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閑話 3人の勇者

今日は閑話を2話更新です。

『勇者召喚』

 妹が最近ハマっているラノベによく出てくる言葉だった。

 俺も暇潰しに読ませてもらったが、くだらない中身だった。

 どこにでもいる普通の学生やサラリーマンが異世界に召喚されてチート能力もらって勇者認定。

 そして魔王を倒す。

 その過程でハーレムを築くと。

 鼻で笑っちゃうくらいに何だそれって中身だった。

 だけど、現在俺は、いや俺たちは、その勇者召喚で異世界に呼び出されていた。

 俺、斉藤櫂斗(さいとうかいと)と同じ高校に通う大野花音(おおのかのん)吉田莉緒(よしだりお)の3人と誰だかわからんリーマンが1人。

 俺と花音と莉緒は2年になって同じクラスになって割と仲良くなった。

 帰る方向も同じだから一緒に帰ったりしてて、今日も3人で帰ってたんだ。

 いつも通る道の横断歩道だった。

 赤信号で3人でしゃべりながら青に変わるのを待っていた。

 後ろにスーツ姿のリーマンがいたかもしれない。

 そしたら急に俺たちの周りが光りだして……。

 気付いたら、ここにいた。

「勇者様ッ」

 おとぎ話の姫みたいなドレス姿の金髪碧眼の美少女が微笑みながらそう言った。

 俺たちの立っている足元には円形に書かれた魔法陣があってその周りをローブを着た男女が囲む。

 部屋の周りには鎧姿の騎士たちが立ち並んでいた。

 妹から借りて読んだラノベの挿絵そのままだった。

「これって、勇者召喚、なのか?…………」

 驚き過ぎて呆然としてる間に事は進んでいった。

 やっぱりこれは勇者召喚の儀式であったこと。

 そして、呼び出したのは3人だったはずだが、ここには4人存在すること。

 直ちにステータスを確認する必要があるからと、ステータスの鑑定が執り行われることになった。

 それで、何が何だかわからないうちに鑑定の魔道具とやらで調べられた。



 【 名 前 】 カイト・サイトウ

 【 年 齢 】 17

 【 職 業 】 異世界からやって来た勇者

 【 レベル 】 1

 【 体 力 】 800

 【 魔 力 】 769

 【 攻撃力 】 772

 【 防御力 】 759

 【 俊敏性 】 746

 【 スキル 】 鑑定  アイテムボックス  聖剣術  火魔法 

         水魔法  土魔法  風魔法  光魔法  雷魔法

         氷魔法



 これが調べられた結果出た俺のステータスだ。

 俺は勇者だった。

 花音と莉緒も似たようなステータスで勇者だった。

 ステータス見たら、なんかマジで俺って勇者なんだって実感してきた。

 妹から借りたラノベを馬鹿にしてたけど、実際に勇者ってなって勇者様って呼ばれるのは悪くないかも。

 みんなが勇者様だといって恭しくしてくるから、ちょっといい気分だ。

 花音と莉緒もまんざらじゃないみたいだし。

 リーマンだけ職業が『巻き込まれた異世界人』になってた。

 ステータスも俺たちよりかなり低いみたいだし、スキルも召喚勇者には必ず付いている鑑定とアイテムボックスだけ。

 あの人は勇者じゃないのに鑑定とアイテムボックスが付いてるってことは、このスキルは元々異世界から召喚された者には付いてくるものなんだろう。

 しかもだ、固有スキルってのがあるみたいなんだけどそれが『ネットスーパー』だ。

 何それって感じだぜ。

 ここの人たちは勇者として俺たちを召喚したんだから、欲しいのは強いスキルを持ったやつなんだろう。

 それなのに『ネットスーパー』って、超笑える。

 とりあえずステータスの確認ができたってことで、王様と謁見することになった。

 何か魔王がこの国に侵攻してきて大変なことになってるってことで勇者召喚をしたみたいだ。

 それで、俺たち勇者に何とかこの国を助けてほしいということだった。

 一番偉い王様に頼まれるってのもいいね。

 俺はやってもいいかなって思ってるけど、花音と莉緒はどうだろう?

「どうする?」

 花音と莉緒に聞いてみる。

「うーん、どうするって言われても他に行くところないし、日本に帰る方法も魔王が知ってるようだから、あたしはいいと思うよ」

「私も花音ちゃんに同意。それに、私たちには力があるんでしょ? それなら苦しんでいる人を助けてあげたい」

 俺たち3人が承諾すると、王も王妃も姫も国の重臣たちも喜んでくれた。

 ますます自分が勇者なんだなって実感してテンション上がるぜ。

 でも、リーマンだけは違ったみたいだ。

「私は勇者ではありませんし、こちらにいては皆さまにご迷惑をかけるだけです。それはとても心苦しいので、職に就くまでの2、3か月の間暮らしていけるお金を頂ければ自分で何とかしていこうと思います」 

 とか言ってた。

 でも、実際その方がいいかもしれない。

 あのステータスじゃ俺たちには付いてこれないだろう。

 あれじゃ戦うの無理そうだし。

 リーマンが立ち去って、俺と花音と莉緒のこれからの話があった。

「まずは力を付けることが先決です」

 騎士団長がそう言う。

「そこでまずは冒険者に登録していただき、レベルアップを図っていただくこととします」

 そして紹介されたのが騎士団の中でも精鋭だという3人だ。

 いやね、驚いたよ。

 俺だって背は180センチあるし、顔もジャニーズっぽいって言われて悪くはない。

 花音も釣り目がちな目が気が強そうな印象を受けるけど、くっきりした目鼻立ちで長い黒髪が似合うスレンダー美人だ。

 莉緒だって背は少し小さめだけど、今人気のアイドルに似てるって噂になるくらい可愛い。

 だからけっこうモテた自覚はあったんだけど、この3人は別格だ。

「レナード・ヒュームと申します。以後お見知りおきを」

 レナードは俺よりも高い身長に、サラサラの金髪に翠の目をした正に王子様って感じのイケメンだ。

 莉緒がレナードさんを顔を赤くしながら凝視している。

 こりゃ惚れたな。

「アーロン・バレーラと申す。勇者様方よろしくお願いします」

 アーロンも俺より高い身長で、燃えるような赤髪に茶色い目ををしたワイルド系のイケメン。

 あ、こいつ花音にウィンクしやがった。

 でも花音もまんざらじゃないみたいだな。

「ルイーゼ・ヴィンクラーと申します。勇者様方、よろしくお願いいたします」

 紅一点の騎士ルイーゼ。

 ルイーゼは、何と言っていいか……。

 一瞬見惚れた。

 俺が大好きだった憧れのハリウッド女優にそっくりだったからだ。

 165センチくらいの身長でほっそりしてるのに出るとこは出てる金髪碧眼の超美人だ。

 肩で切り揃えられた黄金色の髪に碧く澄んだ目にキリッとした顔立ちがスクリーンで見たハリウッド女優そのままだった。

 すぐ近く、手の届くところに彼女がいると思うとドキドキする。

 まずは冒険者に登録するみたいだけど、楽しくなりそうだぜ。






ありがちのハニートラップですね。

一緒に召喚された勇者はどうなったのか?という方が多かったので書いてみました。

閑話で少しずつ3人の勇者がどうなってるのかも書いていけたらと思います。

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― 新着の感想 ―
まだまだ世間知らずの子供だからねぇ… ネットスーパーの価値もワカランチンだし。
レイセヘル王国のお姫様の話をして欲しいです。 国は亡んだけど彼女だけは生きさせてください。
[一言] はい、この3人は都合の良い道具コース確定な!
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