046:準備完了
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孤児院前で立ち話をしているとシスターが来る、そのシスターを注意する為に別のシスターが来て立ち話をする。
次のシスターが来た時点で「協会でお茶でも飲みませんか?」と遠まわしに連行された。
協会の中に入りお茶を出されると、焼き芋を買いにきた3人が揃い改めて御礼を言われた。
普段は世界や自然への祝福が多く、「清貧を旨としながらも老人・子供を愛しみ記念となる日にはきちんと祝いなさい」と信託はこのような内容が年に数回ある程度だった。
「それがあんなにはっきりとした神託は数年ぶりです」と興奮していた。
この協会のトップはシスターダイアナと言い、修道女が着る服が似合うシルバーブロンドでまだ幼さが残る16歳だった。
まだ若いが高位の神聖魔法が使え、先日サティス家に来た司祭の縁者で貴族の出のようだ。
王都の協会は何箇所かあり、また協会の統括管理本部もあるようで自分の事を報告してあるらしい。
また、ラース村のマザーにお世話になったことも知っていて知らない間に情報が流れていた。
「あの・・・マザーって王都でも有名な方なんですか?」
「勿論です、王様の妹ですから。若くして一般の方と恋に落ち地位を捨てて結婚、1男1女を儲けましたが旦那さまと男の子を亡くしその際に神託を受けたとか。巡礼の旅に出てたどり着いたのがラース村と聞いております」
「それは随分波乱に満ちていますね、ラース村では暖かく優しく迎えていただきました」
協会関係者の中には憧れの存在らしく聖母と称える人までいるらしい。
通常ある一定以上の寄付を行った人は本部に報告を行い、協会からのお礼としてはアミュレットやロザリオなど祝福された小物などが贈られることがある。また、お礼も特にいらない又は返しきれない金額の場合は協会への信用という形で色々便宜を図ってもらえるようだ。その他にも聖水・武器への祝福・回復魔法・司祭の派遣もあり、表向きには存在しないとされているが退魔師の派遣も行っているようだった。学園でも協会の司祭が瞑想や神聖魔法・神学の講義を行っている。
銀貨45枚分の寄付を日本円換算すると約4万5千円程度。
高いと言えば高いけど実際銀貨5枚で売る算段をしていて5枚で売っただけの話だった。
王国の依頼でもあり、この事を正直に告げると協会側としては今回の寄付はとても嬉しいものだったと語る。
女神さまが求めるものを売ってもらえる存在が焼き芋を提供しただけではなく寄付までしてくれた事に感動を覚えたようだ。
「是非何かお礼をしたいのですが・・・」
小物を身につけるのは正直ピンとこないし純粋な前衛でもないので武器への祝福をされても困る。
「聖水って何に使うかわからないしなぁ・・・、そうだ最近瞑想の講義を受けて少し感じ方が変わったのですが見て頂けますか?」
「では、私が見ましょう。集中する為にも少人数の方がいいですね」二人に頷くと退席していった。
そして瞑想してみてくださいと促される。
最後にやった瞑想を思い出す。
出だしは考えることを考えない・・・などと無になろうと考えていたけど、今までの出会いや女神さまへの感謝をしながらラース村から今までの事を思い返していると胸のあたりが暖かくなった。
ダイアナはゆっくり後ろに立つと肩に手を乗せ「目を閉じたままゆっくり深呼吸をしてください」と小さい声で呟く。
吸って・・・吐いて・・・、吸って・・・吐いて・・・。
「解りますか?女神さまがあなたを祝福している事を・・・。感じますか?あなたがこの空間を浄化している事を・・・」
《New:神聖性魔法を取得しました》
《New:スペル 浄化を覚えました》
《New:スペル 聖光を覚えました》
「やはりあなたも女神さまの祝福を受けた方だったのですね」
「よくわかりません・・・」
「出来れば私達と一緒に世の中を良くしていってくれると嬉しいのですが、まずは再び出会えた事を喜びたいと思います」
「しばらくはこの国を拠点として生活していくつもりです。もし何か自分に出来る事があったら遠慮なく言ってください」
「ありがとうございます、この先もあなたに女神さまの祝福があらんことを」
お茶を飲み干すと1週間は山岳訓練で王都を留守にする事を話し、道中の無事を祈ってもらい協会を後にした。
寮に戻るとレンとティーナが慌てていた。また、執事と侍女と料理長も大慌てだった。
朝一番に出した招待状が無事王女さまに届き返事が来たようだった。
王女の予定を言付かった侍従と打ち合わせをして水曜日の午後からパーティーを開催することに決まった。
山岳訓練チームは蚊帳の外である。
自室に戻ると魔力鉢を取り出す、そして種苗セットをガサゴソと漁ってみる。
今回のお風呂でメインはラベンダーの石鹸だけど何か邪魔にならなくてサプライズ的なものがあったら良いと思う。
