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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、いろいろ作る

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126 クマさん、護衛任務終了の報告をする

 王都に到着する。
 これで実習訓練も終了だ。
 門を通り抜けて馬車は学園に向かう。門でギルドカードを見せるとき、門番の人に変な目で見られたのはいつものこと。
 でも、今日はクリモニアに帰って、久しぶりに我が家で眠れる。クマの転移門に感謝だね。
 馬車は王都の中を進み、学園に到着する。
 馬車はすでに数台が止まっている。
 出発するときにはわたしたちの馬車しかなかったってことは、みんな戻ってきた馬車なのかな。

「それじゃ、これで終了でいいのかな?」

 馬車から降りて腰を伸ばす。

「あとは、先生に帰って来たことを報告しないといけませんね」

 ああ、そんなのもあったね。
 面倒だ。

「ジグルド! おまえたちも行くだろ」
「ああ、行くよ。ちょっと待ってくれ」

 ジグルドパーティーと合流してから、王都まで一緒にきた。
 向かう方向は一緒だし、別々に向かうことはしない。
 馬車が増えれば、人も増えることになる。そうすれば危険を回避する確率が上がる。魔物が現れれば、大人数で対処が出来る。
 盗賊が現れても、こちらの人数多いと知れば襲って来る確率が下がる。
 一緒に行動するのはメリットが多い。
 もっとも、王都付近でそんな危険なことはないんだけど。

 わたしたちは校舎に入り、先生がいる職員室に向かう。
 中に入ると、いるはずがない人がいる。

「お母様!」

 シアが先生の横にいるエレローラさんに向かって叫ぶ。

「どうしてお母様がここにいるの?」
「それは門の兵士にあなたたちが帰ってきたら、至急わたしに連絡をするように指示を出したからよ」

 それって職権乱用じゃないかな。

「Sランク業務で指示を出したから、伝えに来るのが速かったわよ」

 この人、最悪だ。そんなくだらないことで権力を使わないで欲しい。
 門からお城にいるエレローラさんに伝えに行った人。お疲れ様です。心の中で知らない人を労ってあげる。

「それじゃ、マリクスのパーティーとジグルドのパーティーは実習訓練終了だな。運んできた荷物はこちらで処理しておくから、今日は帰って休んでいいぞ」

 先生が生徒たちに向かって言う。

「後日、実習訓練の報告をしてもらうが嘘は吐くなよ。ちゃんと冒険者の皆さんから話を聞くからな」

 生徒たちは返事をして部屋から出ていく。

「ユナさん、今回はありがとうございました」

 シアがお礼を言う。

「面倒だったけど、楽しかったよ」
「ユナさん、くまゆるさんとくまきゅうさんによろしく言っておいてくださいね」

 カトレアが寂しそうにしている。
 一度、譲って欲しいと言われたが丁重にお断りした。
 譲れる物でもないし、譲る気もない。

「ユナさん。俺、もっと練習して、ユナさんみたいに人を守れる騎士になるよ」

 わたしは騎士じゃないよ。

「今回のことで大事なことを教わった気がします。ありがとうございました」

 頭を下げるティモル。
 みんなお礼を言ってから出ていく。

「あら、みんな礼儀正しい子たちね」
「どうなっているんだ」

 先生が1人、首を傾げている。
 過去のみんなを知らないわたしには先生の疑問に答えることはできない。

「それじゃ、先生。わたしはユナちゃんから話を聞きますから、先生はそちらの冒険者の話を窺ってください」

 先生は頷く。
 そうか、わたしはまだ帰れないんだね。

「それでは、そちらのクマのお嬢さんの方はお願いしますね」

 わたしとエレローラさんは先生と少し離れた位置に移動する。
 先生はジェイドさんとメルさんから話を聞くらしい。

「ユナちゃん、お疲れ様。それでどうだった?」
「疲れたよ 馬車の旅がこんなに疲れるとは思わなかったよ」

 改めて、くまゆるとくまきゅうに感謝をしたくなる。
 そして、エレローラさんに実習訓練のことを報告する。

黒虎ブラックタイガーね」
「あまり、あの子たちを責めないでね。黒虎ブラックタイガーはわたしの責任だから」

 わたしの探知魔法の確認ミスだ。

「でも、ゴブリン討伐ね」
「減点対象?」
「自分たちの立場を考えたら減点ね。でも、見捨てる人よりは良いと思うわよ。将来、この国を背負って行く子たちだから。安易に見捨てる選択肢を選んで欲しくないからね。助けられる命があれば助ける。でも、無理なら諦める行動も大事。だから、今回のことは、あの子たちには良い勉強になったと思うわ」

