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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
25/92

025:模擬戦闘

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8500PVを超えました。
昨日と一昨日はお茶を飲みながらほぼ試食・試飲会場と化していたクロウベーカリー前はかなりの繁盛だった。
「経費がまだ残っているみたいなので必要なものがあったら揃えちゃいましょう」とコロニッドさんが言い、ボウルや木ベラの他に泡だて器を図に描いて説明する。麺棒なんかもあるか聞いたら簡単に作れそうだから揃えちゃいましょうとちゃっかり王宮の調理場用でも同じものを発注したようだった。

「リュージさ~ん、依頼完了を確認できましたので報酬のお支払いになります。別室で説明になりますが終わりましたら一声掛けてください」と受付に言われ応接室に入った。

応接には既にラザーさん・コロニッドさん・ギルマスが座っていた。
「まぁ、かけてくれや」とギルマスの言葉に失礼しますと席に座る。
「まずは依頼完了ありがとうございます」と言うラザーさんに「おつかれさまでした」と言うコロニッドさん。
「では、確定しているものから順を追って説明するぞ」とギルマスが続ける。

今回の指名依頼達成による評価により冒険者ランクがFからEランクにあがった。
これはコツコツやれば年齢問わず上がるランクなので安心して欲しいとのこと。
続けてラース芋の命名は依頼を受けた時点で申請は通っていたようだった。
ラース村からの報告の後、すぐに文官の中からラース村の代官候補を選んだとのこと。
因みに選ばれた文官は村での実績により戻った際には大幅な昇進を約束されたようだった。
そして初日に王国騎士と文官と商業ギルドの王国担当者がラース村へ専属売買契約を結ぶ為に旅立っている。
契約の後は現地を確認し冬越しの支援物資を多めに送る事を確約した。

「さて、報酬だが2段階で用意されている」と言うギルマスに「はい」と言いながら少し頭を傾げてみる。
「今回の依頼は恩返しも含まれていると聞いたがラース村への報酬とお前への報酬どっちを選ぶ?」と聞くギルマスに「ラース村でお願いします」と即答した。
「では、こっちの目録だな」と羊皮紙を取り出す。
○冬越しの為の炭・塩の他に希望する物資を馬車1台分かそれに相当する量を送るものとする(要相談)
○専門職の人員を送るものとする(要相談)
○大きな穀物倉庫(蔵)の設置
「そこで、相談なんだが何か希望はあるか?」とギルマスが聞いてくる。

「うーん、まず暖かくなってからでいいので養鶏が出来る環境があると良いと思います」
「養鶏か・・・では、経験のある人材を見繕って予算を組んでみよう」と言うラザーさん。
「後は肉等の保存食かな?」と言うと「それは厳しいでしょうリュージ君」と言うコロニッドさん。
「塩漬けの他にも燻製やハムやソーセージ等の加工肉にすれば少しはもちませんか?」と聞くと三人は「どんなもんだ?」と聞いてくる。
これはすぐには答えられないし現在の肉の保管・流通を見ないとなんとも言えない事を話すと今後の課題になった。
穀物倉庫は新しい代官さんと村長で決めるといいかなと言うとそのまま進める話を聞いた。

「では、続けて2段階目の報酬について説明するぞ」
○金貨10枚
○2年間(翌々年3月いっぱいまで)の学園への特待生待遇(寮と三食付き)
○格安の庭付きの屋敷(賃貸:金貨一枚/月間)
○文官への雇用(農業関係の仕事で主任以上の役職手当あり)
○Bランク以上の冒険者の一年間ポーター(荷物持ち)報酬はギルド支給の一定金額

「この中からいずれかを選んでくれ。一つ条件をつけるとしたら冒険者として行動するなら学園でやっている基礎講座を10コマ受けてもらう事になる」と言うギルマスに「この学園ってどんな所ですか?」と質問する。

先の戦により国内の主に男性の危機意識は高まっていた。
村から王都に出る若者の多くは騎士や冒険者を目指し、冒険者ギルドに登録をして小さな仕事からコツコツランクを上げていった。所があるランクを境にモンスターとの戦いを要求される。村の力自慢や騎士の次男以降の子弟などはかろうじて戦闘でも生き残れたが一時期多くの死者を出した事があった。
その為、元々あった学園と別途あった騎士への養成場などまとめられるものを一箇所に集中し、また生き方としての農業などの拡充を目的とした学園が再編成された。
騎士科・冒険科・魔法科・薬学科・農業科の五つを主軸とするアルファール学園。
学園は最長3年間学べて飛び級があり、卒業式は3月に予定しているが卒業資格には2段階あるという。
2段階目の卒業者には王国への推薦があり、各貴族への引き抜きもあるそうだ。
「リュージに受けて欲しい安全講習もギルドの他にここでもやっているぞ」とギルマスが説明する。

「ああ、説明が長くなって申し訳ない。ラザーさんとコロニッドさんはとりあえず先程の決まった事を進めてもらえないか」とギルマスが言うと【冒険者講習その1】がこれからやるけど見ていくか?と聞いてくる。
お願いしますと言うとラザーさんが後でコロニッドを寄越すので打ち合わせをしてくれと言うラザーさん。
午後に焼き芋を買ってもらった料理店でお昼をとると言うとそこが待ち合わせの場所になった。

