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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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088:農場見学準備

「ザァクゥスゥ、どういうことかな?」
「あ・・・いや・・・その」
「ばっか、そこまで話しちゃったらもう隠せないって」
ティーナの指摘に3人は冷たい目でザクスを見ていた。

毎年、卒業生を見送った後から新入生が入るまでに【春の○○会】が開催されていた。
冒険科と騎士科は【春の討伐会】として、農業科と薬学科は【春の野摘み会】と称して数日間旅に出て春を探すらしい。
魔法科は年中やる事が同じなので、基本的に討伐会の方に参加する人が多かった。
春になったら冒険に出ても良いと言われていたし、ようやく忙しい日が終わりそうだったので楽しみにしていた。

ところが何時になったら冒険に出ても良いかもはぐらかされていたし、学園で予定をするからそれまで待っていて欲しいとサリアル教授から言われていたのだ。
「教授会が開かれたらしくてね。そこでまだ早いという結論が出て、ラース村の依頼時に討伐会は開かれる事になったんだ」
「それにしても、一言くらいあっても・・・」
「え?でも、言ったら絶対行くって言うでしょ」
「勿論」
「俺とティーナは同じ所に行って討伐はしたんだけど、他の場所に行った大多数の生徒は模擬訓練で終わったんだぜ」
「そっかぁ・・・、それでも参加したかったなぁ」

そんな事を呟いているとナナから呼び出しがかかった、ガレリアがお客さんを連れてきたそうだ。
「ナナさん、ありがとう。ところで来客って誰かな?」
「ローレル教授です、何やらご相談があるそうで」
「すぐ行くのでお茶をお願いできますか?みんなはここにいるか、ザクスが案内してもらえるかな?」
「「「「「「はーい」」」」」」

応接に到着するとガレリアとローレル教授に挨拶をする。
「リュージ君、忙しい所悪いね」
「いえ、今日突然時間が出来てしまったので」
「それについては学園を代表して謝罪するよ、言える事と言えない事があるので詳しく聞かないで欲しいな」
「はい、とりあえず問題がなければ大丈夫です」
「解決出来たらきちんと言うから待ってて欲しい。今日は別件できたんだけど、ちょっと相談に乗ってもらえるかな?」

ローレル教授からのお願いとは、ルオンをGR農場の直接関与から撤退させて自領の経営をさせたいと当主から相談を受けたのだ。勿論貴族家として今まで通り支援はするし、レンを手伝いに出しても良いと正式コメントを受け取っているらしい。
それに伴ってルオンの為にも、ごにょごにょをごにょごにょと・・・、良い機会だしルオンの為になるならと素直に了承した。

「そうだ、先ほどローラさまより、あの施設の使用の打診を受けたのですが」
「リュージ君、このGR農場は君の物だよ。思う通りにやったらいい」
「ガレリア先生、結構資金を出したって聞いたのですが・・・」
「はぁ・・・ナナですね。経理が経営者の足を引っ張ってどうするのですか。そこは笑顔で大丈夫ですと言えるぐらいでないと。仕方がないですね、ただ心配する事はないですよ。私は負ける戦いはしない主義ですからね」
「リュージ君、そのうち私も招待してもらえないかな?学園として見学させてくれるなら報酬も出せるよ」
「はい、ローレル教授。とりあえずローラさまの話が終わってから考えたいと思います」
「宜しく頼むよ」

食堂へ戻るとみんなは、まったりお茶を飲みながら話に花が咲いていた。
「ローラ、ガレリア先生にも許可取れたよ」
「え・・・ありがとうございます。それではお母様へ連絡・・・」
「ああ、それは私の方から伝えておこう」
「ガレリア先生ありがとうございます」

ガレリアがローレル教授とGR農場を出るとすぐにキョロキョロする。
通行人の一人と目が合うと、ゆっくり近づいてくる通行人に一言告げる。
「まとまって行動してくれるから楽ですね」
「リュージ君に頼りすぎるのも危険だからね、すぐ近くに戦える子がいて良かったよ」

午後はお茶をしながらゆっくり過ごした、ナナの報告を聞きながら備品の追加発注をして今週は農場に通うことを伝えた。
商品開発部の人達と料理の打ち合わせをして、こっそり瓶詰めで作って欲しいものをレシピ付でお願いをした。
夕方まで農場を楽しんだら、ソラを送ってからみんなで寮へ戻った。
「おかえりなさいませ皆様。ローラ、お母様より言伝を預かっております」
それぞれ一旦着替える為自室に戻り、ローラはその場で確認をしていた。

