第二百八十四話 エルランドさんの取り分
更新が遅くなってすみません(汗)
実を言いますと、PCが調子悪かったもので……。
ネットに繋がったり繋がらなかったり不安定でした。電源を確認したり、設定を確認しても直らなくて、最終的にPC自体が原因かなと。
2か月くらい前にコーヒーをちょっとこぼしてしまったことがあったんですが、それ以降も問題なくネットに繋がっていたので安心していたのですが、結局ダメになってしまいました。
それで急いでPCを購入して、やっと届いた次第です。
前のPCも1年半くらいしか使ってなかったのに……(泣)
みなさんもお気を付けください。
宿に戻ると、腹を空かせたフェルとドラちゃんとスイが待ち受けていた。
「……腹が減ったってことね」
『うむ』
『早く飯な』
『あるじー、お腹空いたー』
本当なら、さっきもらった買取代金のエルランドさんの分をさっさと分けちゃいたいんだけど、そうもしてられないようだ。
しょうがない、飯の後だな。
ジーッとこちらを見ているフェルとドラちゃんとスイ。
早く飯ーってプレッシャーが……。
朝に炊いた飯も残ってるから、やっぱり丼ものだな。
ワンパターンというなかれ。
簡単で腹にたまって美味いっていったら丼ものが1番だと思うんだ。
昨日捌いたレッドボアの肉を使うとして、何がいいかな…………、よし、あれにしよう。
コチュジャンが味の決め手のピリ辛丼だ。
ネットスーパーで野菜とコチュジャンを買ったら、すぐに調理開始だ。
ニンジンは3センチくらいの短冊切りにして、ニラは3センチくらいのぶつ切りに。
もやしは軽く水洗いをしておく。
俺は、ひげ根は面倒だし取らない派だ。
栄養もあるって話だしね。
スープとかひげ根が気になるようなもんのときは、時間があれば取るって感じかな。
熱したフライパンに油をひいて、レッドボアの薄切り肉を炒めていく。
サッと肉の色が変わったところで、ニンジンともやしを加えてしんなりするまで炒めたら最後ににらを投入。
そのあとは、醤油・酒・コチュジャン・砂糖・おろしニンニク・ゴマ油を混ぜたタレを回しかけて炒め合わせる。
あとはそれを、フェル、ドラちゃん、スイ専用の器に盛った飯の上にたっぷり載せてパラリと白ゴマを振りかけたらピリ辛丼の完成だ。
「はい、出来たよ」
フェルたちの前に出してやると、待ってましたとばかりに飛び付いた。
『む、これはピリッと辛くて美味いな。食が進むぞ』
『ああ。俺は辛いのけっこう好きだから、これ好きだぞ』
『辛いけどこれならスイでも食べられるよー。おいしー!』
スイでも食えるように、コチュジャンは気持ち少なめにしたんだけど、それが良かったな。
俺とエルランドさんは普通の大きさの丼で。
「はい、エルランドさんもどうぞ」
「これはまた食欲をそそる香りですね~」
その言葉どおり、エルランドさんもガッツリ頬張っている。
それじゃ俺も食いますか。
うん、簡単だけどいつもどおり美味いな。
コチュジャンのピリッとした辛味がたまらんね。
「この辛味が白い“米”というのによく合って、いつもより食が進みますよ」
うん、アナタの食が進むのはいつもよりじゃなくいつものことだよね。
エルランドさんの食器はフェルたち並の大きさでいいんじゃないかと思うこのごろ。
ピリッとした辛味が食を進めるのか、フェルとドラちゃんとスイ、ついでにエルランドさんは何度もおかわりしていたよ。
ピリ辛丼を腹いっぱい食った後の食後の休憩。
俺とエルランドさんはほうじ茶、フェルたちはサイダーを飲みながらホッと一息ついていた。
「あ、そうだ、さっきの買取代金のエルランドさんの取り分を渡しておきますね」
「闇玉の残りをドランで買取させていただければいらないのですけどねぇ」
「いやいや、そうもいきませんって。一緒にダンジョン踏破したんですから」
「それでしたら、前に話したとおりヒュドラの宝箱から出た宝物の3分の1くらいのもので大丈夫です」
「いや、それは少なすぎでしょ。ここは平等に半分に分けましょうよ」
「いやいや、それは多過ぎですから」
「それなら全体の3分の1で。これ以下はダメですよ」
「いやいや、3分の1だって多過ぎですよ」
「いやいやいや、多過ぎないですって。これくらいもらってもらわないと」
いやいやとかいやいやいやの応酬でエルランドさんと押し問答した結果、ようやく折り合いがついたのは白金貨50枚だった。
何としても3分の1くらいは押し付けたかったんだけど、エルランドさんが頑としてうんと言わなかった。
それじゃっていうんで3分の1には満たないけど、白金貨50枚だけは何としてももらってくれって言って何とか押し付けたよ。
それでもまだまだ大量に金があるんだけどさ。
金に困らないのはいいけど、あり過ぎるのもまた困りものだよ。
他の人から見たら、金があり過ぎて困るなんて恨まれそうな悩みだけど。
うちは特に貯まる一方だから、何に使っていいかわからんし、こんな大金持ったことないから金があり過ぎて怖いわ。
今のところそれほど欲しいものなんてないけど、ネットスーパーに使うにしたって高が知れているし、これは何か大きなものを買って還元する手立てを考えた方がいいかもな。
それから白金貨50枚をエルランドさんに渡して、今後の予定について話した。
「早めにドランに向かいましょう」
「えぇ~、もう少しゆっくりしてもいいんじゃないですか?」
「何言ってるんですか。俺たちは別に急いでないですけど、エルランドさんは急がなきゃダメでしょ。ウゴールさんに任せっきりなんですから」
「そりゃそうですけど、ウゴール君なら大丈夫だと思うんですけどねぇ」
ウゴールさんが優秀なのは分かるよ。
あの優秀なウゴールさんがいればある程度滞りなく業務も進むだろう。
でもさ、一応ドランの冒険者ギルドのトップはアナタでしょ。
エルランドさんがいなきゃ進まない話なんかもあるんじゃないかなって思うぞ。
「これ以上遅くなったらウゴールさんにめちゃくちゃ怒られると思いますよ。というか、今でも怒ってるんじゃないかな……」
俺がそう言うと、エルランドさんが少し考え込んでいる。
何かを思い出したのか「そういえばあの件は早めにとか、帰ったらすぐにとか言ってたものが……」なんて呟いたあと、エルランドさんの顔がみるみるうちに青くなっていく。
「は、早く戻った方が、いいかもしれません……」
やっぱりそうだろう。
エルランドさんとの話で、明日旅の準備をして、明後日の早朝にはエイヴリングの街を出発してドランに向かおうということに決まった。
俺の旅の準備といえば、旅の間の飯の作り置きだな。
今からいくつか作って、明日いっぱいかけて準備することにしよう。