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黒姫の魔導書 作者:てんてん

第1章 言の葉は紙一重

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第05話 すれ違う二人

 昼食にはまだ早い時間なので、食堂にはそれほど人がいない。レネは厨房のカウンターに近づくと作り置きされている品物のうち一番安いものを迷わず選び、そこに居た職員に声をかけた。

 それは作った料理の余りを使って作る、日替わり定食ならぬ一品替わり料理である。いわゆる料理人達が食べる『まかない』だ。もちろんメニューもあるので注文もできるが、レネはいつも作り置きのものにしている。

 そして出て来た料理と引き換えに代金を支払う。後はこのまま席に持って行って食べるだけである。

『この時間でも食べに来る人はいるんだな』

「時間通りに行動する人だけじゃないからだよ。もしかしたら朝食の人もいるかもね」

 レネはこぼさないように静かに歩き、隅の空いている席に座るとスプーンで食べ始める。今回はスープ用の残骸を再度煮出して作った二番出汁を使って、野菜くずと肉の欠片を煮たものだった。

 テーブルに着地した杜人はそのごった煮を見て意外とおいしそうだと思ったが、自分では味が分からないのでレネに聞いてみる。

『おいしいか?』

「うん。元々貴族用に作った余りで作っているから見た目はともかく味は良いよ。あまり量を食べないからこれひとつで足りるし。男の人は足りないらしくておかわりしているのを見たことがあるよ」

 見た目はそんなに良くないが味は良いので、レネはいつも一番安いこれを食べていた。

『やはり食べ物がおいしいと気力も上がるからな。ここの責任者はよく分かっている。……仕切りのあっちは何だ?』

「貴族用の席だよ。最初は一緒だったけれど、騒ぎが起こりやすいから分けたんだって聞いてる。一応建前上は学院に所属する者に身分差はないことになっているけれど、本気で信じている人はいないんじゃないかな」

 食堂の内部は中央に低い仕切りがあり、入口にて左右に分かれる構造になっている。内装に差は無いし、厨房も一緒なので出てくる料理も一緒だ。だからどちらで食べても良いのだが、いわゆる暗黙の了解で別れて食べることになっている。

 ちなみに給仕は居ないので、貴族であろうと自分で持って来て片付ける決まりになっている。嫌なら外で食べろというのがこの食堂の方針であった。そのため気位の高い貴族は食堂には寄り付かないのだが、食堂の料理は絶品なため虜になった貴族は言い訳したり開き直ったりして食べていたりする。

 笑顔でおいしそうに食べるレネの説明を聞いた杜人は、視線を動かすと首を傾げた。

『なら、こちらに歩いてくるあのお嬢様は平民なのか?』

「え?」

 杜人が指差す先にはどことなく身のこなしが上品に見える、長い銀色の髪を肩口で二つに結わえた少女がいた。そしてその少女は硬質な笑みを浮かべながらレネが居る場所にゆっくりと歩いてきていた。

「うわ……エルセリアだ。……貴族だよ」

 レネは一瞬顔を向けてすぐに戻すと嫌そうに呟き、顔を僅かにしかめながら小声で教えた。

 レネを可愛らしいと表現するならば、エルセリアは硬質で怜悧な美人という言葉がしっくりくる容姿である。杜人の見立てでは歳はレネとそう変わらないし、体格も同程度。しかし、レネとの違いもあった。

 胸元の徽章と赤いリボンは上級魔法使いの証であるし、着ている制服はレネと同じ見た目なのに質感がレネのものより上質に見えた。そしてなによりレネには無い淡い希望があった。

『やはり食べ物で変化するのか? ……ああ、無限の地平も良いものだからあまり気にするな。俺はどちらも好きだぞ?』

 最初は何を言われたか分からなかったレネだったが、杜人の視線が顔より少し下に向いているのに気が付いて顔を赤らめながら片手で胸を押さえ、もう片方の手の指で杜人を弾こうとした。しかし、杜人の身体は通り過ぎるだけで全く触れることができないので、歯を噛み締めながら悔しそうにしている。

