第二百六十二話 25階
【 書籍化のお知らせ 】
書籍化します! はぁ、やっとお伝えすることができました。
発売日は11月25日オーバーラップノベルス様からとなります。
それに伴って、タイトル及び作者名が変更となります。変更ばかりであれですが(汗)
タイトル
「とんでもスキルが本当にとんでもない威力を発揮した件について」
↓
「とんでもスキルで異世界放浪メシ」
となります。短くなって内容にピッタリとなりました。
作者名
妖精壱号 → 江口 連となります。よろしくお願いいたします。
詳しいことは活動報告にて。
これからも「とんでもスキルで異世界放浪メシ」をよろしくお願いいたします。
俺たち一行のダンジョン攻略は、飯休憩やらを挟みながら順調に進んで行った。
飯休憩は大事だよ。
特にうちはね。
フェルをはじめとしてドラちゃんもスイも腹時計は正確だからさ。
とにかくみんなにせっつかれて飯休憩を挟みつつ、22階、23階、24階と順調に進んで行った。
20階と21階でもフェルたちがハッスルしたから闇玉の使いどころがなかったけど、22階、23階、24階でも結局使う場面がなかった。
実験は25階に持ち越しだよ。
ちなみにだけど、22階はブラックアナコンダっていう光沢のない黒い鱗のドデカいヘビだった。
ドロップ品は非光沢の黒い皮とドデカい肉で、ボス部屋にいたタイラントブラックアナコンダ(その名のとおりブラックアナコンダがデカくなった魔物だ)はそれに加えて大きめの魔石を落とした。
ヘビ肉とか微妙だ。
いや、ブラックサーペントとかレッドサーペントも食ってはいるけどさ、動いてるとこ見ちゃうとね。
それでも肉はもったいないから食うけどさ。
次の23階は、スカベンジャーリザードというコモドオオトカゲにそっくりな魔物だった。
違うのは色くらいで、スカベンジャーリザードは何とも毒々しい赤紫色をしていた。
エルランドさんから聞いた話では、スカベンジャーリザードは前にテレビで見たコモドオオトカゲの生態とよく似ていて、獲物に一度噛み付いて毒を注入して弱らせてからゆっくり食っていくんだそうだ。
そのスカベンジャーリザードがびっくりするくらい大量に出てきた。
ボス部屋なんて足の踏み場もないくらいスカベンジャーリザードがひしめいていて、共食いしてるヤツまでいたよ。
もちろんフェルたちには何の問題もなかったけど。
スカベンジャーリザードのドロップ品は赤紫の皮と小瓶に入った毒だった。
この小瓶に入った毒は出血毒で、鑑定によるとその名のとおりこれを注入されると血が固まらなくなって出血性ショック死するみたいだ。
まったくもって恐ろしいものをドロップしてくれたよ。
しかも大量にさ。
こんなオッソロシイ毒に需要があるのかと思いきや、エルランドさん曰く「大きな声では言えないですがこれはこれで需要があるんですよ」とのことだった。
ドロップ品の他の毒にも需要があるみたいだし、こんなのを金を出してまで買っていくヤツがいるとはなかなかに世知辛い世の中だ。
異世界怖い。
その次の24階には、お馴染みというか美味しくいただいてますなブラックサーペントとレッドサーペントが出てきた。
これはドロップ品は皮と肉と魔石じゃないかなと思ってたら予想通りだった。
ブラックサーペントとレッドサーペントの美味さは俺も含めてみんな知ってるからね。
狩り尽す勢いで肉を確保してもらったよ。
そのおかげでブラックサーペントとレッドサーペントの肉が大量に手に入った。
高値で売れる皮と魔石も大量に手に入ったし、俺としてはホクホクだった。
フェルとドラちゃんとスイは『から揚げー』って騒いでたけどね。
ブラックアナコンダの肉もあるし、ダンジョンから出たらヘビ肉尽くしの飯をみんなに振る舞うとしよう。
そんなこんなで順調に下の階へと進んできた俺たちは、ついに爬虫類ゾーン最後の25階へと降り立った。
はてさて、何が出てくるのかね。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
25階の通路を少し進んだところでこの階の魔物が姿を現した。
「これは……クリムゾンアスプですか。また厄介な……」
エルランドさんが非常に嫌そうな顔をしてそうつぶやいた。
このクリムゾンアスプという魔物はコブラにそっくりだった。
紫がかった赤い色をした全長3メートル近いコブラだ。
それが群れをなして通路を占拠し塞いでいた。
平べったい特徴のある頭をもたげてシューシューと音を出して威嚇している。
『こしゃくな。ドラ、スイ行くぞ』
『おうっ』
『うんっ』
クリムゾンアスプに向かっていくフェルたちにエルランドさんの声がかかる。
「クリムゾンアスプは非常に強い毒を持ってますから気をつけてください! 噛まれたらまず助からないでしょう。それから、周囲に毒霧を吐きますんでそれにも注意ですよ!」
コブラに似てるから毒持ちだとは思ったけど、毒の霧も吐き出すとはね。
「それと……」
何かを言おうとしたエルランドさんが急に愛剣を出して構えた。
何事かと思って見ると、フェルとドラちゃんとスイが攻撃を加えている間をスルリとすり抜けたクリムゾンアスプが1匹こちらに向かってきていて、今正に俺たちに飛び掛ってくるところだった。
ヤバッ……。
スパンッ―――。
クリムゾンアスプの頭が宙を舞った。
「このように案外動きも素早いので注意ですよ」
エルランドさんがそう言いながら愛剣に付いたクリムゾンアスプの血を払った。
「ハァー、危なかった。エルランドさんありがとうございます」
さっきのはマジでヤバかった。
「ムコーダさん、フェル様やドラちゃんやスイちゃんがいるからと言って油断は禁物ですよ」
エルランドさんが少し呆れたような顔でそう言った。
おっしゃるとおりだ。
フェルたちがいるうえに完全防御もあるからって完全に油断してたわ。
でも、それじゃダメだよな。
完全防御があっても、油断は禁物だ。
何があるか分からんし、絶対大丈夫だなんて油断してるときこそ一番危ないんだよな。
油断大敵だ。
俺は、闇玉をいくつか取り出しやすいように革鞄の中にしまい、手にしっかりとミスリルの槍を握りなおした。