第二百十九話 カキフライ
さて、夕飯の準備だ。
今日もメニューはもう決めてある。
フフフフフ、朝市で買ったカキにそっくりなカーキを使ってカキフライ(カーキフライ?)だ。
タルタルソースをたっぷりつけて……うん、間違いないね。
うぅ、想像したら涎出そう。
よし、作っていこう。
まずはネットスーパーで材料の調達だ。
カーキは殻付きのままだからそれをこじ開けるのに軍手とテーブルナイフが必要だな。
それからカキフライの衣用に小麦粉と卵と生パン粉に付け合せのキャベツ。
あと今回はタルタルソースも作ろうと思ってるから、卵は衣用と共用で多めに買うとして、あとはマヨネーズとあれだな。
俺がタルタルソースを自作するときに使ってるピクルスをみじん切りにして瓶詰めしたやつだ。
前にネットで見て使うようになったんだけど、すごく便利だぞ。
玉ねぎとパプリカのみじん切りも入っていて、このままマヨネーズに混ぜればすぐに自家製タルタルソースが出来るからな。
コクが出るから俺はこれにゆで卵も混ぜてるけど。
これがまた美味いんだよね。
そうそう、タルタルに混ぜる卵のみじん切りを作るときにはこれが必要だった。
網目状に穴の空いたポテトマッシャーだ。
包丁で卵をみじん切りにするのは黄身がべっとり包丁に付いたりして面倒だけど、これならすぐに卵のみじん切りが出来るからな。
よし、ポテトマッシャーも購入したし準備OKだ。
カーキの殻むきからしなきゃなんないんだけど、時間かかりそうだから、同時進行で米を炊いてタルタルソースに使うゆで卵も作っておこう。
米とゆで卵の準備が出来たら、次は殻むきだ。
もうそろそろ次の街への移動のことも考えて作り置きとして多めにカキフライを作っておいてもいいかもしれないな。
それに他の料理に使うことも考えて、多めに殻むきしておこう。
俺はせっせとカーキの殻をむいていった。
「ふぅ~、このくらいでいいかな」
一つ一つがデカいとはいえ大分むいたな。
あとはぬめりと汚れを取る下処理をしてと。
ボウルに入ったむき身に塩と片栗粉を振って軽くもむ。
そしたら水を入れてやさしくかき混ぜると、汚れが落ちて水が濁ってくる。
濁った水を捨てて、新しい水ですすいでを3回くらい繰り返せばOKだ。
下処理が終わったものの半分はザルにとってアイテムボックスに保管しておく。
殻むきの間に米も炊きあがってるし、ゆで卵も出来ている。
1番面倒な殻むきも終わったし、あとはカーキを揚げていくだけなんだけど、その前に付け合せのキャベツの千切りとタルタルソースを作っておこう。
キャベツの千切りはフェルたちはあんまり食わないし、少なめでいいな。
次はタルタルソースだ。
出来上がってるゆで卵の殻をむいて半分にしてボウルに入れたら、ポテトマッシャーでつぶしていく。
そこにマヨネーズとピクルスをみじん切りにして瓶詰めしたやつを入れて混ぜるだけ。
これで超簡単自家製タルタルソースの出来あがりだ。
今回は入れなかったけど、これにレモン汁を加えてもレモンの風味が出て美味いぞ。
付け合せのキャベツの千切りとタルタルソースができたら、いよいよむき身を揚げていく。
むき身をキッチンペーパーで軽く拭いて水分を取ったら、全体に小麦粉を薄くまぶしていく。
溶き卵をつけたら、両手で包むようにしっかりと生パン粉をつける。
フライにはやっぱり生パン粉がおすすめだ。
サックサクで美味いぞ。
パン粉をつけたら、180度の高めの温度の油でこんがりきつね色に揚げれば出来上がりだ。
火を通しすぎると固くなるから短時間で揚げるのが鉄則だぞ。
ゴクリ……。
きつね色に揚がった特大のカキフライ。
サックサクに揚がってて美味そうだぜ。
うん、ここは一応味見しないとな。
ということで、自家製タルタルをつけて、サクッ。
「おお、ジューシー。これは美味い」
味もカキそのものだ。
でも身が大きいから食べ応えあるぞ。
うむうむ、これはいい。
よし、どんどん揚げていこう。
「よし、全部揚げ終わったな」
皿に付け合せのキャベツの千切りを載せて、その横にカキフライを盛っていく。
カキフライの上に自家製タルタルソースをたっぷりかけて、カキフライの完成だ。
カキフライの載った皿をワゴンに載せてリビングに進んだ。
「夕飯できたぞー」
『おお、待っていたぞ』
『腹減ったぜー』
『スイもお腹すいた~』
みんなの前にカキフライの載った皿を出してやった。
『ん? 何だこれは。この匂いは肉ではなさそうだな』
フェルがクンクン匂いを嗅いでそう言った。
「ああ。これはな今日朝市で買ったカーキっていう貝のフライだよ。美味いぞー」
『そうなのか? どれ…………おおっ、確かにこれは美味いな。屋台では汁に入れるか焼くかしかなかったが、このような食い方もあるのだな。うむ、美味い』
フェルもカキフライは気に入ったか。
汁に入れるか焼くかしかなかったって、この世界ではそれが一般的なんだろうね。
フライにするなんて俺だけだろうよ。
でもカキの火を通す料理ならやっぱりフライでしょ。
炒めたりグラタンにしても美味いけど、やっぱり1番はフライだな。
『これサクサクしてウメェ。それに中からジュワッと汁があふれ出てくるぜ』
そうなんだよドラちゃん。
カキフライはサックサクでジューシーなのが美味いんだよな。
『あるじー、これ白いのとすごく合うよー。美味しー』
うんうん、さすがスイ。
カキフライにはやっぱりタルタルソースじゃなきゃな。
よし、俺も食うか。
俺用には、白飯とインスタントだが味噌汁、そしてメインのカキフライだ。
何だかカキフライ定食みたいなだな。
まずはメインの特大カキフライにタルタルソースをたっぷりつけてと……。
サクッ。
味見に食ったから味は分かっているが、やっぱり美味い。
プックリした特大のカキフライから旨味たっぷりの汁があふれ出す。
カキフライ、美味いなぁ。
ズズーッ、インスタントだけど味噌汁も美味い。
ここで白飯いって、またカキフライ。
美味いねぇ、やっぱ魚介があるってのはいいわ。
それだけでこの街に来た甲斐があるってもんだ。
『『『おかわり』』』
へいへい。
カキフライはみんな気に入ったみたいだね。
みんなの皿に追加でカキフライを載せてやった。
『この白いのをたっぷりかけてくれ』
『俺もだ』
『スイもー』
タルタルソース人気だね。
カキフライにたっぷりとタルタルソースかけてやった。
やっぱ魚介のフライにはタルタルだね。
そういえばアジに似た魚も買ってるんだったな。
今度はアジフライにしてもいいね。
あ、ホタテじゃなかったイエロースカラップのフライもいいかも。
そんなことを考えつつこの世界に来て初のカキフライを楽しんだ。
フェルとスイはいつものごとく何度もおかわりしてたよ。