「これより【冒険者講習その1】を始める」と言う教官さん。
ギルドの裏には大きな広場と囲いがあり、白線でドッチボールをするくらいの広さを確保していた。
講習を受けるのは自分を含めて4名で、ギルマスが視察しているだけあって教官は軽く緊張しているようだった。
まず自己紹介をしてもらおうと言う教官に次々答えていく3名。
一人だけ剣による戦闘経験があったようだったが他はみんな素人だった。
「冒険者のリュージです、土と水の魔法を少しだけ使えます」と言うと「おおぉ」と関心の声があがった。

「では、まずは初級編のゴブリン退治でもしてみるか」と教官が言い希望者を募る。
剣を修行していた男性推定年齢17~8位が手を上げた。
「では、武器を選び開始線の所に立ってくれ」と言うと木剣を取り位置につく。
そして二人の【応援団がよく持つような大きさの旗】を持った男性が入ってきて外周に立つ。
その後に10~12歳位の男の子4名が木剣や棍棒を持ち、棍棒を持った子が開始線に立ち3名がその後ろに体育座りで待機する。

「この子達は学園で修行をしている冒険者や騎士子弟または特待生だ。ゴブリンには若干背丈が違うと思うがこの子達はもう既に討伐を果たしている」と言うと講習者2名が息を飲んだ。
「手加減はいらないんですね」と言う男性にこちらが危険と判断した場合は旗を持った二名のギルド職員が割り込むから大丈夫だと告げる。

「では、準備が良ければ始めるぞ。真面目にやるように」と言うと教官が下がった。
開始の掛け声と共に緊張感が走った。
「どうした、かかってこないのか」と剣を正眼に構える男性。
「ぎぎぎ、ぎゃぎゃ」とほぼ棒読みで鳴くと棍棒を片手に持ちゆっくり距離を取りながら横に動く男の子。
「俺の強さにびびってるのか」と挑発する男性は仮称ゴブリンに向かい剣でしっかり目標にいれている。
「ぎゃーぎゃー」と棒読みを続けると後ろの剣を持った男の子がゆっくり立ち上がる。
「おいおいおい、一対一じゃないのか」と教官を睨む男性。
「余所見してると危ないぞ」とギルマスが応援する。
相手が複数になる前にと棍棒持ちの仮称ゴブリンに鋭い斬激で切りかかるが、元々距離をとっていたので後ろに下がり簡単に回避する。
「ぎーぎー、ぎゃぎゃ」と合流した剣持ち仮称ゴブリンが棒読みで鳴くと後ろの2名の男の子がゆっくり立ち上がった。

どちらか一人でも倒そうと焦る男性に回避に専念していた棍棒持ちが「ぎゃ」と叫ぶと90度の位置に剣持ちが立つ。攻めあぐねる男性に追い討ちをかけるように合流する2名、そして数の暴力により一撃を受けた。
「それまで、よく頑張ったな」と労いをかける教官に「一対一なら負けなかった」と言う男性。
次の二人は一対一でやらせてもらったようだが、へっぴり腰をした木剣の攻撃が当たるはずもなく、飛び掛られて押さえ込まれていた。

「順番が来たがやってみるか」と言うギルマスに挑戦しますと意欲を見せた。
収納からディーワン(木の棒のみ)を出し一対一でお願いしますと告げる。
今度は木剣を持った男の子が相手をしてくれるようだった。
「魔法使いと戦うなんて滅多に経験できないぞ、勉強させて貰いなさい」と余計な事を言う教官。
ゴブリンとの模擬戦闘訓練じゃなかったのかと少し不安になった。

「では、開始」教官の掛け声に緊張が走る。
「ぎゃぎゃぎゃ」とロールプレイを忘れていない男の子。
杖の上部に魔力を集中するとエナジーボールと呟き杖の先を男の子に向ける。
飛んでいった魔法は大きく目標をはずし飛んでいく。
「ぎゃっぎゃ」と嘲笑う感じでじわじわ近づく男の子。
すぐに切り替えサンドボールと呟き杖の先を男の子に向ける。
今度は狙いをはずさず男の子に向かったが木剣を一閃させるとドサドサドサっと質量が合わない土が落ちた。
一瞬何が起きたの?とびっくりする男の子。

土の固まりを避けてじっくり近寄る男の子にこちらもジワジワさがっていく。
魔力を大きく注ぎ込み特大のウォータボールを作ろうと精神を集中し魔力を練っていく。
旗をもった二名は一瞬互いにアイコンタクトをしていつでも動ける体勢を取る。
じっくり近づく男の子も今度は斬れないと感じたようだった。

大きな声でウォータボールと叫ぶと男の子に両手でOKポーズをした位の大きさの水球が飛んでいく。
二人のギルド職員が旗を使って包み込むように割り込み男の子が両手を交差して防御姿勢を取るとバッシャーン・・・ずぶ濡れの三名が教官を見る。

「あははははは、そんな水球じゃカエルも溺れないぞ」とギルマスが言うと「それまで」と教官の掛け声が聞こえた。自分にはゴブリンを倒せる力がなかったことを痛感した。
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