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キラメキDaughters(ドーターズ)  作者: 千賢光太郎
6話 由良と愛良がシミ病にかかり、アスレチックで二人を治す
21/55

由良に愛良が病気を患ってしまった

語り手は明日谷大和君、変身をする前の一人称は「俺」で、人前だと「僕」に、「キラナデシコ」に化けると「私」に代わります。

ではきらめく世界をお楽しみください。本日もお読みいただき、ありがとうございます。あなたに良きできごとが起こりますよう、心からお祈りします。

「大和くぅ~ん」


午後11時、俺が布団に入って寝ようとしたら、由良がテレビから現れた。彼女の顔が青い。


「由良、顔色悪いよ。大丈夫?」


「う、うん。私は大和君を連れていくだけだから」


由良が俺の手を弱々しく握り、アルムの世界へ導く。恵麻さんの家にすぐ着いた。空は桃から赤に変わる(この世界は時間について、色で決まっている)


「マナカナ、頼んだ」


由良はベッドに寝込んだ。愛良は寝ている。顔は白く、時々震えている。


「今日は私たちが大和さんを支えます」


「僕らの足手まといになるなよ」


マナテが姉を叱る。


「マナテ、由良と愛良は風邪をひいたの?」


「シミ病にかかってしまって」


シミ病、初めて聞く言葉だ。


「キラメキの力を食べて体力と元気を奪い、無気力にさせる病です。そちらの社会だと『うつ』に近いです。このままだと大和様の人生に大きな影響を与えます」


由良が「ううううう」低い声を上げている。目はうつろで、いつもの笑顔がない。


「マナテ、薬を飲めば、二人は元に戻るの?」


「ええ。問題は薬がある場所です」


「おお、大和、いたかい」


恵麻さんが自室の扉を開けた。彼女の後ろに乙女惑星スピカにて助けたお姫様がいらっしゃる。

(※ 2話参照)


「大和様、お久しぶりです」


士鶴姫(しずるひめ)


髪の毛を一つに束ね、白衣を身にまとい、首に赤いマフラー、腰に黄色い帯を巻き、黒いスパッツにニーソックスをお召しになっている。


――え、どうして敬語を使っているのって。彼女はお姫様だから、敬語をつけようと考えたんだ。俺より年下だからつける必要はないかなあと思ったんだけど、つけたほうがよいかい? うん、わかった。じゃあ敬語を使う場合、姫様が述べた、動いたと思って。もし敬語の使い方を間違えていたら、あんたに謝っておくよ。


「大和様、あの、大和君でよいでしょうか」


「かまいませんよ、姫様」


「私も士鶴でかまいませんよ、大和さん」


「じゃ、じゃあ士鶴ちゃんで」


顔がほころびなさった。


「大和君、愛良ちゃんに由良ちゃんが病に倒れたとわかり、助けたくてこちらに訪れました。私たちが今から行く惑星はアルデバランという、気性と負けん気が強い惑星です。シミ病に打ち勝つ薬はエンタメンゼン、8つの白い花弁におしべとめしべを見ると、にっこり微笑んでいるのです。調べたところによると、エンタ山の頂上付近に生えているといわれます」


どんな場所かわからないけれど、とりあえずうなずく。マナテがカナセの手を強く握った。


「大和君、今からナデシコに姿を変えてください。エンタ山は単なる山ではありません。試練の山です。大和君のまま行くと、この世で消えてしまうから」


「消えるって、一つ尋ねていいですか、士鶴ちゃん。僕がこの世界で死んだら、どうなるの?」


「すべての人が悲しみ、人生が狂ってしまいます。あなたの死は寿命でない限り、歯車すべてが狂ってしまう。大和君だけではありません。地球という惑星に住むすべての生き物は、寿命でない死はひずみが生じます。環境や心理が大きく狂います。人や場所によって、災いの前触れにもなるのです。ナデシコになれば、苦しむことはあれど、まず死にません。たとえ無数の針で刺されようとも、体の機能を失っても、簡単に満足した体で生まれ変わるのです」