『そんなことよりもう来るぞ。怪しい人物になりたくなければ、もう少し注意して行動したほうが良いと思う』

 レネは誰のせいだと思いながらも、そのとおりなので何事もなかったかのように澄ました顔になる。そして下を向き、接近に気が付かない振りをした。通り過ぎてほしいという願いは当然叶わず、エルセリアはテーブルを挟んだレネの正面で立ち止まると、たった今レネの存在に気が付いたように声をかけてきた。

「あらレネ、奇遇ですね。あなたも食事をしていたの?」

『……どうも観察眼が鈍ったらしい。一直線に向かってきたと思ったが、実際は偶然だったとは。しかもこちらは平民用のはずではなかったのだろうか』

 硬質な声で語られる内容には、たっぷりと皮肉が込められているように杜人には感じられた。

 レネが居る場所は部屋の隅であり、周囲にはレネとエルセリアしかいない。呆れた声で言う杜人に賛成しながら、レネは硬めの表情で顔をあげる。エルセリアはレネと同じ紫色の瞳を細めて見つめていた。

「いつもそれですね。たまには別のものも食べてみてはどうですか?」

「私はこれが好きなの」

『安くてうまい。味も変化する。選ばない理由は量程度か?』

 硬い声で答えるレネに杜人は頷いて賛成し、エルセリアを観察する。レネはそれ以降答えずに黙々と食べ続けている。エルセリアはそんなレネの様子に少しだけ戸惑ったような表情になったが、気を取り直したようで笑みを浮かべると再度声をかけてきた。

「そう言えば今度の試験のことを聞きました。大変ですね」

「そうだね」

『うん?』

 会話をする気が無いレネは返事を一言で済ませる。レネからすれば今更なことであり、嫌味にしか聞こえない。杜人はと言えば笑顔でいうことでは無いと思ったが、同時に漠然としたものだが印象とのずれを感じたため首を傾げた。

「特待生で無くなれば何かと大変でしょう? 困ったことがありましたら相談にのりますよ」

「……ごちそうさまでした。絶対に合格するから大丈夫。心配してくれてありがとう」

『うむむ? ……おっと』

 レネはエルセリアを見ずに返事をし、立ち上がると食器を持って早足でその場を後にする。観察していた杜人は顎に手を当てて考えていたが、慌ててレネの後を追った。そして後ろを見ると、エルセリアは選択間違いをしてしまったような落ち込んだ顔でレネの背中を見つめていた。





 レネが食器を返却し廊下に出るまで杜人は観察を行い、人が居なくなったところで声をかけた。

『いつもああなのか?』

「そう! 私を見つけると来なくて良いのに寄ってきて嫌味を言うの!」

 レネは目を吊り上げて強い口調で答えた。

「同じ時期に入学してきて、同じ歳なのにあっちはもう上級に合格している将来有望な若手貴族。同世代で同じ紫瞳だから、きっと落ちこぼれた私を馬鹿にして喜んでいるんだよ!」

 過去のことも思い出して徐々に声が大きくなってきているが、本人は気が付いていない。

「私が初級魔法しか使えないって分かったときに何て言ったと思う!? 嘲笑いながら『私が居るから大丈夫』だよ! その時の私には魔法しか無かったのに!!」

『声が大きい。落ち着け』

 手を振り回して激高するレネに、杜人は冷静な声で注意した。それで我に返ったレネは恥ずかしそうに顔を赤らめると、周囲をそっと見渡して誰も居ないことを確認してほっと息をはいた。

「とにかく、顔も見たくない」

 すねるように呟いてレネは沈黙した。

 少なくともそれまではとても仲の良い友達と思っていた。だからこそ騙されたという思いも大きい。かといってレネにとっては唯一まともに話ができる同世代の友達だったため、大嫌いとばっさり切り捨てることもできない。そのため他の人からなら気にしない程度のほんの少しのやり取りでも、すぐに心がささくれ立つのだ。

