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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、誕生日会に参加する

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186 クマさん、うどんを見つけてショックを受ける

 パーティーの翌日、朝食を食べるときにグランさんとクリフに改めてお礼を言われた。
 昨日、ノアやグランさんからも話を聞いたけど、パーティーはゼレフさんのおかげで大成功で終わった。
 多くの商人や有力者たちがグランさんの話を聞いてくれたそうだ。
 もっとも、会話の内容の多くはゼレフさんとの関係だったらしい。
 まあ、普通、王宮料理長が現れたら、裏で悪さをしていた商人や有力者たちは気になるだろう。もし、国王が関わってくるようだったら、手を引くしかない。国王と敵対するバカはいない。
 だから、情報を欲しがる者たちが集まってきたそうだ。

 ゼレフさんが呼ばれた経緯はボッツさんと知り合いのことを含め、王都で働くフォシュローゼ家の婦人のエレローラさんの頼みで来たことになっている。
 わたしがゼレフさんに頼んだことは伏せられている。
 そもそも、クマが連れて来てくれたと言って、ほぼ全ての人間が首を傾げるだろう。
 わたしとしても面倒ごとはお断りなので、その説明に問題はない。
 プリンも話題の話になり、好感触だったみたいだ。中にはクリモニアのわたしのお店のことを知っている者もいたらしい。
 小声で『クマと知り合いなんですか?』と聞かれたとか。
 グランさんは小声で『ええ、孫娘の友人です』と答えたそうだ。
 その人はかなり、驚いたらしい。その人に驚いた理由を問い質してみたいね。
 しかも、小声で話すことなの?
 大声で話されるよりはいいけど。 

「それで、ユナ。しばらく、グラン爺さんを手伝わないといけなくなったから、ノアを頼む。我が儘を言うようだったら、部屋にでも放り込んでも構わない」
「わたし、我が儘なんて言わないよ」
「なら、クマ関係のことでも我慢出来るな」
「それは……」

 ノアは言い淀む。
 そもそも、クマ関係の我が儘ってなに?

「約束したぞ」
「お父様、いじわるです」

 ノアは少し口を尖らせる。
 それから、グランさんからもミサのことをお願いされる。
 適当に遊んでくれればいいと。
 そんなわけで、朝食を終えて部屋に戻ってくるとノアとミサがリバーシで遊び始める。

「負けた方がフィナと交代ね」
「分かりました。でも、負けません」

 二人とも昨日も遊んで飽きないのかな?
 わたしは飽きてしまった。
 久しぶりにやったリバーシは楽しかったけど、何時間もする遊びじゃない。
 トランプなら、いろんな遊びが出来るんだけど。クリモニアに帰ったら考えておこう。

「三人は部屋で遊んでいる? わたし外に行こうと思うけど」
「ユナお姉ちゃん。わたしも付いて行ってもいいですか?」
「うん、いいよ」

 フィナがリバーシをやっている2人から離れる。
 そんなフィナを見て、ノアとミサが顔を見合わす。

「わたしも行きます!」
「わたしも」

 ノアとミサが声をあげる。

「ただ、外を歩くだけだよ」
「行きます」

 そんな訳で、3人娘を連れて屋敷を出る。
 前回は邪魔が入ったから今日はのんびりと見回りたいものだ。
 本当は三人が付いて来なかったら、冒険者ギルドでも見に行こうと思っていた。だけど、今回は諦めるしかない。
 依頼は受けるつもりはないけど。どんな依頼があるかは確認はしたかった。
 面白い依頼があれば今度受けに来ても良いかなとは思っていた。
 さすがに小さい女の子たちを連れて冒険者ギルドにはいけない。
 わたしの格好を含めてトラブルになりそうだからね。

「どこか行きたいところある?」

 わたしとしては冒険者ギルドがダメなら、食材が売っている店を見回りたいところだ。野菜、肉、果物、珍しい物があれば確保したいところだ。元の世界でも見たことがない物も見かけることがある。
 たまに辛い調理料だったり、甘い果物があったり、知らない物がある。
 クリモニアで見たことが無い食材があれば少し、買っておきたいところだ。
 フィナはともかく、ノアやミサをそんなところに連れて行っても楽しくはないだろう。

 でも、そうなると行く場所がない。
 わたしとしては見知らぬ土地を歩くだけでも楽しい。ゲーム時代も新しいマップが解放されると楽しかった。

 三人はお互いを見ながら少し悩んで口を開く。

「わたしはどこでもいいです」
「わたしも」
「……わたし、屋台に行きたいです……」

 ミサが言いにくそうに希望を言う。

「……こないだの屋台の食べ物が美味しかったから。わたし、あまり、外で食べたことがないから……」
「そうなんだ」

 貴族の娘だと、勝手に出歩けないのかな?