12月の第1日曜になったことだし、ちょっと早いけどアレ目当てで紛れているか探してみた。
魔力鉢に土を敷き詰め種を植えてコップ一杯の水をかける。
魔力を流し発芽から成長促進をかけていくとオフイスとかにある観葉植物のように1mくらいの高さに成長する。
本当は植え替えが必要なのは確実なんだけど、季節が季節なのでこのまま魔力を流し縦長に成長させていく。
果実が見え始めると肥大化の魔法をかけていった。
冬のお風呂とかけて3号機と解くその心は・・・、やっぱり【ゆず湯】あったまるよねー。
大量にゆずを作り魔法により肥大化させてザボンっぽくしてしまった・・・しかも、大量に収穫してしまった・・・。
残った樹は土をつけたまま引き抜き収納に仕舞った、すると同時にノックが聞こえる。
「リュージ、ちょっと相談が・・・え?なになに?また新しいもの作ったの?」
「あぁ丁度良かった、お風呂パーティーのサプライズとして用意したんだよ」
「へぇぇ、あそうだ。この間の生姜あまってたら貰えないかなと思って・・・」
「大量に作ったからいいよ、実家のお兄さんにも届けてあげたらどうかな?」
「ありがと、それでこの黄色いのお風呂にどう使うの?」
「これは湯船に浮かべるんだよ。昔教わったんだけど12月にこれを入れたお風呂に入ってカボチャを食べると、疲れが取れたり病気に対して力を蓄えたりできるんだって」
「へぇぇぇ、あ・・・もしあまったらでいいんだけど」
「いっぱい作ったから実家に持っていくといいよ」
とても喜んでいたので生姜湯のレシピも羊皮紙に書いてあげて生姜とゆずを大量に持たせてあげた。
また、残りのゆずは今度のパーティーで使い切って欲しいとお願いした。
カボチャはないの?と聞かれたけど、あまり多くの作物を広めても仕方がないので「また今度ね」と濁しておいた。
翌日の午前は冒険科の講義を受ける。
お昼を取りサリアル教授に出立の挨拶をすると「十分注意をして励みなさい」と激励された。
何やら含みがありそうな感じだったけど講師陣が隠しているようだったので深く追求する必要もないかなと思う。
ヴァイスと合流すると山岳訓練に参加する部隊の荷物チェックをしているところだった。
そこにザクスが何人か連れてポーション類の納品に入る。
「よーし、みんな。一度荷物を全部確認できるように並べといてくれ。リュージ君、君はちょっとこちらに」と顧問から別室にくるように言われる。
「まずは参加してくれてありがとう。サリアル教授との実践訓練とか大変だったね。色々なハプニング等もあると思うけどなるべく魔法で解決しないで欲しい。勿論君の収納には期待してるんだけどね」と高さ60cmくらいの木箱2箱をポンポンと叩いている。
「これいけるかい?もし容量がなんとかなるならこっちも」と仕舞うようにお願いされる。
「ただ、君の身が危険になるような事案については迷わず魔法を使ってくれ。サリアル教授から十分言われているし、ローレル教授からもくれぐれも頼むと話をうけている」
容量はまだまだ大丈夫なので水瓶と今日納品されたポーションの収納もお願いされた。
みんなの所に戻ると顧問が「班長どうだ?」と確認してくる。
「問題ありません」と班長が言うと顧問が一通り見てニヤリと笑った。
「では、荷物を戻して担いでみるように。リュージ君とザクス君は手ぶらでも構わないが必要最低限のものだけは頼む」と指示が飛ぶ。「出立は明日の早になる、馬車に乗り込み一日目は野営で二日目に到着し案内人と合流した後情報収集。山岳訓練の工程は二日を予定しており戻った後に会議をする。何か質問はあるか?」何度もシミュレーションしていた騎士科が主導なので質問も出てこない。
明日に野営があるらしいので聞いてみた所、今回は冒険者ギルドから格安で護衛を引き受けてくれるグループがあったとのこと。
道中は馬車の中で寝ていてもよく、野営地は旅の宿というか屋根があるだけの場所で、護衛が泊まりその間だけ野営を騎士科で引き受ける契約らしい。この護衛契約も新人ポーター制度を使っているのでベテランと新人の混合のようだった。
「では、これより山岳訓練を開始する。今回の訓練が終わるまで私の事を隊長と呼ぶように」顧問が声を張る。
「「「「はい、隊長」」」」「そこの二人、返事は」自分とザクスに問いかけてくる。
「「はい、隊長」」
「これは訓練だが遊び半分で考えているなら参加されても迷惑だ、お前達やる気はあるのか?」
「「「「「はい、隊長」」」」」
「指揮系統が狂うと被害は拡大する、お前達は十分今回の訓練に向けて検討したはずだ。私が命令を出したら私の出した命令が優先だ、それ以外は班長が出す指示を守るように。わかったか?」
「「「「「はい、隊長」」」」」
「では、明日遅れることがないように。荷物を持って門番のところに集合だ。本日は整理運動が終わったものから帰宅するように」
「「「「「はい、隊長」」」」」
いよいよ明日、山岳訓練が開始になる。