『ふうむ? これも一応ツンデレの範囲内か? なかなか奥が深いな』

「ツン? 何?」

 杜人は不思議そうに聞いてきたレネに何でもないと手を振って、エルセリアを観察した結果から原因を推測する。杜人にはエルセリアは言葉に不自由している典型的な人に思えた。言いたいことと逆のことを言うほうではなく、言ったことが誤解されるような言いかたと態度を無意識にとってしまう人だ。

 レネはもう悪い方向にしか受け止めないので仕方がないし、杜人も声だけ聞けば嫌味に聞こえた。しかし、初めて見聞きした杜人は先入観が無いことと言葉が自分に向けられたわけではないので、嫌な気分よりも疑問のほうが先に立った。そして内容だけ抜き出せばエルセリアはそんなに酷いことを言ったようには思わなかったため、その本質を感じ取ることができたのだ。

『さて、腹ごしらえも済んだことだし、さっそく練習に取り掛かるぞ。これから試験までは特訓三昧だ。やるぞ!』

「おー!」

 杜人は話題転換も兼ねてわざと明るい声で宣言し、レネものりのりにそれに答える。とりあえず目先の問題を片付けるために、エルセリアについては両者とも棚上げにすることにしたのだった。





 事務局に寄って鍵を借り実習室に入る。部屋なのだからそんなに広くないと思っていたら、杜人の感覚では広めの体育館ほどの大きさがあった。天井も高く、これで部屋というのは無理があるのではと思ってしまった。

『広いな……』

「そうかな? 色々することを考えると、これでも狭いと思うよ。屋内だからできることも限られるし。だからみんな屋外の訓練場を使うんだよね」

 杜人は説明を聞いて、そんなものかと感覚の違いに戸惑いながらも頷く。しかし、この広さならそれなりのことができるので、予定よりも規模を大きくしようかと練習内容を考えていた。

「それで、これが試験用の的を生成する魔法具だよ。これは手作業で設置するものだけど、本番は遠隔操作で動くものを使うから再生成のときは見ていて楽しいんだよね」

 レネは用具入れから顔ほどもある円盤状の道具を取り出して杜人に見せた。そして試験用に設定して床に置き、起動させてから後ろに下がる。すると少ししてから円盤が光りはじめ、白い長方形の板が上部に生成された。

「これが的ね。結構大きくて高さもあるから後ろが見えなくなるでしょ。それにほら、私の手の平より厚みがあるんだよ」

 横に来て手の平をぺたりと当てるが、指を広げてやっと届く程度の厚みがあった。上部もレネの身長に頭を二つほど重ねたところにあり、横幅も大人が片手を伸ばした程度はある。レネが表面を拳で軽く叩くと、石のような硬い音が跳ね返ってきた。

「このとおり頑丈なんだよね。氷針だとなんとか浅く刺さる程度かな。これが上級になると、刺さらないで砕けてしまう強度になるんだよ」

 レネは前の試験を思い出してため息をつく。前回は氷針を何本も突き刺すことはできたが、壊すことはできなかった。中には焦って構築が甘くなり、刺さらないで砕けたものもあった。

『標準で刺さる程度なら大丈夫だ。さて、準備しようか』

「うん、分かった」

 レネが的を設置して戻ってきたところで、さっそく杜人は使う魔法の解説に入る。

『では行くぞ』

 開始の声と同時に、空中に小さな光点が浮かび上がる。そして今度はそこから線が手を動かす程度の速度でのびてきて、枝分かれしながら魔法陣を形作っていく。最後は完成した魔法陣が輝きだし、そこから氷でできた細長い物体がゆっくりと出現した。

『まず、これが標準的な氷針だな』

 杜人が制御して出現させた氷針は、先は尖り太さは親指ほどで長さは腕程度あった。針と言うより短めの槍である。レネはそれを見ながら、発動したのに消えない魔法陣といっこうに飛び出す様子がない氷針に首を傾げる。