姫様は目を閉じ、微笑みなさる。笑顔で怖い発言を言える人って、何を考えているかわからない怖さがあるよね。




■ 惑星アルデバラン


挿絵(By みてみん)


俺はキラナデシコに変身し、私となった。恵麻さんが作った扉を使って、惑星アルデバランに向かった。


「おおおおおお」


いきなり野太い声が体全体に響く。マナテとカナセは私に抱き着いた。


「これは風ですね」


うごおおおおおおおおお。

風の音というより、誰かが戦って雄たけびを上げているようにしか聞こえない。あたりを見回すと、白と灰色に染まった岩、そこからはみ出る草たち、先端が尖っている崖、その隙間に巣を作るハゲ鳥、曇りが厚いけれど、隙間を見つけては光を差し込む太陽と、何とか光を得ようとする黄色い花たち、ひょっこり丸い山。


「おうおう、お前らは何者でい?」


後ろを向くと、血の気の良い豚が二本足で立っていた。右手には革袋、左手には宝石袋を持ち、白いターバンを巻き、こげ茶のベストを羽織り、青色のジーパンを履いている。豚に真珠どころかジーンズも似合いそう。豚は賢かったはず。


「私たちはエンタメンゼンを採取すべく、アルムの世界からやってきました」


姫が頭をお下げなさる。


「アルム、知らねえなあ。要は、お前らは宇宙から来た宇宙人ってことだな」


しゃべる豚から見れば、私たちは確かに宇宙人だ。私が知っている宇宙人は灰色で体が細くて、サイレントヒル<コナミ>というゲームの中でぶっ飛んだエンディングに表れる奴だ。


「そう思っていただいて構いません。エンタ山がどこにあるか、教えていただきたいのです」


「エンタ山なら、あのまん丸い山だ。エンタメンゼンはその頂上にあるぞ。あそこはアスレチックな仕掛けがたくさんあるでよ、お前ら宇宙人が簡単に登れるとは思えない。体はひょろっとしているし、プロの登山家ですら制覇できないと言うもんだ」


「登れた人はいらっしゃるのですか?」


姫の問に豚はうなずく。


「ナデシコが飛べば、取れない草じゃないな。何しろナデシコは宇宙人だもんな」


カナセが白い歯を見せて笑う。


「飛ぶだあ、宇宙人はあそこを飛べるのか。すごいなあ。でも気を付けてくれ、あの山は標高1000メートルで簡単に登れるように見えて、上ろうとすると、邪魔が入ってくる。あの山は登ろうとするやつに試練を与えている」


おおおおおおお、うおおおおおお。


「登れるものなら登ってみやがれだとよ、あの山」


「あの山の声がわかるのですか?」


マナテが尋ねると、豚は首を縦に振った。


「宇宙人さんよ、この惑星(ほし)は『あきらめたら終わり』なんだよ。エンタ山だって同じ気持ちだ。あの山に気持ちの上で負けたら終わりだ。俺もあんたたち宇宙人を助けてやりたいけれど、仕事があるんだ。だから負けないでくれ。そういうやつほど、俺もあの山も歓迎するのだから」


「は、はい、おじさん、ありがとうございます」


私たちは頭を下げた。


「もう二度と会うこともないだろうけれど、名前を聞かせてくれ。俺はオマエガイウナってんだ」


「お前が言うな?」


「そう、オマエガイウナだ。宇宙人よ、名前を教えてくれ」


私たちは一人ずつ名乗った。


「ナデシコ、カナセ、マナテ、シズル。俺は宇宙人のお前たちと俺たちの言語で普通に話ができて、とても驚いている。命を狙うような悪い奴でもなさそうだし。がんばって登ってくれ」


「情報、ありがとうございます」


私たちは丸い山を目指し、走った。こんな山、ちょろいと思いたい。

お読みいただきありがとうございます。次回はどのような展開になるか。楽しみにしておいて下さい。

評価や感想を入れていただき、ブックマーク(お気に入り保存)登録していただき、まことに感謝します。

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