たちも知らないことがある。
 「クマ」で通じるため、わたしの名前を知らないと言う。
 失礼だよね。


 商業ギルドの中に入ると受付の方を確認する。
 数人の受付嬢が座っているがミレーヌさんの姿は見えない。
 さすがに忙しい中、受付で遊んでいるようなことはしていないようだ。 
 受付には顔見知りの受付嬢のリアナさんがいたが、お客様の対応をしている。
 顔をこちらに向けたリアナさんと目が合ったので、顔を下げて挨拶だけはしておく。
 どこの受付も数人の商人が順番待ちをしている。
 うーん、待つのも面倒だから、また、明日にでも来ようかな?
 そう思って商業ギルドを出ようとすると、リアナさんに引き止められる。

「ユナさん!」

 振り返ると、対応していたお客様は終わったらしい。
 でも、順番的にわたしの番ではない。

「今日はどうしたんですか?」
「ちょっと、相談があったんだけど」

 周りを見る。人が沢山いる。

「ミレーヌさんも忙しいのかな?」
「はい、ちょっと仕事が入っています。わたしでよければお話をお聞きしますが」
「いいの? 他の人の順番とか」
「大丈夫ですよ。代わりの者がおこないますから」

 簡単に言うけど、良いのかな?
 リアナさんが奥にいる職員に声をかけると、リアナさんの代わりに席に着く。

「それじゃ、こちらでお話をお聞きしますね」

 わたしは別の部屋に連れて行かれる。
 優遇されている感じがするんだけど、良いのかな?
 そのことを尋ねてみると。

「どこのギルドでもそうですが、ギルドに貢献している人は優遇されます。街の重要な人ならなおさらです。待たせでもして、怒らせたりしたら大変なことになりますからね」
「わたしは別に怒ったりしないよ」
「分かっています。でも、それだけユナさんは商業ギルドでは重要な人ってことになっています」
「そうなの?」
「魔物素材はもちろん、お店の売り上げ、卵の流通、なによりもミリーラのトンネルの貢献が大きいです。そのおかげで商業ギルドはかなりの利益をあげています。そんなギルドに貢献しているユナさんを待たせるわけにはいきません」

 そう言われると偉くなったように感じるね。
 お店はモリンさんやアンズのおかげだ。
 卵は孤児院の子供たちが頑張っている。
 それを支えてくれているティルミナさんや他の大人たち。
 トンネルは穴を掘っただけだ。
 綺麗に整地したり、トンネルに光の魔石を付けて、通れるようにしたのはクリフだ。
 そう考えると、わたしがしたのは魔物の素材とトンネルを掘ったことだけになるのかな。それもクマ装備のおかげだし。
 う~ん、そんなわたしが優遇を受けていいのかな?
 クマ装備もわたしの力だし、お店もオーナー的な立場だから良いと解釈しよう。
 これが、自分が優遇されないといけないと勘違いすると、バカ商人やバカ貴族みたいになるんだろうな。
 そうならないように、気を付けておこう。

「それで、相談とはなんですか?」
「印刷する場所を教えて欲しいんだけど」
「印刷ですか?」
「これと同じ物を作って欲しいんだけど。どこにお願いしたらいいかな?」

 クマボックスからトランプを取り出す。

「少し違うようですが、カードゲームですか?」

 クマさんトランプを見て、リアナさんが言い当てる。
 この世界にもカードゲームみたいなものはあるらしい。
 今度、調べて見るのもいいかもしれない。

「うん、これと同じ物を作って欲しいんだけど。出来る場所はあるかな?」
「はい、ありますよ。お預かりして、わたしたちの方からお願いしましょうか?」

 それは助かる。
 わたしは裏面と表面の説明をする。
 裏面には別に用意したクマの絵柄を印刷して欲しいことを伝える。

「代金の方は気にしないでいいけど。材質は破れなくて、丈夫なものでお願い。あと、同じ物を100セットお願い」
「100セットもですか!?」
「そんなにいらないと思うけど。必要になったときに、また頼むのは面倒だからね」

 孤児院の人数を考えれば10セットは必要だと思うし。
 それにトランプは消耗品だ。予備はいくつあっても問題はない。

「分かりました。ユナさんがよろしいのでしたら、その数量で注文致します」
「時間はどのくらい掛かりそう? 今度、王都に行くからそれまでには欲しいんだけど」

 リアナさんに出発の日程を教える。

「分かりました。それまでには作るようにさせます」
「お願いね」
「それにしても可愛らしいクマさんの絵ですね」

 リアナさんはわたしが描いたトランプを見る。

「もし、こちらを販売するようなことがあれば、申し付けてくださいね。商業ギルドはお手伝いさせてもらいますから」
「もし、そうなったらお願いね」
「それでは完成したら、ユナさんのお家に届けします」

 無事にトランプの件も終わり、商業ギルドを後にする。


とりあえず、行きはくまさんになりました。
喜んでいる2人に、「くまさんは使わないよ」とは言えませんでしたw
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