「どうやって維持しているの?」

 通常の魔法は発動する前までに構成を決めて魔法陣を構築し使用する。そのため発動してからはすぐに効果が現れるので、このように待機させることができない。もちろんそのように術式を組み込めば別だが、そうすると余計な術式が入ることによる不整合が発生する可能性がある。

 そして今回の魔法にはそのような術式は組み込まれていないので、このように待機させることは無理なはずなのだ。そのためレネは新しい魔法の使い方を見て、瞳を輝かせて聞いてきた。

『単にレネから魔力を吸い上げて供給し続けているだけだ。威力を増すために魔力を供給し続けると発動しない特性を利用した方法だな。魔導書の基本技能と思ってくれ。おそらくレネだけではやることが多すぎて完全再現は無理だと思うぞ?』

 もしかしたらできるかもしれないが、今はそれを練習するときではない。そのため杜人はばっさりと切り捨てた。レネはといえば、無理と言われて残念そうに笑っていた。

 この方法も膨大な魔力を持つレネだから可能であって、普通はすぐに魔力が枯渇してしまう。穴が開いた入れ物に水をつぎ足しているようなものなので、できてもレネだけでは限度があるのだ。

『それよりよく見ていろよ。まず形状を変える……こんな感じだ』

 杜人が指差すと浮いていた氷針が少しずつ変形し始め、レネが見たことも無い形になった。またもや知らない現象にレネは同じように杜人を見た。

『他の魔導書は知らないが、俺はこの状態の魔法に干渉することができる。そうだな、硬い物質ではなく、柔らかい物質で作って都度合うように直している感じかな。それよりどうだ?』

 杜人はそんなレネに苦笑しながら説明し、なるほどと頷いてからレネは再度変化した氷針を観察する。

「尖っていたほうが刺さりやすいと思うけど……」

 新たに現れた形状は、手の平程度の長さがある円筒形の先に短い円錐をつけ、その先端を丸めたものだ。体積は変わっていないので太さは増加している。

『かなり速い速度で射出するから尖らせる必要がないんだ。その分制御が楽になる。次にこれを回転させる』

「わあ……」

 杜人は回転が分かりやすいように螺旋の溝を付けると、ゆっくりと回転させた。レネは動いているように見える模様に目を輝かせていた。

『基本的にはこれを対象に向けて発射する。回転させると軌道が安定するから狙いをつけやすくなるんだ。確か速度に対して最適な回転数があったはずだから、そこは実地で調整してくれ』

 杜人が作ったものは、銃の弾丸を模したものだ。針の形状ではどうしても刺さることが主眼となるため貫通力はあっても破壊力は小さい。その欠点を補うための下準備だ。

 なるほどと頷くレネを見ながら、ここまでは良さそうだと次の説明に入る。

『ここまでのことをしても構成比率は変わらないから、実際の威力は元と大差ないと思われる。元なら突き刺さるところを打撃に変えたようなものだからな。だからここで工夫をする』

 実際は射出速度が速くなれば威力も大きくなるのだが、今回は物理の授業ではないのでわざと説明をしない。そのため杜人はすぐに弾丸を圧縮し始める。そして半分ほど圧縮したところで止めた。

『これは構成要素を減らして小さくしたのではなく、内側に構成要素を圧縮して大きさを変えたんだ。だから消費する魔力は圧縮する手間の分増えることになる。そしてこの状態にしてから圧縮を解除する』

 杜人は氷針を遠くに離してから圧縮を解除する。すると氷針は急激に膨張し、小さな音と共に爆発して氷の破片を撒き散らしながら崩壊した。

「ええっ、何で?」

 レネは声をあげて驚く。氷針の魔法には爆発するような術式は含まれていない。きちんと理解しているがゆえに今の現象は理解できなかった。

『ふふふ、どうだ凄いだろう!』

 杜人は結果が分かっていたかのように鼻高々に言うが、心の中ではうまくいって良かったと安堵していた。なんといっても対象は魔法であり、与えられた知識から考え付いた方法がそのまま適用されるかは未知のことだったからだ。ちなみに圧縮と解放は風船を握りしめたら破裂した経験と、圧力による気体と液体の変化、ガスボンベの爆発などから発想したものだ。

