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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連(旧 妖精壱号)
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第二百四十六話 水責め第二弾

「……これはまた悪い時に当たりましたね」
 中を見てエルランドさんも少しの間絶句していた。
 それもそのはず、ボス部屋の中はブブブブと大きな羽音をたてながらキラーホーネットで埋め尽くされていた。
「以前来たときは、この半分にも満たなかったのですが……。そして奥にキラーホーネットの巣があったのですが、これだけの数がいるということは、部屋の奥には見たことのないような巨大な巣があるのでしょうね」
 巣があるのか……。
「キラーホーネットって先に巣を始末した方がいいんだったよな?」
 フェルに話を振ると『うむ』と頷いた。
『だが、これだけいると巣に攻撃することすらままならん。ここは、先に巣の外にいるキラーホーネットの数をある程度減らさんとどうにもならんだろう』
 周りに冒険者もいないことからフェルは声に出してそう答えた。
「これだけいると、やっぱそうだろうなぁ」
「ええ。先にこのキラーホーネットをどうにかしないと進みませんね」
 エルランドさんも同意見だった。
『俺が行くぜ。同じようにこいつ等も焼いちまえばいいだからよ』
 そう言って部屋の中へ進もうとするドラちゃんを慌てて止めた。
「ちょっと待った。フェルみんなに結界お願い」
『うむ。分かった……いいぞ』
『んじゃ、行ってくるぜ!』
 そう言ってドラちゃんがボス部屋の中へ入っていくと、勢いよく火を噴いてキラーホーネットを焼いていった。
「ちょ、ちょちょちょちょっ、ちょっと待ってください、結界ってなんですか? ま、ま、まさか、伝説の結界魔法ですかっ?!」
 え?伝説の結界魔法??
「フェル、どういうこと?」
『人間でも昔使えるものがいたというが、今、結界魔法を使えるのは我くらいなものだろう』
 な、何それ、そんなん聞いてないんだけど。
「え、え、え、でも、フェルって最初っから普通に結界使ってたよな?」
 フェルってば出会った当初から普通に結界張ってたぞ。
『当たり前だろう。使えるものを使わんでどうするんだ』
 フェルが当然のようにそう言った。
 い、いや、それはまぁそうなんだけどさ。
『おい、もうそろそろ片付いてきたぞ。この馬鹿デカい巣も燃やしちまっていいのか?』
 ドラちゃんからの念話が入る。
『ダメ―ッ! スイがやるのー!』
 スイがやりたいと駄々をこねた。
『何だよ、このまま燃やしちまった方が簡単だろうが』
『ドラちゃんばっかりズルいー、スイもやりたいー』
 スイ、この階ではあまり出番がなかったからな。
『この階ではスイ出番なかったからさ、ドラちゃん、悪いけどここはスイに譲ってやってくれるか?』
 そう言うと、ドラちゃんもこの階ではドラちゃんばかり活躍していたのが自分でもわかってるのか、『チッ、しゃーねぇな』と引いてくれた。
『スイ、いいってよ。ちゃんとドラちゃんにお礼言わないとダメだぞ』
『うん。ドラちゃん、ありがと』
 スイがそう言うと、ドラちゃんがちょっと照れてるのかそっぽを向いた。
『それで、どんな攻撃するんだ? ドランのときみたいに水責めにするの?』
『うんっ。大きい大きいお水の球を作って閉じ込めるのー』
 そう言って嬉しそうにスイがポンポン飛び跳ねた。
『それじゃやるよー』
 スイが、ドランのダンジョンで見たワゴン車ほどもあるキラーホーネットの巣の倍以上ある巣を水魔法で作った水の球(ウォーターボール)の中に閉じ込めていく。
 あとは巣が消えるまで放置だな。
 全滅するまでには少し時間がかかるだろう。
 残っていたキラーホーネットもドラちゃんが片付けてくれたから、ボス部屋には大量のドロップ品が散乱していた。
「さて、ドロップ品拾っちゃいましょうか」
 エルランドさんに声をかけると、未だ驚いた顔で呆然としていた。
「エルランドさんっ」
 名前を呼びながら肩を揺するとようやく我に返った。
「ハッ……結界、魔法…………伝説の結界魔法ですよっ!」
 あーはいはい、そうですね。
 でもね、そんな驚かなくてもいいと思うんだ。
 何せ使ってるのがね……。
「あー、フェルですからね。一応伝説の魔獣ですし」
 俺がそう言うと、エルランドさんも頭に手を置いて「そうでした、フェル様ですもんねぇ」と納得したようだ。
 フェルに俺たちの常識は通用しないよね。
 俺たちがそんな会話をしている傍で、当のフェルは暇そうに毛づくろいをしていたけどな。
「さぁ、さっさとドロップ品拾っちゃいましょう」
「そうですね」
 俺たちはドロップ品集めに精を出した。
 キラーホーネットの毒針、キラーホーネット(特殊個体)の毒針、キラーホーネットの羽、キラーホーネット(特殊個体)の羽。
 倒した数が数だけに、ドロップ品もかなりの量あった。
 ドランでは羽が出なかったが、これも薬剤の素材になるそうだ。
 ちなみにだが、幼虫にはドロップ品はない。
 ダンジョンの外では幼虫も一応買取対象(食用として)ではあるようだけど、その見てくれから好んで食う人も少ないらしく買取代金も二束三文でほとんどの場合その場で廃棄処分されるそうだ。
 食用にはなるようだけど、虫食いは俺も遠慮したいね。
 ちょうどドロップ品を拾い集め終わったころに、スイの念話が入った。
『あるじー、倒したよー』
 巣も終わったようだ。
 スイに水を消してもらい、ドロップ品を確認する。
「こっちも毒針と羽が多いですね」
「ええ。巣の中にも相当数のキラーホーネットがいたようですね」
 毒針と羽を拾い集めながら、それを見つけた。
「あ、ローヤルゼリーがありましたよ」
「おお、良かったですね。ローヤルゼリーは貴重ですごく人気があるんですよ。ドランでも買い取りたかったのですが、皮優先になってしまって断念したんですよねー」
 エルランドさんの話によると、ローヤルゼリーは健康に気を遣う貴族には大人気の品なんだそうだ。
 そういや舐めるだけでも元気が出るって話だもんな。
「おっ、いいものが出ましたよ」
 エルランドさんが何か見つけたみたいだ。
「これは、キラーホーネットクィーンの毒針ですよ」
 そう言って見せてくれたのは、1メートル以上はある先が尖った細長い円錐型の針だった。
 普通のキラーホーネットの数倍の大きさはある。
「ランス使いには垂涎(すいぜん)の品ですね」
 耐久性もさることながら、攻撃した相手を毒状態にできるらしく、これで作ったランスは一級品らしい。
 なかなか良い物が手に入ったな。
 その後もせっせとドロップ品を拾い集め、ようやく一息ついた。
「ふぅ、やっと全部拾えましたね」
「ええ。大量にありましたからねぇ」
『おい、終わったならさっさと下に行くぞ』
 へいへい。
 13階をクリアした俺たち一行は、14階層へと階段を下りて行った。




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