「二人はそれでいい?」
「いいですよ」
「はい」

 行き先が決まったので屋台がある広場に向かう。

「ノアは屋台とか普通に食べるの?」
「食べますよ。お母様とよく食べました」

 確かにあの人なら屋台で食べそうだ。

「今でも1人でたまに食べに行くときがありますよ。最近は屋台に行かないでユナさんのお店に行きますけど」

 確かに、たまに1人でお店に食べに来ている姿を見る。
 初めは、貴族の娘が1人でいいのかな、と思ったりしたけど。連れ戻しに来た執事さんやメイドさんは、脱け出した事ではなく、勉強をサボった事を怒っていた。 
 異世界の貴族にもいろいろあるってことだね。

「ノアお姉さま、ズルい。わたしもユナお姉ちゃんのお店に行きたいです」
「今度、クリモニアに来たら案内してあげるよ」
「約束ですよ」

 屋台がある広場に到着すると、ミサが食べたい物を中心に食べて行く。
 わたしの格好を見た露店の人は皆、視線がわたしに止まる。
 うん、分かっていたよ。前回来たときもそうだったからね。
 その反応は無視して注文をする。
 そして、広場を見回っていると、うどんを見つけた。
 おお、あるんだね。まあ、小麦粉をこねて細く切るだけだからね。
 わたしが少し感動していると、フィナがとんでもないことを言い出した。

「ユナお姉ちゃん。アンズさんのお店でも食べれるよ」
「……フィナさん。今、なんとおっしゃいました」
「アンズお姉ちゃんのお店で食べれるよ」
「……冗談だよね」
「スープは違うけど。食べれるよ。知らなかったの?」
「えええええええ、嘘でしょう!」
「ユナお姉ちゃんはアンズお姉ちゃんのお店で注文すると、いつもご飯だから」

 確かにそうだ。アンズのお店に行くときはメニューも見ないで、ご飯が中心の注文になっている。そもそも、メニュー作成はアンズとティルミナさんに任せていた。
 でも、初めの頃、確認した記憶があるけど。うどんは無かったと思うんだけど。
 気付かなかっただけかな?

「でも、珍しい料理だよね。クリモニアじゃ見ないし」
「ユナお姉ちゃんがいつも行く広場の屋台には無いけど。お店では売っているよ」

 フィナの話では違うお店に行くと食べれるそうだ。わたしが知らなかっただけみたいだ。
 たしかに、クリモニアに来た当時はクマの格好のせいで、食事はエレナさんの宿屋で食べていた。美味しかったし、軽く食べるにも屋台で食べていた。他の食堂に行ったことがほとんどない。
 モリンさんのお店が出来てからは、モリンさんのお店で食べることが多くなった。
 そして、アンズのお店が出来れば、アンズのお店で食べることも増えたが、気付かなかった。
 持ち帰りにしたり、別室で食べていたせいだ。

 とりあえず、久しぶりの麺類を食べることにする。
 うん、美味しいけど。つゆが少し残念だね。
 アンズの店なら、魚介類の出汁があるから美味しいかも。早く帰りたくなる。
 うどんを食べ終わり、お腹が膨れてしまったので、ベンチで休憩をしていると、見覚えのある二人がやってくる。

「本当にいたよ」
「いましたね」

 え~と、確かグランさんの護衛をしていたマリナと巨乳の魔法使い。名前は忘れた。
 一度、自己紹介されたけど。そのあと一度も会ってなければ覚えていないよね。
 わたしは悪くない。って自分に言い訳をする。