「リュージさん、早速ですがお母様よりGR農場の見学のお願いが届きました」
「希望日と人数はわかるかな?出来れば参加者名簿があるといいんだけど」
「定期的にお母様が開催している【貴族家の妻の集まり】があるのです、そこに王家から王妃とローラが参加し今回は東部の8家からそれぞれ一人ずつ参加するようです」
「10名だね。後、農場を見学するならそれぞれ動ける格好と履物がいるかな?その辺は大丈夫かな?」
「きちんと伝えます、後出来れば昼食を取れれば・・・」
「その辺は期待してていいよ、ギルドから来た商品開発部の人達のやる気が凄くてね。レイクさんにも伝えるから大丈夫だよ」
「後は何か気をつける事ありますか?」
「うーん、そうだ今回はまだ農場が始まったばかりで丁寧な対応が出来そうもないので見学会の費用は無料でいいよ。昼食会の費用だけ考えて貰えるかな?会計はそれぞれ個別会計でいこうかと思う」
「具体的な金額はわかりますか?」
「常識的な昼食代くらいって感じで伝えといてくれれば良いよ」

「リュージ、私達に手伝える事ないかな?」
「ザクスには当日居て欲しいかな。レンは・・・あ、そうだ。あの侍女さんや他に給仕が出来る人に手伝って貰えないかな?まだ始まったばかりだから作法とかがちょっと心配で」
「「わかった」」
「折角だから俺達も行っていいかな?」
「ヴァイスもティーナもお願い出来るかな?別室でだけど美味しい食事は用意しとくよ」
「おう、リュージ。それは俺達に対する当て付けか?」
「料理長―、毎日美味しい食事ありがとうございます」
「「「「「ありがとうございます」」」」」
「素直で宜しい」

翌日は朝からGR農場で作業をしていた。
後で連絡が来たみたいだけど、三日後の10時頃に予約が入ったようだ。
見学コースの案内、食事とお茶や仕入れの手配などを次々と指示していくとガレリアがやってきた。
予約の報告をするとやはり何件か迷惑をかけられた男爵家や注意すべき貴族家の指摘があった。
「リュージ君、個別に断る事はしなくていですよ」
「はい、では黒板にでも残しておきますね。お客様が通らない場所にでも置けば大丈夫でしょ」
「その辺はお任せするよ、レイク氏に聞いたけど出荷は順調のようだね」
「しばらくは軌道に乗せる事だけ考えたいと思います」
「その辺の商人よりよっぽど商売人だね」

真正面から通り道の両脇に何か植えようと、スコップを突き立てて収納を探ってみる。
「うーん、多分これが良いと思うんだけど・・・。苗木が同じのが10株あるね」
大き目の苗木を植える場所の前に置いて、一箇所目の穴を掘ろうとしたら4名の若い子がやってきた。
「社長、何をやってるんですか。もっとドーンと偉そうにふんぞり返ってアゴで指示を出してください」
「社長は止めて・・・。というかアゴで指示を出すって、そんな失礼な真似は出来ないよ」
「では・・・なんと呼んだら?」
「とりあえずリュージって名前がついてたら何でも良いよ」
「リュージ様」
「ダメ」
「何でも良いって言ったじゃないですか」
「じゃあリュージさんでお願いします」
「はい。リュージさん、この位置にこれを植えればいいんですね」
「うん。お願い出来るかな」
「はい、ではみんな頑張ろう」

みんなの仕事を取るのは良くないと思い、その場で見ながら自分にしか出来ない事をやることにした。
工作作業にあかるい人に助手に入ってもらって作業に入っていく。
まずは中くらいの樽を準備して貰ってそれに細工をしていく、助手の人にはこういう物を作りたいと地面に図面を引いていった。
簡単に言えば家庭用のガスボンベの交換をする為のキャリアを作成して、そこに樽を取り付け皮のベルトで固定し移動式散水装置を作ろうと思ったのだ。
車輪については専門職に任せた方が良いと言うので、商業ギルドから派遣してもらい作成をお願いした。
樽の方にはアクアマリンの宝石を埋め込んで、大容量の水を撒けるように付与を行った。

「水量の調整は・・・、後でやるかな」
「ここでやると水浸しになりそうですね」
「穴を掘って貰ってるからね、じゃああっちを手伝おうか」
「はい、どんどんやりたい事をおっしゃってください。私達みんなもっともっともーっと頑張りたいんです」
「そろそろ別のエリアの植え付けをしますので忙しくなりますよ」
「「「「「はい!」」」」」
いつの間にか直立不動で聞いていた穴掘り部隊、「早くしないと日が暮れるぞー」と言うと又ハイペースな穴掘りに入っていた。
「早すぎるとバテるぞー」という言葉には何故か反応しない。

午後には車軸職人がやってきて簡単に仕上げていった、空の樽を積んで押したり引いたりしてみたけど問題はなかった。
動作確認をしたら最初水量が多くてその場でグルグル回ってしまったけど、一旦水を止め車軸職人にバランスを調整してもらった。
45度の角度で噴水のように出た水は、先が霧状になって広範囲に広がり降り注いだ。
魔道具を使える人が数名いるので、効率的にこの農場が管理出来るように出来る限りサポート出来れば良いなと思う。


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