 人材を育てるのはどこの世界も大変だね。
 考え方は人それぞれだし。
 まして、この世界の人は親の仕事を引き継ぐ場合が多い。それが、良いことなのか悪いことなのかは分からない。
 でも、この世界の子供たちは親の背中を見て、小さいときから、それになろうと努力している。
 シアもマリクスも。でも、シアにはエレローラさんみたいになって欲しくないね。
 目の前のいるエレローラさんを見る。

「今回はユナちゃんには感謝しないといけないわね。あの子たちを守ってくれてありがとうね」
「いいよ、仕事だから。でも、次回はお断りするからね」
「それは残念ね」

 あまり、残念そうには見えない。
 エレローラさんに報告も終わったので帰ることにする。

「ユナちゃん、ちょっと待って」

 エレローラさんに呼び止められる。

「はい、これ」

 エレローラさんがアイテム袋から本を取り出す。
 受け取ると、それはわたしがフローラ様に描いた絵本、『クマさんと少女』だった。
 ちゃんと、製本されている。

「うん?」

 気になる箇所を見つけた。
 作者名『クマ』
 あっているけど、どうしてクマ?
 わたしが作者名のところを見ていると、

「実名よりもいいでしょう」

 そうだけど、なにか微妙だ。

「なんなら、次に製本するときはユナちゃんの名前にしておく?」
「いいえ、クマでいいです」

 わたしの名前が広まるよりはいい。

「たしか、ユナちゃん。絵本10冊ずつでよかったのよね」

 残りの絵本を取り出す。
 一巻、二巻が10冊ずつテーブルの上に乗せられる。

「絵本は中々、好評よ。国中に売ればいいのに」
「今のところ、そのつもりはないので」

 もし、国中に広まって、続きを描けと言われても面倒だし。

「もし、販売をしたかったら言ってね。いつでも、大々的に販売してあげるから」
「丁重にお断りさせてもらいます」
「あら、そう。残念ね。でも、続編は楽しみにしているからね。タイトルは『クマさんとエレローラ』とかどう?」
「どうして、エレローラさんの名前があるんですか?」
「だって、クマさんはユナちゃんでしょう。それなら、わたしの出番があってもいいでしょう」
「あったとしても、ノアですよ。エレローラさんが出るとしたら、クマさんを騙す、敵役ですね」
「騙すなんて、酷いわね。でも、娘の登場する絵本は読みたいわね」
「しばらくは描きませんよ」
「それじゃ、しばらく経ったら描いてくれるってことね。そのときはノアもわたしも可愛く描いてね」

 エレローラさんの言葉は無視して、絵本をクマボックスに仕舞う。
 今度、孤児院に置きに行こう。少しは子供たちの文字の勉強になるかな。
 実習訓練の報告もエレローラさんの用事も終わったので、今度こそ学園をでる。
 タイミングが悪かったのか、学生の帰宅時間と重なってしまった。

「あのクマって、こないだの」「あれが噂のクマ」「カワイイ」「クマが歩いてる」「あの服、どこに売っているのかしら」「エレローラ様とどんな関係なんだろう」「抱きしめたい」

 と前回、学園に来たときと同じような反応が起きている。
 気にしてもしょうがないので、無視をして学園をでる。王都で買い物と思ったけど、今日はクリモニアに帰ることにする。
 王都にはいつでも来ることはできる。
 王都にあるクマの転移門からクリモニアのクマハウスに移動する。
 久しぶりの我が家、約10日分の疲れを取るために、お風呂に入り、久しぶりに白クマに着替える。食事も適当に済ませてベッドの上にダイブする。
 やっぱり、寝るならベッドの上だね。
 数日間、くまゆるたちに構ってあげてなかったので、スキンシップを取るために子熊のくまゆるとくまきゅうをベッドの上に喚び出す。しばらくの間、シアとカトレアに取られていたからね。
 撫でたり、抱きしめたりして、2匹を構ってあげる。
 2匹と遊んでいると段々と睡魔が襲ってくる。
 スキンシップを終えたわたしは、久しぶりに左右にくまゆるとくまきゅうに挟まれながら夢の中に落ちていった。

これで、実習訓練編終了。
次回、アンズがやってくる話になるのかな?(脳内プロットは毎日変化しますw)
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