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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連(旧 妖精壱号)
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第三話 乗合馬車で王都を脱出 

 朝食を食べた後に宿を出る。
 そして乗合馬車の停留所に行き料金と出発時間を確認した。
 料金は金貨1枚で、国境沿いの街までは4日ほどかかるらしい。
 出発時間まではまだ時間があるから、その間に4日分の食料と何かあった場合の武器を調達しておくことにした。
 人前でおいそれとネットスーパーを使うのはもちろんマズいし、アイテムボックスもレアスキルだった場合騒ぎになる可能性があるから使わない方がいいだろう。
 俺は水の入った革袋、干し肉、黒パンと少し大きめのナイフを購入した。
 これで準備はOKだ。
 あとは乗合馬車に乗ってこの王都を離れるだけだ。



 乗合馬車の客は俺のほかに、行商人のおっさんと若夫婦とその子供2人の4人家族と30代半ばくらいの女性がいた。
 それから乗合馬車の護衛に冒険者が4人ついている。
 乗合馬車が発車してから、隣に座っていた行商人のおっさんと少し話してみた。
 「キールスへは何を売りに行くんですか?」
 当たり障りのない話から入っていく。
 「あぁ、とある伝手から石鹸を入手しましてね。キールスにある知り合いの商会に買ってもらおうと思いまして」
 おお、石鹸か。この世界にもあるんだな。
 で、よくよく聞いてみると、石鹸はあるにはあるが、やはり貴族が使うものらしい。
 貴族に売り渡されるときには、石鹸1個で銀貨3枚くらいにはなるそうだ。
 それとなくアイテムボックスの話を出してみたら、貴族や大商会だとそういうスキル持ちを雇っているということが分かった。
 アイテムボックスのスキル持ちは1000人に1人くらいいると言われているが、その大きさは魔力に依存するらしく、そこそこの大きさのアイテムボックスを持っていないと貴族や大商会に雇われることはないということだった。
 「いくら小さくても今私の持っている背負い子の3倍くらいは入るそうですから、私からしてみればアイテムボックスのスキル持ちってだけで羨ましいですがな」
 行商人のおっさんはそう言って笑った。
 なるほど、アイテムボックスのスキル持ちはいなくはないんだな。
 アイテムボックスのスキル持ちだが容量が少ないって設定にすれば、使っても問題ないかもしれないな。
 「商人になるなら鑑定のスキルがあれば大成功できますね」
 アイテムボックスについて聞き出せたから、鑑定のこともそれとなく話に出してみる。
 「あ~それは商人なら誰でも夢に見ますな。しかしながら、鑑定スキルを持ってるのは御伽噺に出てくる異世界から召喚された勇者くらいなものです。鑑定スキルこそ勇者ではなく商人が持つべきスキルだと思うのですがね。鑑定スキル、商売やっているものの夢ですなぁ。鑑定スキルはないとしても、鑑定の魔道具がもっと普及していたら良かったのですがね。あれも古代遺跡から稀にでるものですからねぇ、目が飛び出るほど高い物ですから、国かギルドでもないと所持できませんよ。」
 おお、良かった。鑑定スキルは召喚勇者だけが持つスキルなのか。
 それに鑑定の魔道具とやらもあるんだな。
 でも、これは超高額で個人で所有できるようなものでもなさそうだ。
 古代遺跡、要は難易度の高いダンジョンのような場所から稀に出るものみたいだから数も少ないようだしな。
 聞いてみてよかったぜ。
 これで俺が鑑定されるリスクはほとんどないことが分かった。
 そんな話をしながらいろいろと話していくうちに、行商人のおっさんも隣国へ行こうとしているのが分かった。
 おっさんがここだけの話と小声で打ち明けてきた。
 「この国もいろいろとキナ臭くなってますからな。家族がいるとそうもいきませんが、幸い私は独り身ですから早めにこの国を出ようと思いましてな。噂ですと、近く国境も封鎖されることになるかもしれませんから」
 国境封鎖だと?マジでヤバいなこの国。
 さっさと見切りつけて動いてよかったわ。
 キールズへの道中、ゴブリンや狼の魔物が出たが(やっぱりと言うか剣と魔法のファンタジー世界だから魔物いやがりました)護衛の冒険者が危なげなく討伐し、乗合馬車は順調に進んでいった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 キールズへ到着後、行商人のおっさんから聞いていた隣国へ向かう乗合馬車の停留所に向かった。
 「嘘だろ……」
 停留場には『乗合馬車運航停止中』という看板がかかっていた。
 停止中ってどういうことだよ?
 行商人のおっさんが近く国境が封鎖されるかもって言ってたから、それか?
 でも、国境封鎖なんてことになってたら、街もこんなに落ち着いてないよな?
 とりあえず情報収集だ。
 腹ごしらえも兼ねていろんな国に行き来してるだろう冒険者がたくさん集まっている食事処に入った。
 カウンター席に座りちょうど隣にいた2人組の冒険者に声をかけた。
 「ちょっといいですか?」
 「おう、何か用か?」
 「実はついさっきこの街に着いたばかりなので、いろいろとお話を聞きたいと思いまして……」
 俺はすかさず店員を呼んで2人にエールを頼んだ。
 すると、冒険者は「わかってるじゃねぇか」と上機嫌にいろいろ話をしてくれた。
 「なるほど。乗合馬車の停止は国外への人口流出を防ぐために」
 「ああ。人口が減ればその分兵士の数も税収も減るからな。今はそれくらいで済んでいるが、そのうち国境封鎖になるかもな。この国は魔族とも争ってるってのに、マルベール王国とも戦争をおっぱじめるつもりらしい」
 「そうそう、戦争になるのも時間の問題だな」
 酒が入ったせいか冒険者2人は饒舌に語ってくれた。
 魔族の国はこの国の北側に面しており、マルベール王国はこの国の西側に面した国だ。
 俺が行こうとしてるのは、南東に面するフェーネン王国だ。
 「俺たちも早めにこの国からおさらばするつもりだぜ」
 「俺たちゃ戦争やるよりも魔物狩ってた方が性に合うからなぁ。あんたも早めにこの国から出た方がいいぞ」
 早くこの国を出たいのは山々なんだけど、道中で魔物が出ても一般人よりちょっと強いくらいの俺じゃどうしようもないからな。
 これは困ったと思っていたが、冒険者たちを見てふと思った。
 俺が冒険者ギルドに依頼すればいいんじゃないかとな。
 金はかかるだろうが、ここでケチってもしょうがない。
 国境封鎖される前に、とにかくこの国を出るのが先決だ。
 俺は冒険者ギルドに隣国までの護衛依頼を出すことに決めた。




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