 失敗した場合は、貫通力に特化した氷針を複数発動させて一点集中するつもりだった。こちらは対象が氷針より硬い場合に失敗する可能性が跳ね上がると予想していたため、成功してほっとしていた。

『解説すると、強引に内側に圧縮していた力が無くなったことにより閉じ込められた構成魔力が解放される。すると元に戻ろうとする力が外側に向かって急激に働き、その時には形状を保つ力は働いていないから、爆発したように一気に広がるというわけだ。あれだ、弾力があるものを押すとそれなりに抵抗があるしすぐに元に戻るだろう? あれをものすごく強烈にしたようなものだと思ってくれ。今のところ俺ではあの程度が限度だが、レネならもっと圧縮できると思う。氷針は俺が補助できるから魔力は一時的に増大が可能だ。後は中級程度の破壊力を持たせられれば、攻撃の試験は対応できる』

 実際は圧縮することによって形態が保てなくなり、安定するために一時的に物質から情報を持った魔力に再変換され、解放されるとその勢いと共に周囲に広がりながら情報に基づいて再変換が行われた結果だ。杜人は魔導書の知識によってなんとなく理解しているが、理論を考えても仕方が無いので簡単に説明していた。

「そっか、じゃあ頑張って小さくするね」

 レネは希望が明確に見えたことで喜んで練習しようとしたが、杜人はそれに待ったをかけた。

『もうひとつの操作の試験に使うほうも説明しておくから待て。こちらは手伝えないから大変だぞ』

「ん……、さっきの氷針で的を壊せば良くないかな。狙いやすい分距離も伸びるよね? 運用をひとつに絞ったほうが確実だと思うけど」

 爆発を見たレネは十分壊せると思ったので、そう提案した。

『そのとおりなんだが、操作の試験には明確な時間制限がある。まだ一度に蓄積できる魔力量が少ないから、おそらく一発に全部使うことになるだろう。予想だが、少数なら制限時間に間に合うが、多く撃たなければならなくなった場合は間に合わないと思われる。的の配置が分からない現時点で絞るのは危険だ。それに氷針はあくまで点の攻撃だから、狙いを定めるのにも時間がかかる。緊張したり時間が無いからと焦ったりすると当たらなくなるぞ』

「う……。そ、そう言われればそうだね。絞って手も足も出なくなったら困るね」

 嬉しさのあまり時間について完全に忘れていたレネは、ごまかすように照れ笑いを浮かべた。

 レネは魔力の省力化に対する制御は長けているが、発動するまでの時間はそれなりにかかる。そのため時間に追われたときに失敗しない自信が無かった。

『ま、何にしても余裕は持っておかないと、うまくいくものもいかなくなるものだからな。こういう時こそあえて余裕を持たせるのが成功の秘訣なのだ!』

「なるほどぉー」

 杜人はそんなレネの前で無意味に回転すると、片手をあげながら自信を持って断言する。レネは感心しながら笑顔で頷いている。杜人はその様子を確認し、気持ちが落ち込んでいないことにほっと息をはいた。

 落ち込んだ状態で練習しても成果はあがらない。時間がない現在、嘘でも良いから気持ちを高めていかなければならないのだ。

(レネは何か良い情報を聞くと、都合の悪い情報を忘れる傾向があるな。それと思い込みも激しいような気がする。多分あの子のことも誤解しているな。いつか仲直りできる日が来れば良いが……)

 杜人は心の在り方について深く聞く気は無かったが、思わずレネの将来を本気で心配してしまった。露天で痛い目に遭ったおかげで杜人と出会えたわけだが、それは単なる偶然であり人生は非情なことのほうが多いのだ。

 それを分かっている杜人は『俺がやらねば誰がやる』と、気持ちを奮い立たせるために静かに気合いを入れたのであった。
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