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第二百四十五話 ドラゴンブレス?

遅くなってすみません。

更新日勘違いしてました(汗)

 12階には、ドランのダンジョンにもいた2メートル超えのカマキリの魔物のジャイアントキラーマンティスとそれより少し小ぶりなキラーマンティスが待ち受けていた。

 通路にはキラーマンティスがウザイほど湧き出して、俺たちを切り刻もうと腕の鎌を持ち上げて威嚇していた。

 でも、ここでもドラちゃんとスイが率先して撃破していった。

 とにかく敵を倒すのが楽しいらしく元気いっぱいで突き進んで行ったよ。

 途中の部屋にいたキラーマンティスとジャイアントキラーマンティスも、ドラちゃんとスイが競うように倒していった。

 俺もレベルアップするって目的があるから、何匹か回してもらった。

 まずは鎌の付いた両腕をスパッと斬り落としてから、胸を一突き。

 この戦法でいったけど、スイに作ってもらったミスリルの槍の性能が良すぎて、俺でも苦も無く倒せた。

 それ以外は俺とエルランドさんはせっせとドロップ品を拾い、フェルは得意の気配察知で「次の角を右に曲がれ」とか「そこに罠がある」とか指示を飛ばして完全にナビの役割だった。

 フェルがなるべく他の冒険者とかち合わないように誘導してくれたのかスムーズに進んで行ったよ。

 ボス部屋にはキラーマンティスとジャイアントキラーマンティスが気持ち悪いほどひしめき合っていたけど、これもドラちゃんとスイにサクッと始末されてたな。

 ちなみにキラーマンティスのドロップ品は鎌でジャイアントキラーマンティスの鎌よりも小ぶりなものだ。

 ジャイアントキラーマンティスのドロップ品はドランと同じく鎌と魔石、あと数は少ないけど初めて見る複眼というのもあった。

 エルランドさんに聞いたら、何かの薬剤の素材になるらしい。

 そんなわけで、俺たちはすんなり13階へと進んだ。

 この階で待ち受けていたのは、キラーホーネットだった。

 キラーホーネットもドランのダンジョンにいた魔物だ。

 ドラちゃんは『げっ、キラーホーネットかよ』って嫌そうに言ってたし、フェルも嫌そうに顔を顰めてた。

 それでも、ドランでは実際に倒してるし、フェルやドラちゃんやスイの敵じゃないと思ってたんだけど、エルランドさんの話だと、ここのダンジョンのキラーホーネットは一段と厄介とのことだった。

「キラーホーネットもキラーアントと同じく1匹1匹の力はたいしたことはないんです。こういう数が多くて集団で襲ってくる魔物に対しては、囲まれないことが1番大事で早め早めに対処していけばどうということはないですからね。ただ、キラーアントと違ってキラーホーネットは羽があり飛んでいることもあって、思わぬところからの攻撃には注意する必要がありますけどね……と、普通のキラーホーネットならばこの説明で十分なのですが、ここのキラーホーネットはちょっと違うんですよねぇ」

 そう言いながらエルランドさんも渋い顔をする。

「ここのダンジョンって、どういうわけか特殊個体が多いんですよ……。ご存知でしょうが、キラーホーネットには毒がありますが、それこそ刺され処が悪かったり十か所以上刺されない限り死には至りません。比較的毒消しポーションも効きやすいですしね。ですが、特殊個体は、普通のキラーホーネットよりも強力な毒を持っているんですよ。しかも、毒消しポーションも効きにくい」

 特殊個体に刺されると、刺され処が悪ければ即死、刺されたのが1か所ならばまだ何とかなるが、2か所となると人によっては死に3か所となるとほぼ全て死ぬそうだ。

 しかも、キラーホーネットの特殊個体の嫌なところは、普通のキラーホーネットとほぼ見分けがつかないところなんだそうだ。

「そういうこともあって13階以降に向かう冒険者が極端に少なくなっているのでしょうね。私が現役時代にここに潜ったときもそうでしたから」

 確かにこの階に来た途端に冒険者をとんと見なくなったな。

『おーい、ごちゃごちゃ言ってねぇで、要はみんな倒しゃいいんだろ。ブンブン飛び回って鬱陶(うっとう)しいし面倒ではあるがよ』

 俺とエルランドさんが話していると、業を煮やしたドラちゃんがそう言い出した。

『うむ、ドラの言うとおりだな。残らず滅せばいいことよ』

『倒すー』

 フェルもスイもドラちゃんに同意してるし。

『んじゃ、行くぜ!』

 ゴォォォォォ―――ッ。

 ドラちゃんが口をパカッと開くと、火を噴き出した。

「ド、ドラちゃんッ?!」

「ド、ドラゴンブレスッ?!」

 これには俺も驚いたけど、エルランドさんも目を見開いて驚いていた。

「ピクシードラゴンがブレスを吐くとは、過去の文献にも載っていませんでした! 新しい発見ですよ!」

 口から火を噴くドラちゃんを見て、エルランドさんが興奮気味にそう言った。

 ドラちゃんはどこ吹く風で口から火を噴き出して、キラーホーネットを焼き尽くす。

 その様はまるで火炎放射器だ。

「ドラちゃん、ブレス出来たんだな……」

 そう言うと『違うぞ』とドラちゃんから念話が入った。

『ブレスはな、竜種の中でも大型種しか吐けねぇんだよ。俺のは火魔法だ。まぁ、ブレスに似せてはあるけどな』

 そう言ってまた火を噴き出してキラーホーネットを焼いていった。

 エルランドさんは火を噴くドラちゃんをキラキラした目で見つめてたよ。

 ちょっとというか、かなりキモかった。

「大丈夫かな、火魔法ばっかり使ってて……」

 閉鎖された空間で火魔法ばかり使ってると酸欠になるんじゃないかと心配になった。

『お主は狭いところで火魔法を使って息苦しくならないか心配なのだろう?』

『ああ。フェルは知ってるみたいだね』

『うむ。昔にダンジョンの中で戦った時にちとな……』

 何か前にやらかしてるようだ。

『我の経験から言うと、あれくらいなら心配いらんぞ』

『え、そうなの?』

『幾度となくダンジョンに入った経験のある我がいうのだ、心配するな。第一、今、お主は息苦しいか?』

『いや、全然』

 そういや、あれだけ火を噴いてたけど息苦しいとかはまったくないな。

『そういうことだ』

 うーん、ようわからんけど、火魔法で燃えているのは魔素だからとかなんかな?

 まぁ、この世界自体がファンタジーな世界なんだし、地球での理屈がすべて通るわけではないかもしれないな。

 フェルが大丈夫だって言ってるんだし、そんな心配する必要もないか。

 それからはドラちゃんの火魔法のおかげで、多少苦労するかと思った13階も難なく進んで行った。

 途中の部屋も、中を埋め尽くすように大量にいたキラーホーネットもドラちゃんが焼き尽くしていった。

 ドラちゃんの火魔法から逃れたキラーホーネットもわずかにいたが、それもスイの酸弾で撃ち落とされていた。

 そして、俺たちは13階のボス部屋へと到達した。






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[気になる点] 〉『我の経験から言うと、あれくらいなら心配いらんぞ』 ダンジョン経験の多いフェルさん、何やらやらかしてそうですね。 いつか、フェルのダンジョン話聞いてみたいかも。
[一言] ダンジョンに入ってから、フェルさんが頼もしすぎてカッコイイですね。 他の冒険者達とかち合わないように配慮してくれたり、酸欠の心配を気付いてくれたり、出来る男は違いますよね。
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