「マリナ、エル」

 ミサが2人の名前を言う。
 うん。そう、エルだ。そんな名前だった。ミサに心の中でお礼を述べる。

「ミサーナ様、お久しぶりです」

 ミサに挨拶をする2人。

「それで、居たって、わたしがこの街に来ていたことを知っていたの?」
「ああ、冒険者ギルドでクマの格好した女の子が話題になっていたからな」
「可愛らしい格好って言ってましたよ」
「笑っていた奴もいたけどな」

 エルがフォローしてくれたのにマリナが突き落とす。

「まあ、それですぐにユナだと思ったわけだ。それでユナはどうしてミサーナ様と一緒にいるんだ?」
「ミサの誕生日パーティーに呼ばれてね」
「ミサーナ様の誕生日パーティー?」

 マリナがミサを見る。

「うん、今度10歳になるよ」
「それは、おめでとうございます」
「マリナたちもパーティーに参加する?」
「いえ、パーティーは遠慮させてください。わたしみたいな粗暴な冒険者には似合いませんから」

 それを言ったら、わたしだって冒険者だし、フィナは平民だ。

「構わないよ」
「勘弁してください。でも、ミサーナ様になにかあれば駆け付けますから、いつでも呼んで下さい」

 そのマリナの言葉にミサは嬉しそうに微笑む。

「マリナはこれから、どこかに行くの?」
「ええ、街の外にある畑に行くところです」

 ミサの質問に答えるマリナ。
 冒険者が畑?

「モグラが出始めたそうなので」

 モグラってあの地中に潜るモグラだよね。
 マリナの話を聞くと、モグラが作物を食べてしまうそうだ。そのモグラの退治に行くそうだ。
 でも、モグラって作物を食べたっけ?

「食べるぞ」
「もちろん、食べないモグラもいますよ。種類によって違いますから」
「こんな大きなモグラもいるからな」

 マリナが両手で大きく広げる。
 大き過ぎるよ。そんなのモグラじゃないよ。
 でも、異世界ならいるのかな?
 それにしても、冒険者がモグラ退治ね。まあ、冒険者は魔物討伐や護衛が仕事だけじゃない。雑用も多く存在するけど。

 でも、どうやって地中にいるモグラを退治するのかな? 考えられるのは土魔法で対象する方法だけど。
 ちょっと、どうやってモグラを退治するか見てみたいかも。でも、3人娘がいるから無理かな。
 わたしが3人娘を見るとわたし以上に興味を持っている人物が2人いた。ノアとミサだ。フィナは至って普通だ。
 貴族と平民の差かな。

「ユナさん!」

 ノアがわたしのクマの服を引っ張る。
 そんな行きたそうな目でみないでよ。

「畑は遠いの?」
「門を出て、右に向かって歩けば、すぐに見えるよ」
「危険はあるの?」
「そんなものないよ。周辺には魔物もいないし、森とも離れているから、動物もいない。だけど、何処からともなくモグラが現れて作物を荒らす」
「食料はどの街にとっても大切だから、こうやって冒険者がモグラ退治に行くの」

 危険は無い。場所も近い。

「みんな、行ってみる?」
「はい」
「行きます!」

 ノアとミサが元気良く返事をする。
 その様子をフィナが微笑ましそうに見ている姿がる。
 こう見るとフィナが一番しっかりしているお姉さんに見える。

「おい、ユナ。ミサーナ様たちを連れて来る気か!?」
「そのつもりだけど。危険なことはないんでしょう?」
「そりゃ、危険はないけど。見たって面白いものじゃないぞ。エルが魔法でモグラを地中から追い出して、わたしが退治するだけだ」
「うん、見たって面白くないわよ」

 エルがマリナの言葉に同意する。
 マリナの話を聞いていたミサとノアはそれでも良いから見たいと言った。

「ミサーナ様、始めに言っておきますが、本当に面白いものじゃありませんからね」
「うん、分かっているよ」

 本当に分かっているのかな?
 笑顔を見ると分かっているか怪しいところだ。
 まあ、わたしが受けた仕事じゃないし。つまらなかったら帰るだけだし、気にしても仕方ない。
 ため息を吐くマリナを先頭に歩き出す。
マリナを登場させたかっただけです。
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